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[ライフ]ニュース トピック:家族・少子高齢化
【国語逍遥】(11)清湖口敏 読めない名前 ルール逸脱は誤読のもと
2011.2.28 07:37
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これも最近のスポーツ記事で見かけた選手の名前だが、「美誠」と書いてミマと読ませていた。「誠」はセイやマコトのほか名乗りの読み方としてアキ、シゲ、ナガなどが漢和字典には紹介されている。しかしマは見当たらず、マコトのマを採ったものかと想像できる。
親や祖父母らが丹精して付けた名前を俎上(そじょう)に載せる失礼は重々承知のうえで言えば、このような読みは「聞楽郎」と書いてキタロウ(キクのキ+タノシイのタ+ロウ)と読ませるのにも似て、通常の知識でもっては読みへの類推が全く働かない。
漢字のテストではなるほど、「聞く」の「聞」の横に「き」と仮名を振ることはあるにしても、「聞」は決して「き」という漢字ではない。音ならブン、モン、訓なら「き・く」「き・こえる」などと、また名乗りとしては「ひろ」などと読む漢字である。子供から「楽」の読みを尋ねられたとき、はたして、タノと読むんだよと教える親がいるだろうか。ましてや、タとは絶対に教えないはずだ。
今のご時世のこととて、難読名の方が情報の保護には好都合だと考える向きもあるようだが、名前というのは個人情報であると同時に、きわめて公共性の高い情報でもある。例えば病院では、患者の名前が正しく読まれ、かつ呼ばれることがどれほど重要であることか。
名前の字種について「常用平易」の議論があるように、読みの「常用平易」についても少しは国民的な議論があってしかるべきではなかろうか。もっとも、名付ける側の意識の問題だと言われればそれまでだが。
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