29 1 / 2011
"0128アジア貿易5割突破 中国以外に広がり 昨年の日本 米シェア10年で半減 :日本経済新聞"
日本のアジア経済への依存度が一段と高まっている。財務省が27日発表した2010年の貿易統計によると、輸出と輸入を合計した貿易総額のうちアジアの比率は51%となり、初めて5割を突破した。中国が最大の貿易相手国であるものの、貿易自由化を進める東南アジア諸国連合(ASEAN)各国を域外への輸出拠点として活用する動きも広がってきている。
10年の輸出と輸入を合わせた貿易総額は128兆416億円。前年に比べて21.2%増加し、リーマン・ショックの影響で低迷した09年(33.9%減)と比べると日本の貿易は復調してきた。けん引役になっているのが高い経済成長が続くアジアの新興国だ。
アジアとの貿易総額は65兆3028億円で、前年から24.8%増加した。日本の貿易総額に占める比率は1.5ポイント高まり、比較可能な1979年以降で最高を記録。アジアの比率はこの10年で約10ポイント高まった。対照的に米国の比率は12.7%と、10年間でほぼ半分に低下した。
対ASEANが中国の伸びを上回った(東京都品川区の港に積み上げられたコンテナ)
中国が貿易総額の20.7%を占め、10年も日本の最大の貿易相手国になった。ソニーや東芝など日本のメーカーは、液晶テレビの需要増加に対応するために、低価格品を中心に中国の自社工場や生産を委託している電子機器の受託製造サービス(EMS)の中国工場からの輸入を増やした。
中国は生産拠点としてだけでなく、購買力の高まりとともに消費市場としての役割も増している。日本からの中国向けの輸出は乗用車がけん引役になった。
日本と中国以外のアジアとの貿易を通じたつながりも密接になっている。貿易総額の前年からの増加率をみると、ASEANが26.6%、韓国や台湾など新興工業経済群(NIES)が24.5%で、中国の22.3%を上回っている。
ASEANは中国・インドなどと自由貿易協定(FTA)を締結しており、日本企業は域外への輸出拠点として活用している。日産自動車はタイで日本を含む世界市場向けに小型車「マーチ」を生産している。
新日本製鉄はインドネシアの容器用鋼板メーカーに35%出資し、その母材となる鋼板の供給を拡大。JFEスチールもベトナムで建材や自動車部品用の鋼管メーカーに8%出資し、鋼管の母材となる鋼板の出荷を増やすことを狙っている。
中国に展開する企業にとっては人件費負担の高まりや、政治的なリスクが不安要因になる。「日本企業が中国に集中した経営資源をアジアの周辺国に移す動きが続く可能性もある」(外資系エコノミスト)との指摘も出ている。