買い物好き。「行く前に欲しい物リストを頭の中で作って、試着して試着して慎重に買います」=伊ケ崎忍撮影
四大陸選手権、世界選手権での活躍が期待される
年末の全日本選手権で初の優勝を果たし、今季の前半戦を5戦5勝で終えた。
「結果としては100点」。中でも、「勝つことを目標としてきた」という、初戦のネーベルホルン杯(9月、ドイツ)と全日本を勝って自信になった。
この2大会が大事だったのには理由がある。一昨年夏、バイクの酒気帯び運転事件を起こし、昨季を棒に振った。ネーベルホルン杯は2季ぶりの試合。それも国際大会だ。「自分がまだまだいけるというのをジャッジにアピールしたかった」。そして、世界選手権の代表をかけた試合が全日本だった。
「勝ちたい時に勝て」。そう教えてくれたのは、週6日行う筋力トレーニングの指導を担当する松本整氏(49)だ。競輪の元トップ選手。プロとして厳しい世界で戦ってきた体験から出てくる言葉には説得力がある。「気持ちに強弱をつける」「緊張してこそいい演技が出来る」。今季の快進撃の支えになった。
昨春から、世界的な名コーチ、ニコライ・モロゾフコーチに師事し、練習拠点の米国でアパートを借りている。「ご飯を作るのが楽しいし、掃除洗濯も好き。僕、専業主夫に向いているかも」
得意なのはカレーだ。多い時は週2、3回作る。辛いルーに、砂糖などの甘い物を隠し味で入れるのが信成流。でも、「ココアパウダーを入れすぎて、味がココアになったこともあった」。
関大文学部英語英文学専修に在籍するが、昨春から10年バンクーバー五輪が終わるまで、休学中。教職課程を取っており、勉強とスケートの両立が難しくなったからだ。
実は今季前半戦の自己評価は、「結果は100点でも内容は60点」。足りなかった40点のうち、20点は4回転を成功出来なかったこと、もう20点は自由の表現力だという。
本格的に国際舞台に復帰し、世界のトップと戦う今季後半戦に向け、課題は明確だ。「常にオリンピックは意識するけれど、いい緊張を保って気負わずに臨みたい」。自然体を貫く。(川崎治子)
おだ・のぶなり 87年、大阪府高槻市生まれ。5歳からフィギュアスケートを始める。05年世界ジュニア選手権優勝。06年世界選手権4位。今季、全日本選手権を初制覇し、2月に四大陸選手権(カナダ)、3月に世界選手権(米国)に出場する予定。165センチ、52キロ。