矛盾だらけ? PlayStation Suiteで「オープン化」は可能か
PlayStation Suiteは、プレイステーションシリーズのコンテンツを、アンドロイドOS搭載携帯型端末向けに配信するプラットフォームである。初代プレイステーションの名作タイトルを、年内より提供開始予定だ。
携帯端末メーカーに対しては、PlayStation Certifiedライセンスプログラムを提供する。ロゴを始め、開発協力も積極的に行い、アンドロイド端末上でプレイステーションクオリティを維持するようにサポートするとのこと。また、アンドロイドOS搭載携帯型端末がアクセスできるPlayStation Storeを新たに展開する方針だ。さらに、NGPでも対応可能だという。
PlayStation SuiteはNGPの販売戦略と矛盾する?
NGPでも対応可能だというが、ハードの販売動向はソフトの販売動向に左右される側面が大きいことを考慮すると、 オープンプラットフォーム化はハード販売戦略にとって矛盾する可能性がある。 NGP独自のタイトルは、PlayStation Suiteで配信されないのではないか。
サードパーティにPlayStation Suiteを利用するメリットはあるのか
サードパーティにとってみれば、配信による追加的コストが発生せず、過去のコンテンツも販売でき、それで収益化するのであればメリットはあろう。ただし、すでに独自に携帯電話向けに対応、配信している企業からすれば、そういうビジネスチャンスは収益化できていることになるので、あまりメリットがない。
価格やロイヤリティ等の条件次第ではあるが、PSS上に多くの会員が集合している状態になれば、新たなコンテンツを投入するインセンティブが発生するかもしれない。しかし、携帯端末メーカーも独自のコンテンツ配信プラットフォームを形成し、収益化するインセンティブが大きいとみられる中で、ソニーグループ以外のメーカーが採用する可能性は低いのではないだろうか。
アンドロイド携帯ではPSPほどゲームを楽しめない?
また、アンドロイドOS搭載携帯型端末のハードのスペックが向上したとしても、インターフェースが変わらなければ、ゲームの操作性は携帯型ゲーム機に劣ることになり、特に、アクション系では十分楽しめない可能性があろう。たとえば、「モンスターハンターポータブル」シリーズをゲーム専用機以外の端末で PSPと同程度に操作することは、容易ではないだろう。
PlayStation Suiteは、単なるコンテンツ配信モデルではなく、ソーシャルゲームを取り込んだプラットフォームを意識しているとみられる。既存のソーシャルゲーム等とゲームの質という面で差別化を図る方針だ。技術的には可能であるが、ビジネスとしては、ソニーグループとして「オープン化」に限界がある点が弱みとなってしまう可能性があろう。
しかし、この限界を打破するだけの戦略があれば、これまでにない市場シェアを獲得する可能性があるが、それはPSSがPCにおけるWindowsのように、ほぼ標準搭載されるような状況といえるかもしれない。