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【解説】
デスクトップPC時代の終焉は近い?――アナリストが市場減退を指摘
価格競争による利幅減少とノートPCへの移行増加が原因
(2008年06月02日)
かつてはPCメーカーの主要な収益源であったデスクトップPCが、ここにきて市場としての魅力を急速に失いつつあると、アナリストらが指摘している。その原因は、価格競争による利幅減少と、ノートPCに乗り換えるユーザーの増加にあるという。
Agam Shah
IDG News Serviceサンフランシスコ支局
ユーザーの間では、価格の下落が進むノートPCを選択する傾向が強まっており、デスクトップPCは負荷の大きいタスクやゲーム向けのニッチ製品と化しているのが現状だ。また、ノートPCの採用が増加する一方で、ローエンド向けデスクトップPCの販売価格も下落しており、特に米国ではPCベンダーの収益性が徐々に悪化し始めている。
Dellの「XPS M1530 RED」 |
米国Dellは5月29日、2009年度第1四半期(2-4月期)におけるデスクトップ製品の出荷台数は9%増となるものの、デスクトップ製品による売上高は前年同期と比べて5%縮小したと発表した(関連記事)。
Dellの広報担当を務めるデビッド・フリンク(David Frink)氏は、「デスクトップ製品からモバイル製品へと移行するトレンドを背景に、当社のノートPCの成長率が高まった」と述べている。なお、ノートPCの出荷台数は前年同期比43%増を記録し、売上高も49億ドルと前年同期比22%増を達成したという。
米国Endpoint Technologies Associatesの社長、ロジャー・ケイ(Roger Kay)氏は、「数年前までデスクトップ製品をビジネス・モデルの中核としてきたDellは、ノートPCへの転向が遅れたために財政難に陥った。しかし、ここにきて主力製品ライン全般をモバイル製品へシフトさせることに成功し、経営を立て直しつつある」と分析している。「ノートPCに注力する傾向は今後も続くだろう。この傾向が収束することは当面ないと見ている」(Kay氏)
米国Pund-ITの社長、チャールズ・キング(Charles King)氏は、DellのデスクトップPCの売上高が減少した要因は、市場における利幅の薄さにあると指摘する。同氏によると、ベンダーの大半は、競争の激化ともうけの少なさから、デスクトップ事業に慎重な姿勢を見せており、売上げもノートPCがデスクトップPCを上回りつつあるという。「Dell以外のメーカーにとっても、これは危機的な状況だ。ほぼすべてのPCベンダーが、デスクトップ製品の売上げが徐々に落ちるという問題に悩まされるだろう」(King氏)
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