ライフ【国語逍遥】(11)清湖口敏 読めない名前 ルール逸脱は誤読のもと+(1/2ページ)(2011.2.28 07:37

  • [PR]

[ライフ]ニュース トピック:家族・少子高齢化

  • メッセ
  • 印刷

【国語逍遥】
(11)清湖口敏 読めない名前 ルール逸脱は誤読のもと

2011.2.28 07:37 (1/2ページ)

 今月11日に行われたボクシングのWBCミニマム級タイトル戦で、井岡一翔選手が世界王者に輝いた。日本選手最短となるプロ7戦目での王座獲得だ。

 ところで井岡一翔の「一翔」はカズトと読む。実は「翔」をトと読ませる名付けが近頃は流行のようで、明治安田生命が昨年12月に発表した平成22年生まれの名前ランキングでも、ヒロト、ハルトなどと読ませる「大翔」が4年連続で男児の首位となった。力強い名前だが、ふと気になるところがあった。

 新生児の名付けについては、使用できる漢字が厳しく制限されており、「こんな易しい漢字が使えないなんて」と訴訟になることもしばしばである。見た目にも簡単で「波」や「破」からの類推によって容易にハと読める「玻」もその一例だが、最高裁は昨年、「玻は常用平易な文字とはいえない」として使用不可の判断を示した。

 名前は親から子への最初にして最高の贈り物だ。そこには子供の健やかな成長、幸せな未来が託される。が、そうだからといって無制限な漢字使用を認めたのでは、人が容易に読めなかったり電子情報化できなかったりと混乱も起きようから、一定の制限はやむを得ないとしても、使用の枠はもう少し広げてもよさそうに思われる。

 一方で名前の読み方には全く規定がなく、極端な例では「巨人」と書いてハンシンと読ませることも理屈上は可能である。規定がないことで昨今は、漢字の訓の一部をつまみ食いしたかのような難しい読みの名前が増える傾向にあり、このままでは漢字の訓読の体系が根本から崩れかねない。

 一翔や大翔の読みは恐らく、『翔ぶが如く』(司馬遼太郎著)の読みのように「翔」をトとしたものだろう。

関連ニュース

  • [PR]
  • [PR]

[PR] お役立ち情報

PR
PR

編集部リコメンド

このページ上に表示されるニュースの見出しおよび記事内容、あるいはリンク先の記事内容は MSN およびマイクロソフトの見解を反映するものではありません。
掲載されている記事・写真などコンテンツの無断転載を禁じます。
© 2011 The Sankei Shimbun & Sankei Digital