７年越しの晴れ舞台、寺島しのぶ「夢かなった」

　２０１０年（第６５回）毎日映画コンクールの表彰式が８日、川崎市幸区のミューザ川崎シンフォニーホールで行われた。「キャタピラー」の演技で女優主演賞に選ばれた寺島しのぶ（３８）は「ベルリン映画祭より古いコンクール。伝統を感じます」と感激。スポニチグランプリ新人賞に輝いた「春との旅」の徳永えり（２２）、「イエローキッド」の遠藤要（２７）は「これを糧に」とさらなる飛躍を誓った。

　【女優主演賞】晴れのステージには格別な喜びがあった。自身２度目の栄誉となった寺島だが、前回「赤目四十八瀧心中未遂」で受賞した０４年の表彰式は舞台が入っていて出席できなかった。「７年越しの夢がかなってとてもうれしく思います」の言葉に実感がこもった。

　ベルリン映画祭でも最優秀女優賞に輝いた対象作「キャタピラー」は両手足を失って戦地から復員した軍人と、そんな夫の世話に追われる妻との関係を通して、戦争の矛盾を描いた衝撃作。寺島は「若松孝二監督の人間力に支えられてできた作品です」と感謝も忘れなかった。

　受賞は身内も喜んでくれている。母親で女優の富司純子（６５）からは「万歳！万歳！お母さんは獲ったことないのに２回もいただいて…悔しい」と絵文字入りの祝福メールが送られてきたという。フランス人の夫で、クリエーティブアートディレクターのローラン・グナシア氏（４３）は会場に駆けつける予定だったが、インフルエンザでダウン。「きょうは早く帰ります。（夫は）しゃぶしゃぶが食べたいと言っているので、シャンパンで乾杯しようかな」と笑顔で締めくくった。

　寺島と堤真一の主演賞コンビには“さらなる飛躍”を後押ししようと、副賞としてＡＮＡ（全日空）の航空券（羽田―ロサンゼルス間のビジネスクラス往復券）がプレゼントされた。