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ATOKは「もうダメ」だ。 ――「GoogleIMEに移行します」宣言しかないかも

[ICON]編集者の日々の泡

tokyo editor提供:編集者の日々の泡

ATOKで困ってるので、GoogleのIMEである「Google日本語入力」に移行を画策中だ。

最初に、編集者という意味で「日本語のプロ」である私の日本語入力環境を振り返ってみる。

私はDOS時代からWindows時代に移行すると共に、自然と「デフォルト優先主義」になった。そのほうが自分の生産性が上がるから。日本語入力も標準のMS-IMEを使ってきた。

しかしこのMS-IMEが、日本開発から中国開発に移行してからというもの、どんどんおかしくなってきた。かな漢字変換のエンジンがおかしいし、辞書もおかしい。コストダウンが目的かもしれないが、日本語のコアに関する案件を中国で開発すれば、こうなるのは見えてる。その姿勢が疑問だ。

このあたりの経緯はエントリーとして上げたが、MS-IMEの不出来を、マイクロソフト日本法人元会長である古川亨氏がブログで指摘するくらいの事態になっていた。

そのため私はATOKに避難した。

でまあしばらく平穏な日々を送っていたわけだが、ある日ふと、変換候補がジャストシステム側で検閲されていることに気づいた。「下賤な」が変換できなかったのがきっかけだ。

調べると「不快語は排除する」理由だという。その姿勢はきわめて問題と感じたので、エントリーにも上げた。そのときは概要以下のように書いたわけだ。

そもそもどんな用語を禁止するかの選択基準が不明確だし、排除されている言葉を見ていても姿勢がおかしい。単なる辞書なので差別語の収録も許されるべきだと私は思うが、百歩譲ってそれを自粛したとしても、「他人に不快感を与える用語」まで含めるのは間違っている。

たとえば「新聞業界が明文化して禁止している言葉」は使わないとか、判断基準を明確化すべきだ。

そうでなく「他人に不快感を与える用語」などとあいまいに逃げるから、どんどん膨張してしまう。このままでは、「一部の変な圧力団体」から抗議が来れば「即削除」という最悪の事態の可能性すらある。


このエントリーを書いたのが2008年。その後どうなったかといえば、ATOKを渋々使ってきたわけだ。今さらタコのMS-IMEにも戻れないし。

しかしここで、グーグルがIME「Google日本語入力」を無償提供し始めた。私はどうしたかというと、仕事ではATOKを使い続けながら、プライベートのパソコンでこれを試用し始めた。使えるかどうか確認するためだ。

ATOKとGoogleIMEの編集者から見ての評価を、ここで書いておく。

ATOKが優れているのは、大きく2点。

まず、「正しい日本語」に向けて書き手を矯正してくれる。つまりたとえば「ふいんき」と入力して変換すれば、「雰囲気」と変換しつつ「ふんいきの誤り」と指摘してくれる。

次に、辞書連動機能が充実しており、いろいろ便利に使える。

これに対しGoogleIMEが優れているのは、ネットでの使われ方を参照して辞書を構築しているため、最近登場した固有名詞や流行語などもバンバン変換してくれること。ATOKではひいひい言いながらの変換が必要だ。

ただしネットベースであることが裏目に出て、よくある間違った日本語もまた変換候補にまるっと挙げてしまう。

使い勝手としてはATOKと大差ない。ときどき単語の変換優先順位学習をしなくなるのが愛嬌だが、まあ無料だし(再インストールするしか解決策ないみたいね)。

つまりまとめると、使い勝手は同等。正しい日本語を身に付けるべき学生などにはATOK推奨、すでに正しい日本語を身に付けているプロの作家やライターなどでは、どちらも一長一短といったところ。小説家などはATOKが向いていると思うが。

でまあ、編集者が使う用途としては、正直拮抗している。編集者は一般的にライターの方々より日本語について厳密に訓練されているので、GoogleIMEでもそう綻びは出ないだろう。ただ多彩な日本語を操るためには辞書連動も捨て難いし。

ただ私に限っての話では、ATOKの「不快語排除」で、稀にいらいらする。入れ直すのが手間。忙しいときは辛い。それにジャストシステムの事無かれ的「不快語排除」姿勢では、今後NGワードがどんどん膨張し効率性の面で「いつか仕事に使えなくなる」のは見えてる。

それに、メディアの人間として「表現の自由」に関連する分野で、そうした「臭いものに蓋」に逃げる企業を支持するのは嫌だ。

――というわけで、試用結果を踏まえ、そろそろ職場でもGoogleIMEに移行しようかというあたりだ。

できればジャストシステムには再考を促したいが、出版社の人間として、この手の案件では「いったん規制側に進むと戻せない」現実をよく知っている。だからまあ無理だろ。

なんでこんなことにしてしまったのかジャスト。徳島にあるからこのあたりの機微がわからなかったのだろうか。あるいは社長の鶴の一声か。その意味ではかわいそうだけど。どんどん食われなければいいが。

ところでGoogleIMEの変換候補をATOK2011に取り込むプラグインがあるみたいだから、そういうのを使う手もある。ただしこの場合「間違った変換候補」も取り込んじゃうわけで、ATOKの最大の利点は消える。ATOKの安定性と辞書連動を重視するならこれもいいかも。

とはいえまあ私はそこまでジャストシステムに義理立てする気はないので、これでさよならかな。気の毒だけど。
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編集者の日々の泡

tokyo editor

出版社の編集者。雑誌、単行本、Webサイトと、ひととおりの編集を経験。キャラクター的にはツッコミと思っているが、他人に言わせると「ボケ」とのこと。

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