「魔法少女リリカルなのは」と「これはゾンビですか?」の夢のコラボ!!
……アホか俺は!!?
続くかわから無い。一応A`s編から
プロローグ
魔法少女――この言葉を聞いて皆はどんなものを想像するだろうか?あ、ちなみに断じて魔『装』少女ではない。魔『法』少女だ。
そう例えば、魔法を使ってちょっとした騒動を起こしたり、自分が望んだ姿に変身できたり、それこそ大人の姿に変身したり、最近のトレンドでは魔法を使って戦ったり……まあ、基本的には全てアニメや漫画の中の創作のもの、というのが前提だろう。もちろん、俺にとってだってそういうものだった。
お前の境遇でよくもまぁそんな台詞が吐けるな、という意見はもちろんあると思う。俺もそう思うし、その辺りの言葉は甘んじて受けよう。
だがな、特にこれといってイベントも無く、ゾンビ特有の眠れない夜になんとなく居間で深夜番組を垂れ流しにしていたところに、同居人のネクロマンサーが合流して一緒にボーっとしてたところに深夜アニメが始まり、タイトルが「魔法少女リリカルなのはA`s」なんてついてれば、そりゃ魔法少女の在り方について考えるだろ。え、ならない?
とりあえず一つ聞いてくれや。ジョブに『少女』が付いてる時点で男がなるべきものじゃないと思うんだ。すっごい今更だけど。
そんな心の叫び兼益体の無いことを考えていると、こんこんと、テーブルを叩く音が聞こえる。これは今一緒にこのアニメを見ているユー……冥界のネクロマンサー、ユークリウッド・ヘルサイズが言葉を発せられない代わりに書いたメモ帳の字を見ろということ。なので俺は視線をユーへ、そして彼女の手元にあるメモ帳に向ける。そこに書いてあった文字は
『ごめんなさい』
何故か謝罪の言葉。
いくらなんでも唐突過ぎて、脳内変換すら出来ない。一体どういうことなのかユーに聞こうとする前に、ユーはメモ帳をめくる。
『つい 彼女を助けたいと思ってしまった』
思ってしまった――感情を動かしてしまった――それは、世界の中心とまで揶揄される彼女にはあまりにも重大すぎる事柄。というのはわかるが、一体なぜぼんやりとテレビを見ている状況でそんな感情が動く事になったのか……いまいち理解できていない俺に、ユーはペン先をテレビに向ける。
そこには、赤いハンマーを持ったロリっ子に叩きのめされているツーテールの白い服を着た少女。
あー、そっか。主人公の彼女がピンチだからつい……って、ついじゃねぇええ!なんで、何でそんな感情の枷緩くなってるんだ!!?
「あー、だがまあ動いちまったもんはしゃーなしだ」
ユーの感情はユーのもので、感情を抑えているのはユーの意志だ。たとえそれに失敗したとしても、ユーを攻めるのは筋違いだろうし、ユーに近い俺にある程度影響があるだろうがそれこそ天災みたいなものだ。それに尻拭いは俺がすると決めたんだ。
そう考えていると、ユーはおもむろに立ち上がり居間を出て行く。
話を切るには唐突過ぎるタイミングに、ユーを視線で追うとすぐに戻って来た。ただし、チェーンソー型魔装錬器ミストルティンを手にして。
そのことにますます首をかしげていると、ユーは俺にミストルティンを差し出して再び元の位置に座る。反射的にミストルティンを受け取ってしまったが、俺の中の混乱は時間を追うごとに増すばかり。
そこに、再度テーブルを叩く音。
『多分 歩はあの世界に行く』=「お願いおにーちゃん、あの子を助けてあげて」
「マジかよ……つーか、このミストルティンは何だよ」
『護身用』=「それでアニメ6話のごとく、ばっさりいっちゃえ!」
「そうか、ありがとよ」
ストーリー展開とか、これはあくまでアニメの中の話のはずなんだが、と思ったが俺はアレコレ考える事を放棄した。話が進まなくなるから。
そういえば名乗りがまだだったな、相川歩です。俺ゾンビっす、あと魔装少女っす。それと、今から魔法少女の世界に行ってきます。