蒼井優　初の野田舞台で虚言癖女イキイキ

　野田秀樹（５５）の新作舞台「南へ」で蒼井優（２５）が奮闘中だ。一昨年、蒼井が出演した「楽屋」を観劇した野田が、初めて自ら手紙を送って誘い、初めての野田作品出演が実現した。

　蒼井が演じているのは、火口へ飛び込もうとしていたところを止められて火山観測所にやってきた虚言癖のある女。そこへ赴任してきた火の山が大好きな男（妻夫木聡）が、初対面でやり込められるところから物語が大きく転がっていく。

　３００年前に噴火したという火山が、今、再び火を噴くとのウワサが流れ、不確かな情報を元にさまざまな立場の人間がさまざまな利害をかけて立ち回り、何が真実なのか、個々人、国のアイデンティティーとは…とテーマが広がっていく壮大なドラマだ。

　蒼井は、ハリのある声で膨大な量のセリフを自在に繰り出し、奔放な動き、瞬時に変化させる豊かな表情が舞台をイキイキとさせている。毎回新鮮な驚きを与える身体表現など野田演出もさえている。３月３１日まで、東京・池袋の東京芸術劇場中ホールで。当日券あり。