NG本社は今年1月31日、手形を決済できずに資金ショートを表面化させた。NG本社に商品を卸しているメーカーで構成されている「れい明会」の総会が2月8日、都内で開催されたが、総会は急きょ債権者集会に切り替えられてNG本社の橋本会長から今回の事態に対する説明が行なわれた。
関係者によれば、同会長は未決済となった手形について「責任を持って返済する」と手形の買い戻しを集会で表明したとされるが、月末には再び大きな決済がめぐってくるのは必至の事態での弁として来場者の疑念を買っている。
「全体像が見えなかった」と参加者が語るように、弁済の手立てや今後の方策などについて具体的な説明は行なわれなかったようだ。経営者として第一に考えたいのは、2回目の不渡りを何としても回避することである。また年末を回避したいという思いも経営者には一般的に強く、その翌月の第1回目の不渡りとなっている。橋本会長の話では人件費を支払ったことが原因とされている。関係者によれば総額は3億円。労働基準監督署の査察を回避するためのやむをえない手段だったとも同集会で洩らしたという。NG本社は今月の給与は一部のパートも含めて遅配している。ひょっとしたら、今月の伏線を集会で張ったのではないかと疑いたくなるような発言である。
関係者によれば、「あと5億円、なんとしても回収するように」との号令が全国のアニュー店に下されているともいわれている。業界としては、過去のしがらみや手形の回収のためにNG本社に対して強気で出ることのできない業者も多いようだ。まるで堅気の世界の話ではないような歯切れの悪い言い訳が飛び交っている。わが国の悪しき慣習の縮図がここにある。
いずれにせよ、判断を誤れば傷口は開く一方で、消費者が置き去りになるのが一番の不幸である。互いに実のある再建策に真剣に取り組んでほしいものだ。
橋本会長の代行で再建に取り組んでいた富田氏は、すでに20日に退任している。NG本社から口座を移し、富田氏が発足した組合を通じて仕入を開始した業者もある。NG本社の執行部における機能不全も気がかりだが、やはり何よりも、アニューショップの顧客やブラジル酵素を購入した会員を置き去りにした再建策こそ、慎むべきだろう。今日2月28日、今年2度目の運命の時を迎えるのか。
【田代 宏】