中国GDP、地方で「水増し」報告疑惑 やっぱり鵜呑みにできない (1/2ページ)

2011.2.28 05:00

中国国家統計局のGDP速報値発表を取材する国内外のメディア=20日、北京市内(共同)

中国国家統計局のGDP速報値発表を取材する国内外のメディア=20日、北京市内(共同)【拡大】

  • 上海市内の繁華街、南京東路を歩く人たち。消費など内需拡大も中国のGDPを大きく押し上げている

 中国の31省・直轄市・自治区の行政区ごとの2010年の域内総生産(GDP)統計がでそろった。だが、31行政区がそれぞれ発表した名目GDPを合算すると42兆8900億元(約536兆円)となり、中国国家統計局が1月に発表した全国の名目GDPの39兆7983億元を3兆917億元も上回った。

 全国統計の基礎になる地方の数値との間に7.8%もの“誤差”が生じているのは、行政区をまたぐ公共工事など重複して計上されている可能性があるほか、経済成長の実績をアピールしたい地方政府や中国共産党の地方幹部の「水増し」報告が続いているとみられるからだ。

 名目GDPで日本を追い抜いて世界2位の経済大国の座を射止めたとする中国だが、その根拠となるGDPの統計は全国と地方で大きく矛盾しており、信頼性が改めて問われている。

成長最下位は上海?!

 実際、中国で次期首相就任が有力視されている李克強副首相が、過去にGDP統計に疑念を示したとの情報もある。内部告発サイト「ウィキリークス」が昨年12月に公開した米外交公電では、李氏が「(中国のGDP統計は)人為的に操作されており信頼できない」と話していたことが明らかになっている。

 李氏の発言は、遼寧省の党書記を務めていた07年、当時のラント駐中米国大使と会食した際に記録されたという。それによると李氏は、遼寧省の経済情勢では、(1)電力消費(2)鉄道貨物取扱量(3)銀行融資-の3項目に絞って注目していると米側に説明。この3項目だけで比較的正確な経済成長を計ることができるとした上で、GDP統計は「あくまでも参考値にすぎない」と笑い飛ばしている。

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