「強い憤りを感じる」。文化構想学部の試験中に問題に関する質問が投稿された早稲田大（東京・新宿）では28日、橋本周司副総長らが記者会見。「社会的影響が極めて大きい」と険しい表情で語った。警視庁に偽計業務妨害容疑で被害届を出す方向で検討しているという。

　橋本副総長は「許し難い行為」と憤る一方、「テクノロジーの変化に大学受験が追いついているか問われている」と危機感もあらわにした。試験の監督態勢についても「できる限りのことをやっていると思ってきたが、再考する必要がある」と悔しさをにじませた。

　会見での説明によると、調査委は教務や法務担当の理事らを中心に構成。不正があった英語の試験の全答案を点検し投稿の内容を反映した解答がないか確認する。「ほかの受験生への影響はない」との理由で、再試験は行わない。

　立教大（東京・豊島）の白石典義・統括副総長も28日、大学内で会見し「厳正かつ公正であるべき入試制度の根幹を揺るがす問題で、極めて遺憾」と述べた。投稿者が明らかになれば合格取り消しなど厳正に処分する意向も表明した。

　入試運営を担当する神山正之・入学センター課長によると、試験会場一室の受験者は40～360人。各室で教職員２～11人が監視に当たった。見回りの頻度、試験開始後どのくらいたってから巡回を始めるかなどは監視員の裁量で、「常識的な範囲」で行ったという。　初めて担当する者には研修をしており、「（不正防止の）対応はできていた」と不備はなかったとの考えを示した。

　早大、立大はともに同日、調査委を設置。他の３大学や質問掲示板を運営するヤフーと連携し、投稿者の特定作業を進めていく方針だが、「個人情報保護法の範囲内で情報交換を進める」（立大）と受験生に関するデータの扱いには慎重な構えもみせている。