チラシの裏SS投稿掲示板




感想掲示板 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[25213] 【ネタで習作でオリジナル】ミニスカサンタはメインヒロインの夢を見るか?
Name: 干支瀬虎◆fd2f536b ID:a6f36a9f
Date: 2011/02/23 10:45
 ミニスカートなサンタの精とだべったりするお話です。わりとよく超展開がくり広げられたりします。


 ☆タイトル☆

 タイトルが毎月変わりますが、総称として作者は「ミニスカサンタシリーズ」と呼んでます。

 初期:遅刻してきたサンタさん

 1月:(ミニスカ)サンタが街(というか自宅)にやってくる

 2月:ミニスカサンタはメインヒロインの夢を見るか?(一時的に「第一話 魔法少女は転校生?! ~魔法少女マジカル☆ヴァルト爆誕~」に変更)

 3月:みにすファミリア!

 4月:2010年ミニスの旅

 5月:限りなく透明に近いミニス

 6月:少女ミニスと六人の可愛そうな小説家

(7月の投稿はお休みです。もしかしたらここからオリジナル板へ移動するかもしないかも)

 8月:未定

 9月:未定

 10月:未定

 11月:未定

(オリジナル板に行こうが行くまいが最後はチラ裏で終わらせます)

 12月:未定

 エピローグ:未定

 ☆Q&A☆

Q0 これって読まないといけないの?

A ネタバレが豊富に含まれているので本編を読み終わっていて、かつ、暇を持て余している方以外は読む必要はありません。というかこの作品自体も忙しい方は特に読む必要がありません。
  もし勤労意欲にあふれている社会人の方や、勉強や部活動または恋愛に打ち込んでいる学生の方がいらっしゃれば、さっさとこのブラウザを閉じてください。あなたがここに来てしまったのは気の迷いに違いありません。


Q1 この作品の概要は?

A ミニスカサンタさんを中心に、ロリっ娘トナカイや、ヤンデレなお姉さまなどとの心温まる交流を描いたハートフルラブコメディです。
  というのは全て嘘なので主人公モテモテハーレムを読みたい方は自分で書いてください。そして投稿してください。作者はそれをにやにやしながら読むことにします。


Q2 タイトルが変わる?

A 毎月変わります。上記参照です。変わっても雰囲気で分かると思いますが、そんな空気も読めない可哀想な人は「干支瀬虎」で検索してください。他の短編もろともでてきますよ。
  あと来月のタイトル名を恒常的に募集しているので、思いついたら感想にでも書いてくれると作者が助かります。それに空気読めない人も、流石に自分で考えついたタイトルが表示されてるとこの作品だと気付くんじゃないかと思います。ですから感想板にでも思いついたアイディアを投稿してみるのはどうでしょうか?
  そもそも採用されるかどうかは別の話ですけど。


Q3 更新速度は?

A 基本一月に10話程度(平均三日に一回ぐらい?)です。+で気が向いたときに、感想返信やその他の番外編をやるかも。


Q4 お疲れさま会?

A 気にしないでください作者も気にしません。


Q5 このQ&Aって意味あんの?

A あります。具体的には本編のネタになります。あとこの痛いQ&Aで読むのをやめてくれる人が増えると感想数が減って、番外編(感想返信)の労力が減ります。作者は感想をたくさんくれる読者が大好きなツンデレなんかじゃありませんし、ましてや睡眠時間を削って小説を書くほどのマゾでもありません。割とどうでもいいことなので一度しか言いません。

Q6 何かQ&Aが増えてない?

A 増えます。多分誰も読んでないと思いますが、それでもひっそりと増えていきます。勿論Q&Aを更新するときはsageでいきます。


Q7 五時があったんけど?

A そんなつまらないことを気にするからいつまでたっても童貞なんですよ。現にあなたの質問に誤字があっても私は気にしません。この小説は誤字も含めて作品です。


Q8 この小説を読んで不快になりました。特に○○が不快だ!

A その思いの丈を感想板に書いてください。作者の気分が乗ったら訂正します。そしてその一連の流れを作中でネタにします。それさえも不快だというのならば舞さんの出番です。
  ですが舞さんは忙しい方なので、削除依頼を申し立てるときには言葉遣いに気を使うようにお願いします。現代社会を生きる人間としては、最低限の礼儀と心遣いぐらいは必要だと思うのです。ですがやはり削除依頼をしないのがお互いにとって波風の立たない一番の解決方法だと思います。


Q9 ミニスのキャラがニャル子さんに似てない?

A 似てます。でも別に作者が特別意識したわけでありません。むしろ作者が意識したのは主人公のキャラの方です。具体的には杉井主人公を意識しました。でも読み返してみるとそんなことはありませんでした。

※杉井主人公…「神様のメモ帳」や「さよならピアノソナタ」を代表作とする杉井光先生の作品の主人公のこと。
以下杉井光wiki抜粋

複数作で似たような男性主人公が登場するが、著者本人によってスターシステムであると認められており、杉井ヒロインと並んで杉井作品の大きな特徴のひとつである。
以下の特徴を有するが、すべて当てはまらない場合もある。

* 一人称は「僕」または「ぼく」
* 基本的にヘタレで無能力
* 基本的に異性からの好意に鈍感
* 話の終盤にかっこいいところを見せて帳尻を合わせる
* つっこみが鋭い
* 異様にモテる

 以上抜粋終わり。


Q10 感想を書いてやったのに扱いが酷い

A 甘えないでください。あなたの社会的価値なんてそんなものです。他人に文句を言う前に自分を磨きましょう。というわけで、もっと作中で取り上げてもらえるようなおもしろい感想を書いてみてはいかがでしょうか。


Q11 ネタがいろんな意味で危ないけど大丈夫?

A 大丈夫です。匿名性が高いインターネッツであるが故の蛮行です。ですがその匿名性にも限度というものがあるのでディズニーネタはやめとこうと思います。


Q12 ネタが古くない?

A 絶望先生の単行本を読み返す時のように「あーそういえばこんな事件あったなー懐かしいなー」的な楽しみ方をしてください。それもまた一興だと思います。


Q13 ネタが分からないんだけど

A グーグル先生に教えてもらってください。
  作者は変な音楽(アニソンだけじゃないです)を聴いたり、ウィットなブリリアントジョークに走ったウィンドウズ用アプリケーションソフトの公式サイトを眺めつつコニャックを楽しんだり(言い方がそこはかとなく田中ロミオ風味)、ちょっとマイナーな雑誌の漫画を読んだりするのが趣味なのでわからなくても仕方がありません。


Q14 番外編って?

A 一話につき一日ルールの影響を受けないお話です。感想返信が中心になります。


Q15 なんか更新速度が落ちてない?

A 作者は文章を書く機械ではありません。都合というものがあります。具体的には他の小説を書いたり、同人ゲームのシナリオを書いたりしなければいけないのですごめんなさいやっぱり文章を書く機械でした。


Q16 文章が読みづらい。下手。

A だからこその習作です。作者に「習作ならどれだけ適当でもいいだろう」という勘違いをさせてください。


Q17 オリジナル板へはいかないの?

A 行きません。
  読者の方々に促されているわけでもありませんし、作者自体も特に行きたいわけでもありませんから。
  そしてなにより、2話の【ネタ・習作】ネタが使えなくなってしまうのが大きな理由です。馬鹿みたいな理由ですが何よりもネタ重視なこの作品にとっては大事なことです馬鹿みたいな理由ですが。ですからこのままチラ裏の有象無象(失礼)の二次創作の波に紛れ込むように、ひっそりと生きていきたいと思っています。そのためにも削除依頼はどうか思い留まってください。


Q18 作者ってオリジナル板でも作品投稿してたよね?

A してました。ですが今現在は全く更新しておりません。理由としては元旦に冗談で始めたこの作品がもうやめようにもやめられなくなってしまった、ということがあげられます。ですからそっちの方は当分期待できません。
  決して感想板で色々指摘されて凹んだから、更新をやめたわけではありませんのでそこは間違いないように。


Q19 そもそもこの質問って誰がしてるの?

A 全て作者の自問自答です。人は自問自答を繰り返していくことで成長していくのです。現に僕も真人間へと逆ベクトルに突き進んでいる最中です。


Q20 ミニスが最近可愛く思えてきた。これって変?

A 変ではありません。むしろ恋です。ただ単にミニス派よりもコメット派の声の方が大きいだけなのです。ミニスの人気はあなたのようなサイレントマジョリティーによって支えられています。今後も草陰から、変質者のように生ぬるくべっとりとした視線でもって彼女を見守っていてください。


Q21 ご都合主義パワーって何?

A 後付けや矛盾を解消するために世界のルールを書き換えたり、唐突な展開を誘発させたりするために不可欠なパワーのことです。主に作者やゆでたまご先生が使います。


Q22 魔法って何?

A 少年少女の夢と希望が詰まった素敵テクノロジーの総称です。残念ながら俗世間にまみれて汚れてしまった作者やミニスは使うことができません。勿論このQ&Aをここまで読んでいる30代童貞ニートのあなたも使えません。もし「自分は魔法を使える存在なんだ。もうすぐ魔法少女になれるんだ」とそんなうす汚れた希望を持っている肉塊が存在したのなら、地球上では処理しようがないのでスペースデブリにでもなって一生宇宙空間をさまよい続けることをお勧めします。


Q23 なんか設定とかストーリーが破綻してない?

A 毎週最終回のカブトボーグよりは破綻していません。大体そんな細かいことを気にしていたら人生を楽しく生きていくことなんて絶対にできません。しかし逆に考えると、このお話の破綻した設定やストーリーを気にせず楽しめることができれば楽しい人生はあなたのものなのです。頑張ってください。

Q24 同期の作家達が変人すぎる。怖い。

A 基本的に自由業収益によって税金を納めている方々は、社会の荒波に飲まれることから逃げ出した愚か者なので仕方がありません(偏見)。慈愛の心を持って接してあげましょう。もしかしたら精神的苦痛を味わうだけで済むかもしれません。


Q25 番外編その3の淑女って誰? つうか怖えーよ。

A 誰でもいいじゃないですか。ただこの作品を読んでいる皆の期待を裏切ってシリアスグロ展開にしたかっただけですよ。最近流行の魔法少女みたいな感じで。例え読者の誰もが望んでいなかったとしてもやりたかったんです。最近PV数が一万越えたので、作者がビビって読者をふるいにかけただけじゃないですかそこまで非難しないでください作者の精神は生まれたての子鹿のように弱々しいんですからぷるぷるですよぷるぷる。
  まあ結論からいわせてもらうとシリアス展開にはなりません。せいぜいシリアス(笑)ぐらいです。


Q26 つうかQ&A一気に増えすぎじゃね?

A 番外編その3の更新でギャグが一切なかったので(あれがギャグだと言われればそれまでですが)、作者がギャグを期待する読者に配慮した結果です。
  本編に関しては作者がローマ字にすると回文になるあの先生とか、にんげんにんげん先生とか、きのこ先生みたいな文章を書きたかったんですよ。ただひたすら血血血血血血血血とか書いてるだけで原稿料がもらえるようなそんなぼろい商売、もとい文章を。というわけで原稿料をください。生活費をください。どうですか、全国のどこかにいるであろう20代後半までのタイトスカートが似合うお姉様系美人社長さん、作者を養ってみませんか?
 そうでない貧乏人は「駄文ぐらぐら」でググると出てくる作者のブログを通して、アマゾンでお買い物でもして作者の懐を暖かくしてください。と書くと色々な規定に反してしまうことになるので、作者は自重します。皆さんも絶対にやめてください。この作品の存続にかかわります。


Q27 たっくん?
A 主人公のあだ名です。主人公の名前は作者の脳内設定資料の中には明記されているのですが、何となく紹介するタイミングを逃してしまったので、フルネームはこのまま未公開でいきます。


Q28 タイトルが魔法少女なんたらに変わってんじゃねえか。どういうことだよ

A 新しい趣向です。どうですか皆さん釣られましたか?  「第一話 魔法少女は転校生?! ~魔法少女マジカル☆ヴァルト爆誕~」というタイトル自体はちゃんと、2月編のプロローグのQ&Aで登場しましたよね?
  それに作者名の「自動料金収受システム」も、
 自動料金収受システム=ETC=エトセトラ=干支瀬虎
  と、ちゃんと元の作者名と関連性のあるものにしてあるのですよ。やーいやーいだーまされてやんのー。
  ちなみにタイトルは次回の投稿で元に戻りますので、ご心配なく。もちろん魔法少女のお話は続きません。


2月18日追加分。

Q29 ↑どういうことだよ?

A 見てわからないんですか? 2月18日にこれらのQ&Aを追加したってことですよ、その程度の読解能力さえもない方は小学校一年生の教材である「くじらぐも」からやり直してください。あれまだ使われてるんですかね。え? それ以前の追加日? 知りませんよそんなこと。むしろ作者の方がなんで最初から書かなかったんだって後悔してるぐらいなんですから。


Q30 登場人物の名前が痛い。八闇田箱子(笑)

A メンヘラーっぽさを追求してみました。闇(病み)とか箱(棺)とか右手がぶるぶるきそうですよね。あと全体に言えることですけど、登場人物の名前が西尾維新っぽくなったのは、戯言シリーズを読んで中二病を発症した作者にとっては仕方がないことなのです。もう身に染み着いてるんですよ。というかあの頃を思い出させないでください(顔真っ赤)。それはともかく個人的に一番気に入っているのが夕張東すめらぎさんです。


Q31 つうかミニスとコメットと主人公の基本三人で頑張るとか言ってなかった? なんか新しいヒロインでてきてんだけど。

A 言ってましたね。出てきてますね。でも前者の情報ソースは、一月のお疲れさま会でのミニスの発言ですよね?
  ちゃんとこのQ&AのQ4で、お疲れさま会に関しては気にしないでください、と作者は書いているはずです。気にしないでください。どうせ、いきあたりばったりなんですこの作品。


Q32 升クリス?(番外編その5から)

A 漢字で書くと升栗栖(ます くりす)になります。ちなみにこの方は妖精でなく歴としたサンタの「孫」で、花の高校2年生という設定です。他にもいろいろな設定があるのですが、ここで書くと今後本編の会話のネタがなくなってくるような気がするので書きません。


Q33 なにも進展がない、だと……。by或る物書きさん

A 後一話で箱子さん編を終わらせますとか書いてた割にはぜんぜん終わってないですよね。意外性を狙ってみました。このまま箱子さんが交通事故か何かでお亡くなりになって以後全く登場しないというのも、なかなか意外性があって楽しいですよね。作者的にはシリアスを書かなくていいので、それが一番楽です。それでいいですよね? つうかもうその話書き終わってますから。
  という冗談はともかく、ただ今回(17話)はシリアスが書きたくなかった作者の現津逃避なんです。あとブログの拍手ありがとうございます(超私事)。



[25213] 1話 1月1日(土)
Name: 干支瀬虎◆fd2f536b ID:a6f36a9f
Date: 2011/01/05 14:17
 今日は1月1日。2011年の頭を飾る記念すべき一日だ。

 といっても、友達も彼女も家族もいないごく平凡な二十歳の僕には全く関係ない話。ちなみに理由という名のつまらない言い訳をさせてもらえば、友達と彼女がいないのは僕にコミュニケーション能力が皆無であるからで、家族がいないのは単に一人暮らしだから。単に忙しくて実家に帰ってないだけ。

 別に僕に漫画みたいなドラマチックな暗い過去なんて一ミリグラムもない。そのかわりリアリティのあるひとりぼっちの大学生活が現在進行形で繰り広げられているわけだけど。

 でもよくよく考えてみると、新年早々一人で過ごしている大学生というのはごく平凡でもなんでもなくむしろ人生充実偏差値(なんだそれ)がもの凄く低い変な奴だった。

「……まあだからこそこうやって妄想を現実にしているわけだ」

 妄想を現実に。というのは別に僕はギガロでマニアックな能力者ってわけじゃなくて、ただの物書きでしたという話。つまり、自分の妄想を小説にすることで僕は日々何とか生きているわけで。

 ということはこの目の前にある箱はある意味僕の妄想によって形作られているわけか。

「……それにしても何で買っちゃったんだろうな、こんなもの」

 目の前の箱の中には21センチのホールケーキ。いわゆるクリスマスケーキの売れ残りってやつ。
 自分でもどうしてわざわざ購入したのか謎だ。出版社での話し合いに疲れて無意識に脳が糖分を欲していたのか。

 でもまあ買ってしまった物は仕方がない。僕は別に神様なんて特に信じているわけでも信じていないわけでもないけど、食べ物を粗末にすると良心が痛む程度の道徳心ぐらいは持ち合わせているので、流石に捨てるのはやめたい。

 というわけで――

「開けるか」

 21センチのホールケーキなんてどう考えても食べきれるわけもないけど、何日かに分ければどうにかなるだろう。と思い僕がケーキの箱を開けた瞬間――

「――メリークリスマスです」

 女の子が飛び出してきた。金色の髪。碧色の目。服装ミニスカサンタ。

「…………えぇー」

「メ、メリークリスマスっ!」

「なぜ言い直した」

「いやだって……何でそんなに反応が淡泊なんですか?」

「なんか大して売れてないラブコメのラノベみたいな始まり方だし。そうだったら面倒だなぁって」

 そういうの苦手なんだよなぁ。クドいっていうか。極論美少女のエロいとこみせときゃいい、みたいな。
 それに僕が中二病系ライトノベルが好きってのもあるけどさ。特に、漢字にカタカナで振り仮名がついてる禁書や戯言とか大好きだ。

「そんな理由で?! 普通こんな小さな箱から美少女が出てきたら主人公は腰を抜かして、『光をため込んだような黄金の短い髪と大きな宝石をはめ込んだような緑色の瞳から分かるようにその顔立ちは明らかに日本人、いや、人間離れしており、まるで神様が作り上げた精巧な美術品のような――』みたいな描写を始めるのがお約束ですよね!?」

 だよなぁ。でもラノベとかエロゲに関して言えば絵があるんだから、そんなの必要ないんじゃないかと思うんだけどな。まあそういう僕も担当さんはやっぱり入れた方がいいって言うから毎回入れてるけどさ。

「それよりも、少なくとも僕はそんな容姿よりも君がどうやってこんな小さな箱から出てきたのか、ということのほうが気になるんだけど」

「だからそんなに私の描写が素っ気なかったんですか?! 『女の子が飛び出してきた。金色の髪。碧色の目。服装ミニスカサンタ』って適当過ぎるでしょう!! 最後とか助詞さえ省略してるじゃないですか!! それ以前にラブコメに常識は通用しませんから!」

「え? これって本当にラブコメなの?」

「…………ええ勿論」

「おい顔を逸らすな」

「…………」

「おい」

 とりあえずこのミニスカサンタ(暫定呼称)の説明によると、このミニスカサンタはサンタの精という存在らしい。何でもサンタの精というのは、彼の有名なサンタクロースによって生み出された存在で、その意義は世界の子供たちにプレゼントを配るためにあるとか。

「いやでも今日は一月一日なんだけど」

 とっくの昔に過ぎてますよ? クリスマス。

「は? またまたご冗談を……」

 とりあえずミニスカサンタに携帯電話を見せてみる。ディスプレイには1月1日(土)の文字が表示されていることだろう。

「……ガッデム!!」

 両腕を頭に当てて叫ぶミニスカサンタ。可愛い女の子は何をしても可愛いと言うが、それは嘘だった。バカみたいだ。
 というかここ壁が薄いんだから大声出すのはやめて欲しい。
 そうして一通り汚い意味のイングリッシュを叫びまくったミニスカサンタはこちらを向いてしおらしい声で、

「……それでですね。今年のクリスマスまで居候させてください。さもないとサンタの呪いをかけますよ」

 と恐喝してきた。言ってることはともかく、外見は若干涙目で可愛らしい。

「てか……サンタの呪い?」

 そういえば黒いサンタクロースってあったよな。よく覚えてないけど、子供を連れ去るとか殺すとかそんな感じの内容だった気がする。

「いえそれはあくまでフォークロアで、これとは関係ありません」

「え? 無いんだ。つうかフォークロアって単語を使ったからってドヤ顔はやめろよ。むしろアホっぽいからね」

 よくいるよね最近知った単語を使いたがる奴。

「……あなたこそよくフォークロアの意味が」

「いやこれでも一応現役大学生の小説家なんだけど」

「ふんどうせ底辺大学のラノベ作家なんでしょう」

「うるさいなー。というかさっさとその呪いとやらを説明してよ」

「はいはい……サンタの呪いというのはただ、今後死ぬまで女性の顔が全てセント・ニコラスに見えるようになるだけです。もちろん二次元も含めて」

「それは嫌すぎる!!」

 二次元も網羅しているのかよ! どんだけひどいんだその呪い!

「プリキュアになるセント・ニコラス。魔法先生と31人のセント・ニコラス。魔砲少女のセント・ニコラス。ホッチキスで主人公を脅迫するセント・ニコラス。ウンディーネのセント・ニコラス。地球を砕こうとする魔王セント・ニコラス。猫又で足洗低の管理人であるセント・ニコラス。白のミルハであるセント・ニコラス……ふむ、エイフェックスツインのジャケットにそんな感じのがありましたよね。コラ画像みたいなやつ」

「分かりました今日からよろしくお願いしますつうか最後らへんとかとかマニアックな話題過ぎてほとんどの人がわかんねぇよ!!」

 こうして僕の家に一人の居候ができた。とりあえず今年のクリスマスまで騒がしい毎日が続きそうだ。正直さっさとどっかに行って欲しい。



あとがき
ストレス解消で何も考えずに書いた。何も考えずに文章を書くのはとても楽しいですねまる



[25213] 2話 1月2日(日)
Name: 干支瀬虎◆fd2f536b ID:a6f36a9f
Date: 2011/01/02 21:24
「そもそもどうしておまえはケーキの箱なんかに入ってたんだよ」

 僕の家にサンタの精がやってきた次の日。こたつに潜ってミカンを食べながら大学マラソンを見ているミニスカサンタにそんな疑問を投げかけてみた。つうかおまえは正月休みのお父さんかよ。

「なんでって……そりゃあサンタの精の不思議パワーで云々。まあこれはラブコメですから細かいことを考えたらだめですよ」

 ミニスカサンタはミカンの白い繊維を丁寧に剥きながら答える。外見は完全に異邦人なだけにその姿は違和感しかない。二日目にして馴染みすぎだろ少しは遠慮しろ。

「……お前ラブコメって言えば何しても許されると思ってないか?」

「え? そんなことないですよー、ここはXXX板じゃないので流石に本番は駄目ですし。あ、でも手コキぐらいならしてあげてもいいですよ」

「そういう意味じゃねえよ! つうか手コキとか生々しいわ!」

 というかこの業界においてはそういう描写もあるラブコメも無いわけじゃないので、一概に本番が駄目とはいえないのである。だがそういう描写が顕著になってきた今だからこそ、規制問題がこうして浮上してきたわけで。まあつまり出版業界はそういったもの今後はもっと真摯に向かい合っていく必要があると思う。
 ……って何の話だ。

「そこまで言うのなら説明してあげましょう。シュレディンガーの猫は知ってますか?」

「知ってるけど。僕あれ嫌いなんだよな、猫好きだし」

 思考実験だからといっても残酷すぎるだろ。あんなに可愛い生き物なのに。

「そうなんですか? でも日本人は好きな人多いですよね、小説やらマンガやらでの頻出度が異常に高いですし。あ、ちょっと待ってください」

 どこからか眼鏡を取り出して装着するミニスカサンタ。その誰も得しない上に文章で表現しにくい演出は何なんだ。

「はい、それでは説明コーナーです。買ってきたケーキの箱の中にケーキが入っている、というのは箱を開ける直前までのあなたの認識、もしくは常識でしかなく目の前の未開封の箱の中に本当にケーキが入っているというか、という確かな証拠にはならないのです」

「……んーそれってシュレディンガーの猫だっけ? 僕自身も昔本で読んだだけだからいまいちよく覚えてないけどさ」

「さあ? 作者もあんまり知らないので私も分かりません」

「適当にしゃべるんじゃねぇこの野郎! つい真面目に思考に浸っちゃったよ!」

「まあつまり、この作品に挿し絵が無い以上、たとえ『どこからか眼鏡を取り出して装着するミニスカサンタ』と描写されてても、皆さんには本当に私が眼鏡をかけているかどうか分からない。というわけです」

「誰に話しかけてんだお前は」

 どこからか電波でも受信してるのだろうか。それくらいならサンタの精を自称するだけにできそうだな。

「ともかくこれで納得できましたか?」

「納得でき……ん? 待てよ、それってどうしてミニスカサンタがケーキの箱の中に入っていたのかって説明にはなってないよね」

 煙に巻いているだけというか、誤魔化してるだけじゃない?

「…………そんなことないです」

「おい顔を逸らすな」

「…………」

「おい」

 最後は力技だった。というかまたかよこの展開。
 
「そ、そんなことよりもっ。私の名前ってミニスカサンタで確定してる感がありませんか?」

「無理矢理な話題転換だよな。……別にいいじゃんミニスカサンタでも。それとも本当はちゃんとした名前があるとか?」

「無いですけど……」

「じゃあこのままでいいんじゃない?」

「駄目ですよ! ミニスカサンタも固有名詞じゃないですか! それにミニスカサンタってタイピングするのは面倒なんですよ!」

 七文字ですよ七文字と主張するミニスカサンタ。
 タイピングするのが面倒って滅茶苦茶作者の都合じゃないか。作者に配慮するってどんなキャラクターだよお前。

「いいじゃないですか作者に配慮したり、主人公のモノローグ読んだりするキャラクターがいても。どうせこれは【ネタ・習作】なんですから」

「そういう話題はもういいからさ……それでミニスカサンタに変わる別の名称を考えろ、と?」

「はい。勿論考えるだけでなく、私に報告もしてくださいね。『はい今頭の中で考えたーこれでこの話題おしまい』ってのは無しですよ」

「小学生でもしねぇよそんな揚げ足のとり方」

 本当に面倒だなこいつ。
 つうか今のところ登場人物は僕とミニスカサンタだけなんだから固有名詞なんていらないだろ。現に僕も今のところ名前無いし。

「メタなモノローグってないで考えてくださいよ」

「お前だけに言われたくないわ……んーじゃあ……ニコラスで」

 そのまま彼女の親であるサンタクロース、つまりはセント・ニコラスから拝借することにする。

「どう考えても白髭達磨のおっさんのイメージしかありません」

「一応お前の生みの親だろうが!」

 セント・ニコラスは聖人でもあるんだぞ、それに対してそれに対して髭達磨のおっさんっていくらなんでもひどすぎるだろう。罰当たりもいいところだ。

「いいじゃないですかどうせ私は出来の悪い子ですし。それに今、反抗期なんですよー」

「それをお前が言っても、ただ悪口を避難されることに対しての保険に感じるんだけど」

 自分は反抗期だから親に何言ってもいいんだ悪いか、みたいな。そういう奴って、免罪符を振りかざしていることに自覚がある分余計面倒なんだよな。

「はいはいその通りですねー。じゃあさっさと次の案を出してください」

「お前、僕が揚げ足をとることを危惧したりとかどうでもいい話の風呂敷は広げるのに、自分の耳が痛い話題はスルーするのな……」

「いいからさっさと次の案っ」

 どうやらそれも耳が痛い話題だったようで。

「じゃあジュド。別にザンタクロスでもいいけど」

「元ネタは鉄人兵団ですか? どちらにしろゴツいので却下ですけど。もっと可愛いのにしてください」

 何で知ってんだよお前。昨日も色々漫画や同人ゲーム、果てには電子音楽の知識もあったし、もしかしてサンタの精ってサブカルチャーに詳しいのか?

「……ならサン子」

「テキトーすぎます。ついでに変換するのが面倒」

「単語登録しとけばいいだけだろうが! どんだけお前は作者を甘やかす気だよ!」

「いやいや作者は神様ですよ? むしろ私たちにとって干支瀬虎(さくしゃ)は神以上の存在ですよ? 哲学的に言うなれば一者(to hen)ですよ?」

 だから哲学用語使ったからってドヤ顔するのはやめろよ。昨日と芸風がほとんど同じじゃねぇか。

「……んーでもなー……名前なぁ」

 僕としては人の名前なんて大した意味が無いと思う。名前なんてのは要は多数の人を区別するためにラベルを貼っているってだけだし。
 つまり僕が言いたいことは、名前に何らかの意味付けを行うことも可能なんだけどそこに僕自身は大した価値を感じない。ってこと。
 だから僕は彼女の暫定呼称を省略する。

「ミニス」

「え?」

「『ミニス』カサンタだから、ミニスってのは?」

 うん、これは我ながら悪くないと思う。

「おおっ、いいですねそれ! 結構可愛いじゃないですか――ってそれだとサンタの要素がっ! まるで私がただのミニスカの美少女みたいじゃないですかね?!」

「美少女だとは言ってない。というか事実そうだろ、僕から見ればおまえはただのコスプレしてる外国人だぞ」

「くぅ……このままではサンタの精としてのプライドがっ!」

「本当に自分の仕事にプライドがある奴ならちゃんとクリスマスに仕事してるよな」

「それもそうですね。……あ、ミカンもう一個もらいます」

「……そこで納得するなよ」

 まあ指を黄色にしながらこんな会話をしている時点で、お前が駄目駄目なやつってことは分かってるけどさ。せめてもっと反省しろよ。

「だってこの不景気なご時世、プライドなんて犬の餌にもなりませんからね。それにミスすれば反省する間も無くそのままクビにつながりますし」

 急に厭世観にまみれ始めたミニスは、ままなりませんねぇと茶を啜る。

「じゃあサンタの精としての仕事を失敗したお前はクビなんじゃないの?」

「…………。というわけで理想郷の皆さん、こんにちはミニスです。もしよかったら感想掲示板に『ミニスかわいいよミニス』とでも書き込んでください。よろしくお願いします」

 僕の話をスルーして、虚空に向かい頭を下げるミニス。誰に対して頭を下げているのかよく分からないけど、やっぱりどっかから電波でも受信しているんじゃないだろうか。



[25213] 3話 1月4日(火)
Name: 干支瀬虎◆fd2f536b ID:a6f36a9f
Date: 2011/01/04 10:49
 気楽な気持ちで自分の妄想を適当に文章にするんだろ、楽しそうでいいよなー。なんて思われている節があるけど、僕の一ラノベ作家としての意見を言わせてもらうならばそんなことは決してない。むしろシリーズ化する事が多く、テンポ良く巻数を重ねることが求められるこの業界は他の小説と比べても遜色がないほどに心身を消耗する仕事だと思う。

 そんなラノベ作家と一般の小説作家の相違点は置いといて、文字を書いて生きている全ての者に小便ちびってガタガタと震え出す程の恐怖を与える「アレ」が僕にも迫ってきていた。

 つまり締め切り。

 そんなわけで年末から全く執筆活動をしていなかった僕は今、必死こいてテキストエディタに向かっている。

「そう言えば初詣行きました?」

「……勿論」

「じゃあ独楽回しはしましたか?」

「当然だろ」

「凧上げは? 福笑いは?」

「飽きるほどに」

「じゃあ……姫初めは?」

「それは勿論――今からさっ」

「きゃっ……で、でもまだ昼ですよ?」

「はっはっはっ君と二人で愛を語り合うのに夜からじゃ足りな――「今集中してるんだから邪魔すんな糞サンタ!」

 ちなみに僕がつっこむまで全部ミニスの独り言。鬱陶しいことこの上ない。

「だって絡んでくれないんですもん。ミニスは暇で暇でーっ!」

 煎餅を持って四肢をばたつかせるミニス。こたつの中で暴れるなよ、足が当たって痛い。

「だったら一人でゲームでもやってろ僕は今忙しいんだよ!」

 テレビの前に陳列された据え置きゲームを指さす。
 締め切りは明後日、だというのにノートPCに表示されたテキストファイルは最終章の途中までしか埋まっていない。エピローグなんて言うまでもなく一文字も書いてない。

「計画通り終わらせないのが悪いんじゃないですか……おっ最新機種全部揃ってますねぇ」

 耳が痛い。
 ミニスが僕の家に来てから、完全に忘却の彼方にあったデッドラインの存在を思い出したのは担当からの電話がかかってきた昨日の夜の話。それから僕は徹夜で脳をフル稼働されていた。

「……ってソフトはノベルゲーしかないじゃないですかぁ。ミッシングブルーにシュタゲにフェイト、街にかまいたち……もっと血湧き肉踊るようなアクションとかRPGとかないんですか?」

「……それなら押入に星をみるひとが入ってるぞ」

「マジですかっ! あの伝説のクソゲーをこんなところでお目にかかれるとは!」

 予想通り目を輝かせて食いついてきたな。昔中古屋でたまたま見つけてネタで買ってみたやつだが、まさかこんなところで役に立つとは想像だにしなかった。
 喜々として押入へ向かうミニスを傍目に僕は、せめて一時間ぐらいは時間を稼げればいいなぁと思う。

「……あのーちょっといいですか?」

「何だよ?」

 背中にかけられた声に答えてはいるが、意識はあくまでパソコンに。集中集中。

「私ってこれでも女性の中では、割とそういうのに寛容なほうだと思うんです。現に私もたまにプレイしますし」

「……ん?」

「それに私が女性であるのに配慮してエロゲーを押入に隠す気持ちもわかるんですけど……流石に女体狂乱とか淫妖蟲とかは……」

「そんなハードコアなエロゲは持ってねえよでっちあげんじゃねぇ読者が信じるだろうが!」

 いやでもエロゲー自体はやりますよ? 泣きゲー限定ですけど。


 ☆それから!☆


「……なんか今イラつく系四文字がモノローグに挟まった気がします。私的に鬼頭先生以外の四文字ひらがな作品に漂う、商業主義のにおいが気に入らないんですよねぇ」

「…………」

「え? 無視ですか?」

「やっと終わったんだから休ませてください……」

 死ぬ気で原稿を書き上げてそれをメールで送信した後、携帯電話の電源を切り、家の電話回線を引き抜いて、そして最後にノートPCからLANケーブルを引き抜いてやっとのこと全ての作業が終了したのが、10分ほど前の話。まさか一日で完成するとは思わずに、自分でも驚いてしまった。

 ちなみにメールで送った後の行程は、担当のダメだし対策のためだ。担当に対する『書き直しを要求されても僕はやりませんよーやりたくないですよー』という無言の抵抗である。

「みたいな感じのことが杉井光先生の『ばけらの!』に書いてありました。本当のところは作者も知りません、まあ流石にそんな作家は現実にいないとは思いますけど。というわけで皆さん買ってください『ばけらの!』。ついでに『神様のメモ帳』と『さよならピアノソナタ』も」

「……なんの宣伝だよ。大体おまえさっき4文字が気に入らないとか言ってただろ」

 本当に杉井先生ごめんなさい。こんな駄文に名前を出してはいけないぐらい素晴らしい作品なのに。

「いいじゃないですか。作者がファンなんですよついでに結婚してくださいついでにユーリと四代目も夫にください」

「絶対最後の二人が目的だろ。……つうか今回はヤバすぎる気がする」

 感想掲示板で顰蹙を買いまくっているのがありありと目に浮かぶ。そんなにこの掲示板の方々は寛容じゃないぞ。いい意味で、だけどさ。

「大丈夫ですよ。ヤバいときは修正すりゃあいいんですから」

「…………」

 にたぁと粘着質の笑みを浮かべるミニスを見て、麻薬やシンナーを始めるときの気持ちってこんな感じなんだろうなと思った。
 軽い気持ちで始めて痛い目を見る、みたいな。

「で。冗談は置いといて、そろそろやろうと思うんですよアレ」

「アレ?」

「感想の返信ですよ。私たちでやっちゃいましょう」

「流石作者に優しい自称美少女……」

 どこまでも作者を甘やかす気だった。単にネタがないだけとも言えるけど。

「えっとではとりあえず今回は感想4まででいきますねー。はい、るんださんからの感想です。舞城王太郎の小説にそんな感じの登場人物がでてきますよね」

「それはルンバ。誰得だよそのネタ」

「……では読み上げます。

『貴女が私のマスターかと尋ねるセント・ニコラス

灼眼のセント・ニコラス

涼宮ニコラスの憂鬱

ニコラスの使い魔』

 ――って感想でさえないじゃないですか!?」

「でも一番上はありじゃない? サーヴァントの能力って知名度補正がかかるらしいからかなり強いと思うし」

「約束された幸福の進物(メリークリスマス)!!」

「超かっけぇ!!」

「ですね! いつか使いましょうその技、じゃあ次です。勇者ゾンビさんから

『二次元はっ・・・二次元だけはやめてくれ・・・。』

 これはまあ男の娘に走ればいいと思います。そんなあなたにおすすめするエロゲーは『ツイ☆てる』です。内容はタイトルから察してください」

「お前なんでそんなにエロゲーに詳しいんだよ……」

「子供のためのサンタですから。いつまでたっても大人になれないチェリボーイにもちゃんとプレゼントを配らないと、真のサンタの精とは言えません」

「そういう子供も対象にしてんの?!」

「サンタは子供でさえあればどんな子供も分け隔てなくカバーしますからね。ではババさんからです。

『副題から見て…凄い長編になりそうだぜ…(ごくり(クリスマスまでの毎日を一日ずつ描写s(ry

ミニスかわいいよミニス……というとおもったかっ』

 ――死ねよ。ちゃんとミニスかわいいよミニスって言え糞野郎!!」

「はいババさん本当にすみませんでした! ちなみにこの話の副題を見てわかる通り、この小説は現実と同じ時間軸ですからね!」

 わざわざ感想を書いてもらったのに重ね重ねすみませんでした!

「……次。蓬莱NEET。

『ミニスかわいいよミニス、ミニスは主人公の嫁。

これで満足か!?』

 はい流石ですね! ジャイアントなんかとは違って蓬莱NEETさんはできる子です! 幻想郷からありがとうございます!」

「すげぇいい笑顔……」

「あ、でも一点だけ。この人は別に私の夫じゃないですよ、私たち手コキの関係ですから」

「そんなことされた覚えはねぇよ! つうか手コキの関係って何だよ?!」

「えっと後は……あ、作者からお知らせです。

『皆さんこんにちは作者です。この作品はここまで読んで分かる通り、ほとんどをメタパロネタで構成されています。しかも全て伏せ字なしという暴挙。
 またもしかしたら、読んでいて色々と不快感をもたらす表現があるかもしれませんのでそういった点があればすぐに感想板で指摘してください、すぐに修正しますので』

 ……だそうです。無茶苦茶予防線張ってますね。流石、オリジナル板でアンタッチャブルな単語を人名に使ってしまい、読者から感想版で指摘されただけのことはあります」

「流石にぶっちゃけすぎていると思うぞそれは!」

 というかそういうのは最初に書いておくべきじゃないか?

「まあそういうノリ一辺倒の駄文ですから。というわけで今回はここでおしまい、続きが読みたいなら『ミニスかわいいよミニス』と書き込んでください」



[25213] 4話 1月5日(水)
Name: 干支瀬虎◆fd2f536b ID:a6f36a9f
Date: 2011/01/05 14:10
 午後十時。僕は休み明けにある試験に向けて授業のノートを見返していた。ミニスはゲームをしている。
 が。

「ゲームに飽きました。つうかミッシングブルーのコンプリートなんて無理ですー」

 と言ってテレビの前を占領していた不思議生物はそのまま両手を広げて後ろに倒れる。
 別にゲームするのはいいんだけどコントローラーを投げ捨てるのはやめて欲しい。

「……あーやることがなくて暇ー」

「そっか、じゃあばいばい」

 と玄関を指さしてみた。

「ええじゃあ短い間でしたがお世話になりました――ってな感じで、つまらない冗談にもノリつっこみをするぐらい暇です」

「そっか……つまらない冗談かぁ……」

 残念、割と本気だったんだけどな。さっさと出ていってくれないかなぁ。

「……そこでへこまれると私としては非常に反応に困るんですけど」

「なら僕の精神衛生のために出ていってくれ」

「そんなに私のわがままボディが気になって仕方ないんですか? まあ私みたいな美少女と同棲してたら、一匹の雄としての熱く煮えたぎるリピドーが爆発しそうになるのは仕方がないと思います

けど」

「違ぇよ! おまえが寝てるときとゲームしてるとき以外は絶えず喋り続けてるから、僕の精神がすり減ってるんだよ!」

 まさか僕が風呂に入ってるときもドア越しに話しかけてくるとは思わなかった。つうかむしろそれだけでなくスクール水着で乱入してきた。

「一応ラブコメですからね、サービスシーンです」

「それなら実際に描写されてるところでしろよ! モノローグにただスクール水着になった事実だけ書かれても意味ねぇだろうが!!」

 奇を衒(てら)い過ぎだ。99パーセント脳内保管なんて誰も得しねぇよそんなもん。

「まあまあそれは今度ってことで……それでですね。今気づいたんですけど」

「何だよ?」

「この作品ってワンパターン過ぎるんですよね。ただ主人公と美少女がどこにも行かずに自宅でダベるだけってのは芸が無さ過ぎです。ついでにあなたのつっこみもワンパターンですし」

「それは言うな。てか別にいいだろ、むしろシンプルだからこそ作者の技量が出ていいんじゃないのか?」

 料理と同じだ。料理が上手い人じゃないと本当においしい卵焼きを作れない。大事なのは創る側の技量だ。

「まあそうなんですけどね。だからこそ技量のない作者みたいな人は大体イロモノに走るんです」

 あれ?
 なんか今回は作者に優しい自称美少女も若干毒舌だな。
 どうしたんだ?

「いや何というか……このチラ裏って記事検索すれば一応PV数や感想数とかも見れるんですよ。それで調べたんですこの作品のPV。すると何とPV約1800(1月5日12時12分付け)」

「おお!! ……って比較対象がないからよくわからないけど」

「はい。ですからついでにたまたま目に付いた、はびこさんの俺妹二次創作作品のPVも見たんですよ…………や、約10700(1月ry)でした」

「滅茶苦茶多っ!」

 ボロ負けもいいところだよ! 確実にこんな頭の悪い会話しかしてない僕らにも原因があるんだけどさ!

「……いやでもほら、二次創作だし何というか、原作が好きな人が見るんじゃない?」

「……いえ……そっその……実はもの凄く面白くて……文章力もあって……俺妹読んだこと無い作者でも……お、面白いと……思って……」

 瞼を赤く染めた涙目のミニスを見て、僕も泣きたくなってきた。

「…………」

「……ぐす」

 一気にお通夜ムード。部屋を支配するのはミニスが鼻をすする音だけ。
 
「……ぐす……で、でしゅからねぇ……」

「……落ち着いてからでいいから。先に鼻をかめ」

「ふぁい……ぐすっ」

 マジ泣きしてるミニスに追い打ちをかけるほど僕はひどい人間じゃないので、とりあえずティッシュを箱ごと押しつけるように渡す。
 結局ミニスが泣きやんだのはその10分ほど後の話。

「……お恥ずかしいところを」

 瞼だけでなく頬も染めるミニスを見て、僕はこいつにも羞恥心というものが存在していることに今更ながら気づいた。驚愕した。ということはおくびにもださない。
 これ以上話を逸らすのもあれだし。

「いや……大丈夫」

「そ、それでこの作品がワンパターンだ、ってとこまで話は戻りますけど」

「うん」

「だから――増やそうと思います。登場人物」

「……ん? どういうこと?」

 登場人物を増やす?

「登場人物が増えれば自ずとワンパターン化は防げるという寸法です」

 人差し指をぴんと立てるミニス。
 それしても、小説のワンパターン化を無くすために登場人物を増やそうとする登場人物って。今更だけどメタメタすぎる。

「えっと……でも僕の知り合いって言えば出版社関係だけだし……」

「友達とかいなんいんですか?」

「…………」

「……すみませんでした」

 いやそんなマジで謝られると、むしろこっちの方が居たたまれなくなってくるんですけど。

「そうでした。大学行っても遊ぶ友達がいないから、仕方なく毎日引きこもって小説を書いてるんでしたよね」

「おまえ僕に喧嘩売ってんのかよ! 単に僕は小説を書くのが好きなだけだ!」

 今度は僕の方が泣きたくなってきた。いや本当はミニスが言ってることもあながち間違いじゃないんだけどさ。

「……僕の方は置いといておまえの方はどうなんだよ、友達とかいるのか?」

「私もいませんよー、私皆さんとはあまり話が合わないんで」

「そうなのか? 意外だな」

 こいつのフランクな性格なら誰とでも仲良くなれそうな気がするんだけどな。逆にそれがウザいところでもあるけど、よく口が動くところとか女受けは良さそうだし。

「いえ……前はそれなりに他のサンタの精や白髭親父とも仲良くしてたんですが『keyの中でどれが最高傑作か?』という議題で決定的な亀裂が生まれてしまい、それ以降は……」

 やっぱりカノンが最高だと思うんですけどねぇ。皆さんは違うみたいで……、と呟くミニス。頭が痛くなってきた。

「……僕はサンタの精だけでなく、サンタクロースという存在の認識を改めなければいけない気がする」

「ですよね! やっぱりカノンが最高ですよね!」

 つっこむのが面倒になってきたのでスルーさせてもらう。

「……それでどうやって登場人物を増やす気だよ」

「え? ……ああそういう話でしたね。召還すればいいんですよ召喚。忌避すべき禁断の暗黒魔法ですよー」

 召喚。あれか、最近ではドラゴンよりも美少女が喚び出されることが多くなったあれか。

「そんなファンタジーなスキルがこの世界にあるはずが……あったわ」

 そう言えば目の前のミニスカはファンタジーの塊だった。

「しかもそこで版権キャラを出せばPVも跳ね上がるってわけです。もし萌え萌えなフェイトそんとか出せばPV二倍は堅いですね」

「おまえ召喚対象を客寄せパンダとしか見てねぇだろ」

「……それでは早速ご都合主義パワーによって、新しい居候を召喚しましょう」

「スルーするなよ。つうかそれは却下だ、ちゃんと召喚した後は召還しろ」

 これ以上面倒な奴が増えるのはごめんだ。ただでさえ食費が増えてんのに。

「はいはいわかりましたよ……では早速――

 ★お蔭様で業界ナンバー1獲得★

 入手困難な非流通D☆Dやプレミア無☆正
 D☆Dなど、世界で唯一のグラビア素人専門の
 正規販売店だからこそ出来る、老舗オリジナル
 無☆正D☆Dショップです。

 ユーザー様を第一に考案された、世界唯一の
 メーカー直販サイトです。

 最高品質の商品や最強の品数、
 販売実績No.1のサイ――」

「ちょっと待てぇ! なんだそのどこかで見たことがある文章は! お前はどこの回し者だ!」

 確かにそう言う意味では忌避すべき禁断の暗黒魔法だった。

「え? そんなの気のせいでしょう。ちゃんとした詠唱ですよこれ。エスペラント語です」

「嘘をつくな!」

 エスペラント語を話せない僕でもそれが絶対に違うことは分かるわ!

「むー嘘じゃないですよー」

 とりあえずそんなこんなでミニスの詠唱が終わる。すると急に水色の光が部屋を包み始めた。

「……うわぁ本当に発動してるし」

 なんかあんだけ突っ込んどいてなんだが、ちょっとわくわくしてきたぞ。

「ですがここでお知らせです。文章量の関係により、この後召喚キャラの顔見せは次話に持ち越させてもらいます」

「ちょっと待て! せめて召喚された奴の顔ぐらい見せろよ! なんだその寸止めは!」

「そんなこと言われても誰が召喚されるか何て作者が考えてないので無理ですねー。じゃあお約束、ということで一緒に気絶しましょうか」

「いやいやいや何言って――」

 僕が言葉を紡ぎ終わる前に。
 部屋を満たしていた水色の光が急激に強くなり、それは僕の視界だけでなく意識をも奪い取っていった――



[25213] 5話 1月6日(木)
Name: 干支瀬虎◆fd2f536b ID:a6f36a9f
Date: 2011/01/06 18:16


 
 赤。
 赤い色というのは本来、人間の脳と視神経の仕組みから見て認識できるものではないらしい。
 見えない色。見るべきでない色。
 それが赤。
 そう考えると僕らの身体を流れる血が赤いのも、何となくだけど納得できるような気がする。
 血が赤いのは普段見えないからで、見るべきでないから。
 だからこうして手を真っ赤に染める赤は――

「ミニス、ティッシュ」

 ――と、そんな格好いい前ふりをしといて何だけど、ただの鼻血だった。風呂上がりで血流がよくなっているためか、鼻を押さえた手はすでに真っ赤だ。

「ミニスはティッシュじゃ無いです」

「お前は小学校の先生か」

「……はい……ティッシュ……だいじょうぶ?」

 寝転がってテレビを見ているミニスの代わりにティッシュの箱をくれたのはコメット。
 心配そうに垂れ下がった眉毛がどこか子犬のように見える。本当はトナカイだけど。

「……ん、ありがとう」

 箱から数枚取り鼻に詰めて、上を向く。

「……鼻血は本当は……上向いちゃダメ……」

「え? そうなの?」

「うん……」

 知らなかった。今まで鼻血が出たら当然のように上を向いていたけど、よくよく考えれば口の中にも血が入ってきたりするし、確かにいいとは思えない。

「そっか、ありがとう」

「……ん」

 返事とは言えないような返事をして、コメットははにかんだ。もの凄くクサくてありふれた表現だけど、まるでそれは荒野に咲く可憐な一輪の花みたいだった。

「――って何で突っ込まないんですか?! え? つうか誰ですかこの娘?! 私は知らねぇよこんな奴!!」

 と急にミニスが叫びだした。何言ってんだこいつ。

「……どうしたのお前? 自分で召喚した奴のことも忘れたのか?」

「私が召喚した?! こいつを!? そんなの忘れたというか記憶にありませんよ! というか昨日の召喚直前からの記憶がさっぱりです!」

「はあ? こいつはお前の知り合いだろ、本当に覚えてないのか?」

「知り合い……このロリ系黒髪ロング綾波風味が?」

 綾波風味、というのは包帯で全身を覆われている状態のことらしい。言われてみればそんな感じにも見えなくはない。

「……え……こめっとのこと……おぼえてない……の?」

 じわぁ…とコメットの目が湿り気を帯びてくる。

「えーっと……ってコメット?」

「うん……こめっと」

 自らのことを指さすコメット。

「え? ちょっと待ってください……もしかして、コメットってトナカイの?」

「……うん」

「はぁ!? コメットってトナカイですよ?! ト・ナ・カ・イ!! そんな大きなお兄さんに媚び媚びの萌えキャラじゃないはずです!!」

「……それは最初に僕が突っ込んだぞ。だけどお前は『ご都合主義パワーですよ。三国志に出てくるむくつけき男達が美少女になるこのご時世です、美少女になれないトナカイなんているでしょうか、いえいません!』とか言ってただろ」

 むしろあれは言い切っていたと言っても過言じゃない。

「……全く記憶に無いんですけど。もしかして一話分記憶が無くなってたりしてませんか、私」

「大丈夫かお前? いやウチに来たときから大丈夫じゃなかったけどさ……」

「何気に酷いですね……。まあコメットがロリ化したのはまだいいでしょう、ではなぜここに召喚されてんですか? 今頃トナカイ達はサンタの家での打ち上げの残飯処理とかやってる筈ですよ」

 後で聞いた話だが、サンタクロースとその精はクリスマスが終わると、忘年会を兼ねたパーティーを催すらしい。で、友達のいないミニスは大体その打ち上げには参加しないで、トナカイ達に餌をやっていたとか。

「……うち……おとされた……」

「打ち落とされた? 何にですか?」

「……のーらっど。いたかった……よ?」

「ノーラッド……って北アメリカ航空宇宙宇防衛総司令部(NORAD)?! あれってガチでやってたんですか?!」

 ミニスが言っているあれとは毎年クリスマスにNORADが行っている、衛生レーダーを使ってのサンタクロースの追跡調査のことだろう。
 リアルタイムでその様子がインターネットを通して公開されていて、僕も話を聞くまでただのジョークだと思っていたけどまさか本当に追跡していたとは。

「……うん……ゆだん……した」

「で。怪我をして動けなくなったところをミニスが召喚したって感じらしいよ」

「……そうなんですか。ぜんぜん記憶にありませんでした。えっと……じゃあコメットはこれから――」

「少なくとも傷が癒えるまではここに居させる。……ってお前が言ってきたんだろ」

 全くこいつは。発言に責任ぐらい持てよ。

「……えーっと……んー……まあいいか。分かりました、じゃあコメット改めてよろしくですね」

「……ん。よろしく……」

 何故か再び握手をする二人。今朝もやっただろ。

「――ってちょっと待ってください。じゃあサンタクロースやサンタの精、そして他のトナカイたちは? 打ち落とされたんですよね?」

「お前がご都合主義パワーとやらでクリスマスイブにタイムスリップして助けてきたんだろうが」

「えええええええ!! 嘘でしょうそれ!!」

 嘘じゃねえよ。確かにその時のお前やけに張り切っててキャラが違うとか思ったけど。

「……ほんと……だよ?」

「いやいや私がそんなことする善人に見えますか?!」

「見えない」

「そう断言されるのも……でも本っ当に記憶が無いんです!」

「そうなのか? 話数にして10話ぐらいあった大活躍だったのにな」

「……みにす……かっこよかった」

 まるで長編に入った銀魂みたいだったぞ。まさか本当に『約束された幸福の進物(メリークリスマス)』を使うとは思わなかったけどな。

「それって確実に作者が面倒だから削ってるだけですよ!」

「もったいないなぁ……国家権力との大立ち回りとか凄かったのに」

「国家権力!? 嘘ですよね!? それ絶対嘘でしょう!?」

「いや本当だって。本当に今日一日の出来事だったのか、って疑問に思うぐらいの奇跡みたいな手際の良さだったよ」

 というか未だに夢の中にいるみたいだ。実際今日の出来事を風呂の中で思い出して、ついつい興奮しちゃって鼻血がでたんだから。

「ほんとー……だよね?」

「うん。格好良かったなぁ……アメリカ大統領とカナダの首相に向かって、
『あなた達は本当に世界の子供達を幸せにすることができるんですか?! 大人は子供に夢を与えるものでしょう?! もしあなた方がそんな大人でないのなら――私が今ここで断罪します! そして、あなた達のようなつまらない大人の代わりに、私が! サンタの精が! 世界の子供達に夢と幸せを与えます!!』って啖呵切ってさー。最後には大統領と首相と涙を流しつつハグしたりして、本当に凄かったのに……あ、やべまた興奮して鼻血が……」

「ありえねええええええ!! 何ですかその下らない三文芝居は! そんなの私じゃないですよ!!」

 だからキャラが違うって思ったんだよ。まさかこんなに格好いい奴なんて思わなかった。
 この後もミニスは叫びまくって今日の活躍を否定してきたけど、僕の心の中にミニスの活躍は深く焼き付いていた。多分今後一生それが消え去ることは無いと思う。



[25213] 6話 1月8日(土)
Name: 干支瀬虎◆fd2f536b ID:a6f36a9f
Date: 2011/01/08 16:29
 Dasher(ダッシャー)
Dancer(ダンサー)
Prancer(プランサー)
Vixen(ヴィクセン)
Comet(コメット)
Cupid(キューピッド)
Donder(ドンダー)
Blitzen(ブリッツェン)
 サンタクロースのソリを引く八匹のトナカイたち。
 そしてその中の一匹がとある理由により僕の家にいる。
 吸い込まれそうな程に黒い髪。何故か顔立ちはアジアン。というか日本人。
 会話は苦手なわけではないけど、喋るのが苦手。舌っ足らずと表現しても不十分な程に。ミニスと足して2で割ると丁度良い感じになるかもしれない。
 服装はミニスがどこからか取り出した黒いアンブロのジャージで、そこから僅かに覗かせる包帯が痛々しい。
 彼女の名前はコメット。
 どう見ても人間だがトナカイらしい。
 美少女にしか見えなくてもトナカイらしい。
 元々は雄のトナカイだったような気がするけど、そこは気にせず美少女らしい。三国志時代や戦国時代の英雄が美少女になるこのご時世なら尚更らしい。ミニス曰く。
 ともかく。
 彼女が僕の家の二人目の居候だった。



「……えっと……うん……かんそー?」

「はい、そろそろ感想の返信をしようかなと。最近執筆頑張ってきた作者もネタが無くてそろそろガス欠なので」

「勝手にやってろ。僕は勉強してるからな」

 いくら小説家として収入を得ていたとしても、所詮僕は一介の学生にすぎない。来週から授業が始まるし月末には試験が始まるため、その対策を始めないといけない。

「……おべんきょ……たいへん?」

「試験が近いんだよ。最近原稿とか色々が忙しくて勉強できなかったしな」

「……ん。がんばー」

「参加しないんですか、ノリが悪いですねー。じゃあ私たちだけでやっときます。会話文だけで行きますよー」

「みにす……さびしい……?」

「いえ大丈夫です。多分そのうち我慢できなくなってツッコんでくるに決まってますから」

「……ん」

「それでは今回は一気に5から14までやっちゃいます。つうかこのお話はそれで終了です。感想返信だけで一話丸々使っちゃいますよ」

「くつしたしゅー……?」

「靴下臭さん。どんな人生を歩めばこんな自虐的なハンドルネームを使うようになるんでしょうね。非常に興味があります。

『悪いな、俺はサンタのコスプレしている外人よりニコラスの方が好感をもてるんだ。
それはもう、子供の頃から変わらずにな。
だから間違っても彼がいる限り‘ミニスかわいいよミニス’、なんて言えない。
残念だったな!






ん?』

 はい、もの凄くツッコミにくい感想ありがとうございます。でもあれですからね、あの白髭ジジイはエロゲオタですからね。しかも触手ものと寝取られものが大好きというなかなか倒錯した奴ですから。あとロリコン」

「ろりこんって……?」

「犯罪者のことです。次は蓬莱NEETさんですね、二週目です。

『ミニス可愛いよミニス。

作者さんは「ばけらの!」好きなのか……同志よ!
自分は個人的には「さくらファミリア!」なんかも好きです。作者さんはどうですか?

パロネタ……商業で、ライダーネタ六割にクトゥルーネタ四割なラノベがあるから概ね大丈夫なんじゃないでしょうか?』

 作者は『さくらファミリア!』も勿論好きです。つうか杉井先生は聖書ネタ好きすぎだと思います『すべての愛がゆるされる島』とか『シオンの血族』とか。あと色々なレーベルから出しすぎです、来月はガガガからも新シリーズがでますし。以上作者からの電波受信終了」

「……? すぎい……?」

「ああすみません。分からない方もいますよね、まあこの作品自体がそれこそニャル子さんみたいにパロネタばかりなんですけど。じゃあ二週目のババさんから。

『ばけらの良いよねばけらの、面白かった記憶がある…?(随分と読んでない人)
ミニスかわいいよミニス…続きが読みたいだけなんだからな、ほんとだぞ。』」

「みにす……もてもて?」

「当然でしょう。それにしてもツンデレはいいですねー、つよきすとか大好きです。ただあれをツンデレと呼ぶのかはまた別の話ですけどね、つうか絶対よっぴーはツンデレじゃないですよね」

「つぎ……くら…さん」

「『召喚失敗、部屋が荒れただけ

なんて流石にないよねぇ…』

 ……むしろそれ以上の大冒険だったらしいですよ」

「かっこよかった……」

「知りません、それは私であって私ではないので。いうなればもう一人の私、みたいな。三津屋さんからです。

『ミニス可愛いよミニス

まぁ主人公の方が好きなんだがな!
主人公になら俺・・・後ろの処女、あげてもいいぜ?』

 はいガチホモさんのお通りです。というかあなたは攻めだったんですか? 私的には受けかと思ってたんですけど」

「勝手に同性愛者扱いすんじゃねぇ! 僕はノーマルだ!」

 ミニスが言う通りになるのは癪だけど、ついつい我慢できずツッコんでしまった。

「ですよねぇエロゲーやってますし。まあでもこの家にあるのもクロチャンとかリトバスみたいな泣きゲーばっかです。もっと最終痴漢電車3みたいなスタイリッシュ痴漢ADVとか無いんですか?」

「ねえよ。確かに最終痴漢列車3は中二病的にそそられるものがあるけどさ」

「しょじょ……? がち……? ちか…ん……?」

 話についていけないコメットは頭を傾ける。恐らく頭上には無数のクエスチョンマークが飛び交っているのだろう。

「……コメットの教育に悪いからこの話題やめないか?」

「まあ確かにあまりよろしくありませんね。では次にききたいさんから

『キャラを出すなら担当者を出したらいいんじゃない?



(ミニス可愛いよミニス)ボソ』

 だそうですよ。担当さんってどんな方なんですか? タイトスカートの色気むんむんお姉様ですか?」

「ただのおっさんだよ。たまにご飯奢ってくれるいい人だぞ」

 何を期待しているか知らないけど現実はそんなに甘くないぞ。実際はただの人のいいメタボラーメンマニアだ。

「……面白味のない人生ですね」

 何故人生までも面白味がないと言われなければならないのか。というかお前がいる時点でウザったいぐらいに人生面白いわ。というかただウザいだけか。

「でも……みにす……むんむん」

「あ。そうですね、お色気担当なら私とキャラかぶるのでそれはそれで」

「え? お前ってお色気担当なの?」

 今のところモノローグぐらいしかそんな描写ないぞ。
 そもそもこれにお色気なんて求められてないと思うけど。

「…………ええ勿論」

「おい顔を逸らすな」

「…………」

「おい」

 久しぶりだなこれ。

「……次、アモーさんからです」

『ミニスうざ可愛いよミニス
別に何が召喚されるか楽しみにしてるわけじゃないんだからね!』」

「しょーかん……されたの、こめっとで……よかった?」

「キモオタに受けはいいんじゃないでしょうか? 作者的には使いにくいキャラ出しちゃったなーと思ってますけど」

「え……」

「ぶっちゃけすぎだよお前! コメットが半泣きになってるだろうが!」

「そうでもしないと私の人気が取られちゃうじゃないですか!」

「新人いびり!? 意外と世知辛いなこの世界!?」

 でも確かにメインヒロインよりもサブヒロインの方が人気があるというのはよくある話。長門とか。

「じゃあ次はキャラハンさんです。
『ミニスかわいいよリニス

意表をついて石村とか来るのかなー』

 ――リニスって誰ですか?」

「さあ?」

「じゃあ次行きましょう」

「それで終わり?!」

「はい。では茸飯さんからですね。
『とりあえず巫女服と狐の耳と尻尾を装備してくれたら
ミニス可愛いよミニスといってやらんでもない。

作者さんガンバレ超ガンバレ』

 もし私がそんな装備をすればエクストラ版キャスターとキャラが被るので却下です」

 ニャル子さんとキャラ被ってる奴が何言ってんだ。

「あと頑張れと言われても作者ももうすぐ試験なので、一月の後半は更新速度が低下するのは目に見えています」

「それって後書きに書くもんだよな?! つうか読者の応援を無碍に返すなよ!」

 ごめんなさい茸飯さん。

「後書きなんて一話以降ありませんよ。次、ガトーさん。

『コメット可愛いよコメット
…あれ?トナカイには名前あったのにサンタの精には無い…?

……コメット可愛いよコメット』

 フィンランドではサンタクロースとともにトントという妖精が子供たちのためにハッスルしてくれてる、という言い伝えがあります。これが私たちのことですね。ですがあくまで『トント』というのは種族名で、個体名はついていないんです。何も考えてなかった作者が慌ててググったらそう出てきました。危なかったです、またご都合主義パワーに頼るところでした」

「……後半は聞かなかったことにしよう」

「でもよかったですねコメット。早速ファンが一人出来たみたいで」

「……ぐすっ……がとー……ありがと」

 今まで、部屋の隅で体操座りをして泣いていたコメットがようやく復活。腕でごしごしと瞼を擦りながら笑みを浮かべた。
 と思ったら、悪魔が一匹いた。

「ダジャレかそれは! つまんねーんだよ! そして読者に媚びんじゃねぇこの雌豚が!」

「牡丹と薔薇!? つうか駄洒落は偶然だろそれ!? ……ああああ泣きやんでコメット!」

 全力で潰しにかかっていた。新人いびりぱねぇ。

「……もうぐだぐだですねー。例えるなら不完全燃焼による一酸化炭素中毒とでも言いましょうか、ネタという燃料がないので感想の返信を使って無理矢理書いたらこんな過去最悪な感じになりました。みたいな」

「そこまでは言ってないし例え話もよくわかんねぇよ! そして何よりお前が言うな!」

「あー……グダグダですけどこれで今回は終了。投げやり感が酷いですが次回から本気出します」

 世界で一番説得力の感じられない台詞だった。



[25213] 7話 1月10日(月)
Name: 干支瀬虎◆fd2f536b ID:a6f36a9f
Date: 2011/01/10 11:09
 小説家、という色眼鏡で僕を見ている人からしたらかなり意外に思われるかもしれないけど、僕は非常に規則正しい生活を送っている。
 朝は七時に起きてすぐに20分のランニング。その後シャワーを浴びて、朝食を作る。
 そして8時30分までには準備諸々を済ませて学校へ。
 それが僕の日常。そしてそれは学校が再開したこれからの日常でもある。
 ――と思っていたけど、一つ大きな問題点があった。

「これからの……ごはんは?」

「……どうしよう」

 冬休み最後の日。ランニングから帰ってきてシャワーを浴びた後、スクランブルになりつつある卵をフライパンの上で踊らせている途中。ひとつ問題が発覚した。

 よくよく考えれば、今までは僕が休暇中と言うこともありミニスとコメットの昼食の心配はなかった。だけどこれからは僕が学校があるから、昼食を作ることが出来ない。
 作り置きをするには時間が無いし、かと言ってレトルト食品を買うのもお金がかかる。何より身体にあまりよろしくないだろう。

「うーん……どうしようか?」

「こめっとが……つくる…よ?」

 その気持ちはとても嬉しい、嬉しいんだけど。

「その……なんというか……」

 背が足りないんじゃないか?
 コメットの身長はキッチンから頭ひとつ分出ている、という程度でどう考えたって調理を云々というレベルじゃない。蛇口さえもを捻ることができないだろう。

「……? …じゃあ……みにす?」

「でもあいつは少なくとも十一時までは寝てるからなぁ……」

 現に今も布団の中で惰眠を貪っている。目覚まし時計が鳴っても声をかけても踏みつけても起きやしない。

 もちろん理想としてはミニスに昼食を作って欲しいけど、あいつは料理が出来ない。という以前にやろうともしないだろうし。
 お分かりの通り彼女は堕落の体現者。そもそも存在意義からして、一年に一度しか働かないほぼニートさんだから無理もない。

 と思ったけど、一方で労働条件が同じはずのコメットは僕と同じ時間に起床し、ランニングまで一緒に行っている(もちろんシャワーは僕と別だ。そこは誤解の無いように)という健康志向だから大して関係がないのかもしれない。ただ傷に障らないか心配だけど。

「でも、んー……他に頼れる人と言えば……」

 リアル僕は友達が少ない(というかいない)状態である僕のわずかな人間関係をあたってみるしかない。彼らに頼むのはどうだろうか。

 パターン1。ラーメンマニアの担当さん。
『え? 昼食? うーん……いいけどさー僕ってもの凄くグルメだから食費かかるよ? 一食にかけるお金を一人頭の三千円も払えないでしょ、君』
 一食分が常人の3倍程ある彼だからこその三千円なんだけど、例えその3分の1でも薄給小説家には無理。大体担当さんと一緒のご飯だと、カロリー摂取過多でこの二人がデブプラス状態になっちゃうしね。
 というわけで却下。

 パターン2。ヤンキー大家さん。
『メシつけろ? ウチは飯付きアパートじゃねえだろうが、大体小説家なんて固定収入でもない奴を住ませてやってんだからそれ以上変なことぬかしてると追い出すぞテメェ。……つうかお前最近また女連れ込んでるだろ、黙っててやるから面倒事だけは勘弁しろよ』
 うん。色々と後ろめたいことがあるので却下。それにただでさえミニスとコメットのことは黙認されてるのに、これ以上迷惑をかけるわけにもいかない。口調は暴力的だけどとてもいい人なのだから。

 パターン3。同じレーベルの同期たち。
『いいよいいよ! 金髪美少女と黒髪ロングのロリっ娘ならあと百人ぐらい居てもかまわないよ! じゃあ早速二人をお兄さんが味見をしてもいいかい?』
『このレベルなら一人五千万でどう? 食費が必要ないどころかお金も入ってくるよ。ただし二人とも二度と戻ってこないけどね』
『靴下くれ靴下。あと爪ね、キレイに根本から剥がしたやつ』
『何? このかわいい女の子たち? 刻んで食べてもいいの?』
『女なんてどうでもいいから黙って俺の部屋に来いよ。いい感じでヨガらせてやるぜ?』
 却下。そもそも文化的な最低限度の生活さえも送ってない変態で犯罪者な屑しかいなかった。

 計3パターンは全て脳内会議により否決され、残る選択肢と言えば――

「大学に連れていく……いやないな」

 危険すぎる。大学における人間関係が存在していないに等しい僕であっても、好奇の視線をぶっちぎって生きていく度胸はない。
 かたや外国人の女の子。かたや年端もいかない包帯少女。
 流石に色々と危険だ。特にコメット。
 もしも包帯からDV的なことを連想されれば、それで僕の人生がデッドエンドである。

「……しょーかん……わ?」

 召喚。ミニスのご都合主義パワーによる忌避すべき禁断の暗黒魔法。
 それで料理の得意な存在を召喚しよう、ということだろう。たとえばシルキーとか。

「いや……あれは最終手段にしよう。まだ何か方法があるはず」

 アレは詠唱が危険過ぎる。いきすぎると管理人から強制削除をくらって、僕らの危険が危ない。
 第一、ミニスが料理の得意な存在をピンポイントに召喚できるとは思えないし、もしまた面倒なことに巻き込まれて試験を落としてしまったらこれまた面倒なことになる。負のスパイラル的な。

「むー……やっぱり…こめっとが……がんばる……よ?」

「だから……って危なっ! コメット包丁持って動くのは危ないよ!」

 ってあれ? 包丁を持って動く?

「えっと……コメット?」

「……うん」

「包丁はどうやって取ったの?」

 包丁は台所の上に並べてあって、コメットからはぎりぎり見えるぐらいの高さにあったはずだ。当然手にすることなんて不可能……なはず。

「……? ……こうやって」

 言ってコメットはジャンプした。ように見えた。
 けど、それは違う。
 高度はそのまま上昇し続け、ついに包丁は元の場所へと。

「…………」
 
 そしてそのまま高度は変わることなく、空中で停止。
 浮遊。というやつだろうか。

「……とべる……よ? まほー……で」

「…………」

 魔法。魔法ときたか。
 そういえば仮にもこの娘はサンタクロースのトナカイ。当然、空中浮遊なんてお手のもの。なんだろうな。

 それを僕はちょっと羨ましく思う。僕が四苦八苦して文章をこねくり回すことでしかファンタジー世界を作り上げることができないのに、この娘達はまるで呼吸するかように魔法(ファンタジー)を行使する。それも僕みたいな架空のものではなく現実にだ。

 たぶん彼女たちにとってそんな不思議な力も見慣れた現実なんだろう。でも僕にとってはそれが羨ましいことには変わりない。

「……どうした……の?」

「え? あ、あー……コメットは料理とかやったことある?」

「ない……よ? こめっと……となかい……だったから」

 あ。そうか。
 ついこの間までトナカイだった娘が料理をできるはずがないよな。

「でも……やり…たい。がんばる……たい」

 ……がんばるたい? 博多弁?
 って『がんばりたい』か。
 そっか。
 じゃあ、僕にとってのファンタジーがコメットにとっての料理になるのか。なら出来ないのはどっちも一緒。

「うん、じゃあ今日から料理頑張ってみようか? 僕が教えてあげるよ」

「……うん」

「でもその代わり――」

 僕はコメットにある提案をして、コメットはその提案に乗ってくれた。

「お互い頑張ろうね、コメット」

「……ん」

 明日から学校だけど、今から頑張れば明日の昼食分の作り置きぐらいは十分にできる。こんな小さな娘に料理をさせるのはちょっと心配だけど、きっとコメットなら大丈夫。
 少なくともミニスの二億倍大丈夫。いやむしろミニスが不安要素しかない(マイナスである)のに比べると、マイナス二億倍大丈夫。

 こうして僕らはこの冬、新しいことに挑戦することにした。
 僕はコメットから魔法を。コメットは僕から料理を。互いの足りないもの、欲しいものを埋めるような挑戦。
 そしてその挑戦は僕らが同居人として互いに歩み寄るための一歩でもあった。



[25213] 8話 1月11日(火)
Name: 干支瀬虎◆fd2f536b ID:a6f36a9f
Date: 2011/01/11 18:19
 学校から帰ってきてアパートの扉を開けると全裸のミニスがいた。
 全裸である。
 一糸纏わぬすっぽんぽんである。

「……ん? ああ、ついに頭がおかしくなったの?」

「冷たっ?! その反応冷たっ?! 前回はコメットに出番取られたから頑張ったのに?!」

 いやそういうサービスシーンとかいらないんだって。そもそもおまえは下心がありすぎるんだよ、僕に対する好意でやってるというよりは出番が欲しいとかそんな理由だろ。

「く……全て読まれてましたか」

「そうやってモノローグを当然のように読んだりしてるところがまた……このままいくとお前、コメットの引き立て役になるだけだからな」

「何なんですか皆?! そんなに萌えキャラが好きなんですか!? 私としてはキャラがいかに萌えるか、ということではなくどれだけストーリーが面白いか、ということに重点を置くべきだと思うのです!」

「魅力的なストーリーを作るのは魅力的なキャラクター達だぞ」

 少なくともライトノベルやアニメの世界では。純文学とかはまた別の話になるのだけど、まあこの場合は全く関係ない。

「ぐぬぬ……。ではどうやればいいというのです! 私がヒロインの座に返り咲くためには?! ミニスの人生相談です! 俺の居候がこんなに可愛いわけがないって言わせたいんです!」

「そもそもそういう発言をしてる時点で無理だよ!」

「後生ですからそんなこと言わずに!」

 足にすがりついてくるミニス。ウチの居候がこんなにウザいわけがない。

「……あーもー面倒な……じゃあ、出来るだけヒロインらしく、というか女の子らしくしてみるとかどう?」

「女の子らしくって……私十分女の子らしいじゃないですか」

 自らの胸部やら臀部やらをペタペタと触るミニス。ここまで描写されることは無かったけど、結構こいつはスタイルがよかったりする。

「確かに身体はね……ただ女の子は男性の目の前で全裸で仁王立ちしたりしないから。いい加減服を着てくれない?」

「えっと……着エロのほうがいいんですかね?」

「何でもいいからさっさと服着ろよ!」

 結局いつものミニスカサンタへ。

「それで他にはありますか? 私に足りないところ」

「今までのやりとりで自分に何が足りないのか気づかないのなら、お前はもう女の子とは呼べないと思う」

「いや気づいてますよ、恥じらいですよね?」

「気づいてんの?! 相談する必要ないじゃん?!」

「でもこの話において、一連の流れとしては必要なんですよ。それはともかく、エロゲーでもやっぱり恥じらいのあるキャラクターは萌えますからね。羞恥に頬を染めながらスカートを捲りあげたりするシチュエーションとか最高です」

 女の子らしくするための情報ソースがエロゲーってのはもの凄く間違っている気がするのは僕の気のせいだろうか?

「じゃあそれで自分に足りないものがわかったなら、それを克服すればいいだけだろ?」

「それは無理でしょう。もし露天風呂で覗きにあったら顔を隠す私ですよ? 肌を見せることには大して羞恥心なんてありません、ほらパンチラパンチラ」

「スカートを平然と捲りあげるな。つうか外国人だったな……」

 でもそれは外国の方々が恥じらいがないわけじゃないから。そういう文化というか価値観を持っているだけだからな。

「というか単純にそれじゃ面白くないじゃないですか。萌えに萌えで――正攻法で戦うのは私の主義じゃないですし。やっぱり後ろから卑怯にグサっといくのがいいですね」

「何の話だよ……。じゃあどうするんだ? 正々堂々戦う気がないなら――」

「ん? 正々堂々? そうです正々堂々じゃなく卑怯に! つまりコメットを殺せばいいんですよ!」

「何いいアイディア思いついたみたいなノリで物騒なこと言ってんだお前!?」

 人気低迷を恐れて登場人物抹殺って、どんな思考回路してんだ! ヤンデレよりたちが悪いわ!

「大丈夫ですよ、人は殺しても生き返りますから。日本の34パーセントの小学生もそう言っています」

「ソースが世界で一番信用ならねぇよ!」

 ある意味世界で一番脳内がファンタジーな民族の子供たちだからね、例えば僕とか。

「でも白髭ジジイに見せれば生き返るんじゃないですか? あの人聖人ですし。キリストみたく奇跡を起こせると思います」

「いや無理だろ……」

「というか忘れてましたけど、それ以前にあの白髭ジジイってレディガガに殺されたんでした」

「若干賞味期限の切れたネタを使うな! 大体それはジョークだから!」

 でもキリスト教が国教の国でよくあんなことやれるよな。ジョンレノンのキリスト発言にしろ、身近なところでは僕の動機にしろ、表現者(アーティスト)ってのはそういう世の中の常識や流れから逆走したがる変な人が多いような気がする。
 若干ミニスもその気があるので非常に心配だ。

「とにかく物騒なのは禁止!」

「物騒なのは? 敵を倒して仲間を増やす魔砲少女のことですか?」

「真面目に話聞けや!」

 確かに物騒だけど!

「はいはい……じゃあどうしましょうか、まだ人生相談は終わってませんよ?」

 むしろお前の人生が終われば解決するんじゃないかと思えてきたよ僕は。

「でも僕には他にアイデアなんて無いよ」

「うーん……じゃあどうしましょうか……。感想掲示板で募集しても大して役に立たない意見ばかり集まりそうですからね……」

 もの凄いこと言ってるよこいつ。最近コメットのコメントが多数を占めているからって読者に八つ当たりすんなよ。

「コメットのコメントって……モノローグだからといってそんな無理矢理なダジャレはやめてください。あなたのつまらない人間性が出ますよ?」

「何でそこまで言われないといけないんだよ! つうかそれはただの偶然だ!」

「偶然でも何でもモノローグを読める私の前では思った時点で終了なんですよ! コメディにおいては寒いギャグは殺人より罪が重い!」

「言ってることは無茶苦茶なのに反論できない……」

 確かにミニスの言ってることも一理ある。一人の小説家としては、ギャグが寒いとか言われると辛いものがあるから。
 ああ思い出す僕の黒歴史……。処女作なんてひどいもんだった。小説家を目指している人は小説投稿サイトでダメ出しをくらってもめげずにがんばって欲しい。
 もしくはこんな下らないミニスカサンタの駄文を書いてる奴もいるんだと、自分を鼓舞して欲しい。そして作者に面白い小説を読ませてください、お願いします。

「――ってなんでそんなくだらない自虐電波を受信しているんですか! それより人生相談ですよ!」

「……じゃあコメットの料理の手伝いでもすればいいだろ」

「それじゃあ面白くな――って料理? そうです! 私も料理をすればいいんですよ! ドーピングコンソメスープとか作っちゃえば!」

「なに考えてんだおまえ! あそこまで筋骨隆々になりたくはねぇよ!」

「いえ筋骨隆々にするのはコメットの方です。筋肉フェチというニッチな属性を付与することによってファンを減らします」

「最低過ぎる! まず自分を変える努力をしろよ!」

 それから。
 買い出しに行っていたコメットが帰ってきて三人で協議した結果、ミニスには洗濯とコメットの料理の手伝いを任せることになった。

「ええーめんどいめんどいー。つうか家事が女の子らしいってどんだけ前時代的なんですかー」

「黙れただ飯食らい」

「ご、ごめんなさい……おちゃわんのごはんのりょう……へらす……から」

「コメットは別にいいからむしろおなかいっぱい食べて元気になって!」

「コメットだけ差別差別ー」

「けが人とNEETを区別してんだよ!」

「みにす……がんば…ろ?」

「……あーもーわかりましたよっ。やりますやりますから! やればいいんでしょう!」

 コメットの大粒の瞳に正面から見つめられ、文句ばかりのミニスもようやく折れてくれた。

「絶対そのうち正ヒロインとして絶対名誉挽回してやります!」

 ミニスに名誉なんて大層なものがあるなんて思えないのだけど、それはせっかくやる気になっているのだから水は差さず黙っておくことにする。
 ともかく僕の家に最初の居候が来てから10日。
 ようやく家事分担も決まり、僕らの生活がきちんと循環し始めた。



[25213] 9話 1月13日(木)
Name: 干支瀬虎◆fd2f536b ID:a6f36a9f
Date: 2011/01/13 16:51



 二限が早く終わったおかげで早めに昼食を取ることが出来た僕は、学食を出るなりさっさと教室へと移動することにした。

 三限は二号館の4階の2教室。教科は近代日本史Ⅱ。
 ただ講義を聞いて毎回感想文を出せばそれで単位が貰えるという、非常に楽な授業だ。そういうわけで当然受講者も多い。

 といっても授業が始まるまで30分もあるので教室には人気がなく、出口から一番近い席(授業が終わってから混雑するのを見越してだ)に陣取って小説を読むことにした。

 本を読み始めて20分ほど経つと、室内はそれなり生徒とそれなりの話し声で満たされはじめる。それでもここ最近ミニスの馬鹿につきあいながら執筆していた僕の集中力が切れることはない。ひたすらページをめくる。めくる。めくる。

 だがそんな僕の集中力もまだまだだったみたいで、教室の中を飛び交っていたとある単語に反応してしまった。

 『ミニスカ』

 ……誤解の無いように言わせてもらえば、僕は別に女性がミニスカートを着用している姿に特別な劣情を催したり、ましてや自分で――なんて趣味はない。

 ではなぜ女性の衣服を指す単語に反応してしまったかというと、僕の家に寄生しているサンタの精(ミニス)が原因だ。ここまでこの作品を読んでくれた人なら言うまでもないかもしれないけど。

 ともかくその言葉によって、本の世界へ深く沈み込んでいた僕の聴覚は現実へと引き上げられ、再度どこからか聞こえてきた女性特有の甲高い話し声が、僕の意識を驚愕へと釣り上げた。

『ホントだって、さっき学食にミニスカでサンタのコスプレした外国人がいたらしいよー。しかもめっちゃかわいかったって、みーちゃんが言ってた。でね、それと一緒に――』

――さっき学食にミニスカでサンタのコスプレした外国人がいたらしいよ――

 外国人 with ミニスカ(サンタver.)in 学食。

 『外国人 with ミニスカ(サンタver.)』、ここまでなら分かる。うちに居候しているNEETを指す半固有名詞みたいなもんだ。

 では。

 それに『in 学食』が着くと――

「…………」

 今からの授業と、これから起こるであろう面倒事。

 天秤をかけるまでもなく僕は教室を飛び出した。


 ☆さんぷんご!☆


 学食に着くとそこには人の群。などは存在しなかった。むしろ人がほとんど居なかった。時間的にまずあり得ない光景。でもそれはどういうことだろうか、なんて疑問を抱くまでもなくすぐにそれは氷解した。

 学食のほとんどど真ん中に対面するように座っている二人。

 僕に背を向けるように座っているのはミニス。いつも通りのミニスカサンタの姿。

 そしてミニスに向かい合って――つまり僕の方を向いてカレーを口に運んでいるのは裾神月子(すそのかみ つきこ)さん。

 灰色のスウェットを上下に着て、くすんだ長い金髪から除く両目は鬼も裸足で逃げ出すほどに鋭い。でもそれは怒っているわけでも威嚇しているわけでもなく、素でそれなのだ。

 こうして見ると、二十代前半のもの凄いキツい美人ヤンキー。にしかみえないがこれでも僕のアパートの大家さんである。

 学食に人がいないのはたぶんこの人が原因。少しこの人が睨みを利かせれば、大抵の人はおそれおののいて逃げ出すだろうし。それくらいに近寄り難い人なのだ、一見は。

「やっときやがったか」

「あ、いました。友達いない引きこもり野郎」

「誰が引きこもり野郎だ。おまえよりは健康的な生活を送ってるつもりだぞ僕は」

「友達がいないのは否定しないんですね……」

「したくてもできないんだよ! ……って何で月子さんがミニスと一緒に?」

 スプーンと空になったカレーの皿が軽い音をたてる。どうやら二人ともだいぶ前からここにいたようだ。

「連れてきた。おまえが囲ってる二人について言いたいことがあるからな」

「いや囲っているわけじゃ……」

「ですよ。私この人に手コキしか許してませんし」

「許されても僕は手は出してないですからね!」

「分かってるっつーの。囲ってるってのは冗談だよ、おまえみたいなヘタレが恋人でもない奴と、どうこうできるわけねーだろうが」

「……そうですけど」

 正論だけに言い返せない。でもなんか男として不名誉なことを言われているのは気のせいだろうか。

「まあどうせ面倒ごとに巻き込まれて匿ってるとか家出してる奴を拾ってきたとか、そんなところだろ」

「わーお大正解です。すごいですね大家さん」

 コメットの場合はともかくミニスの場合は巻き込まれたというのだろうか。それとも僕が買ってきたケーキの中に入ってたから、一応僕から引き寄せたことになるのか。

 つうかよく考えたら、クリスマスから一週間経っているケーキって絶対大丈夫じゃないよな、なんてもの押しつけやがったんだよあの店。

「でだ。ぶっちゃけオレは家賃さえ払ってくれればおまえ等がどういう風に生活しようが、知ったこっちゃないんだが」

 そこで言葉を切ってポケットから煙草を取り出す月子さんだが、壁の禁煙マークを見て舌打ちしてまた煙草を戻す。外見からは想像できないほどに社会的規範者なのだ、この人。

「が? 何か問題でもあるんですか?」

「……ああ。オレ以外はそうでもないらしくてな。他の住居人から苦情じゃねーんだが、心配されててな」

「そりゃそうですよねー。私たちのような美少女がこんなモヤシ男の家に常駐してるんですから。何か弱みを握られてるとか思われても不思議じゃないですよ」

「それともう一人のチビは怪我してるみたいだしな。警察に連絡した方がいいんじゃないか、っつー話もある」

「……うわぁ」

 そりゃそうだ。二人とも日がな一日中部屋の中にいるわけじゃないんだから、隣に住んでるんだし僕の家に女の子が出入りしていることぐらいは分かるよな。

 前に二人を大学に連れてきたらどうなるか考えたことがあるけど、持たれる印象は大学じゃなくて同じアパートでも同じか。

「だからこうして三者面談って訳だ」

「三者面談……ですか」

「おまえ等の関係に問題がないとオレが判断したら、それをそのままアパート住民にそう伝える。問題があったら二人をアパートから追い出す」

「は? ちょ、冗談ですよね?!」

「冗談じゃねーよ。あ、もちろんおまえも出ていっていいぞ、オレの懐的には出ていかねーほうがいいけどな」

 悪いけどこれが仕事でな。

 言ってスプーンで僕を指す月子さん。ミニスは驚いてるみたいだけど、まあそれは当然の話だろう。むしろ今すぐに警察に連絡しない方がおかしいぐらいだ。

「んじゃ、煙草吸いてーし場所変えるぞ……この辺の喫煙所ってどこだ?」

「外しかないですよ。寒いですしファミレスにでも行きましょうか?」

「だな」

「……うぅ。まさか世間体から私たちがインモラルな関係に見られていたなんて……」

 軟体動物みたいにぐでんと体を降り曲げるミニス。それは相手が僕だと不満だって言ってんのか?

 まあ確かにミニスはかわいいっちゃかわいいけどさ。僕とはつりあわないくらいに。ただそれ以外が残念すぎる。

「仕方ねぇよ、年頃の男と女が同じ場所で寝泊まりしてりゃあ大抵の奴がそう言う関係だと勘ぐるだろ」

「ですけど……私は手をつなぐことから始めたいんですよープラトニックラブ派なんですー」

「何清純気取ってんだおまえ」

 全裸で待ちかまえてたり手コキの関係ですとか言ってるキャラだろうがお前。


 ☆それから!☆


「……あー疲れました」

 パチンコに行くと言って月子さんは僕たちと別れ、ミニスと二人、アパートへの帰り道。

 ファミレスで月子さんの3時間にわたる面談が終わり、僕らは疲労困憊、胃に穴があきそうだった。

 でも月子さんにはミニスとコメットの正体を明かした上で納得させることができたので、何とか面談は成功に終わった。と思う。
 これからの二人の処遇としては、

 ミニスは今まで通り僕の部屋で寝泊まり。他の住人には僕の恋人ということで通すそうだ。正直勘弁して欲しい。

 コメットはどう見ても小学生ぐらいにしか見えないので、寝泊まりだけ月子さんの部屋、ということになった。対外的に月子さんがコメットの保護者だと見せておいたほうがいいからだ。そして他の人にはミニスの腹違いの妹、そして不登校児で通すとか。

「コメットがミニスと半分血がつながってるとか……」

「……何が言いたいんですか」

「コメットがかわいそう」

「ストレートに言っちゃうんですか?! 遠慮してくださいよ!」

「やだなー僕ら恋人だろー僕らはそんな遠慮しあう関係じゃないだろー」

「超棒読み?!」

 手コキの関係(嘘)から恋人の関係(嘘)へとランクアップ(ダウン?)しても相変わらず僕らはこんな感じだった。

「それにしてもあの人なんなんですかね……私達のこと知っても平然としてましたけど」

 証拠を見せるまでもなくミニスがサンタクロースだってこと信じてくれたしね。

「そういう人なんだよ。嘘ついてもすぐバレるし、バレてないと思っても本当は黙っててくれてるだけだったり」

「ロボコップですかあの人は……」

「古いな……。まあとにかくこれで大丈夫、これからは三人で暮らせるよ。あれでも月子さん、初対面の人以外からは人望あるからさ」

 いや初対面は言い過ぎたか、二三回は会わないと慣れないな。たまに僕でも逃げ出しそうになるし。

「これからは三人……ですか」

「え? うん」

 何か問題でもあったのだろうか。ミニスは今まで通りだし、コメットも寝るところが変わっただけ。家事の係分担にも何ら変更はないはずだけど。それとももしかしてもう一人増えたりとか……。

「いえ、そういう意味じゃないですよ」

 何も問題はありません。

 苦笑するミニスを見て僕は首を傾げる。

 ミニスと二人で歩くアパートへと続くケヤキ通り。葉はすべて抜け落ちてしまって、寒空の下樹皮が露わになっている。

 ――この通りには建ち並ぶ民家の間を埋めるように、ひっそりと佇む一つのケーキ屋がある。

 一月一日に僕がクリスマスケーキを買った店だ。今思えば、元旦でも無休で働き続けるのには何か理由があるのだろうか、なんてつい勘ぐってしまう。

「それではコメットも待っているので早く帰りましょうか」

「うん、そうだね――帰ろう」

 一人でこの道を歩いたあの日と比べて、この店から僕のアパートまでの距離は変わっているだろうか。

 僕はそれを確かめるようにミニスの隣で歩を進めた。


 ☆

 ちょっと早いけどこれで僕らの一月はおしまい。

 また来月会いましょう。



[25213] 1月のお疲れさま会
Name: 干支瀬虎◆fd2f536b ID:a6f36a9f
Date: 2011/01/13 16:53


ミニス「1月篇『(ミニスカ)サンタが街(というか自宅)にやってくる』しゅ~~~~りょ~~~~~!!!! ぱちぱちぱちぱちぱちぱちー!」

コメット「わー……ぱち…ぱち…」

主人公「……何これ」

ミニス「一月編が終わったので。それの打ち上げ会的な? 月一で作者の書きたいように書くコーナーです」

主人公「え? 毎回書きたいように書いてるよね」

ミニス「そんなことはありますね」

主人公「やっぱり……」

ミニス「まあモノローグなしの台本的ノリで書いてる適当な文章だと思ってくれれば。ということで改めまして作者の都合で一月篇はこれでおしまい。ここまでこんな無茶苦茶なノリの作品を読んでくれた方に感謝とマゾヒストの称号を」

主人公「後者はいらない」

ミニス「ともかく、来月からはタイトルを変更して(考えてないけど)二月篇をお送りしたいと思います。ちなみに平均月に十話ぐらいやろうかな、と計画中です」

コメット「? ……九話しか……」

主人公「確かに。九話しかないけど」

ミニス「うるさい黙れ平均つってんだろ。……で。二月篇は新キャラ続々! 衝撃の展開が! 具体的には主人公が同期に掘ったり掘られたり!」

主人公「やめて! 冗談でもやめて!」

ミニス「……というのは嘘で大して内容は今までと変わりません。アクセントに新キャラとの絡みがあるぐらいで、基本は三人でがんばります」

コメット「……こめっと。……がんばる……たい」

主人公「博多弁気に入ってる?!」

ミニス「あと溜まってる感想の返信とかは来月から始まる番外編でちょいちょい消化していこうかと思います」

主人公「ありがたい感想でもさすがに本編を浸食しすぎるとだめだよね。それはそれで失礼だし」

ミニス「でもたまに本編でも会話のネタとしては使わせてもらいますけどね。つうかそうしないと作者のネタ的に辛いのです。オリジナル板のアレとか全文書き直す気ですからね」

コメット「……たいへん?」

主人公「無理じゃない?」

ミニス「って感じでここに書いたらやらざる終えなくなるから、それはやっぱり未定です。作者は他に書きたいものもあるので。でもまあこれは作者の物書き的体力アップ計画の一巻なのでがんばりますけど」

コメット「……そんなわけでー」

主人公「来月も」

ミニス「読め!」

主人公「高圧的だ!」

ミニス「そんな感じでがんばります」




あとがき

一話以降後書きを書いていないことに気づいた。でも言いたいことはミニスが全部言ってくれることに気づいた。
まあよろしかったらまた読んでやってください。



[25213] 番外編 その1 感想返信15~24
Name: 干支瀬虎◆fd2f536b ID:a6f36a9f
Date: 2011/01/26 20:56

「……ばんがい……へん?」

「というわけで。今回は番外編です。さく――じゃなかった、あなたのテスト勉強が進まないので仕方なく番外編です。まあ感想返信なんですけどね」

「つうか僕のせいにするな。作者のせいだよ」

「折角言い直したのに。……まあその通りなんですけど。では早速カフェさんからです。

『ふとミニスがわが家に来た風景を想像してみた。・・・・・だめだ何回やっても親父の職場に Let,s Go しか想像できないッ

ミニs・・・・本心には逆らえん!コメット可愛いよコメット!!』

 親父さんの職場はkeyですか? それともOVERDRIVEですか? それともアリスソフト?」

「エロゲー大好きだなお前」

「乙女ゲーも好きですよ? 最近ではCLOCK ZEROとかおもしろかったです。ではニミュエさんから。

『とりあえず最新話の、作者のミニスがこんなにかっこいいわけがない。
まで読ませて貰いました。
では感想をば

うおおおぉぉぉー!コメットーうおおおおぉぉぉぉぉっ!!

コメット可愛いよコメット!!』

 ……ですから全く覚えてないんですってその時のことは」

「そういえば疑問があるんだけどいい?」

「何でしょうか」

「お前あの時タイムスリップしたよな」

「……したねー」

「知りませんけど。そうらしいですね」

「じゃあなんでコメットって怪我してるんだよ」

 過去に遡って、サンタやトナカイたちを助けたのなら現在のコメットの怪我は無かったことになるんじゃないだろうか。SF的に考えて。

「知りません。単に作者がそこまで考えずにテキトーに書いたからでしょう。つうかあなたのせいで矛盾が生じたじゃないですか! 誰も気づいてなかったのに!」

「僕のせいなのか?!」

「みにす……きず…もうなおってるよ?」

「あ、そうなんですか?」

「……ん」

 ジャージを捲り、包帯をするすると解くコメット。そこから露わになるのは染み一つ見あたらない白磁の肌。

「え? 治ってんの? 本当に?」

「……さくしゃさんが…けがしてるせってい…いらないって」

「流石神様! 何でもありだな!」

「そういうわけでコメットから包帯属性が無くなりました。ハートに巻いた包帯も解けました。怖がらないで素顔を見せてください」

「…………?」

「元々巻かれてねぇよ。ノリだけで喋るな」

「そうですね。カ――ジャスラックに怒られますし」

「おいお前今なんて言おうとした」

「…………。では次。双樹さんからですね。

『日常ネタがなくなれば、ミニスの別人格だしてご都合主義の世界移動やら大冒険とかできそうだが、主人公の締め切りや勉強時間が減るなw
ま、がんばれb
みんなにならって、コメットかわいいよ、コメット。』

 そんなにコメットが好きならコメットと結婚すればいいじゃない! というわけで抽選でコメットと結婚する権利をあげよう。そんなに適当で大丈夫か?」

「これはひどい」

「…………」

 無理矢理ネタを詰め込んだらこのザマだよ。

「で、では次。黒茶色さん。

『とりあえずコメットを出しておけば話の内容はもっと適当でもいいと思うロリ。』

 適当って何でしたっけ?」

「ゲシュタルト崩壊か」

「いや本当にわかんなくなってきました。どれが適当でどれが適当じゃないんでしょうか?」

「……わかんないねー」

「ですよね。次。ババさん。

『さすがは新人潰しに定評のあるミニスさん、そこに痺れないし憧れないっ。
よっぴーはツンってモンジャナイヨネウン』

 つよきすといえばマジ恋アニメ化するらしいですね。まあ声優ゲーとか言われてましたし、予定調和っていえば予定調和なんでしょうけど」

「……つよきす?」

「ええ。まずはつよきすをアニメ化するべきだと思うのですよ」

「お前は現実を見ろ」

「…………。では次はA7さんです。

『読者参加型SSみたいな感じですね
私はミニス好きですね割と
だからミニス手コキしてミニス』

 割と……って。あれですかね、ソープ行ったらそれなりにかわいい子が出てきた、みたいな感じで書き込まれているんでしょうか?」

「……そーぷって……おふろ?」

「ええ。入っちゃっても問題ないお風呂です」

「……? はいったらだめな…おふろ……って…あるの?」

「はい。それは低所得者専用ですね。ピンサロとか――」

「教育的指導!」

 ミニスの耳を抓る。

「痛いです痛いです、むしろ私が遺体です!」

「……ったくこいつは。じゃあ芳乃義之さん。ほら読め」

「はいはい。……それにしてもこの方D.C.Ⅱ好きなんでしょうかね? って耳痛っ! わかりましたよ!

『ミニスかわいいよミニス。
今年のクリスマスがすでに楽しみです。
ミニスを下さいと書いておきます。

ところで大きいお友達もプレゼント貰えますか?』

 おおまた私へ感想です! 巻き返してきましたね。もちろん大きいお友達ももらえますよ! ……童貞なら」

「そういう子供も貰えるんだったな」

「ところであなたは?」

「……も、勿論貰えるにきまってるだろ? 僕は引きこもりでぼっちの根暗野郎だぜ?」

「……なぜどもった」

「そ、それはおいといて次行かない?」

「……素人童貞でしょうか? それともまさか……」

「次! ニミュエさん。

『今気付いたけどチラ裏でミニスって打って出てくるのがこれだけなんだぜ…?嘘みたいだろう?

そんだけです。マジすんません。反省はしてません』

 いい言葉だよな。反省はしてません(けど、成長くらいはします)。みたいな感じ?」

「ニミュエさんにそんな意図はないと思いますが……怪しい」

「その件に関しては勘弁してください」

「……機会があったら言及させてもらいましょう」

「……つぎ。ほーらいにーとさん?」

「はいNEETさんですね。

『だんだんコメットが性ヒロインになりつつあるなww
ミニスさん、貴方が惰眠を貪っている間に立ち位置食われてますよ!!

では、最後にミニス可愛いよミニス。
ミニスさんは、そのうち正ヒロインらしいイベントを起こしてくれると信じています!』」

「おい今読み間違いがあったぞ」

 本当は『性』じゃなくて『正』だよ。読者の貴重な感想を勝手に改変すんな。

「まあそんなことはどうでもいいです。それよりもA7さん、芳乃義之さん蓬莱NEETさんは今後、ミニスファンクラブ会員として頑張ってください。具体的には感想版に『ミニスかわいいよミニス』と書き込んでください。これは義務です」

「勝手に会員にしちゃったよ!」

「ちなみに作者はこの方の感想を見て9話を書きました。つまり、コメットではなく私が正ヒロインであることを印象づけるために書きました。ですから9話で私のキャラが変わっているのはこのためなんですね」

「でも反響があんまりよくなかったみたいだぞ。9話の後は感想もそんなに投稿されてなかったし」

「…………」

「……みにす……だいじょーぶ?」

 orz状態のミニスをほっといて今回最後の感想。

「ウサギとくま2さんから。

『ミニスかわいいよミニス!
でもコメットの方がもっと好きです。』

 ……やっぱりコメットの方が人気なんじゃないか?」

「……いえ…これは…ハーレムエンドを……希望なのかもしれません……よ?」

「コメットの話し方を真似てるんだろうけど、どっちかというと戦場カメラマンみたいになってるぞ」

「……み、みにすー」

「こんな感じで番外編その1は終了。たぶん次こそは2月の投稿になるんじゃないかな」

 それじゃあまた。
 今度こそ二月に会いましょう。


自称神の声「二月のタイトルが決まりません。皆さんのアイディアをください(渇望)」



[25213] 番外編 その2 乾燥変身25~44
Name: 干支瀬虎◆fd2f536b ID:a6f36a9f
Date: 2011/01/26 21:10
「――それじゃあまた。
   今度こそ二月に会いましょう(笑)。
 というわけでまだ一月ですけど番外編その2をお送りします。べっ、べつに感想板でまともなタイトル案が出なかったから更新したわけじゃないんだからねっ!」

「それは言葉通りの意味であってほしいな!」

 ごめんなさい考えてくれた方々!

「……かんそー…へん…しん?」

「乾燥変身!」

「それは誤字だ!」

 干物になったりするのか。乾燥変身。

「では今回も返信オンリーでお送りします。サクサクやりますよー」

「たまってるもんな」

「そんないやらしい貴方には、はいTENGAです。漫画化記念のプレゼントです」

「そういう意味じゃないから! つうかおまえはどの業界と繋がっているんだ! ただの宣伝じゃねーか!」

「意味が分からない人はグーグル先生に聞いてください。たまには鮮度のいいネタもやりますよ、この作品」

「……なんの話だよ。いいからやるぞ」

「……まとめてー」

「ぶっちゃけ同じような感想なので、まとめてやります。一つずつ取り上げてほしかったら長文かつ『ミニスかわいいよミニス』と書き込んでください」

「読者の皆さま超上から目線でごめんなさい!」

「では上からババさん、ソラさん、ジムカーナさん、A7さん。


『…同期の奴ら、怖すぎるぞ…!?』

『同期のやつらのなかで、一番下のやつが一番怖えェェェェーーー!!』

『同期怖すぎwwwww
てか魔法で空に飛んでたんですね』

『同期っていうか猟奇』

 同期? また私の知らない間に話が進んでいたりしたんでしょうか」

「ある意味な」

 単に寝てただけだけど。

「空を飛ぶってのはコメットのことですね。そういえば『空を飛ぶ、3つの方法。』というエロゲーがありまして、そこのコンフィグ画面にヒロイン実体化ボタンが搭載されているというのは有名な話ですよね」

「知らねえよそんな話! いいからさっさと進めろバカサンタ!」

「そんな罵倒も我々の業界ではご褒美です。次は双樹さん。

『同期たち、何徹目だ!?
ここまでぶっ飛んでると、主人公もなんかあると思うなw
そして、ミニス動かんと太るぞw
口下手、料理上手、黒髪ロング、ロリっ娘…何この萌の集大成。
ミニスまじで、出番なくなるぞ。
で恒例の、コメット可愛いよコメットw』

 ――なんかあると思われてますけど、なんかあるんですか?」

「……あるの?」

「何かって……何もないけど」

 僕には同期みたいな変態性癖もないし、超能力を持っているとかそんな少年マンガみたいな設定もないぞ。

 それは散々一話のモノローグで語ってきたはず。って僕も最近メタ発言が多いな。自重しないと。

「でも非童貞なんで「次n.tさん。

『コメット可愛いよコメット』」

「……わーい」

「…………。省略」

「酷すぎる!」

「だってコメントしにくいですし。私がおもしろくないですし」

「後者が占める割合が圧倒的に多いよな」

「では次フリーザさん」
 
「スルー能力が高くなってきたな……。ってフリーザ?」

「……れーとーこ?」

「ある意味間違ってないですけどね。それにしてもドラゴンボールの世界から次元を越えてやってくるとは。

『ほーっほっほっほっ!素晴らしい!ホラ、見て御覧なさい!ザーボンさん、ドドリアさん、こんなに良ssですよ!!
ヒロインのコメットさんと主人公とのやり取りがなんとも。
おや?ミニスさんなんていましたっけ?
まぁ、とりあえず。コメッ――「ハラキリブレード召喚!」

「感想を一刀両断した……だと?」

『ミニスの怒りが頂点に達したその時、4.35光年の彼方から時空を越え、妖刀ハラキリ・ブレードはわずか0.05秒で空間両断跳躍を果たすのである!』

「何か説明がでてきたぞ! しかも何故か一瞬で嵐にっ!」

『抜けば必ず嵐呼ぶ、それが妖刀ハラキリ・ブレードなのである』

「誰だよお前!」

「ふっふっふ……武器を手に入れた私は無敵ですよーってわけで、次です次」

「……とーりすがりー……? ……?」

「アルファ」

「……あるふぁー」

「『コメットかわいいよ「両断!」」

「……ふぇ」

「超大人げねえなおまえ!」

 というわけでふざけすぎましたごめんなさいロミオ先生○箱版クロチャンとリライト買うので許してください。



  ☆それから!☆



「――気を取り直して三津屋さん。

『コメットも可愛いが、この作品の正ヒロインは
主人公だと信じてる俺がいる。
二人とも可愛いよ二人とも

・・・二人の中にミニスは入ってな(ry』

 ――二人の中にミニスは入ってないわけがない!」

「そこまでポジティブな発想がでてくるおまえの頭はかわいそうだな」

「……うー何で私って不人気なんでしょう」

「コメットが人気あるだけだろ」

「私正ヒロインなのに……」

「正ヒロイン(笑)」

「…………」

「正ヒロイン(爆笑)」

「正ヒロイン(暗黒微笑)」

「正ヒロイン(裏声)」

「正ヒロイン(もやし)」

「ぶ……そ、それはないわ……」

「というわけで一行で笑ったので、コメットは寝ろ」

「とばっちりすぎる!」

「……ん。眠いから…ねるー」

「あ……本当に寝るんだ」

「では私たち二人で。次は黒茶色さんですね。

『「うーん……じゃあどうしましょうか……。感想掲示板で募集しても大して役に立たない意見ばかり集まりそうですからね……」

そういう性格を変えればいいと思う(´ . ω .`)ボソッ…

そんなことより、ミニスがアレなおかげでコメットの可愛らしさが際立ち杉るロリ。』」

「またハラキリの出番でしょうか」

「やめとけ。また掲示板でディスられるぞお前」

 というか感想を両断した時点でもうアウトだろうけど。

「……そのうち感想掲示板を荒らしてやります」

「やめときなさい本当に」

 でもこいつならマジでやりそうで怖い。

「白雨さん

『>「絶対そのうち正ヒロインとして絶対名誉挽回してやります!」

・・・え?』

 おぅ……。ミニスも嫌われたものです。てかまたですかコメットまんせーな感想……ドーピングコンソメスープの出番でしょうか」

「嫌すぎる想像させるなよ。では勇者ゾンビさんから

『とりあえず久々にこの小説読みにきました。
いや、ほんとリアルが忙しかったから見れなかっただけなんだからっ!
べ、べつに存在わすれてたとかじゃないんだから。
ホントダヨ・・・。(´・ω・`;)
しかし時事ネタが多くて笑ってしまう。
あと久々に見たら自分の感想が載っててなんかうれしかったです。
いいね、こーゆう小説。
ミニスかわいいよミニス
でも、最近は主人公の方が・・・いや、コメットかわいいよ。
ロリは至高だと思う。』」

「勇者、ゾンビ、忙しい、といえば勇者30ですね。ゾンビのクエストは泣けます」

「マジで泣けるな」

「ええ……」

「…………」

「…………」

「…………」

「正ヒロイン(もやし)」

「二度目は通用しねぇよ」

「聖闘士ですか」

「よく知ってるなお前」

「はい。次いきましょう、加悦さんから。

『ミニス・・・なにそれ?食えんの?
たのしく読ませていただいてます。頑張ってください。』

 おいしく食べられますよ(性的な意味で)」

「僕の知り合いにもいるよお前を食べられる奴(カニバリズム的な意味で)」

「? 私は美少女ですから当然でしょう」

 言って胸を張るミニス。……そういう意味じゃないんだけどそれは言わない方がいいだろう。僕とミニスの精神衛生上。

「では次ですねーニミュエさん。

『怪我人とニートの区別……じゃあミニスも怪我すれば良いんじゃね?

コメット可愛いよコメット』

 ……それもそうですね。ベターに骨折でもいきましょうか」

「治療費かかるからだめ」

「理由が酷い!」

「あと家事要員が減るからだめ」

「それもどうかと……」

「どうせ本当に骨折するわけないんだから、別にいいだろ。次、A7さん。

『恥じらいがないならいっそエロキャラで売れば(ry』

 全裸になっても何の反応も示さなかったEDを前に私は何をすればいいのでしょうか」

「別に不能ってわけじゃないから!」

「ではペドフィリアなんでしょうか?」

「違うわ馬鹿! 次! フリー/ザさん

『≫感想掲示板で募集しても大して役に立たない意見ばかり集まりそう
でかい口を利くのもそこまでだ!今すぐ黙らせてやるぞ!
おっと、すいません。つい感情的になってしました。
しかし、ミニスさんがヒロインになる方法ですか。一回死んで生まれなおすというのはどうですか?
それではここらへんで。コメットさん、可愛いですね。コメットさん。』

 ……って名前が両断されたままじゃねーか!」

 流石だなハラキリブレード!

「まあこのミニス様に楯突いた罰ですね。原作のように細切れじゃない分感謝してほしいぐらいです」

 細切れって『フ/リ/ー/ザ/さ/ん』ってことかよ。

「というか名前が『フリーザさん』だったんですね。ではフリーザさんさんと呼ばないといけなかったのでは?」

「さかなクンさんみたいな感じか」

「アナウンサーが訂正したりするんですよ。先ほどのニュースに訂正があります。フリーザさんではなく、フリーザさんさんでした。まことに申し訳ございませんでしたって」

「どうやったらニュースにフリーザがでるんだよ……」

「まあそこは気にせず。次いきましょうか。茸飯さんですね。

『ミニスーー!俺だーー!
コメット召喚してくれーー!』

 たぶんこのArcadiaに私の呪文を投稿すれば、召喚できるんじゃないでしょうか」

「ただの荒らしだよそれは!」

 絶対にやめましょう。僕たちが言っても全く説得力ないけどやめましょう。

「次ー黒茶色さん。

『…あれ?今回ミニスが比較的変じゃない…。

ちょっと寂しいな…( ´. ω.`)しょぼん』

 失礼ですね。私は変であることを求められるようなキャラクターではありませんよ。ねえ三津屋さん?

『ミニスがかわいく見える』。ほら」

「ほらじゃねえよ感想を改変すんじゃねえよ!」

 ちなみに本当はこうである。

『ん?あれ?…ミニスがかわいく見える…だと?!

と、一瞬思ったが主人公とミニスを見間違えてただけでしたまる』


「……というかかわいい? 僕が?」

「まあみてくれは古賀のり夫みたいですしね」

「そんな美少年じゃないから! つうかお前は僕にあんな悲惨な最期を送れというのか!」

「まあ悲惨な最期という点では大して変わりませんけどね。大学生ラノベ作家(笑)」

「うるせえよ馬鹿!」

 世の大学生ラノベ作家に謝れや!

「では最期です。A7さん。

『大家さんのデレはありますか?』

 あーこれは……ぶっちゃけあります」

「……まああるな」

「ありますツンデレですよね」

「あるよなツンデレだよな」

「…………」

「…………」

「というわけでこれで今回は終了。ではまた来月会いましょう……多分」

「多分?」

「多分」

「そうか」

「はい」

 それじゃあまた。
 今度こそ二月に会いましょう(笑)。


自称神様「最初に痛いQ&Aを追加しました。そのうち増えるので適当に確認もとい黙認しといてください」



[25213] 番外編 その3 その愛の為の
Name: 干支瀬虎◆fd2f536b ID:a6f36a9f
Date: 2011/01/26 22:23
 とある淑女の手記より一部抜粋。


(達筆な字。万年筆で書いたものだと思われる)
 ああ愛しい貴方。世界中の誰よりも愛しい貴方。

 待っていてください。

 どうかわたしのことを忘れずに待っていてください。

 今まで姿を見せなかったことを謝ります。
 だから、どうか、貴方より仕事を優先してしまったわたしを叱ってください。

 貴方なら何をされてもいい。貴方のためなら何をしてもいい。

 だからわたしを見捨てないで。そう、ただ、私を見捨てないで。それだけでいいんです。

 例え貴方に同居人が出来たとしても。(筆圧が強くなる)例え貴方に恋人が出来たとしても。私は貴方を許します。百歩譲ってその恋人も許します。

 でも。

 でも。(ここから読みとることが難しくなる)もし私と貴方の間に―――――いうのなら。私が――ます。そしてそれ―貴――同居している塵――――いうのなら、―切―――――轢――――――愛――削―――、―汚――殺――――――――――――?

 (ここから殆ど読みとることが出来ない)――――――――。――――――――、――――――。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――。以―――――――――――望―――――――――――――――――――――――――嬉―――――――よ?

(ここから達筆な字へ戻る)
 ああ、すみません。

 ちょっと徹夜明けで興奮してしまいました。ふふふ、文章を書くのにも同じようにランニングハイってありますよね。それともこの場合はライティングハイとでもいうのでしょうか?

 ともかく。待っていてください。

 どうか待っていてください。
(ここから無数の『待っていてください』という文字で埋め尽くされている)
 もうすぐ待っていてくださいわたしは待っていてください貴方の待っていてください所へ待っていてください参ります待っていてください。
(恐らく『もうすぐわたしは貴方の所へ参ります』と書いてあるのだろう)
 待っていてください。
 
 待っていてください。

 待っていてください。
(以下不明瞭なので書いてある文章をそのまま書き移すことにする)
 わたしが待っていてください貴方の待っていてください側に待っていてくださいいることが待っていてくださいできたのなら待っていてください、待っていてくださいもう待っていてください外の待っていてください世界に待っていてくださいおびえることは待っていてくださいありません待っていてください。待っていてください。


 うふふふふふふふふふふふふ。ふふふ。うふふふふふふふふふふふうふふふ。

 待っていてください。

 そ待っていてください。の待っていてください。貴待っていてください。方待っていてください。の待っていてください。恋待っていてください。人待っていてください。が待っていてください。気待っていてください。に待っていてください。入待っていてください。ら待っていてください。な待っていてください。く待っていてください。な待っていてください。っ待っていてください。た待っていてください。ら待っていてください。、待っていてください。い待っていてください。つ待っていてください。で待っていてください。も待っていてください。わ待っていてください。た待っていてください。し待っていてください。が待っていてください。刻待っていてください。ん待っていてください。で待っていてください。た待っていてください。べ待っていてください。て待っていてください。あ待っていてください。げ待っていてください。ま待っていてください。す待っていてください。よ待っていてください。?待っていてください。

 待っていてください。


 以上抜粋終了。



[25213] X話 2月0日 プロローグ(超短いよ!)
Name: 干支瀬虎◆fd2f536b ID:a6f36a9f
Date: 2011/01/31 00:28
 二年前――つまり僕が小説家になった年の新人賞は、レーベルを立ち上げてから最初の賞だったにも関わらず、非常に豊作だったと言われている。

 七尾数多(ななお あまた)の『勇者と魔王候補の七日間戦争』。
 森芽々人(もり めめと)の『愛と偏愛の潰し愛』。
 夕張東すめらぎ(ゆうばりひがし すめらぎ)の『超添加理論と五月雨』。
 これらの三作品が銅賞。どれも売り上げは好調だったようで、特に『勇者と魔王候補の七日間戦争』は後にレーベルの看板作品になっている。

 銀賞は木菟帷(みみずく とばり)の『細切れになった山脈』。ライトノベルらしからぬタイトルと表紙が相まって、後にドラマ化。面白いように売れたらしい。

 そしてそんな帷の作品を押し抜けて大賞を受賞したのが、

 八闇田箱子(ややみだ はここ)の『日記』。

 実は僕は彼女のことを以前から知っていた。何故なら同じ中学校で同じ文芸部員だったからだ。
 といっても彼女の学年は僕の二つほど上だったため、彼女と僕がともに過ごした時間は一年間だけでその後の二年間は唯一の文芸部員として細々と活動していたのだけど。

 そしてそういう僕自身の作品は受賞することなく、編集部に拾い上げられる形で世に文庫本サイズで出回ることになった。

 その直後からだ、僕が間違え続けたのは。

 僕は彼女の作品が発表されてから、それをすぐに読むべきだったのだ。小説家としてデビューできたことに喜んでいる場合ではなかった。

 でも結局僕がそれを読んだのはそれから一年ほどたった後。それはもう手遅れで、色々なことが起こって色々なことが終わった後だった。

 そうしていろいろ落ち着いた後、ふと書店に立ち寄って、僕は彼女の本を読んだ。いや、読もうとした。

 でも読めなかった。読み終えることができなかった。

 何故なら、彼女の書いた作品には僕がいたからだ。

 そして彼女も――八闇田箱子もいた。

 彼女の作品は、情愛と狂気にまみれた視線から見た『一年間』をそのままなぞったものだったのだ。

 僕とともに過ごした一年間を。




 ☆Q&A~出張編~☆

Q 暗くね? この作品前話から暗くなってね?

A 確かに暗いですね。なんかヤンデレっぽいのを連投しているので「ああこいつまさか、まどかさんをリスペクトしてるのかよ」とか思ってらっしゃる方々もいるでしょうが、残念ながらそれはあり得ます。今頑張って単発ネタの『第一話 魔法少女は転校生?! ~魔法少女マジカル☆ヴァルト爆誕~』を書き上げているところなんです。『第一話』もタイトルに入っているのがミソなんです。魔法少女のマスコットキャラクターがトランクス一丁のキモオタな話なんです。まあ魔法少女まどかマギカみたことないんですけど。


Q じゃあなんでこんな暗いの投稿したんだよ

A 単に2月のタイトルがまだ決まってないんですよ。皆のアイディアが欲しいんですよ。それで記事を上げるために、ギャグを書いていくよりも設定を適当にバンバン書いていく方が楽だったってだけの話なんです。つまりこの質問が本編なんですよ!
  とりあえず今作者が思いついたタイトルが「White Christmasって言葉なんかちょっとエロいですよねbyミニスカサンタ」と「ミニスカサンタはメインヒロインの夢を見るか?」です。あれ? 意外と後者よくね?
  まあともかく上記以外にも2月タイトル超絶募集中なのでみなさん考えて下さいよってことだよ言わせんな恥ずかしい。
  というわけで、明日の投稿からはいつも通りのミニスな日々が始まります。どうぞ来月もよろしくお願いします。



[25213] 10話 2月1日(火)
Name: 干支瀬虎◆fd2f536b ID:a6f36a9f
Date: 2011/02/01 00:03
 大学生活というのは実質一年の半分が休みみたいなもので、こうしてテストが終わるとまた再び四月までの約二ヶ月間の長期休暇に入る。

 ニートでもない限り、人生において二ヶ月間も休みを取れることなんてそうそうない。んだけど、残念ながら僕は小説家として次の巻のプロットを書いて担当に送ったりしなければならない。

 よって忙しいとは言わずとも、僕は平常通りの生活を送ることになる。というわけで七時五分前に起床。

 僕のバイオリズムはいつも通り完璧で、保険のための目覚まし時計は今日も鳴らなかった。

「……おは…よう?」

「うんおはよう」

 そんな僕よりも早起きのコメットはコタツに入って白湯を啜っている。無駄に年寄りくさいロリッ娘だった。

 なんでも六時に月子さんの部屋を抜け出して、それから一時間近くも僕やコメットの寝顔を見つつぼーっとしているとか。どこのおばあちゃんだ、僕たちはお前の孫か。

「……む。……えいっ」

「寒っ! 二月寒っ! ってかすみませんでしたごめんなさい!」

 布団をはがされた。どうやら地の文でおばあちゃん扱いしたことが思想上の犯罪にあたるらしかった。

 そのままでは熱が外気に放出される一方なので、コタツに飛び込んでそれを阻止。寒い寒い、地球温暖化なんて嘘だよね。

 ちなみにこのコタツ机、この部屋に最初から置いてあったもので年がら年中食卓や僕の仕事場としても機能している優れ者である。

「うー寒い……」

「……はい、おちゃ」

「ありがとー……これ飲んだら準備します」

「……ん」

 コメットはすでにジャージで戦闘態勢は万全。たぶんこの娘がいなかったら例年のごとくこの季節はジョギングはやってなかったはずである。


 ☆それから!☆


 ジョギングから帰ってきて、コメットがシャワーを浴びている間。
 僕にはやることがある、ミニスを起こすことだ。ここ最近はコメットと僕によるミニス真人間計画が実行されているので、だいぶこいつの爛れた生活習慣も改善されてきた。

「んみゅー……あいあまあんちくらいすとー……」

「……しかしどうしてセックスピストルズを」

 おまえ一応キリスト教と密接な存在だろうが。パンクバンドの曲なんて歌うなよ。

「いまじんおーざーぴーぽー……えへへへー」

「…………」

 統一感がなかった。今度はジョンレノンかよ。

「わー……天国でシド・ヴィシャスが頭を丸めてラブソングを歌ってるー……」

「なんだその夢は僕も見せろ! つうか今のイマジンもシド・ヴィシャスだったのか?!」

 パンクロッカー騒然のシドとナンシーのバラードである。

「ふぁー……あー……おはよーごぜーます」

「どうでも良いから今の夢! 今の夢はなんだったんだ! まさか天国とチャネリングしていたのか!」

「……えー? 何のことですかー……つーかまだ眠いです……ふぁー」

「覚えてないのか?!」

「だからー……何をですか?」

 きょっととんとした碧眼を見つめて、大きくため息を一つ。まだ体が冷えているのかそれは白くなって消えた。

「…………」

「そんなに見つめちゃ、いやん」

「……もういいや。シャワー浴びてくる」

「あいあいー。ではミニスはもう一眠りしますね」

「お前昼食抜きな」

「朝食じゃないところに悪意を感じます。横暴ですよ」

「食費納めてない居候の分際でなに言ってんだよ」

 むしろ最近ではお小遣いまでせびられる始末。せめてバイトでもしろよ。

「で、でもコメットだって納めてませんよ!」

「納めてるぞ。ちゃんと労働の対価として月子さんが払ってくれてる」

 コメットはたまに月子さんの管理人の仕事を手伝ったりしていて、その分の給料(お小遣い?)の数割が僕の下に「食費」として入ってきている。

「ぐぬぬ……」

「じゃあシャワー浴びてくるからそれまでには布団を畳んどけよ」

「うぬぬぬぬぬぅ」

「ラオウかお前は」


 ☆じゅっぷんご!☆


 僕がシャワーを浴び終わるとすでに朝食はほとんど完成していた。焼き鮭にほうれん草のおひたし、味噌汁に納豆。あとは茶碗に白米を盛れば完成。

 理想的な日本の朝ご飯である。

「……おねーちゃん……よんでくる」

 おねーちゃん。つまり月子さん。
 コメット提案で僕らは月子さんとも一緒に食事をとることになっている。ちなみにあの人は寝起きが悪いので、朝は眼光の鋭さが当社比二倍ですこぶる怖い。

 そんな彼女を起こすことができるのはコメットだけ。月子さんはその容姿から子供に好かれた経験がないから、コメットにはめっぽう弱いのだ。

 というわけでそれまで僕らはそれまでお預け。無駄に美味しそうなご飯が視覚と嗅覚に自己主張してくるおかげで唾液腺がものすごく活発化している。

「それではいっただきまーす」

「待て。ちょっと待てや」

「……いいじゃないですか。がんばったんですよ、私」

「それは知ってるけどさ、食べるのはコメットと月子さんが来てからにしようよ」

 なんと驚いたことに今日の朝食の焼き鮭はミニスが担当したものである。半月という歳月はここまで人を進化させるものらしい。

 ただ食事のマナーが守れてないというのは、まだまだこれから矯正が必要なようだけど。

「ミニスはおなかが空きました……ですのでバレないように皆の納豆だけ食べます」

「むしろそれは嫌がらせだろ」

「だって時間がかかるんですもん、コメットってひたすら『……ゆさゆさ……ゆさゆさ……』ってかんじで揺すってるだけですよ!」

 言うとおりまあ後10分はかかるだろうな。残念ながらうちの朝食のメニューには温かい味噌汁はないのだ。

「でもそれは仕方ないよ。あれならミニスも行ってくればいいし」

「……お断りです」

「でしょ?」

 眉に皺を寄せてミニスは拒否。さすがにあのモードの月子さんとはあまり接触したくないらしい。

「それでは白米だけ食べるとか。おかわりはありますし」

「目の前に焼き鮭や納豆といったご飯と相性抜群のおかずがならんでいるのに、白米だけ食べるのかおまえは」

「……それもそうですね。ではパンを食べてきます」

「そこに行き着いたか?!」

 ごはんがなければパンを食べればいいじゃない。

「まあパンなんてないのでガムをかみつつブラックコーヒー飲んで我慢しますけど」

「もの凄く胃に悪いからな、それ」

 胃液を大量発生させつつ酸性の液体を胃にぶちこんでいるミニスを見て、僕は時計を見る。

 あと五分ぐらいかなー。


 ☆15分後☆


「ごちそうさまです。お花を摘みに行ってきます」

「あいつ腹こわしたな……。それで月子さんは今日のご予定は?」

「パチンコ」

「…………」

 だめな大人の典型的な例である。いくらほとんど労働してなくてもお金が入ってくるからって不健康すぎだ。

「……こめっと…も」

「却下。あそこは子供が行くところじゃないよ」

「……むー」

 どうやらコメットはパチンコに行きたいわけでなく、月子さんと一緒にいたいだけらしい。

 この二人意外なことに非常に仲がいい。一方的にコメットが懐いていて、月子さんも満更でない感じ。
 最初はコメットが月子さんの部屋で寝泊まりするのに一抹の不安を抱いていた僕だけど、その心配は無用だったみたいだ。

 うるうると大きな目を潤ませるコメットを見た月子さんは額に手を当てて大きくため息をつくと、ぐしゃぐしゃとコメットの髪をかき混ぜる。

「……わーったよ、パチンコはやめるわ。公園で散歩してくる。行くぞチビ」

 乱れた長い髪が顔に当たってくすぐったそうにしているコメットは、月子さんの腰あたりにぎゅっと抱きつく。その表情は花が咲いたように顔を綻んでいて、見ている方が微笑ましい気分になってしまう。

「はやくいこーおねーちゃん」

「おぉコメットの台詞からいつもの三点リーダーが。……本当にすみませんねぇいつも」

「てめぇ顔がにやけてんぞ」

「月子さんもですよ」

 いつもの鋭い眼光も今は毒気を抜かれてぜんぜん怖くない。むしろちょっと可愛いな、もとが美人だし。

「……ちっ、行くぞチビ」

 顔を若干赤く染めた月子さんはフリースパーカーのポケットに両手をつっこんで玄関へ向かう。そしてそれを追うコメット。

「うん。じゃあ、いってきまーす」

「行ってらっしゃい、コメット。……それとおねーちゃんも」

「…………」

 すんごい睨まれた。

 とまあそんな感じで。

 月子さんとそれにじゃれつく笑顔のコメットを見送った後、僕は仕事。といっても小説に使おうと思っている資料を読むだけの簡単なものだ。

「……あれ? お二人は?」

「おまえが腹下してる間に散歩に行ったぞ」

「美少女はトイレになんか行きません。お花を摘みに行くだけです、勘違いしないでください」

「はいはい……」

「それにしてもこの寒いのに散歩とは元気ですねぇ」

「おまえも行ってこいよ。昨日から外に一歩もでてないだろ、太るぞ」

「私食べても太らない体質なんですよ」

 それはしゃべってカロリーを消費しているからか。面倒な体質だな。

「……まあ別に家にいてもいいけど、僕の邪魔はするなよな」

「了解です。じゃあノーパ借りて良いですか?」

 僕の返事も待たずにミニスはコタツの上にあるパソコンを起動させる。鈍い唸るような起動音。

「そういえば最近僕のパソコンよく使ってるみたいだけど、何やってんだ?」

「え? ブログの更新ですけど」

「……更新? 自分のブログをか?」

「はい」

 正直意外だな。飽きっぽいこいつがブログとは。

「あ、それと今度でいいので私の口座を作ってほしいんですが」

「……口座?」

「ええ。そろそろアフィリエイトで稼いだ分を現金化しようかな、と。……あ、それに役所にも所得税の申告をしないと」

「所得税?! おまえいくら稼いでるんだ?!」

「…………」

 顔をおもいっきり逸らすミニス。すかさず両手で無理矢理こっちを向かせる。

「ぜぜぜ、税金とか払わなくて良いですのよ? ほ、本当ですわよ?」

「……所得税ってことは百万は越えてるよな」

「な、何のことでございましょうか?」

「食費」

「だっだめです! このお金は全部パソコンと漫画とゲームとアニメグッズに使うんですから!」

「生活費も納めずに何舐めたこと言ってんだお前! 食費ぐらい微々たるものだろうが!」

「いーやー!」

 ミニスが僕の家に来てから一月。
 こんな感じで僕らの二月目が始まった。



[25213] 11話 2月3日(木)
Name: 干支瀬虎◆fd2f536b ID:a6f36a9f
Date: 2011/02/03 21:04
 午後。昼食を終えた後。

 月子さんは用事があるとかでバイクで外出中。それにコメットもついていこうとしたのだが、月子さんの二人乗りは危険との判断によりお留守番。よってコメットは自宅にいることになる。
 一方の僕も言うまでもなく自宅にいる。
 そういうわけで久々に僕とコメットの両方が暇な時間ができたので、

「コメット先生の魔法教室の始まり始まりー」

 先月の僕とコメットの約束をようやく果たす時が来たわけである。

「……ん」

「それでさ、そもそも魔法って何?」

「…………?」

 どういうこと、というポーズ。

「いやだからさ、こう……エーテルとか魔力がどうのこうのとかさ……」

「型月的なアレを期待しているようですが、魔法ってそういうのはないですよ?」

 アフィリエイト収入により新品のノートパソコン(僕のより高いやつだ)をほくほく顔で触っているミニスが言う。

「Q&AのQ22を見てください。ちゃんと書いてありますよ。魔法とは少年少女の夢と希望が詰まった素敵テクノロジーのことなのです」

「早速Q&Aをネタにしてるし……。つうか説明になってないんだけど、それ」

 少年少女の夢と希望とかじゃなくて、もうちょっと常識人にも分かりやすく言ってくれないと。少なくとも僕には理解できねーよ。

「……でもだいたい…そんなかんじー」

「マジで?! それでコメットは理解してるの?!」

「……ん」

「というわけでこれでもどうぞ」

 ミニスはPCのDVDドライブからディスクを取り出して僕に渡す。
 ラベルにはひらひらピンクの際どい服を着た少女の姿。なぜかその手にはやけにゴツい両刃剣が握られている。

「魔法少女マジカル☆ヴァルト?」

「最近流行のアニメです。これでも見て少年少女の心を思い出せば使えるようになるんじゃないでしょうか」

「……いやどう見てもこれ大きなお兄さん向けだろ?」

「ですから深夜にエッチなアニメを期待して夜更かしをしていた中学生のあの頃を思い出してください」

「そんな思春期特有の欲望にまみれた回顧は嫌だよ!」

「でも冗談じゃなく子供の心を思い出すというか、無条件にあらゆるものを信じる、というのは魔法使いへの第一歩ですよ」

「……ん」

 ミニスの言葉にコメットも同意するようにうなずく。

「え? そうなの?」

「はい。基本的に視認している世界を変革するためには、その世界の変化を自信が許容することが必要なんですよ。だからそれは現在の世界――A世界とここでは仮定しましょうか――の不確実性と、自身の望んだ変化後の世界――これはB世界ですね――の確実性を無意識状況下で許容すると言い換えることもできるんです。ですからその確実性と不確実性の相反する世界観を両方とも認識しつつ、A世界を中心とした時のB世界との相違点を抽出しつつそれを上書きしなければならないわけです。で、その認識と上書きをうまく行うのにはいわゆる「子供」の感性というか、柔軟な考え方が必要になってくる訳なんです。だっていくらこうやって言葉で理解したとしても、実際に体感するのではまた話が異なってきますからね。そしてこの場合精神性というのが関係しないのかというのが過去に議論点になったのですが、人間の意識とはクオリアの問題がある以上比較実験自体ができないわけです。それに子供の精神と言っても、その年齢は現代心理学のジュネの法則に乗っ取って言うと上から下まで大きな違いが発生するため、あまりこの場合は考慮しなくても良いという判断が通説になっています。そういうわけですから、やはりわたしたちは疑似的に子供の感性と発想を自らの脳を使ってエミュレートすることが一番の魔法を使う場合の近道となるわけです」

 何言ってんのこいつ。完全に日本語でお願いします状態なんだけど。

「…………。……コメット」

「……わかんない?」

「うん」

「……こめっとも…わかんない」

「はぁ?! ファッキン! 何故わからないのですか! これだから脳が高野豆腐のようにパサパサな糞どもは! そんなんじゃ魔法を使うなんて絶対にできませんよ!」

 いや理解してないコメットが使えてるだろ。

「……ともかくー」

 コメットが指を軽く振るう。
 どさどさどさ。
 と本がどこからともなく落ちてきた。

「えーっと……これって絵本?」

 百万回生きた猫、葉っぱのフレディ、怪獣たちのいるところ。などなど。

「……ちなみに……これもまほー…だよ?」

「いやわかるけどさ……」

 うーん、やっぱり詠唱とかはないのか。なんだか寂しいような。

「絵本よりーマジカル☆ヴァルト見ましょうよー超おもしろいんですってー」

「……とりあえずこれを……よんでみて?」

「了解。まあダメもとでやってみるか」

「ふぁっきんふぁっきんミニスは無視ですかー」

 そんな感じで今日の午後はコメットと一緒に絵本を読むことにした。絵本なんて最後に読んだのは幼稚園の時ぐらいだろうか。魔法とか関係なく、今読みなおしてみると結構おもしろい。
 ちなみにミニスはふてくされて一日中魔法少女マジカルなんとかを見ていた。


 ☆おまけ☆

「……あ」

 時刻は午後五時。そろそろ夕食の準備を始めようかと思い立ったその時。重大な事実に気づいてしまった。

「どうしました?」

「そういえば今日って節分だ。すっかり忘れてた」

「……まめまきー」

「夕食は恵方巻きがいいです」

「いや今気づいたんだから、何も準備してないんだって」

「……えー」

「えー」

 お子さま二人からブーイング。仕方なく、今からスーパーで買ってこよう。と思い立ったその瞬間、ドアが開く。
 そこに立っていたのは月子さん。いつものように眉間にシワを寄せて機嫌が悪そうにしている。
 そして右手には白いビニール袋。

「おい、おまえら土産だ」

 言って、月子さんはその袋をコメットに押しつける。

「これは……」

「ありがとうございます! 豆です! 恵方巻きです! いやっほぉぉぉ!」

「……おねーちゃんありがと……わーい、わーい」

 子供二人大喜び。そういえば二人とも節分は初めてなんだっけ。

「わざわざすみません、月子さん」

「……知り合いに押しつけられただけだっつーの」

 月子さんはふん、と座布団に腰を下ろす。

「でもそこにレシート落ちてますよ」

「はぁ?! レシートはちゃんと財布に入れたはずだ!」

「あ、やっぱり自腹で買ってきてくれたんですね」

「…………ブチ殺す」

「あははカマ掛けてごめんなさいってえそのヘッドロックはやめてください痛い痛いっちょやめっごめんなさいごめんなさい痛いですってっちょ頭が割れる割れます割れちゃいますから二人ともこの鬼に豆投げてぇぇぇ!!」



[25213] 12話 2月6日(日)
Name: 干支瀬虎◆fd2f536b ID:a6f36a9f
Date: 2011/02/06 13:09
 ぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱち。
 とキーボードが奏でる二重奏。
 コタツの上のほとんどのスペースを占めている僕とミニスのPCの柔らかな駆動音が微かに聞こえている。

 最近コメットが月子さんにべったりなので、こうやって二人でいる時間が増えた気がする。少なくとも僕にとっては作業効率の低下に繋がるので嬉しいことではない。

「私ってどんなキャラでしたっけ?」

 ほら、訳の分からないことを言い出した。

「……何言ってんだお前」

「いえ、感想板でも指摘された上に作者も内心思ってたことなんですけど、私ってもっと変な奴じゃありませんでした?」

「ありませんでした? とか言われてもなぁ……」

 正直なところ僕には答えにくいというか、わからないと言うか。つうか何よりそれを僕に聞くな。

「思えば私、恵方巻き程度で喜べるような可愛い生き物じゃなかったですから」

「わざわざ買ってきてもらって失礼もいいところだなお前!」

「ですからそういう失礼千万なのが本来の私のキャラなのではないでしょうか」

「……そこまでは知らないから」

「もっとまじめに考えてください! 今後のコンビの方向性を決める重要なお話なんですから!」

「お前とコンビなんて組んでねえし死んでも組みたくねえよ!」

「いいじゃないですか。コメットは結局百合に走っちゃったんですから、残りの私たちでよろしくやっていくしかないでしょう?」

「……色々とツッコみたいけど、少なくともお前とはよろしくやりたくないぞ僕は」

「そんなこと言わずにー頑張りましょうよー、私たち二人で一人、『恋人(ラブクラフト)』じゃないですか」

「ラブクラフト?! もうコンビ名まで決めてるのか?!」

「ネタは全てクトゥルフ絡みでいきましょう」

「ピンポイント過ぎだよ!」

「一発芸、インスマウス面!」

「うわすげぇ気持ち悪い!」

 (自称)ヒロインなので詳しい描写はやめておこうと思う。

「……と、脱線してしまいました。それで私のキャラの件ですが、この小説の人気が私一人に支えられている以上私のキャラひいては芸風変更はマズいと思うのです」

「はいはいまずいまずい」

 そういう誇大妄想はお前らしいよ、大してキャラ変わってねーじゃねえか。

「それでですねー原点回帰ということで、私一度サンタの国に帰ろうかと思います、そして再びケーキの中から登場! ってどうですか?」

「はいはいいいんじゃない」

「反応が薄っ?! せめて驚いてくださいよ!」

「だってどうでもいいし。むしろ食費が減るからこっちとしては嬉しい限りなんだよね」

「……今決めまりました。あなたも連れていくことにします」

「はぁ?! 何で僕も行かないといけないんだよ?!」

「私ではなく作者が今決めたからです。今月は同期サイドのお話の予定なので、来月はサンタサイドのお話にしようかな……ってなんかちょっt禁書っぽくないですか!」

「ぽくねえよ! そんな能力バトルな成分は僕らに含まれてねえから!」

「おそらくそのうち、変態出版社とサンタクロース協会による第一次変態大戦を阻止するために私たちが大活躍するんですよ! その結果ミニスの活躍により戦争が終結するわけです。あなたの消滅と共に」

「何さらっと僕を亡きものにしようとしてんだ! つうか僕ラスボス?!」

「そして平穏を取り戻した私たちに安息の日々が訪れる訳です。――凶悪な『新同期』が私たちのが現れるまでは。

 新約 とあるトットの絶対領域(ミニスカート)

 乞うご期待ください!」

「何か始まった?! それに新同期って普通にただの後輩だよな?!」

「もしかしたら今月登場させるつもりがない、七尾数多さんと夕張東すめらぎさんなのかもしれませんよ?」

「どうでもいいわそんなこと!」

「頑張ってください『妄想生成(イマジンジェネレーター)』」

「語呂が悪いだろそれ!」

「……というわけで、そろそろ何かエンジンかかってきましたよ! この今月はこの調子で頑張りますよ! ただ次話はミニスは全く登場しませんけどね!」

「しないのか?! 張り切るタイミングが最悪じゃねえか?!」

「まあそれもこの作品らしくていいんじゃないですか? こういうがっかりでぐだぐだな所とか。むしろいい感じの肩透かし具合ですよ」

「……面白いくらいにその通りだけどな」

「それでそろそろ作者のネタとやる気に限界が来たので次回予告でもやって終わりにします。次話の文章量は4倍ぐらいあるので今回はこの程度で勘弁してください。それでは皆さんさようなら」


 ☆次回予告☆


 朝、同期の木菟帳(みみずく とばり)からファミレスに呼び出された僕はそこでとある事実を告げられる。
「実は俺――口内炎が治らないんだ」
 衝撃の事実に戦慄を覚えた僕がとった行動とは――?

 第13話 そのうち投稿予定



[25213] 13話 2月9日(水)
Name: 干支瀬虎◆fd2f536b ID:a6f36a9f
Date: 2011/02/09 19:14
 朝の五時半。僕は志村正彦の何とも言えない独特の歌声で目覚めた。野球中継のテーマソングであるあの曲。
 思えば彼が亡くなったのは二年前。同じ年にアベフトシやマイケルジャクソンも天に召されたけど、個人的にはリアルタイムで聴いていたこともあり、彼の死が一番衝撃的だった。
 それにしても全く持って時が経つのは早い。
 だって僕と彼女が再会したのも同じように二年前だったから――

 とかそんなモノローグはどうでもいい。大切なのはこの曲が僕の携帯電話の着信音に使われているということだ。
 こんな朝っぱらから誰だよふざけんなとか思いつつ、携帯の液晶のディスプレイを見る。

 そこには『木菟帷』の文字。個人的には『へんたい』と読むことをおすすめする。

「…………」

 無視したいが、無視しても面倒なことになるのは経験済みなので仕方なく電話にでることにした。

「……もしもし」

「アイラブユー愛して――」

 切る。再び電話がかかってくるので、取る。次またふざけたことを抜かしたら着信拒否にしようと思う。

「もしもし簡潔に用件だけ言え」

「つうかいきなり電話を切るなんて酷いぜ、たっくん。それで今暇か? つうか暇じゃなくてもいいや、締め切りぐらいブッチしようぜ? つうわけでいつものファミレス集合な」

「…………」

 おまえ、僕の予定表には締め切りしかないと思ってるだろ。つうか時間を考えろ。

「あのさ帷……おまえ今何時だと思ってんだよ」

「何時でもいいだろうがよー、ファミレスは24時間開いてんぞ」

「そういう意味じゃねえよ! 僕は今寝てたんだ!」

「おお! 俺もさっきまでナンパした祐子ちゃんと寝てたぜ? 早妃も一緒で3Pだ」

「おまえ僕と会話する気ないだろこの色情魔が!」

「うるせえな……いいからさっさとこいよー」

「……本当に行かないとダメなのか?」

「たりめえだろ、感謝しろよ? ダチがいないせいで万年ヒッキーやってるたっくんのために、わざわざ外出の切っ掛けを与えてやってんだからな」

「友達がいないのは余計なお世話だよ馬鹿野郎! それに僕だって外出ぐらい普通にできるわ!」

「なら大丈夫だな、ちゃんと来いよー」

「当たり前だ! ……ってあれ?」

 なんだかうまいように言いくるめられてないか、僕?

「そんじゃあ六時に集合な、待ってるぜ」

「あ、おい! ……ったく、なに考えてんだよあの変態は……」

 仕方なく僕は携帯電話を布団に叩きつけ、外出の準備をすることにした。
 ……三人には書き置きをしておけばいいか。


 ☆それから!☆


 小説家の印税収入というのは実売部数ではなく、印刷部数が関係している。極論、一冊も売れてなくても会社側の判断で沢山重版されることになれば、その時点で多額のお金が入ってくることが

約束されるということだ。

 そして僕らの同期の中で、最も重版されている(もちろん一番売れているという意味だ)作家が、目の前にいる木菟帷(みみずく とばり)である。何でも今書いているシリーズはすでにアニメ

化まで決定しているとか。

 男であるのだが、ボーイッシュな女の子にも見えるほどに華奢なその姿。
 着ている服や髪型もユニセックスを意識させるもので、すべてそれは狙ってやっているというのだからよくわからない奴だ。
 ともかくそんな木菟帷という男は、男女分け隔てなくその手の趣味の人がある人なら堪らないであろう超絶美少年なのである。

「実は俺――口内炎が治らないんだ」

「……口内炎? 何言ってんだお前」

「俺は人を騙したりするのが嫌いな男ってことだよ。嘘が事実じゃねーなら、事実を嘘に変えるだけでいい。要はこの部分は前回のせいで書き足された部分ってことだな」

「は?」

「まあ気にすんな。それにしてもだ。たっくん、今日も可愛いなー、キスしてもいいか?」

 確かに木菟帷が超絶美少年であることは否定できない事実なのだけど、両刀遣い、つまりはバイセクシャルであることも否定できない事実なのである。

「いやほんとに毎度のごとくやめてよ、寒気がする」

 僕は帷と向かい合うように座る。異常に煙草の煙を嫌う帷御用達のボックス禁煙席。

「そういうたっくんも毎度のごとくノリが悪いじゃねーか。たっくんといい箱子といい、小説家ってのは変な奴ばっかだな、俺みたいな美少年とセックスできるんだから、むしろ尻尾振って喜ぶべ

きだろ」

 まあ俺は腰を振るけどな。と下品なジョークを付け加える帷。

「……僕はそんな趣味はないし、変な奴日本代表のおまえだけには言われたくない。それと箱子さんと僕を一緒にしないでよ」

「おお、全部きれいにツッコんでやがる。さっすが潔癖性」

「おまえが汚れすぎてるだけだよ、性病で死ね」

「うわーひでぇよ、たっくんツンデレー」

 うひゃひゃひゃひゃ、と笑う。美少年が下品に口をゆがめている姿は、どこか気味が悪い。

「……それでなんでこんな朝っぱらに呼び出したのさ」

「まあそれは注文してから話そうぜ。早妃、いつもの頼む」

 言うなりどこからか現れたのは、眼鏡をかけた一人の女性。普通の人なら見るだけでドン引きすること請け合いのメイド服(この店の制服ではない。だが彼女はこのファミレスのバイトだ)を、

素敵に違和感無く身にまとっている。

 彼女は七竈早妃(ななかまど さき)さん。このファミレスのバイト店員兼帷の性奴隷兼専属メイドである。

 ……いろいろと不穏当な単語が飛び出してきたのは気にしないで欲しい。

「お子さまライスですね、了解しましたわ。それで、たっくん様はどうなさいますか?」

「……あー朝食セットAでお願いします。というか、たっくん様はやめてください」

「はいわかりましたたっくん様、Aセットでございますね。冷凍食品ではなくきちんと一から調理した早妃スペシャルメニューですので、少々時間がかかりますがよろしいですか?」

「おう、待ってるぜ」

 僕の返事は聞くまでもない、と言わんばかりに颯爽と去っていく早妃さん。その歩く姿にブレはなく、いつも通り凛としていた。

「様はいらないって言ってるのに……融通きかないなぁ」

「嫉妬してんだよ」

「おまえにね」

「違いねえ」

 言って帷はコップの水を一気に呷り、そのまま重力に任せるようにしてテーブルにたたきつける。

「でだ。本題だけどさー……たっくんモリっちの居場所知らない?」

「モリって……森芽々人(もり めめと)?」

「そーそー、森芽々人だよ。編集部が最近連絡取れないからって、俺にも話が来てさ。一応たっくんにも聞いとこうと思って」

 森芽々人さんは帷と同じで、僕の同期で受賞した作家だ。元々はエロゲーのシナリオライター畑の人だったらしく、結構その手では有名な人。
 受賞式で一度会っただけだけど、不健康そうな30代の髭面おっさんだった。
 そして何故か奴隷のブローカーをやっている社会的にアウトな人でもある。

「……いや僕あの人の連絡先も知らないんだけど」

「だろーなー。……まあ大方人身売買でパクられたんじゃねーかな」

「パクられたって……警察に? ついにお縄になったのかあの人」

「いやヤクザに。あいつのせいで超高級ソープが軒並み売り上げ落としてるって知り合いが言ってたし、もしかしたら今頃海の底なんじゃねーの?」

 けらけらと笑う帷。

「…………」

 おい。笑えねーよ、おい。

 僕もあの人に話を持ちかけられたことがあるし(もちろん断った)、帷本人にいたっては早妃さんを木菟さんから買っている。

 ……何で僕の同期ってこんなやばい奴ばっかなんだよ。

「つうかそれ僕に聞く必要ってあったのか?」

「まあ、ほとんど事実確認みたいなもんだけどな。つうか、ヒッキーのたっくんにはそこまで期待してねーよ」

「うるさいな、僕はまじめに仕事をしているだけだ」

「真面目なんて糞食らえだ。そんなもんロックじゃねーぜ」

「いやいつの時代だよ……女と酒とドラッグがロックンロールとか今じゃ流行らないだろ」

「いや俺のロックは女と男とセックスだ」

「ただの性欲過多じゃねえか!」

「ちなみに死ぬときはジミヘンみたいに寝ゲロで死ぬと決めてるんだ」

「そんなとこだけ真似するのか?!」

「別にいいだろうがよ。中島らもも村上春樹もロック好きじゃねーか……お、きたきた」

「こちらがお子さまセットと朝食セットAになります」

 鼻腔をくすぐるいい匂い。こう言うと失礼だけど、やはり最近料理を始めたばかりのコメットとミニスの料理よりも早妃さんの料理の方がおいしく見えてしまう。

「あ、どうも」

「お会計はどうしますか?」

「たっくんの分も俺持ちで」

「了解しました。では私の給料から差し引いておきます。あと今日給料日ですので、生活費を差し引いた分を自宅でお渡ししますね」

「さんくすー」

「……いやおごってもらうのは有り難いけどさ。それでいいのか、お前ら」

 給料料から生活費を差し引いた分って……早妃さんが自由に使えるお金がないってことだよな。

「? なにがでしょうか?」

「何かダメなとこがあったか?」

 二人に素で疑問にもたれてしまった。

「……いえ何でもないです」

「じゃあ食べようぜ」

「ああ……」

 獲物を捕食する肉食獣のように、お子さまライスと格闘している帷。そしてそれを熱のこもった視線で見つめながら、ドーパミンに支配されてます私といわんばかりの笑みを浮かべている早妃さ

ん。

「…………」

 僕にはこの二人の関係が僕にはよくわからない。けど、まあ互いに幸せそうなのでこれはこれでいいのかな、と思った。


 ☆それから!☆


 朝食を食べてから、お茶を啜りつつ世間話に花を咲かせている僕ら。時刻は七時を少し過ぎたぐらいで、まだまだ店内に人気はない。

「ちなみに世間話で咲かせていたのは薔薇の花じゃねえぜ。残念だぜ」

「わかってんだよ馬鹿!」

 薔薇とは同性愛をカミングアウトした男性のことだ。くそみそ的な男性読者向けの漫画を指したりもする。
 ……ってなんでそんなこと知ってるんだよ僕。

「でもうーん……やっぱりたっくんを落とすにゃあ好感度が足りねぇんだよなー……つうか俺ってそんなに魅力ねーのかな?」

「いや相性が絶望的に悪いだけだよ。攻略対象外だから」

「そういうツンツンしたところが可愛いよ、マジで」

「……吐き気がする」

 冗談ではなく、嘘偽りなく本心で言っているところとか本当にやめて欲しい。せめてそういう対象は女性だけにしろよ。

「ツンデレいいよな……さっきの祐子ちゃんもそういうトゲトゲしたところがあって、萌えたんだよなあ…………あ、やべえ元気になってきた」

 ジトリとした帷の生ぬるい視線に晒された僕は、すぐさま視線を外す。

「……なあたっくん」

 べろり。と舌なめずり。耳元で発せられたかのようにはっきりと聞こえる、粘着質な音。

「…………」

 うんこれはまずい。厨房にいる早妃さんに助けを――ってうわすげぇ睨まれてるよ、僕。

「…………(とばりん様といちゃいちゃしてるなんてうらやまけしからんぶち殺す! オマエマルカジリ!!)」

「…………(いやいやいや! 僕はこいつに興味ないですから!)」

「…………(ああん? とばりん様に興味がない? テメェ、美しさと可憐さが混合した天下無双の神聖なるとばりん様を馬鹿にしてんのかコラァ!)」

「…………(いやだからそうじゃなくて単純に僕男に興味ないだけなんですよつうかとばりん様ってなんなんですかまあそれはどうでもいいのでどうかお願いしますから助けてください)」

 ――というアイコンタクトが行われた結果、早妃さんが救いの手を差し伸べてくれることになった。言うまでもないことかもしれないが、その手は僕を助けるためではなく、ただ互いの利益の一

致しただけであることをここに明記しておく。

「とばりん――ゴホン、帷様、お戯れはそこまでになさってください。こんなゴミ屑と体液交換を行っては帷様のお体に毒です。きっとそのうち吸血鬼になってしまって、丸太で潰されてしまいま

すわ」

「彼岸島?! つうかもうちょっと言い方があるだろ?! あんたどんだけ僕が嫌いなんだよ! ……じゃなくてだな、帷。僕はお前とはただの友達でいたいんだよ」

「友達? いやそれは別にいいわ」

「拒否られた?! そこは拒否るんだおまえ?!」

 そんなに僕は友達がいのない奴なのか!

「それは違いますたっくん様。あなた様は友達がいのないやつではなく、友達がいないやつなのです」

「うるせえよ上手いこと言ったつもりか馬鹿! つうかあんたもモノローグを読むんじゃねえ!」

「あっはっは……やっぱりたっくんは面白いよな。それに……早妃は嫉妬してくれたのか?」

「――――っ! い、いえ私はあなた様の所有物ですからし、嫉妬など……」

「お前も可愛いなあ……」

 にやにやと笑みを浮かべつつ、早妃さんを膝の上に抱き引き寄せるようにする帷。

「……なっ、ちょ、耳をふーってしないでください! ふーって! あひゃっ! ああっ! だからってかみかみもっ! ひぃ! ほ、他の方が見ていらっしゃいますから、ああんっ!」

 おい……なんか始まったぞ、おい。

「……トイレに行ってくる」

 いや居心地が悪すぎるだろ。なにしてんだよこの二人。他に客がいないとはいえ店の中だぞ? 公然猥褻だぞ?

「トイレって……性欲なら堂々とここで処理すればいいじゃねーか、3Pしようぜ」

「誰がするか糞が勝手に盛ってろ猿!」

 というわけでXXX版のお世話にはなりません。いつまでもチラ裏に粘着しますよ。


 ☆それから!☆


 たっぷり30分トイレで時間をつぶして席に戻る。
 なんというか、生ぬるい匂いというか、事後の匂いというか、ともかくそんな感じの独特の匂いが鼻を突く。よって窓を開けて換気。換気。換気。

「……本当にお前馬鹿だろ」

「いやあー気分が乗っちゃってさ。今度はたっくんもヨガらせてやるから勘弁な」

「んなことする必要ないから今すぐに死ね」

「ひでぇよー嫉妬だーうひゃひゃひゃツンデレたっくんかっわいー」

「…………。つうかいつまでここにいるんだよ、そろそろ僕帰ってもいいか? なんか中途半端に起こされて眠いから家帰って寝なおしたいんだけど」

「んー……まあいいけど……って、あ! そうだ、たっくんに伝えとこうと思ってたことがあるんだよ」

「何だよ?」

「あ・い・の・コ・ク・ハ・ク」

「ぶん殴ってもいいか? ぶん殴ってもいいよな?」

「――たっくん様? 帷様の肌に傷の一つでもつけようものなら……分かってますね?」

 僕の喉元に突きつけられたフォーク。というか実際、微妙にめり込んで痛い。

「……えーっとどこに行ってたんですか早妃さん」

 喋るとフォークが僕の喉を刺激し、その電気信号がそのまま僕の生命の緊急警報となる。

「乙女の秘密を暴こうとするなんて失礼な人ですね」

「さっき俺が早妃に中だし――」

「帷様は黙ってください」

「へいへい……」

 帷はやれやれだぜ、とアメリカンポーズ。今なんて言おうとしたこいつ。

 早妃さんの視線が帷から僕へとスライド。したような気がする。僕からは見えないからこれは感覚的なものだ。

「たっくん様、喉が痛いでしょう? その痛みが乙女の嫉妬心です。身を持って体感していただけてますか?」

 嫉妬心はこんな寒気は走らねえよというかいつも僕の方が呼び出されて求愛されてるだけなんですけど。とは言えないのでただ縦に頷く。フォークが深く食い込んで痛い。

「では今後は帷様の周りを蠅のように飛び回らないように」

 という言葉とともに解放。おもいっきりせき込む僕。

「あーやりすぎだって早妃。たっくん涙目じゃん」

「すみません、以後は楽にして差し上げることにします」

 楽に?! 次は殺されるのか?! 僕死んじゃうのか?!

「うわぁ……怯えてる姿も可愛いなあ。全力でぶち込みたくなってくるぜ」

「それは私で我慢してください」

「やだよ、おまえは壊したくないし。大切に扱うって決めてるからな」

「帷様……」

 うるるるんっ、と目を潤ませる早妃さん。

「僕は壊れてもいいのかよ……」

「って早妃、愛し合うのは後でだ。たっくんさっきの告白は冗談で――あ、いや冗談じゃねえし本気なんだけど、それとは別に言いたいことがあってだな」

「お前の告白はどうでもいいからさっさと言え」

「箱子――八闇田箱子(ややみだ はここ)」

「あ?」

「もう当たりをつけてるらしいぜ、お前の住処(アパート)をさ」

「…………」

 結局逃げきれなかったな、と帷は言った。

 僕は何も言えなかったけど、同じことを思った。



[25213] 14話 2月11日(金)
Name: 干支瀬虎◆fd2f536b ID:a6f36a9f
Date: 2011/02/11 15:58


 中学生時代、八闇田箱子はいじめられていた。

 原因がどうあれ、学校という狭い社会においていじめとはただひたすら人格の否定であり、心理的な暴力を振るわれていることと同義であることは間違いない。

 肉体だけでなく精神的にも成長期にある人間が、そういうことを経験するとどうなるかなんて火をみるより明らかで、結果、八闇田箱子は世界との繋がりをほとんど断ってしまった。

 そんな彼女が担任の尽力により、保健室ではあるけど一応学校へと登校し、文芸部として入部してきたのは彼女が三年の五月のこと。僕が中学校に入学して一ヶ月経った頃だった。

 その頃の僕はいわゆる中二病で、唯一の文芸部員として夢野久作と大槻ケンヂとニーチェを読みふける毎日を送っていた。
 毎日文芸部の部室にこもっているような奴に、他人を気にする暇などあるはずもない。その無関心が彼女のためになるであろうと担任の教師は判断したのだろう。もしくは変な奴は変な奴同士で固めておこうとでも思ったのかもしれない。

 ともかく僕と彼女の放課後はそうやって始まった。

 人との接触を自ら絶った僕。
 人との接触を絶たざるを得なかった彼女。
 
 そんな僕ら、文芸部員は似たもの同士だった。
 少なくともその頃は。


 ☆ ☆ ☆


 終わった終わった終わった。お仕事が終わった。

 たーの家も見つけたし、これでやっとたーに会える。藁にもすがる思いで、あの胡散臭い男の興信所に通った甲斐があった。

 と思ったのに。

「はいなんでしょうか、っておお、ゴスロリさんですか。珍しい」

 インターフォンを押して、たーの家から出てきたのは赤いサンタクロースのコスプレをした外国人。わたしのたーを寝取った雌猫だ。できれば盛大にたーに捨てられて欲しい。

「たーは?」

「たー? ……ああ、この家の主かつ主人公の引きこもり大学生小説家のことですか」

「……そう」

 この女の言い方が苛つく。まるでたーを馬鹿にしているみたい。たーの彼女じゃなかったらおもいっきり殴って刻んで食べてやるのに。死ね死ね死ね。

「彼なら担当さんとの打ち合わせに行ってますよ。もうすぐ帰ってくると思いますが」

 そっか。たーはいないのか。

「あのー、そういうあなたはどちら様で?」

「八闇田箱子」

「ややみだはここ……かわったお名前ですね。って、そうではなくて、あの人とはどんな関係なんですか?」

「……元恋人」

 いらいらする。いらいらする。いらいらする。
 まるでこの女に負けているみたいでいらいらする。

「も、元カノ?! も、もしかして今日は彼とヨリを戻しにきたとかそんな感じですか?!」

「違う。ただ、たーに会いたかっただけ」

 そんな希望は……無いというと嘘になるけど。

「会いたかった……今でも彼のことを?」

「うん」

「健気な彼女さんですね」

「……怒らないの? わたしが彼に会いに来てるのに」

「? えっと……別にそんなん自由でしょう。私にどうこういう権利は無いと思いますが」

「うん。あなたにはわたしとたーの関係には確かに関係ない」

 そう。わたしとたーの間にあなたが入り込む余地なんてないんだ。暗にそう言う。

「ですね」

 でも彼女は当然のように同意した。そのことにわたしは内心驚く。

 人間関係において、そこまで割り切れるほど人は単純じゃない。自分の恋人が知らない女と話していたら嫉妬の一つぐらいするものだ。現に私はこの女に嫉妬している。

 でもそういものが彼女にはないらしい。

「……嫉妬しないの?」

「は? 彼が元彼に会うだけでしょう? しませんよ、別――(あ、やべぇ私あのヒッキーの彼女設定があったんだった)、あ、超しますよ! 超嫉妬してShitします!」

 私に気を使っているのか、思い出したように言う女。まるでわたしのことなんて、ハナから眼中に無いみたいでいらいらする。いらいらする。いらいらいらいらいらいら。

「いらいら……」

 たーはいないし。女はいらいらするし。

 こんな日は肉を食べるに限る。まだ時間はたっぷりあるし、一年間も待つことができたんだ。きっと今日も我慢できるはず。

「……今日は帰る」

「え? 帰っちゃうんですか?(いやっっほぅあぶねぇぇぇぇぇぇぇ帰れ帰れボロが出る前に木村カエレ!)」

「うん。でも――」


 ☆それから!☆


「あーマジでどうしようかな……」

 担当さんとの打ち合わせが終わって家につく。
 あれから二日経ったけど、僕には今のところ打つ手がない。ミニスとコメッットがいるから、僕がすぐさまここを引っ越して雲隠れするわけにはいかないし。

 箱子さんの担当さん(麻美さんというタイトスカートのお姉様。是非僕の担当と交換して欲しい)の話では、新刊の原稿はほぼ完成しているらしいので、そろそろ僕に対してアクションをとってくる頃だろう。

「しんどい……考えたくない、旅行にでも行きたいなー」

 再来月のことなんてどうでもいいから、今スウェーデンに行きたい。……あれ、再来月って4月だろ? 大学始まってるじゃねえか、どうすんだよ作者。考えなしに書くからそのしわ寄せが僕にくるんだよ留年なんて絶対に嫌だぞ。

「……どうしたんですか一昨日から。なんか仕事に身が入ってないみたいですけど」

 こたつに入ってぼけっと考えごとをしていると、ミニスが話しかけてきた。風呂上がりなせいか、女性特有の甘い匂いがする。ちなみに今日はパソコンではなくラノベを読んでいる。

「アニメ化おめでとうございます、神様のメモ帳6巻好評発売中です。内容的にアニメに向いていないような気がしますが、まあ期待してますよー。……で、どうしたんですか? 何か最近の宮崎県ばりに不幸オーラが漂っていますけど」

「マジでがんばって欲しいな宮崎県。……じゃなくてだな……んーなんつーか、面倒な事になった」

「面倒なことですか? 私と会話するより?」

「同じくらいに面倒なことだよ。それと自覚あるなら自重しろ」

「ふーん……まあミニスに迷惑がかからないならいくらでも困ってください」

「そんな他人事な」

「他人事でしょう」

「まあそうなんだけどさ……というかなんかおまえ、今日はやけに冷たくないか?」

「リア充死ね」

「は?」

 なんだその僕に一生縁の無さそうなネットスラングは。新手の嫌がらせか?

「まさかあなたみたいな引きこもりに彼女がいたなんて驚きでしたよ。うらやまけしからんです死ね」

「……いやいないぞ、彼女なんて。いたらお前とかコメットをこの部屋に置いておくわけないだろ?」

「え? でも昼間、あなたが打ち合わせに行っている間、女の人が訪ねてきましたよ? 八闇田箱子さんでしたっけ」

「箱子さんがここに来たのか?!」

「え、ええ。あの病んでるっぽいゴスロリの方ですよね、彼女じゃないんですか?」

 ミニスの方に身を寄せた僕の驚きように、若干引いた様子のミニスはそう言う。

「いや違う」

「じゃあ何なんですか?」

「……ただ今も好かれているだけの元彼女だよ。前は色々あって、同棲っていうかそんな感じだったんだけどさ」

「でも一応つきあってはいたんですね」

「ほとんど無理矢理だけどな。再会して次の日には借りてたアパートが無くなってたんだぞ」

「……爆弾でも落とされたんですか、それ」

「いや買収された。もの凄い金持ちなんだよ、箱子さんの家」

 家に戻るとアパートが更地になってたからな。ギャグマンガに出てくるお金持ちキャラと同等の財力と言えば分かりやすいか。
 他に頼る友達もいないし、そしてそのままなし崩し的に付き合うことになってしまった。それも僕が耐えきれずに彼女の家を出ていくことになったのだけど。

「……一話で散々、自分は平凡な人生を送ってきたつまらん奴ですアピールしといてそれですか。客観的に見て、面白すぎる人生じゃないですか」

「…………」

 言い返す言葉もありません。はい。

「……というか再会って何ですか?」

「箱子さんは僕の中学時代の先輩で、受賞式で再会したんだよ」

 ちなみにミニスには馬鹿にされそうだから言ってないけど、僕は受賞して小説家になったわけじゃない。ただ応募した作品が編集部にたまたま気に入られてその結果、プロになったわけだ。よって受賞式には行ったけど、賞自体は貰っていない。

「それはそれは……ふむ、病んでいることから推測するに馴れ初めはあれですか、苛められているところを助けたとか。そのまま懐かれた感じですか」

 何で知ってんだよこいつ。それとも僕がこいつにも簡単に想像がついてしまうような、テンプレートギャルゲー的人生を送っているってことなのか?

「……でもさ、ただ一緒にいただけなんだよ。部員が二人の部活だったし」

「つまり、苛められているときに何も言わずに、ただ一緒にいてくれた優しい人って感じですね」

「あー……そんなつもりはなかったんだけどなぁ」

 『他人に興味がない自分カッコいい』とか思ってた当時の僕をぶん殴ってやりたい。死ね死ね死ね。

「道理で……会話の最後に『あなたの存在は許すけど、たーを裏切ったら絶対に許さない』とか言われちゃったんですよ、私」

「裏切ったら……って完全に勘違いしてるよな」

 僕らは本当の恋人というわけではないのに。月子さんに嘘の噂を広めてもらったのが裏目に出たな。

「ええ。私たちは所詮、恋人(偽)の関係なんですけどね。ってなんかこれ投影宝具っぽくないですか? 読み方は、ラブクラフトで」

「黙れ。不味いな……このままだと箱子さんがどんな行動を起こすか分かんないし。かといって、本当のことをばらして下手に刺激するのも危ないしなぁ」

「ですよねー……あ。っていうか『いやっほうヤンデレですか! メンヘラーですか! リスカやってる私可哀想でしょえへえへとか言っちゃうんですか!』って返しちゃったんですけど大丈夫ですかね?」

「何してんだよお前?! 馬鹿だろ?!」

 精神的に不安定な奴にわざわざ刺激を与えてどうすんだよ!

「ちなみにその後『違う。ただわたしはたーが好きなだけ。なのになんでそんな意地悪するの、刻んで食べちゃうよ』ってめっちゃ涙目で返されました。結構萌えでした」

 ……あーもうこいつは。

「……まあその程度で済んだならいいけどさ。気をつけろよ? 病んでるっていうか、僕に怖いくらい依存してるんだよ、箱子さんは。書いてる小説も僕と自分のことを意識したもんばっかだし」

「でもあなたより売れてるんでしょう?」

「お前明日からうちの子じゃないからな。橋の下で暮らせ」

「そうするとそのメンヘラーさんがあなたの家に来ちゃいますよ? 再び同棲生活スタートです。がんばってください」

「…………」

 く、くそぉ……。言い返せねえ。

「……じゃあこれからどうしましょう。このまま恋人のフリして私が刺されたりするのは嫌ですよ?」

「うーん……でもなー『裏切ったりしたら絶対に許さない』って言われた以上、変なコトするのも駄目なんだよなー」

 それに『あなたの存在は許すけど』ってことは、一応ミニスが僕の恋人(本当は嘘だけど)であることを認めていることになる。

 ……結局箱子さんの目的って何なんだ?

 僕とミニスが恋人であるのは認めている。
 でもミニスが僕を裏切るのは認めてない。
 ……んー。

「つまりあなたと私が結婚するのを望んでいるのでは?」

「僕が望んでない」

「私も望んでません」

 同棲して一ヶ月以上経つが、未だにどちらにもフラグが立ってない僕らだった。

「というかそれはないだろ、箱子さんは僕のことをまだ好きだって言ってたんだろ?」

「ですよねー結婚ってのは人生の終着点……じゃなくて愛の墓場みたいなもんですし」

「どっちにしろ間違ってるよ」

 それを言うなら人生の墓場か、愛の終着点だ。

「……あーそれではデートをして、メンヘラーさんの様子を見てみるというのはどうでしょうか?」

「僕がしたくない。そのまま箱子さんの家に幽閉されそうだし」

「いやそうではなく、私とあなたが、です」

「……僕とミニスが?」

「はい。やってみる価値はあるかと」

「いや、無いだろ。箱子さんが嫉妬心を燃やすだけだ」

「いいじゃないですか。作者がこの後の展開をどうしようか悩んだ結果、デートイベントを書くのが楽そうだなと思っているんです。協力してくださいよ」

「そんな理由?! 僕に対する好感度は関係ないんだ?!」

 むしろ作者に対する好感度がMAXだった。作者に正ヒロイン(?)を寝取られる主人公ってなんだよ。前代未聞すぎる。杉井先生だって真冬じゃなくてユーリに嫁宣言してるのに。

「というわけで行きましょう、デート」

「……おまえが刺される可能性もあるからな」

「ではもしもの為に、月子さんとコメットにボディーガードを頼みましょう。あとはご都合主義のなすがままに」

 こいつ本気かよ?
 デートなんてしても何の解決にもならないだろ。

「……あーもーじゃあ任せる」

 でも正直この件については何も考えたくないのも事実で。思考放棄して小説の世界に飛び込みたい。執筆の世界に飛び込みたい。ダイブしたい。執筆(タイプ)だけに。

「寒いギャグ思わないでください。それでは日程はいつに
しましょうかねー。月子さんのご予定も聞かなければなりませんし」

 でも作者の為とか言っていたわりには、心なしかミニスが嬉しそうに見えるのは自惚れだろうか。それとも単に外に遊びに行くのが楽しみなのか。

「いえ正解はフラグが立っていると思わせるための演出の一環です」

「一番言っちゃ駄目だろそれ?!」

 ともかくこうして僕らのデートが行われることになった。日程はまだ決まってないけど、さっさとこの問題の解決へと至って欲しいなと心の底から思う。



[25213] 15話 2月13日(日)
Name: 干支瀬虎◆fd2f536b ID:a6f36a9f
Date: 2011/02/13 00:41
 部屋がやけに広く感じる。

 というのも今日は月子さんやコメットだけでなく、ミニスまでもが家にいないからだ。ミニス提案で明日のバレンタインの準備に取りかかるとか。
 ミニスが関わっている時点で一抹どころではない不安を覚える僕だったが、それ以上に危惧しているのが箱子さんの件だ。
 折角のバレンタインに彼女がなにも行動をとらないというのは考えにくい。媚薬入りチョコレートを強制的に胃袋に突っ込まれた去年を思い出す。思えばあれが僕の八闇田邸脱走の切っ掛けだった。

「……さてどうなることやら」

 まあ今更特別何かできるわけでもないし、僕としてはもうどうにでもなればいーやー、という投げやりな感じだ。ケセラセラ。どうにかなればいいなー。

 そんなわけで小説を書いて気を紛らわそう。一人寂しく昼食を食べた後、過去に買った資料を探すために押入を開ける。

 と。

「……あ」

「…………」

 そこには膝を畳んだ黒い女がいた。僕よりも年上なはずなのに出逢った頃から全くと言っていいほど変化がない、思春期のような甘さを感じるその姿。服装はゴシックでロリータな黒いドレスのボブカットで、上から下まで黒で統一されたそのファッションと色使いは、早妃さんと同じくらいにクレイジー。

 まあ、つまり、その、なんというか。
 この女性が八闇田箱子さん、その人である。


 ☆ ☆ ☆


 一応の礼儀(不法侵入者に対して礼儀もなにも無いと思うけど)としてお茶を出す。スーパーで2L89円の安物の既製品。ちなみに本当はぶぶ漬けを出したかったのだが、生憎さっきの昼食で米を食べ尽くしてしまったので断念した。

「……ごめんなさい。でも悪気はなかったの」

「悪気無く他人の部屋に入り込んでるどころか、押入に隠れてた状況でよく言えるよね」

「そ、それは……」

 おびえた様子の箱子さん。久々に見る潤みを帯びた上目遣いからは、相変わらず一方的な重みを感じる。それと同時に感じるのは、彼女の前から去ったことに対するやんわりとした罪悪感。

「……まあそれはどうでもいいや、別に気にしてはないよ」

「ほ、本当?」

「うん。だからもう二度と僕の家に勝手にあがったりしないでね?」

 すぐに光を十分にため込んだ向日葵のような顔へと変化する。どことなく犬っぽい。尻尾ぶんぶん振ってそうな。

「うんっ、たー優しい」

 甘い匂いと軽い衝撃。

 僕にとっては八闇田箱子という女性は砂糖菓子のような存在だ。嫌いじゃない。むしろ好意的であるとさえいえる。

 でもずっと一緒にいるのは絶対に無理。ある地点を越えると一緒にいるのが苦痛になってくる。胸焼けする。でも箱子さんは僕に対して依存していて。ずっと一緒にいたくて。何もかもを僕と共有したくて。

 だから僕は彼女と距離をとった。

「……はい、抱きつくのはここまで」

 甘い匂いでかき混ぜられた、美術の授業で初めて絵の具を使った小学生のパレットのような、そんなめちゃくちゃな思考を箱子さんとともに無理矢理引き離そうとする。でも僕の後ろで強く組まれた両手がそれを強く拒んだ。

「いや」

「駄目」

「いや」

「駄目」

「いやっ」

「駄目っ」

 お互いにひかない僕ら。だけど残念ながら、インドアな小説家という同じ階級での戦いでは、文字通り性差が雌雄を決めてしまう。

 ゼロだった距離が僕の腕の長さと等しくなり、それともに箱子さんの顔が湿って歪んだ。

「……なんでだめなの?」

「なんででもだよ」

「なっとくいかない」

「いかなくてもいいよ」

「わたしはこんなにたーが好きなのに」

「僕もそんなに嫌いじゃないよ」

「じゃあ好き?」

「それは微妙」

 表情が歪んだ。涙がこぼれ落ちる。

「……なんでなんでなんで? わたし待ったよ? たーは絶対戻ってくるって思って待ってたんだよ? 担当さんとかに連絡先きいても教えてくれないし、そのあと新刊は出てるからげんきなんだってあんしんして、わたしがいなくてもげんきなんだってちょっとかなしくなって、ものすごくたーにあいたくなったりしたんだよ? ねえ? ねえ? なにがいけないの? なにがだめなの? わたしがたーといっしょにいたらいけないの? なにかりゆうがあるの? だったらおしえて? おしえてくれたらがまんできるから、たーのためだったらがんばれるからっ」

 紡ぎ出される数々の言葉。それが散弾銃のように、至る所に突き刺さる。結局砂糖菓子の弾丸は打ち抜かれてしまった。

「…………」

 多分僕は責任をとるべきなんだと思う。
 塞ぎがちで、自分の世界に暗幕をひいてしまっていたあの箱子さんが小説家という形で、わずかとはいえカーテンを開いて世界と関わるようになった責任を。

 でも。
 
「箱子さん。箱子さんはさ、僕のことを考えたことある?」

 でも。

「いつもかんがえてる」

 でも。

「じゃあ何で僕が箱子さんの前からいなくなったか、分かる?」

 でも。

「…………」

 その暗幕の隙間から見える外の世界が僕だけだったら、それは意味がない。世界には僕以外にも色々な人間がいて、その中には箱子さんが好きになったり、嫌いになったりする人間もたくさんいるはずだってことを、箱子さんは心の底から知らないといけない。
 人間ってのはどうしようもなく関係性の固まりみたいなものだから。関係性を持ってないと生きていけない。

「もしさ。それが分からないなら、箱子さんは小説家なんかじゃないよ。小説を書く権利はない」

 詩人が詩人たるには人間じゃないといけないと言っていたのは中原中也で、それは作家も同じだと書いていたのは佐藤友哉だったか。

 僕ら小説家は執筆作業というナイフで、自分自身を切り出している。その切り出した部分は心の大切な骨組みの部分だったり、あるいはどうしても不必要な癌だったりするわけだけど。

 総じてそれらに共通していると言えるのが、その原点は他人だってこと。
 他人であり、他人が作ったものでもある。
 いわゆるパクリとか盗作とかそういう意味合いではなくて、他人もしくはその創作物との接触または関係性。
 小説だけでなく、ありとあらゆる作品にはそれが必要不可欠なんだ。

 だから人と接するのが苦手な僕の作品はプロとは言え、ある意味三流で、箱子さんなんかは論外だ。

 だから、僕らは似たもの同士なんだ。
 だから、僕らは互いを求めたんだろ。僕らには僕らしかいなかったから、裏切ったり裏切られたりしないもう一人を求めたんだろ。
 だから、僕はこうやって普通になって。
 なぜか、あなたは普通じゃなくて。
 だから、僕はあなたが普通になるために、僕以外の人間ともつながりを持たせるために。
 僕はあなたと仲直りをしようと――

「……で、でも別に、たーがいれば別に小説なんて書く必要ない」

「……あ?」

 今、何つった。

「たーと一緒に入れるなら、小説なんていらない」

「ふざけるな!」

「ひっ……た、たー?」

 八闇田箱子にとっての執筆とはあくまで代償好意だ。僕がいない事実を認めず、筆の世界には入り込み、自分自身を慰めて。
 そんなのは、僕を、すべての小説家を馬鹿にしている。

「ああああもう! そんなこと言ってるから僕がおまえの前からいなくなったって気付けよ! 書く必要がない? じゃあ何でおまえは小説家になってんだよふざけんなよ馬鹿! 折角人が仲直りの切っ掛けをあげようと思ったのに僕をからかって楽しいのか! おまえ本当は僕が嫌いなんだろう!」

 いらいらする。いらいらしていらいらするからいらいらいらしてその結果いらいらしてる。

「おまえは僕よりも才能があるんだよ! 売り上げ見りゃあわかるだろうが! 売り上げは才能と直結しない? そんなの才能のない奴の言い訳なんだよ! 本を買わせるのも読ませるのも結局は才能なんだよ! 僕らは小説家なんだ! もっとたくさんの人に自分の本を読んで欲しいに決まってんだろうが! それでわくわくしたり興奮したり笑ったり泣いたり悲しくなったり鬱になったり死にたくなったり希望を持ったり生きたくなったり文章を書いてみたくなったり読んでみたくなったり本を嫌いになったり本を好きになったりして欲しいんだよ! そんなことおまえは考えたこと無いだろ! おまえの目的は結局書くことが目的だもんな! それで書いてはいおわりだもんな! そんなんそこらへんにいるブログでオナニー日記書いてる頭と尻の軽いOLと何にも変わんねぇよ! ふざけんな! 文学を汚すな! ラノベを汚すな! 僕らを汚すな! 小説を汚すな! そんなんならもう小説家やめちまえ!」

 もう皆泣いていた。
 僕も箱子さんも泣いていた。
 世界で二人で泣いていた。
 でも僕らが泣いている理由は共通のそれじゃなくて、そんな事実が僕には悲しく思えて、僕らの仲直りは持ち越されて、今回のお話には、ギャグもなくて、バトルもなくて、シリアスもなくて、ただのぐちゃぐちゃで泣いていて。

 結局、一年近く経っても僕らは何にも変わってなくて、その事実が悲しく思えたそんな2月のとある日。

 つまりそれは僕らが約一年ぶりに再会して、仲直りが先送りになったそんな日だった。



[25213] 16話 2月14日(月)
Name: 干支瀬虎◆fd2f536b ID:a6f36a9f
Date: 2011/02/14 00:28
 あれから次の日。つまりはヴァレンタイン。
 気付いたら箱子さんは部屋にはいなくて、僕もそれから当てもなく町をふらふらして、結局帰ってきたのは次の日――つまり今日の朝10時ぐらいだった。

 そんな僕は今現在ミニスのお説教を受けている最中。
 普通なら僕とミニスの立場は逆なんだけど、今回に関しては僕が一方的に悪いのでなにも言い返すことができない。

「――それで昨日の事情は把握しました。馬鹿ですかあなたは。固有結界『説教タイム』なんてキャラにあってなんですよ、そんなもんはオリ主か上条さんに任せとけばいいんです」

「……はい、おっしゃるとおりです。心配かけてごめんなさい」

 ひたすら頭を下げる。下げる。

「全くです。コメディ要素が皆無とか、読者に謝っても謝り切れません」

「ってはぁ?! そこなの?! 絶対そこじゃないよね?!」

「黙ってください! 読者は神様なんですよ! ここまで読んでくださってる方がギャグ以外のなにも期待していないのぐらいわかるでしょう!」

「た、確かにそうだけどさ……」

「大体ここでまともにお説教なんかしたら、もっと話が重くなるでしょうが!」

「いやそれは……はい、おっしゃるとおりです」

「というわけでお説教はここまで。今日はお菓子会社の陰謀に乗ってあげる日なんですよ! ヴァレンタインネタでいきましょう!」

「……何か色々と納得いかないんだけど」


 ☆それから!☆


「というわけで聞いてください、My Bloody Valentineで『Only Shallow』」

「そのヴァレンタイン?! 少なくともこれ読んでるような人はほとんど分かんねえよつうかうるさいからマジやめてください!」

 アンプのスイッチを切って、ギターを構えるミニスを無理矢理止める。その表情には不満がありありと浮かんでいた。

「マイブラは気に入りませんか、エフェクターいっぱい買ったのに……ではBullet for My Valentineの――」

「よけい分かんねえだろうが!」

 シューゲイザーとかメタルとかそんなジャンルの音楽は普通の人は聞かねえよ!

「……音楽ネタは需要ありませんかそうですか。では……早速チョコレートネタに入りましょう」

「そうしてくれ……」

「私としては全身にチョコレートを塗りたくったりーとか、そういうベタなネタはやりたくないんですよね。ですから、はいどうぞ昆虫グミ」

「気持ち悪?! というかチョコレート関係ないよねそれ?!」

「確かにそうですね。まあこれは冗談です、というわけで連れてきましたチョコボール向井さん」

「チョコボール向井?! いや確かにチョコだけどさ?! ってか収集つかなくなりそうなのですみませんが帰ってもらえますかね?!」

 とりあえず浅黒い筋肉質の男を部屋から追い出す。というかなぜこんなところに……。

「くぅ……向井さんも不服ですか……ならばゴールドフィンガー鷹さんなら……」

「だからチョコ関係ないだろ!」

「俺のこの手が光って唸る! おまえを倒せと輝き叫ぶ!」

「それはシャイニングフィンガーだ!」

「――と、まあそんな感じの微妙なネタに走るぐらいに暇なのです。チョコレートの方はコメットと月子さんががんばってますし」

「月子さんも作るんだ……」

 エプロンとかつけたりして……うん、何かいいよねそういうの。目つきがもっと良かったらいっそう素晴らしいんだけどなぁ。
 是非ぶっきらぼうな感じで渡してほしい。真っ赤な顔を若干逸らしつつってオプションも付属すれば、ヤンデレ(ヤンキー+ツンデレ)完成。個人的には箱子さんよりもよっぽど需要があるんだけど。

「ってそれよりおまえも手伝ってこいよ」

「いえ色々やばい物混ぜようとしたら、台所に出入り禁止になりました」

「当たり前だろ! 僕になに食わそうとしてんだ!」

「ゴムゴムの実です」

「それは僕がつっこみしかできないような柔軟性のない奴だってことを皮肉ってんのか?!」

「え? そ、そこまでは流石に……」

「えええええ?! 僕一人の被害妄想かよ!」

「……例えあなたがワンパターンなつっこみしかできないようなヒッキーな社会不適合者でも、この作品で唯一のつっこみ役なのですから大切な存在なのです。別にありゃりゃ木さんとキャラが似ているからといって、私には全く持って不満がありません」

「不満しかねえじゃねえか! それとありゃりゃ木じゃなくて、阿良々木だ!」

「失礼。噛みました」

「わざとだろ……」

「失礼。噛みました」

「だからわざとじゃねえか!!」

「みゃあ、だきゃらこんにゃこと――」

「噛みすぎて名古屋弁みたいになってる?!」

「とまあ今回はこんな感じでいいですよね。ヴァレンタインなんて甘々なネタをこの作品で扱うなんて不可能なんですよファック死ね死ねリア充死ねええええええええええええ!!」

「最後何か作者の電波が混じってない?!」



[25213] 番外編 その4 第一話 魔法少女は転校生?! ~魔法少女マジカル☆ヴァルト爆誕~
Name: 干支瀬虎◆fd2f536b ID:a6f36a9f
Date: 2011/02/21 02:06
 タイトルに引かれてやってきた奴、騙されたな!
 この作品は「ミニスカサンタはメインヒロインの夢を見るか?」のスピンオフだぜ!


「ああ、最近割とよくチラ裏に投稿されてるあれかぁ……なのはもまどかも関係のないオリジナル作品っぽいし、読むのはやめとこう」とか思わないでくださいよ。たまにはオリジナルもいいじゃないですか。作者的にはチラ裏の二次創作の波の中で感じられる、オリジナル作品特有のアウェー感が心地いいんですから。

 と、それはともかく。

 この作品「第一話 魔法少女は転校生?! ~魔法少女マジカル☆ヴァルト爆誕~」は、ミニスカな本編の方を読まなくても内容は理解できる物になっていると思います。多分。
 ですが作者としてはそちらの方を先に読むことを推奨します。例えるならステイナイトをやらずに、ホロウアタラクシアをやる感じです。
 ちなみに作者がマジでそんな感じでした。ぶっちゃけ意味が分からないし。ネタバレだらけだし。ですが、ステイナイト本編を想像しつつプレイするのもなかなか面白かったです。
 彼の乙一さんもゲームの攻略本だけ買って、ゲーム内容を想像して楽しんでいたと言うじゃないですか。え? ちょっと違う?

 って何か脱線しまくりですね。そんなわけでこの作品の内容は題名通り、魔法少女物です。
 最近人気のまどかさんに肖って、「まどかさんマジリスペクトッスよぉ!」てな感じで書きました。

 それでは以下本編になります。


 ☆Aパート☆


 かつ。かつ。かつ。
 
 真新しい教室に靴音が響く。

 私の姿を追うクラスメイトの視線を横目で確認しつつ、
黒板の前へ。

 かつ。かつ。かつ。

 黒板に適度な力で叩きつけられるチョーク。
 上尾愛(うえお あい)。私の名前だ。
 自分で言うのもなんだが、それはまるで印字をなぞったように、程良い力強さと美しさが混在したきれいな字だった。
 というのも転校が決まってから、ずっと自分の名前を美しく書く練習していたのだから、当然の話だ。

 文字に人格が現れる。という話を昔テレビで聞いた。

 つまり字を書くのが上手な人は、几帳面だとか真面目だとかそんな印象を持たれる。
 ということは、私は現段階において委員長タイプな女の子だと思われているはずなのだ。

 そうして名前を書き終わった私はくるりと振り向き、好奇心が多大に混じった複数の視線と対峙する。

 吐き出す言葉は流暢に。そして大きな声かつ柔らかく。高くなく低くなく、でもよく通るように。

 そう意識する。

「みなさん初めまして、上尾愛と申します。今日からこのクラスで一緒に勉強することになりました。どうかよろしくお願いします」

 言った後にできるだけゆっくりと、品があるように見えるお辞儀。勿論、頭を上げた後に、清楚系お嬢様仕様の甘い微笑みを浮かべるのも忘れない。

 これで私が、社交性もある上品なお嬢様であることをアピール。外見と相まった私の第一印象は「清楚なお嬢様」に確定したに違いない。

 ――我ながら完璧な自己紹介。流石、私。

 達成感に包まれること数瞬。

 クラスメイトの拍手と声が鼓膜を盛大に打つ。そのすべてが自分に対して好意的なものであると私は確信し、さらなる達成感に酔いしれつつ、心の中で大きくガッツポーズ。

 今度こそ。今度こそ絶対にボロを出さないようにしないといけない。

 喧嘩の強さ故に番長とタイマンを張ることになり、そのまま倒してしまった。そんな女性としては終わっている過去が脳裏をよぎる。

 だがしかし! 今の私はそれとは違う!

 私は今日から暴力的なヤンキー女ではなく、清楚な深窓のモテカワ系お嬢様なのだ!
 ガタイの良いスキンヘッドやリーゼントから「姉御ォ!」とか呼ばれる日々よ、さよなら。
 イケメンでさわやか系男子との嬉し恥ずかしラブコメディな日常よ、こんにちは。

 ――と。

 ここまでは私のモテカワ大作戦が大成功。
 まあ、でもそれも全て放課後までの話なんだけど、ともかくこうして五十音(いさね)中学校での学校生活が始まった――


 ☆オープニングテーマ☆


「あなたのはぁとを一刀両断!(TV size ver.)」


 あなたのはぁとを一刀両断
 泣き叫びなさい愛の悲鳴が聞こえるわ
 私はいつだって血みどろに染まった女の子

 たとえば今朝恋をしてみたの
 相手は隣の席の男の子
 それでも放課後には私の剣で一刀両断!

 泣き叫びなさいホトトギス
 戦慄しなさいホトトギス
 媚びてすがりつきなさいホトトギス
 それでも私の愛(けん)で あなたのはぁとを一刀両断

 あなたのはぁとを一刀両断
 泣き叫びなさい愛の悲鳴が聞こえるわ
 私はいつだって血みどろに染まった女の子


  クレジット

作曲:ミニス・カサンタ
作詞:ミニス・カサンタ
 歌:上尾愛
演奏:ギター      :木菟帷
   ベース      :八闇田箱子
   リコーダー    :裾神月子
   ギロ&カスタネット:裾神コメット
   パーカッション  :七竈早妃
   間奏のツッコミ  :某大学生ライトノベル作家(笑)


 ☆提供☆


愛「この番組は以下のスポンサーの提供によってお送りしています!」

 Arcadia(削除依頼板除く)
 裾神ハイツ
 干支瀬虎社(エトセトラ文庫)
 ミニスファンクラブ
 読者のみなさま


 ☆CM☆


 ――今、究極の愛の物語が始まる。
「たっくんあいしてる」
「……恥ずかしいから、箱子さん」
「そんなツンデレなところもすき」
 『その愛の為の』の作者が送る、ライトノベル作家同士のいちゃいちゃラブコメディ!
『私の愛しているたっくん』
 一巻から六巻まで好評発売中!


 Arcadia――それは一時創作と二次創作、果ては三次創作までもが犇めき合う魔界。一日でのユニークPV数15万を越えるという究極の小説投稿サイトに君も挑んでみないか!
 干支瀬虎社はArcadiaを応援しています。


 私のラブソードが唸りをあげて暴れ回る!
 国家権力と宝石と魔法少女の三つ巴大戦争!
 『魔法少女マジカル☆ヴァルト』
 DVD・BR そのうちレンタル開始予定!
 見ないとあなたを一刀両断!


 「……こめっと…と…くらそ?」
 裾神ハイツは入居者を募集しています。
 皆さんも可愛らしい管理人さんと一緒に過ごしてみませんか?


 ☆Bパート☆


 それからの私は休憩時間に男女関係なく押し掛けられて、トイレにも行けないぐらいに忙しかった。なんと隣のクラスから見物に来る人もいたぐらいだ。

 人気者(注:不良から慕われているのは人気者とは言わない)というのが、ここまで大変なものだったとは知らなかった。でもその大変さ以上に楽しくて仕方がない。

 うん、この学校では上手くやっていけそうだ。

「ねぇねぇ愛ちゃん」

「はい香家さん、なんでしょうか?」

 昼食のサンドイッチを上品に開封しつつ答える。勿論清楚系お嬢様スマイルも忘れない。
 この娘は香家菊子(かけ きくこ)さん。私の隣の席で、まだ教科書がない私に教科書を貸してくれたとても優しい女の子だ。
 私と違って背も小さいし、ちょこちょこと動き回っているところなんかハムスターみたい。

「愛ちゃんは部活なに入るか決めたー?」

「いえまだですが……菊子さんは何か部活に?」

「うんっ! 菊子は女子ガバディ部に入ってるんだよ! 愛ちゃんも一緒にやろうよ! 今日見学に来てくれないかなっ!」

 ……ガ、ガバディ部。そんな奇妙な部活がこの学校にはあるのか。しかも女子ってことはもしかして男子ガバディ部もあったりするのだろうか。

「す、すみませんが今日はまだ荷物の片づけが終わってないので……ま、また今度誘ってくださいね?」

 うん。別に嘘じゃないぞ。別に早く家に帰ってやるほどの量ではないけど。

 でも本音を言わせてもらえれば、ガバディガバディ言ってるのは私の理想としている清楚系モテカワ女子のイメージにあわないので、お断りしたい。

「そっか……じゃあまた今度だねっ!」

「え、ええ……」

 と、言葉を濁すことしかできない私だった。

 そうして昼休みも終わり、そんなこんなで放課後。

 楽しいと時間が過ぎるのはあっという間だ。学校で友達もたくさん出来たし、このままいけばモテカワ系お嬢様も夢じゃない。そしてイケメンな彼氏を作って楽しい学校生活を過ごすんだ。例えば放課後に図書館で一緒に勉強してたまに分からない所を教えあったりしてそんな時にふと二人の距離が近くなってダメっこんな他に人がいるところでなんてっみたいな感じで――

「ぐへへへ……おっといけない」

 妄想が涎という形で垂れ流しになってしまった。あわててイヴ・サンローランのハンカチ(お嬢様をアピールするために貯金していたお年玉で買った)で丁寧に拭う。
 一応確認のために周りを見渡す。

 ……よし誰も見てないな、危ない危ない。

 と思ったら、

「……えっと、あれは?」

 小さな公園。遊具は砂場と滑り台だけの本当に小さな公園。

 そこの砂場から発せされているのは、眼底に甘く突き刺さるような、そんなきらきらした光。
 
「なんだあれ? ……じゃなかった何でしょうかあれ?」

 外でも出来るだけお嬢様言葉を使うように心がけないと。学校でいつボロがでるか分かったもんじゃない。

「……ペンダント?」

 その光源は赤い宝石のついたペンダント。何の石なのかは分からないけど、買うとなるとかなり値が張りそうだ。

『――そこのあなた』

「……ん?」

 振り向く。今誰かに話しかけられたような……。

『いえそこじゃありません。上です』

「…………」

 上を見てもそこには突き抜けるような青がただあるだけ。多分私が生まれてから死ぬまでずっと劇的な変化はないであろう、そんな空。

 うん。やはりお嬢様言葉という普段慣れない言葉を使ったせいで、私の頭は少々疲れているようだ。

『いえ、幻聴ではないですよ?』

「……じゃあ何」

『私はミニ――じゃなかった、ただの神様の代理です。ぜひあなたの力を借りたいと思い、別作品から参上しました』

「…………」

 どう考えてもこれは地雷だ。いや地雷と言うよりは爆弾か、関わると面倒なことになるのは明らかだし。というか別作品?

『待ってくださいよー帰らないでくださいよー』

「…………」

 振り向かない。無視。

『魔法少女になりましょうよーお礼もしますよー』

「…………」

 振り向かない。無視。

『あ、マジで行っちゃうんですか?』

「…………」

 振り向かない。無視。

『あー……じゃあもういいです』

「…………」

 振り向かない。無視。

『……学校の皆さんにあなたの過去をばらすことにしますね、元ヤンさん(はぁと)』

「おいちょっと待て」

 振り向く。流石にこれは無視できない。

「……何で知ってんだよ」

『口調が乱れてますよ、清楚系モテカワお嬢様さん?』

「何でご存じなんですか!」

『これでも作者(かみさま)の代理ですよ? あなたのことなんて上から下までまるっとぜーんぶ分かってます。所詮ピエロの存在で神様から逃げるとか不可能ですよー』

「うるさい、訳分からないこと言ってねー……言わないでください」

『それもそうですね。じゃあ説明しましょう』

「いやしなくていいから」

 私の言葉を無視して、その神様の代理とかいうやつは一呼吸おいて説明を始めた。

 何でもこの宝石は「生き物」らしく、人に大きな力を与えることが出来る不思議生物だとか。

 で、その人間と宝石が合体した存在が魔法少女。らしい。

『で、あなたには魔法少女になって、ほかの宝石を封印して集めてほしいんです』

「……その妄言は理解できたけど、何であたしがその魔法少女なんかにならなきゃいけないんだよ。別にあたしじゃなくてもいいだろ?」

『いえ、そうもいきません。魔法少女、というか宝石にも相性というものがありますからね』

 つまり私はこの赤い宝石と相性がいいということか。

「……もちろんあたしにメリットがあるんでしょうね?」

『ええ。お一つ好きな願いを叶えましょう、何でもいいですよ?』

 …………。
 …………。
 …………。

「……引き受ける」

『涎でてますよ』

「うわぁ!」

 あわててスカートのポケットからハンカチを取り出す。

『……今更上品に振る舞っても手遅れでしょうに。言葉遣いも粗暴になってますし』

 え? ちょっ、気づいてるなら言ってくれればいいのに!

「ゴホン……そ、それでそのお願いというのは本当に何でもいいのですか?」

『ええ。お願いを増やすことも可能ですよ。まあ成功報酬ですけどね』

 成功報酬というのはあれだけど、お願いを増やすことも可能というのはもの凄く太っ腹なんじゃないだろうか。腐ってても神様というわけか。

『まあ私自身は神様じゃなくて妖精なんですけどね。それで引き受けてもらえますか? ……まあ引き受けないというのなら今日の学校デビューが無駄に終わるような、そんな出来事をご都合主義パワーで引き起こしますけど』

「卑怯な……つまり私に拒否権はないということでしょうか」

『ええ』

「…………」

 全く持って意地が悪い。実体があったらぶん殴ってやるのに。

『ではそろそろ変身のお時間ですよー。そのペンダントをもって「ミニスカワイイヨミニス」と唱えてみてください』

「は?」

『ですから「ミニスカワイイヨミニス」です』

「ミニスって誰ですか」

『…………。えっーと……「ミニスカワイイヨミニス」というのはエスペラント語で「主よ聖なる光で我を包み愛の祝福を与えよ」という意味なのです』

「絶対そんな意味じゃねえだろ! 何捏造してんだお前!」

『ええい! いいから早く言いなさい! いいですか! 「ミニスカワイイヨミニスコメットハオワコンダヨ」ですよ!』

「増えてんじゃねーか! つうかコメットって誰だよ!」

 という一悶着の後、呪文を唱えてみた。

「……っなんじゃこりゃあ!」

 宝石から線状に飛び出した光が、私の身体にぐるぐると巻き付いてくる。そしてその光は私の全身を包んで――

『はい、これで魔法少女マジカル☆ヴァルト変身完了ですね! それでは一端CMに入ります!』

「ってちょっとおい! 待てや!」


 ☆アイキャッチ☆


セントニコラス「うぐぅ(上腕二頭筋を見せつけるようなポージング)」


 ☆CM☆


 二月編になって絶好調! ミニスカサンタさんと大学生ラノベ作家の心温まる交流を描いたハートフルラブコメディ!
 一巻:『遅刻してきたサンタさん』
 二巻:『(ミニスカ)サンタが街(というか自宅)にやってくる』
 三巻:『ミニスカサンタはメインヒロインの夢を見るか?』
 Arcadiaチラ裏で好評(だといいな)連載中!


 あなたのはぁとを一刀両断!
 泣き叫びなさい愛の悲鳴が聞こえるわ
 私はいつだって血みどろに染まった女の子!
 魔法少女マジカル☆ヴァルトオープニングテーマ
 『あなたのはぁとを一刀両断!』 好評発売中!


 気になるあの娘は魔王候補?!
 魔王に育てられた勇者が魔王候補の美少女と一緒に世界を救う!
 現代ファンタジーの決定版!
 『勇者と魔王候補の七日間戦争』 1巻~8巻、重版御礼大好評発売中!


 ミニス可愛いよミニス
 ――ただ感想板にこう書き込めば登録完了!
 ミニスファンクラブは会員募集中です!


 ――本当のところ私はどうでもいいのだ。世界とか。
 世界が終わる最後の一日で少女と少年はどうやって過ごすのか。
 『停滞少女/手痛い少女』 Arcadiaチラ裏に投稿されてます。


 よくよく考えたら、こっちの更新が忙しくて全然ブログ更新する暇なんてなかった。何でこんなブログ作ったんだろう……。
 干支瀬虎の個人ブログ、『駄文ぐらぐら』
 (アフィリエイト的に考えて)たくさんの訪問者待ってま――いやすみません色々引っかかるのでやっぱりこのCM無しで!


 よみがえるあの日々 戻りたくないよ
 右には筋肉 左にはリーゼント
 ここにも私の居場所はない!
 魔法少女マジカル☆ヴァルトエンディングテーマ
 「居場所を探して」 好評発売中!


 ☆アイキャッチ☆


セントニコラス「わふー(大胸筋を見せつけるようなポージング)」


 ☆パートC☆


 変身後。

 私を包んでいるのは全体的にピンクだった。ひらひらしていて、ゴスロリっぽい。
 まあ、その容姿は確かに魔法少女といえなくもないのだけど。
 何にしろ思春期の女の子としてはものすごく恥ずかしい姿には変わりなかった。

「――それで」

『はい?』

「こいつは誰だよおいなんかキモいのがいるんだけど」

「美少女魔法使いキターー!! ドゥフフ、拙者、大・興・奮!でゴザルwww」

 私の変身と同時に現れたのは、三十代ぐらいの天然パーマでメタボなメガネのおっさん。服装も美少女アニメのTシャツの上から、よれよれの青い縞のシャツを羽織っているという、ものすっごいステレオタイプのキモオタだった。もちろんカメラとリュックは当然のように装備。

「…………」

 ふーふーと過呼吸気味で臭い息が、酸っぱい加齢臭とともに漂ってくる。

『あ、この方があなたのマスコットキャラクターの森守男(もり もりお)さん38歳です』

「マスコットキャラクター?! この汚物が?!」

「ちょ、美少女から汚物発言キタコレwwww超ツンデレキャラwww」

『はい。ふ、普段は宝石の姿ですが、あなたが変身している間は人間の姿でサポートしてくれ……っぷ」

「笑ってんじゃねえよ! つうか普通マスコットっつたら猫とか可愛い小動物だろうが!」

『……い、いえでもやっぱりこの方が面白……っぷ、あはははははっ!』

 神様(代理)爆笑。

 ……泣きたくなってきた。

『ひーひーおなか痛い……で、ですね、アイテムを封印するためのアイテムを召喚してください。召喚方法は守男さんが知っていますから』

 正直この汚物と話すどころか同じ空間にさえいたくないのだけど、アイテムがないなら宝石を封印することはできないし、宝石を封印することができないのなら、報酬を手に入れることはできない。

「……わかったよ。おらゴミ、呪文教えろ」

「ちょwwテラDQNwww」

「ああん?」

 おもいっきり睨みつけてみた。こっちはものすごくイライラしてんだよ、糞ピザ野郎が。

「ひぃ! ……は、はい。あ、あああのアイテムはでですね。むむむ胸にてっ、手を当てて『マジカルウエポンセットアップ』って言えば……」

「ふーん……マジカルウエポンセットアップね」

 こっちは魔法少女っぽいのか。
 まだ変身の呪文よりはまともじゃん。
 とりあえず胸に手を当てて呪文を唱える――

「おお……って剣?」

 ズシリと両手にくる重み。
 両刃剣というやつだろうか。やけに大きい。
 そのフォルムはやけに無骨で、鉄をそのまま削って剣にしましたと言わんばかり。
 かっこいいけど、どうみてもマジカルなアイテムには見えない。

『ドラゴンころしみたいですね。まあそれをもって暴れ回ってるのがあなたにはお似合いだってことですよ』

「んだとてめぇ……ってなんで守男! 何でおまえはトランクス一丁になってんだよ!」

 何故かそこには肉の塊、もとい裸体の森守男が。

「うはwwww拙者の裸とかwww誰得www」

『魔法のアイテムを召喚すると魔力を消費するため、守男さんは下着姿になってしまうのです』

「何で下着だけ残るんだよ! どうせなら存在も消滅してくれよ!」

『あ、でも必殺技を使うときにはトランクスも吹き飛びますから、気をつけてくださいね』

「必殺技の代償がおっさんの全裸ってどんな魔法少女だ!」

『大丈夫ですギャグマンガ日和にもいましたよ、そんな魔法少女』

「そういう問題じゃねえ! つうかおいどうすんだよこれ、警察きたら一発で終わりだぞ!」

『安心してください。守男さんの最後の砦である急所の皮は脱げませんから』

「それは安心する要素じゃねえ! 全裸には変わりないだろうが!」

『ですから守男さんが警察に見つかる前に宝石を封印しなければいけません』

「マジで言ってんのかそれ!」

『マジですよ。あなたはこれから魔法少女として宝石を封印しつつ、変身中に守男さんが猥褻物陳列罪で警察にパクられるのも阻止しなければならないのです』

「いくら何でも難易度が高すぎるわ!」

『ええですからがんばってくださいね? それではまたの機会に会いましょう』

「え? おいちょっと待てよ……おい、返事しろよ!  おい! ちょっと!」

 それ以降、どんなに叫んでも再びあいつの声が聞こえてくることはなかった。

「冗談だろ……」

 公園に残されたのはコスプレ中学生とトランクスのキモオタの二人。

「ドゥフフフwwwwwwドゥフフフwwwww」

「…………」

 こうして半ば強制的に私の魔法少女としての人生が始まった。
 清楚系モテカワお嬢様への道は……遠い。


 ☆エンディングテーマ☆


 「居場所を探して」

 天然パーマに酸っぱいにおいのメタボ体型
 そんなあなたはマスコット

 なんであなたはここにいるの
 なんであなたは裸なの

 よみがえるあの日々 戻りたくないよ
 右には筋肉 左にはリーゼント
 ここにも私の居場所はない

 よみがえるあの日々 戻りたくないよ
 右には筋肉 左にはリーゼント
 そして今は隣にキモオタ
 ここにも私の居場所はない
 どこにも私の居場所はない


  クレジット

作曲:ミニス・カサンタ
作詞:ミニス・カサンタ
 歌:上尾愛
演奏:ギター    :木菟帷
   ベース    :八闇田箱子
   鍵盤ハーモニカ:裾神月子
   コーラス   :裾神コメット
   パーカッション:七竈早妃


 ☆CM☆


 転校生はバイセクシャル?! 
「俺様は男女平等におまえ等を愛してやるぜ!」
 アニメ化も決定して、ますます絶好調!
 変態で天才な少年が巻き起こすHなラブコメディ!
 『俺様に性別の壁はない!』 好評発売中!


 エトセトラ文庫編集部からのお知らせです。
 一月初頭よりエトセトラ文庫レーベル所属の作家、森芽々人(もり めめと)先生との連絡が取れなくなっています。もし先生の連絡先をご存じの方がいらっしゃれば、エトセトラ文庫編集部までご連絡ください。
 電話番号:XXXーXXXーXXXX


――ミニスかわいいよミニス
――ん?あれ?…ミニスがかわいく見える…だと?!
――だからミニス手コキしてミニス
――ミニスを下さいと書いておきます。
――とりあえず最新話の、作者のミニスがこんなにかっこいいわけない。まで読ませて貰いました。
――コメットは時々可愛いと思ってみもだえるけど微妙。
――ミニスカワイイヨミニスコメットハオワコンダネ
――作者さんガンバレ超ガンバレ
 こんにちは、干支瀬虎です。
 感想板はこんなに暖かい感想ばかりです。
 感想を書いてくれたあなた。そして、感想を書き込むほどおもしろくはねえなこの作品と思って感想を書いてないあなたも。削除依頼板に書き込もうとしているあなた――はどうでもいいですつうかちょっと待ってください本当にすみません流石に今回はちょっとふざけすぎたような気がしますごめんなさい。
 ともかくここまでこの作品を読んでくださった皆さん、本当にありがとうございます。そしてこれからもご贔屓によろしくお願いします。


 ☆次回予告☆


 そんなこんなで魔法少女になってしまった私、上尾愛。早速守男を引き連れて最初の宝石を手に入れようと――ってあなたは?!
 次回、魔法少女マジカル☆ヴァルト
 ライバルはクラスメイト?!~魔法少女マジカル☆フォイヤー登場!~
 来週も見ないと一刀両断だぞ(はぁと)


 ☆提供☆


愛「この番組は以下のスポンサーの提供によってお送りしました!」

 Arcadia(削除依頼板除く)
 裾神ハイツ
 干支瀬虎社(エトセトラ文庫)
 ミニスファンクラブ
 読者のみなさま


 ☆エンドカード☆


セントニコラス「が、がお///(ブリーフ一丁)」




(続かない)



[25213] 番外編 その5 記す価値の有無について
Name: 干支瀬虎◆fd2f536b ID:a6f36a9f
Date: 2011/02/17 01:37



「……ふう、疲れたー」

 2月の半ばとなったこの時期。
 ようやくあたしは今年初めて自宅アパートへと戻ってきた。

 超長期間の里帰りだ。

 こんなに長い間故郷に帰っている理由は色々挙げられるんだけど、その中で一番大きな理由があたしのおじいちゃんだ。

 自分で言っちゃうのも変な話なんだけど、あたしのおじいちゃんはものすごくあたしのことが大好きみたい。
 お父さんとお母さんがいない今、たった一人の肉親ってこともあるんだろうけど、傍目にも分かるくらいものすごく愛されている。

 本当はテストもあるし一月中には日本に帰ってこようと思ったんだけど、だからといっておじいちゃんの孫ラブラブ光線が全身に浴びせられている中で、おじいちゃんにそれを告げるのはとっても心苦しい。

 それで結局、自宅に帰ってくるのは2月のこの時期になったってわけ。

 まあ、毎年のことなんだけどね。

 懐から鍵を取り出して部屋の中へ。
 こもった空気が鼻を突く。すぐさま窓とベランダを全開にして空気転換を――

「ってあんた誰?!」

 ベランダに変な女の子がいた。
 たくさんのフリルのついた真っ黒い服。そこから覗く肌は対照的に怖いくらいに真っ白。
 年齢はあたしと同じくらいで、十代半ばぐらいだろう。絶対に20はいっていない。
 もの凄いきれいなんだけど、体操座りでちょっと虚ろな目と呆けた表情という3点セットがなんか怖い。

 新手の座敷童かなんかだろうか。それとも危ない人?

「…………」

 あたしのあげた声に気づいているのか、気づいていないのか。
 この女の子は変わらず虚空を見ていた。

「いや聞きなさいよ……あんた何なの?」

「…………」

 返答なし。

「おーい、起きてますかー?」

「…………」

 返答なし。
 表情、身体、共に変化なし。

 もしかして人形だったりしない……よね?
 試しに頬を突いてみる。
 ぷにぷに。
 やわらかい。
 あったかい。

「…………」

 でも反応なし。

「……これは撤去ね」

 とりあえず両脇に手を差し入れて無理矢理立ち上がらせる。

「ここはあなたの家じゃ――ってうわぁ」

 なんか湿ってた。
 というかよく見たら目が真っ赤っか。
 もしかして……涙?

「……泣いてたのかな」

 洋服まで湿らせるぐらいに?

「…………」

 返事が返ってくる、わけもない。

「仕方ない……ほら、ここじゃ寒いでしょ。中入るわよ……あーしんどい」

 今日は一日中ぐっすり寝ていようと思ったのに。
 なんで面倒事にまきこまれちゃうかなー。
 なんで面倒見ちゃうかなー。


 ☆ ☆ ☆


 その後女の子が動き出したのは夕食前のこと。あたしが自宅に帰り付いてから3時間ほどが経過したそのときだった。

「……あれ」

「んー? あ、復活した?」

 か細く掠れた声。たぶん水分も長いこととってなかったに違いない。

「ほらこれ飲みなさい」

 ビールジョッキに麦茶を目一杯入れて渡してやる。もちろん、あたしは未成年だからビールは飲めない。

 でも一番一杯あたりの量が多いビールジョッキは、がぶ飲みするあたしにとっては非常に重宝している。

「? …………あ」

 物珍しそうにジョッキを見ていた女の子は数秒の後、合点が行ったという表情でようやく飲み始めた。

「……本当になんなのかしら」

「ん、……ごちそうさま」

 ハンカチを取り出して丁寧に口を吹く女の子。
 洋服はもの凄く高そうだったし……やっぱりお嬢様?

「それであんたは何者?」

「八闇田箱子」

「ややみだはここ、珍しい名前ね。でもあたしが聞きたいのは名前じゃなくて――ってなんかデジャビュを感じるわ」

 どうしてだろう?

「そんなことはまあどうでもいいわ。それでなぜあなたはこんなことでボケーっとしてたのよ、不法侵入って知ってる?」

「こんなところ……」

「あたしの家」

「……あ。ごめんなさい」

 今頃ここが赤の他人の家だと気づいたのか。
 どんだけぼんやりしてるんのよ。

「それで状況が理解できたなら――ってなんで泣き出すのよ!」

「……だ、だって…たーを……怒らせ……」

「ああああもう泣くな! 泣かないの! 女の子が泣いていいのは男の前だけって決まってるの!」

 これはあたしが世界で一番尊敬している人――お母さんの受け売りだ。記憶にあるだけでも、我が母ながらもの凄くたくましい女性だったと思う。

「……で、でも」

「でもじゃない! メソメソ泣いても悲しいことは無くならないの!」

 ティッシュを引き抜いて女の子の目へ力ずくで当ててやる。

「……み、見えな」

「いいから。嗚咽が出なくなったら言いなさい。そしたら離してあげる」

「…………」

「…………」

 どれくらいたったか。
 時計を見てないから分からないけど、5分くらい?

「もう、いい」

「涙は止まった?」

「うん」

「嗚咽も止まってるわね。それじゃあ――もう泣かない?」

「…………」

「泣くな」

「で、でも」

「でもじゃないってさっき言ったでしょ。悲しいなら泣くんじゃなくて、忘れなさい。忘れられないなら、悲しい原因をどうにかしなさい」

 これも受け売りだ。

「……で、泣かない?」

「…………うん」

「ならよし」

 ティッシュごと顔に当てていた手をどけてやる。
 なんか潤んだ目がエロいです。お母様。

「……目が痛い」

「あんだけ泣いてたらそりゃ目が痛くなるわよ」

「うん」

「うんじゃない」

「いいえ」

「そうでもなくて……ってまあいいわ。それでこれからどうするのよ」

「これから?」

「そのえっーと……たー、だっけ。彼氏さん?」

「……元」

 元彼ってやつか。くぅー、こんなかわいい子を振っちゃうなんてどんな神経してるんだよそいつは。

「それで振られちゃったってことかしら?」

「ううん、別れたのはずっと前。それからもずっとたーのことが好きだったけど」

「……うわぁどんだけ魅力にあふれてるのよそいつ。アーノルド・シュワルツェネッガー? シルヴェスタ・スタローン? それともジャッキー・チェンかしら?」

 あたしは強い男が好きなのだ。草食系なんてさっさと絶命してしまえばいいと思っている。

「……? たーはたーだけど」

「そのたーくんってそんなにカッコいいの?」

「好き」

「いやだから」

「大好き」

 ベタぼれだー。
 どんだけの筋肉に覆われているんだろう、そのたーくんとやらは。

 …………(妄想中)。

 あたしもそんな筋肉質なマッチョマンと付き合いたいわ、本当に。

「それでそのたーくんが未だに好きな箱子ちゃんは、振られたんじゃないならどうして今の今まで泣いてたわけ?」

 まさか振られてから今まで、ずっと泣き続けていたわけでもあるまい。

「怒られた。たーが小説家しっか……ぐす」

「はい涙腺圧迫マッサージ一つはいりまーす……続けて」

 こうなったら強行手段だ。

「たーがわたしのこと小説家失格だって、わたしのこと嫌いだって」

「小説家? あなた小説家なの?」

「……ちがう。たーはちがうって」

「じゃあ小説を書くのが趣味ってこと?」

 クオリティが低すぎて怒られたってことかな?

「ううん。ちゃんと本だしてる」

「マジで?!」

 え? なに? この子そんなにすげぇ娘ちゃんなのさ?!
 プロの小説家に面きってそんなこと言えるたーくん何者じゃん?!

「でも……わたしが悪い。むこうが仲直りするつもりだったのに……わたしが小説なんていらないって言って……」

「じゃあ謝れば?」

「…………」

「って簡単に言えるならこんなところで泣いてないわよね」

「謝ってくる」

「ってはぁ?! どういうことよ?!」

「謝ってないから謝らなくちゃ」

「待ちなさい! 謝るにしても待て!」

 とりあえず全力で引き留めておいた。

「確かに決断してすぐに行動にでるのはいいことだけど」

「行ってくる」

「話を最後まで聞く! ……ったく。あのね、謝るってこと自体は簡単よ? とっても簡単なの。『ごめんなさい私がわるぅございましたー』って言って頭下げて、ついでに尻尾でも振ってやればいいんだから。たとえ頭の中で『死ねゴミ野郎! 俺が頭下げてんのは、便器に顔埋めて何度も水を流して整形したようなテメェの糞型の輪郭が目も当てられねえほど不愉快だからなんだよ! 尻尾振ってんのはテメエの顔とウンコを間違えて集ってる蠅を追い払うため以外のナニモンでもねえんだウンコ野郎が!』って思っててもいいんだから」

「…………」

 なんでそこで目を逸らすのよ。

「でもそれだけじゃダメ。あなたとたーくんの関係は謝ってそこではいさようなら永遠に今後会うことはないでしょう、って訳じゃないでしょ?」

「うん」

「なら自分の悪いところを直さなきゃダメ」

「うん」

「もちろん相手が悪かったら相手も直さなきゃダメ」

「うん」

「それで、今回は?」

「わたしが悪い」

「悪い点は?」

「わたしが小説をいらないって言ったこと」

「それは本心?」

「分からない」

「なら、どうする? 嘘を付く?」

「つかない。ただ好きになる……努力をする」

「じゃあそれをそのまま伝えなさい」

「うん」

 おぉいい目です。恋する乙女とは肉食獣さえも狩り殺してしまうのだろう。

「後は……お風呂入ってご飯を食べて洋服を乾かして目の腫れが引いてちゃんとお化粧をしたら、行ってよし」

「うん」

「じゃあ着替えはあたしのジャージを貸してあげるから、お風呂入っちゃいなさい」

「うん。えっと……」

「? どうしたの?」

 まさかジャージという言葉が分からない?

「名前……」

 名前? なまえ……

「あ。あたしの」

「うん」

「あたしは升クリス(ます くりす)。くりすますってね、冗談みたいな名前でしょ?」

「ううん。そんなのはどうでもいい。クリスはやさしい人だから」

「そりゃあ友達だし当然よ」

「…………」

「どーしたのよ?」

「……ともだち」

「どうしたの飛んでる豚を見たみたいな顔してるのよ? 違った?」

「……ううん」

「あ。そうだ、友達記念にもう一ついいこと教えてあげる。実はね――」

 あたしのおじいちゃん、サンタクロースなんだ。


 ☆ ☆ ☆


 ひとまずあたしと箱子ちゃんとの邂逅はここでおしまい。
 この後のことは大して記す価値もないし、さらにその後箱子ちゃんが出ていってからのことなんてのは当然あたしが知る由もない。
 と思っていたんだけど。
 まあ色々世間は狭いってことね。
 それは今後のお楽しみってことでいいんじゃないかしら。
 とりあえず今月最初で最後のあたしの出番はここで終わりなのさー。
 それではばいばいきーん。


 ☆後書き☆

 おひさーです。

 ここ二日間、作者名を自動料金収受システムに、タイトルを「第一話 魔法少女は転校生?! ~魔法少女マジカル☆ヴァルト爆誕~」にに変えていたんですけど、ちゃんと釣られました?それとも記事削除されてるんじゃないかと焦りましたか?どちらでもないですかそうですか。

 さて、三人目のメインヒロインが登場したところで色々続いていた今月の新キャララッシュもここでひとまず終わりです。
 最近シリアスばっか書いてるので精神が病みそうです。さっさと箱子さん編を終わらせたいです。つうか後一話で終わらせます。力ずくでも。



[25213] 17話 2月18日(金)
Name: 干支瀬虎◆fd2f536b ID:a6f36a9f
Date: 2011/02/18 20:57
 珍しく今日は部屋の外からお送りしています。
 なぜならそれはもちろん、件のミニスとのデートだから。

「じゃなくて今日はデートの予習です。本番ではありません」

「予習って僕はそれに付き合ったらダメだろ? なんでわざわざ僕を誘ったんだよ……」

「いいじゃないですか。こうやっておしゃれなカフェでケーキをただで食べれるんですよ?」

「おまえはな! 僕より収入多いくせにたかってんじゃねえぞ!」

「その分支出が多いんだから仕方ないでしょう」

 その支出の100パーセントに生活費が少しも含まれてないのが問題なんだよ……。

「そんなわけで今日はメタネタで攻めてみようと思います」

「……どんなわけだ?」

 というかデートの予習とやらはもういいのか。

「作者の気分がそんな感じだからです。この小説は作者の会話文の練習のために書かれていることを忘れないでください」

「忘れるどころかそもそもそんな事実すら知らねぇよ!」

 だから地の文が少なかったのか?!

「って書くと、しこたまさんみたいじゃないですか?」

「向こうはこっちと違ってものすげぇ人気だけどな」

 なんだよA’s編だけでPV数170万越えって……。

「まあこっちはとりあえず10万目指して頑張りましょー……あーおいしースイーツ(笑)おいしー」

 ケーキと口の間をスプーンで往復させるミニス。
 もはや地の文を読むことに対してのツッコミさえもあきらめつつある今日この頃である。

「あ。それでですね、先日ようやくはびこさんの俺妹SS(4話参照)のPVを越えることができました! おめでとうございます!」

「……あ、そう」

 あの涙から約一ヶ月(以上かかってるけど)、やっとかよ。というかまた勝手に名前出してごめんなさいはびこさん。ならびにしこたまさん。
 というかこっちの投稿数20以上で、向こうの記事投稿数3だぞ。
 一話あたりのPV数ならボロ負けだろ。

「ざまぁですよー。くやしかったら俺妹の続きなり新作なりを投稿して作者を楽しませてくださーい」

「…………」

 さすがに名指しなだけあってかなりオブラートな表現だった。

「まあそれは仕方ないですよね、この小説の一番の敵は削除依頼板ですし。荒らしとかアンチだったら感想返信で最高のネタになるだけですから。まあ今はまだいらっしゃられないみたいですけど」

「それは単にこの小説に魅力がないだけだろ……」

 「感想を書かない」というのも感想だし。

「まあでもこの作品もさすがに、『原作はやったことないです(笑)。でも他のSSとかで原作の内容はちゃん把握しています(爆笑)。それに設定もwikipediaをちゃんと全部読んだので大丈夫です(大爆笑)。』みたいなのよりはましだと思ってますけどね」

「やめろよ! それは作者の黒歴史だ!」

 あえて詳細は語るまい。だから言及しないで。

「そんな適当な奴はオリジナルを書けばいいんですよ。原作儲がいない分、二次創作なんかよりアンチがつきにくいですし。話が進まなくなったら好きなだけ新たなキャラクターを投入できますからね。え? 二次創作SSとは原作に対する愛の一種? んなもんがあるなら何でわざわざ原作を汚すような真似――」

「はいそこまで! おまえはいろいろな人間を敵に回しすぎだ!」

 ここはArcadia。二次創作SSの総本山である。
 ……周りに敵しかいねぇ。

「確かに迂闊でした。それによくよく考えると、Arcadiaよりなろうの方が香ばしい人が多いですしね」

「まあ向こうは結構機能が充実している分、利用者も多いし。仕方がないんじゃないか?」

 単純に一部が浮き彫りになっているだけで、あとは人数の問題だろう。
 それにもの凄い大規模になっているとはいえ、一応こっちは個人サイトだし。

「まあこの作品も最初はArcadiaとなろうの二重投稿って線もあったんですけど、よくよく考えたらこの話って感想掲示板との距離が異常に近いじゃないですか? だから結局感想のレスポンスが多そうなArcadia一本に絞ったんですよね」

「本編で語ることじゃねえ……」

 これこそ本当のチラ裏だ。

「まあなろうって感想もらいにくいですから面白味に欠けるというか。まあ私としてはArcadiaの方が好きだって話です」

 流石、作者に媚び売るミニスさん。
 抜け目泣く舞さんにも媚び売ってやがる。

「当たり前です。一に作者、二に読者、三四が無くて、五に自分ですから」

「家主である僕が入ってないことはともかく舞さんは?! 何今のは心にもない発言だったの?!」

「え? いえそんなことはないですよ。舞さんと同じで私もヴァン・ヘイレンみたいなハードロック好きですし。気が合いそうですよね、まずはメールからどうですか?」

「友達感覚?!」

「いえ仲良くなったらPV数とか改竄してくれるかなって」

「ものすごい打算的だった!」

 ある意味ビッチヒロインだよな、こいつ。

「失礼な、私は超清純派ですよ」

「その枕詞がつくAV女優並の胡散臭さを感じるよ、僕は」

 清純派AV女優、清純派ミニス。
 ……矛盾してるよなぁ。

「うるせぇです。私はただこの作品をよりよくするために頑張っているだけですよ」

「むしろグダグダになってんだろ……」

「んなこたぁありません。私のトークってこの作品でも大きな魅力なんですよ?」

「嘘つくな」

「いや嘘じゃないですって。SS紹介ブログの『穴掘り伝次郎』でも『過ぎたメタ発言は失笑を買うといいますが、ここまで突き抜けていると一周して笑えてくる』って紹介されてますし」

「紹介してくれてありがとうございますでもある意味ありがたくねええええええ!!」

 何かドヤ顔になってるし! 調子づかせちゃったよ! でもやっぱり紹介してありがとうございます!

「うひゃひゃひゃひゃ、ミニス様にひれ伏すがいいです! 感想数90越えは私の功績なんですよぉ!」

「なんか帷っぽい笑い方になってる?!」

 気が合いそうだよな、こいつと帷。ベクトルは違うけど同じ変態だし。

「加えてこの前神様代理のバイト報酬として、かなりのメタパワーを作者から貰いましたからね! ミニスは作中最強キャラなのです! 具体的には『幻想のアヴァタール』のギンさんと同等ぐらいの戦闘能力があります!」

「やべぇ何言ってるかわかんねぇ!」

 補足1)神様代理のバイト…番外編その4参照。

 補足2)幻想のアヴァタール…同人サークルべにたぬきが送る現代和風伝奇ビジュアルノベル。18禁だよ!

 補足3)ギンさん…上記の登場人物。つうか登場狸。作者の一番好きな属性「ロリババア」を搭載しながらも高い戦闘能力を誇るハイスペック着物幼女。

「――ってよくよく考えたら私フリーザを倒してるんですから、元々戦闘能力高いんでした。それにハラキリブレードも召還できますし」

「そんなこともあったな……」

「たぶんそのうち始まるであろう、天下一武道会的なトーナメントが楽しみです」

「どこのジャンプだよ、元からこの作品に戦闘能力が高そうな奴はあんまりいないだろ」

 強いて言うなら早妃さん……か?

「ですから人気が落ちてきたらこうやってテコ入れすれば」

「不可能だよ! ここまで散々バカな会話しておいて今更バトルに走るとか!」

「リボーンやら筋肉マンみたいなギャグからバトルの例もありますけど」

「だからそれジャンプだろ!」

「つうかやっぱりリボーンみたいに大きなお姉さまを取り入れればいいんじゃないでしょうか。ですからやっぱり木菟帷さんとの絡みをですねぇ」

「なんでおまえが帷のことを知っているかという疑問は置いとくけど、絶対嫌だ」

「私が心身削ってこの作品をよりよいものにしようとしているのに、あなたは何なんですか?!」

「怒られた?! 僕そんな変なことは言ってないだろ?!」

「ホモが嫌いな女子なんかいません!」

「うるせーバカ! こっちはホモが嫌いな男子なんだよ!」

「……っと今日はこれぐらいでいいですかね。はい、お疲れさまでした! 撤収ー機材片づけてー」

「撤収?! 何なんだそのぱにぽにだっしゅなノリは?! おまえは何者だ?!」

「カサンタPです。それではまたあいましょう愚民ども」



[25213] 18話 2月19日(土)
Name: 干支瀬虎◆fd2f536b ID:a6f36a9f
Date: 2011/02/19 20:54
 ふつうのサラリーマンにとって飲み会というのはどれくらいの頻度で行われるべきなのか。自由業かつ学生である僕にはわからないけど、騒ぐのが好きな帷は結構な頻度で飲み会に誘ってくる。基本的には断ってるんだけど、たまーに気が向いたら僕も参加する。
 今回の電話もそんな帷からのラブコールの一つだと思った。

「死んだ」

「――は? 帷、今なんて」

「交通事故で死んだっつったんだよ、八闇田箱子が」

「…………えっと……それ、冗談じゃない……よね?」

「ああ。俺が言うべきかどうかは置いといて、気に病むんじゃねえぞ?」

 それから帷が珍しく僕を励ますようなことを言っていたようだけど、僕はよく聞いていなかった。聞こえなかった。

 八闇田箱子の訃報は僕に悲しみでもなく、当然喜びでもなくただ、衝撃を与えたからだ。例えるならロックバンドのライブに行った後によく似ている。耳がきーんとするあの感覚。周りの音がよく聞こえなくなるやつだ。

 帷に適当に相づちを打って、ぼーっとしているとそのうち電話が終わったことに気づく。どうやらいつの間にか僕の体の自動操縦システムは、勝手に帷と別れの挨拶までも交わしていたらしい。笑える。

 それにしても、交通事故。なんにしても交通事故。

 電話越しの情報だけじゃ(よく聞いてなかったけど)箱子さんがどんな死に方をしたのかわからなかった。不注意運転によって頭をしたたかに打ってのことなのか、それとも自ら車道に飛び込んだのか、はたまた四肢がもげるほどにはね飛ばされたのか。まあ、そのどちらでも箱子さんが死んだことには変わりないんだけど。

 うん、意外と僕冷静だな。とはさすがに思えない。
 だって昔の話とはいえ、あれだけ懇意だった元恋人が死んだのだ。
 ついこの間再会して、仲直りに失敗して、後悔した。その彼女が、死んだのだ。

「……どうしたんですか?」

「ちょっと散歩してくる」

「たまってるのなら私の方が席を外しますけど」

「…………」

 さすがにミニスの軽口に返す気力はない。僕は部屋着のままふらふらと外へでる。2月の乾いた寒風も特には気にならなかった。


 部屋から出て意識が飛んで気づいたときには近くの公園にいた。座っただけできしみをあげるようなぼろぼろのベンチに座っていた。その隣にはマクドナルドの袋。どうやら昼食と言うことらしい。いつの間に買ったんだろうか。本当に笑える。

「…………」

 人間というのは薄情な生き物だから、地球の裏で戦争や飢餓で信じられないくらいたくさんの人間が死んでいてもこうやってハンバーガーを食べることでちょっと幸せになれたりする。元恋人の訃報を聞いた日でもそれは同じだ。

 口休めに紙コップにストローを突き刺して啜る。口に痛みにも似た刺激。コカ・コーラだ。
 僕は炭酸が苦手な小学生みたいに涙目になってストローから口をはなす。そして嘔吐(えず)く。

「……バカかおまえ」

 甘味料でざらざらした舌を内頬に擦りつけるようにしていると、隣から声がかかってきた。月子さんだ。

「みてました?」

「ああ。……ガキとバカが探してるぞ」

「月子さんは?」

「…………」

 僕の軽口に月子さんは僕を一睨みして返すと、ライターを取り出してタバコに火をつける。

「……不味い」

「じゃあ吸わなければいいのに」

 月子さんが吐きだした白い煙はすぐに宙に消えた。あたりまえだ。タバコの煙なんてそんなものだ。
 一人の人間が吐き出した煙程度で世界中が白い煙に包まれたりはしない。
 たぶん箱子さんもそんな煙の一つなんだろう。
 煙がじきにかき消されてしまうように、箱子さんの死もすぐに忘れられる。世界に対した影響を与えることなく。
 だから僕はそんな一時的な煙に当てられてるだけだ。

「なんかおまえ頭の悪いこと考えてんだろ」

「……どうなんでしょうね」

 そう考えることが頭がいいのか悪いのか。どちらにしても忘れしまう方が楽なことには違いない。

「まあ別におまえに何があったかとか聞く気はねーけどよ、せめてあいつらには連絡の一つぐらいしてやれ」

「……そうですね。すみません」

「それでこれからどうすんだ? 帰るか?」

「もう少しここにいます。二人には昼食は食べないって伝えてください。コレがありますし」

 言いつつハンバーガーの袋に視線を移す。
 月子さんはタバコを携帯灰皿に押し込むと、特に僕に何か言うことなくベンチから離れた。

「……あ。忘れてたわ」

 ザラザラした地面を両足でならしつつ公園に向かっていた月子さんは、ふと思い出したように振り返って僕に声をかけた。

「昨日なんかおまえの女とか言ってる奴が来たんだけどよ」

「…………はい」

「『ごめんなさい』だってよ。いろいろ言ってたけど忘れた」

「……忘れちゃだめでしょ、ちゃんと覚えててくださいよ」

 つい、笑みがこぼれた。たぶん箱子さんはたくさん言いたいことがあって、それをそのまま月子さんにぶつけたんだろう。小説家の癖に理論立てて話すことが苦手な彼女らしい。

「知るか。そいつまた来るって言ってたから良いだろ別に」

「……そう、ですね」

 月子さんは去っていった。
 箱子さんが『ごめんなさい』という言った背景にはどんな思いがあったのだろうか。その答えはもうどこにもない。
 でも、

「……許すよ。僕も色々酷いこと言ってごめん」

 彼女を許すことにした。

 それから僕は、残ったハンバーガーやポテト、コーラを袋ごとごみ箱に放り入れる。彼女の言葉を聞いた僕にとって、もうこの場所は価値のないものだ。
 
 急いで月子さんを追いかける。家に――僕の家族の待つ家に着くまでに追いつくことができるだろうか。


 ☆ ☆ ☆


 例え僕が彼女のことを許したとしても、僕と箱子さんは仲直りをしているわけじゃない。

 あくまで現時点、そしてこれからの僕と箱子さんの関係は元恋人だ。それ以上でも以下でもない。

 だから僕が箱子さんのためにできることなんてのはほとんど何もない。通夜や葬式に行かなかったのも結局それらは生きている人のためだからだ。死んだ人にとってそんなもの何の価値もない。

 だから僕が彼女のためにできることは何なのか?

 それはせいぜいこのアパートで小説を書いていくことぐらいなんじゃないかと思う。死後の世界に本屋さんがあるかはわからないけど、もしもあるのならそれで僕が元気なんだってことを確認してほしい。状況は逆だけど、僕がいなくなったときと同じだ。

 それから何十年後になるかわからないけど、僕が死んだ後、仲直りをしよう。よぼよぼの僕を見て彼女はどう思うだろうか、そもそも僕だとわかってくれるだろうか。

 わかってくれたら、いいな。


(了)
































































































 ☆ ☆ ☆


「というのはどうでしょう」

「勝手に箱子さん殺すんじゃねえ! 生きてるから! つうか完全に箱子さんルートじゃねえか?! それでいいのかメインヒロイン?!」

「そんなわけで今回はコレでおしまいです。あと作者のブログ『駄文ぐらぐら』でミニスのラフヴィジュアルが追加されました。他のキャラクターも後々追加される予定なのでお楽しみにするのはどうでしょう。まあ下手ですけど」

「話聞けよ!」



[25213] 19話 2月21日(月)
Name: 干支瀬虎◆fd2f536b ID:a6f36a9f
Date: 2011/02/21 13:30
 先日の出来事で先延ばしになっていた僕と箱子さんの仲直り。
 それをいい加減達成しようと、タイミングを見計らって(ついでにこれからこのアパートに戻ってこれないことも若干覚悟しつつ)箱子さんの家を訪れようと思ったその日。
 驚くべきことにその箱子さんの方から僕の家に現れた。


 ☆ ☆ ☆


「たーが嫌な気分になるようなこと言ったりして、ごめんなさい」

 この前と寸分変わらない服装。スカートをきれいに折り畳んで正座した箱子さんは僕の方を向いて言う。
 僕の目を見てはっきりとしているその姿は、前とどこか違うように思えた。

「あー……あれは僕も正直言いすぎたと思うからさ、うん。ごめん」

「ゆるしてくれるの?」

「許すっていうか元はと言えば勝手にいなくなった僕の方が悪いしね。もし箱子さんが僕を許してくれるのなら、僕は箱子さんにもう何も言うことはないよ」

「……うん。たーを許すよ。だからなかなおり」

「うん」

 安心した箱子さんから涙があふれてきて、僕がおろおろして、箱子さんが抱きついてきて、さらに僕がおろおろして。
 そんな感じで一件落着。

「はぁ?! おもしろくねええええええ!!! もうちょっと一悶着あってもいいじゃないですか! なんですかそのあっさり感は?! ふざけんなカス共!」

「あ、箱子さん、本当はこいつ僕の彼女ってわけじゃないから食べて良いよ」

 馬鹿がうるさいので人身御供に捧げることにした。
 わりと表だってでていないけどこの人、カニバリズム的な趣向をお持ちです。まあこの荒んだ現代社会には需要と供給のもと成り立っている特殊な世界があるという話。

「? …………!!」

 理解するのに数秒時間かかり、そしてオープンザアイ。

「……騙したの?」

 うわぁ目が据わってる。

「……な、何言ってるんですか? わ、わたくしミニスはあなた様と恋愛契約を結んだ従順なる愛奴隷でございますよ? ねえ旦那様?」

「僕らの関係は恋人(偽)(ラブクラフト)だろ? それはコンビ名だっけ?」

「……仮面恋人」

「失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した! ノリであんなこと言うべきじゃなかったんです! ブーメラン現象がっ! というか今更ながらアニメ化おめでとうございます春が楽しみです!」

「意外と余裕あるなお前」

「……たー包丁借りるね」

「うぎゃああああああああああ!! 堪忍をしてえええええ!」

 ミニスの望み通りであるかどうかは置いといて、そんな一悶着があったとかなかったとか。


 ☆ ☆ ☆


「何とか生還しました、ミニスです」

「残念ながら狩りに失敗しました、はここです」

「…………」

 それにしても箱子さんってこんなキャラだったっけ? もっと僕以外の人間には冷たかった気がする。少なくともこうやって他人と争ったりするのは見たことがない。

「……もしかして箱子さん何かあった?」

「うん。えっと……この前喧嘩した後にともだちができて、その後に慰めてもらった。ほかにも色々助けてもらったの」

「え? そうなの?」

 箱子さんに友達か……どうりで。

「言うなれば今日はスーパー箱子さんですね」

「うん」

「ふつうに肯定されてしまいました……」

「スーパーだから馬鹿にも優しい」

「なんですとぅ!」

「スーパーだから馬鹿にも優しい」

「二回も言わなくて良いですから!」

「……二人とも仲いいんじゃない?」

「別に馬鹿とは仲良くない」

「私は仲良くしてください。そして捕食対象から除外してくれると助かります」

「うるさい」

 また二人でギャーギャーギャー。あんまり暴れるなよここ壁薄いんだぞ。

「……はは」

 でも何だから笑ってしまう。
 本当に良かった。箱子さんに友達ができたみたいで。
 本当に……。
 本当に……。
 本当に……なんで僕には出来ないんだろうなぁ……。ほんっとうに何がいけないんだろ……。この前は帷にも友達関係を拒否されたし……。

「ははははははははははは」

「その笑い方気持ち悪いですよ」

「そんなことより、たー」

「うん?」

「今かのじょいないんだよね?」

「…………さて……仕事をしよう! 今日はなんだか外で書きたい気分だぞ!」

 バッグにノートパソコンと財布を入れて玄関に立つ。この動作を上の台詞を言い終わるまでの数秒でこなす。着替えはもともと外出する予定だったから完璧だ。

「行ってきます!」

「あ……」

「……逃げましたねあのヘタレ」

 ドアを閉める直前、隙間から何か聞こえた気がするけど知ったことか。
 こっちは心配ごとが解決して、やっと肩の荷が下りたんだ。新しい面倒事に巻き込まれる前に逃げてしまおう。
 さて、久々に一人でファミレスにでも行こうかな。早妃さんも帷絡みじゃなかったらまともに反応してくれるし。それに言っちゃああれだけど、人も少ないから執筆作業にもうってつけだ。
 そんなことを考えながら僕は町へと繰り出した。



[25213] 番外編 その6 かんそーへんしーん 45~55
Name: 干支瀬虎◆fd2f536b ID:a6f36a9f
Date: 2011/02/22 21:13
「……おねーちゃん、おねーちゃん」

「なんだ?」

「……おきてがみー

「は? 『はろーです百合百合コンビども。ミニスはデートで忙しいので二人に感想の返信のお仕事を与えましょー。よかったですね、コメット出番が増えて(笑) byミニス・カサンタ』

 ……どういうことだ?」

「……かんそーへんしーん」

「やれってことか?」

「……ん」

「ったくなんでオレが……あのバカの仕事だろうが」

「……がんばろ? そのあとおさんぽー」

「…………しかたねぇな……最初は或る物書きだ。物書きってあの引きこもりの仲間か?

『二月のタイトルを少し考えてみた。「(ミニスカ)サンタが節分の豆を(ボリボリ)食う」とかどうでしょ?

ミニスは正直キャラとしては好き。だけど現実にいたら、周囲にいて欲しくない人。俺の大っ嫌いなタイプの人間。大声で「こっちくんな!!」と本気で殺意沸きながら言う気がする。でもこっちに迷惑がこないという前提なら、ずっと見ていたいそんなおもしろ可愛い女の子。

コメットは時々可愛いと思って身もだえるけど微妙。人気すぎるというか可愛いすぎてイマイチMAXに届かない。

結論として主人公が一番好きですねー。なんというか友達になりたい。うん。』

 俺も嫌いだよあのバカは。それに、あの引きこもりもかなりダメ人間だろ」

「……すなおじゃないね」

「あぁ?」

「……なんでもないよー」

「蓬莱NEET……ニートってまたあいつ等の仲間かよ」

「……おねーちゃんも……あんまりしごとしてない」

「仕事してねーわけじゃねえよ、オレはおまえらの面倒見るのが仕事なだけだ。読むぞ、

『良いでしょう、この作品にミニスが登場する限り感想を書き続ける事を(割と適当に)誓いましょう!
なんていうか、ミニスのニャル子さんっぽい雰囲気が好きです。

では最期に恒例のミニス可愛いよミニス。』

 ……可愛いかあいつ?」

「……おねーちゃんもかわいいよ?」

「そういうことじゃねえよ! だいたいオレは可愛くねーだろ!」

「……?」

「首傾げんな!」

「……つぎー」

「……双樹。

『返信ありがとうございます、でいいのかな?

ミニスの画像があれば人気出る・・・かな?
よしちょっと、お絵かきしてくるか数か月ほどw

さてお約束の
コメット可愛いよコメット
そして、ミニスがんばれミニス!』

 絵が得意ならガキの絵でも書いてやってくれ」

「……おねーちゃんもえ……とくいだよ…ね。くまさん……とか」

「なんで知ってやがる?!」

「……?」

「だから首傾げんな! A7!

『コメットは包帯属性をうしなった(萌え力ダウン)

主人公素人童貞疑惑…あるいは彼女フラグ?
ファンクラブ会員(強制入会)としては二月にはミニスにヒロインらしく何かフラグを立てて欲しいですなぁ
ミニスかわいいよミニス』」

「……もえー」

「萌えってアレだろ? 気持ち悪いオタクみたいなやつが使う言葉だろ」

「……ここのひとは…きもちわるく……ないよ?」

「そうかよ。黒茶色、

『「(ミニスカ)ロリトナカイがチョコレートを作り(サンタ)聖ヒロインが食う。」

意味

ロリトナカイ=コメット
聖ヒロイン=主人公
(ミニスカ)(サンタ)=ミニス

…駄目だなorz』

 ……なに言ってんだこいつ?」

「……しーっ」

「次はハリウッドからだ。

『ミニスかわいいよミニス(初めまして、こんにちはの意)

初めて感想を書かせてもらいます。
最近のネタを多用した小説やSSには辟易していたんですが…これは面白いです。
キャラのやり取りが生き生きしていて、読んでいて楽しく感じられます。
これからの展開に期待させてもらいます。

コメットかわいいよコメット(さようなら、お元気での意)』

 生き生きしてるか? よく引きこもりは締め切り前とかに死んだ顔になってんぞ」

「……おにぎりつくってあげたー」

「偉いなお前」

「……えへへ。おねえちゃんも……つくってたんだよね」

「だからなんで知ってんだよ!」

「……つぎはー?」

「…………双樹。

『コメットは可愛いけれど、そんなはっちゃけっているミニスも大好きです!
2月ですし、バレンタインネタですかね。
ミニスのことですから、自分にチョコレート塗ってそうだけどw』

 ……一時期体に猛毒のチョコレート塗るっていってたな。どこの暗殺者だあいつは」

「……おねーちゃんとこめっとは……ちゃんとつくったよね」

「オレは作ってねぇよ、手伝いだけだ」

「…………」

「なんで黙るんだよ……本当に渡してねーから……。白雨。

『コメットが
ミニスをわたす
バレンタイン

・・・あれ?

<余談>
ドーピングコンソメスープよりも不思議な薬のほうがいいのでは?w
それとてっきり自分の都合の言いように解釈すると思ってたんだけどなぁ・・・w
「つまりこの『・・・え?』は私が正ヒロインとしての名誉がまったくk(ry」』

 正ヒロインって何だ?」

「……かみさまのおきにいりー…おねーちゃんとこめっとは……かんけいない……よ?」

「ふーん。じゃあ次はゆたからだ。

『初めまして、この作品は投稿初期から読んでいますが初感想です。
別に感想書くのが面倒とかじゃないよ、感想書くのが苦手なんだ(泣)

話を戻して感想を、こういう雰囲気の作品は個人的ツボにぴったりはまってので、更新されていないかチェックするのが1月の日課になってました。
それでは最後に、ミニスかわいよミニス&コメットかわいいよコメット。

ところで2月のタイトルは、(ミニスカ)サンタと(ロリ)トナカイが俺の自宅に居候(二月目)、とかどうでしょう。
こんなんしかでない自分の発想力(再泣)』

 割とどーでもいいことだけどな、初期以外のタイトルは全部パロディーらしいぞ」

「……?」

「一月は『サンタクロースが街にやってくる』っていう曲のパロだな。二月は『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』っつーSF小説だ」

「……おねーちゃんはくがくー」

「一般教養だろうが……ジャンル問わず小説書くならそれぐらい押さえてろ。どこかの自称神様にも言いてぇな」

「……読んだことないのにね…えとせとらー」

「で、次だ。勇者ゾンビ

『とりあえず今のとこの自分の好きなキャラ
裾神月子様>主人公>ミニス>コメット
なんか読み直すごとに好きなキャラ変わるんだよね・・・・・・。』

 おい、なんでオレが一番でガキが最下位なんだ」

「……おねーちゃん…だいにんき…だね?」

「お前がいるから素直に喜べねえよ」

「……やっぱりうれしーんだ?」

「ち、違えよ! 次A7!

『ミニス(もやし)かわいいよ ミニス(もやし)
デレ大家さん有る…だと…
てかヤンデレお姉様?
ヤンキーっぽいのに愛が重いとか…ご褒美です!
ミニス(もやし)お払い箱だねミニス(もやし)』

 ……こいつ勘違いしてるだろ」

「……よくあるー」

「まあ全部自称神様のせいだけどな」

「……さくしゃが…がんばってもー……どくしゃが…ちゃんとみてないこともあるん……だよ?」

「へいへい……ってこれで終わりか?」

「……ん」

「以外と少ないのな」

「……のこりは…べつのひと…みたい」

「そか。んじゃあ外行くか」

「わーい」



 後書き
 今回は失敗です。コメットと月子さんはギャグには向いてませんでした。適当感が溢れる結果に。反省!
 まあそのうち二人のほんわかした番外編を書くつもりなので勘弁してください。



[25213] 番外編 その7 感想返信56~78
Name: 干支瀬虎◆fd2f536b ID:a6f36a9f
Date: 2011/02/22 21:15
「帷様、お手紙です」

「手紙ぃ? このご時世にメールじゃねえのかよ。なになに……

『初めましてミニス・カサンタ、通称カサンタPです。お二人にはマジカル☆ヴァルトにおける宣伝費の代わりに、感想返信で働いてもらいます』

 宣伝費って俺の書いたやつか? ……いや、ふつうスポンサー料は会社持ちだろ」

「色々と会社側もお忙しいようですし仕方ありませんわ」

「めんでぇな……さっさと終わらせるか。最初は……蓬莱NEETくんだぜ。

『主人公の外見が古賀のり夫……知らないのでついさっきググってきました。
 うん、普通にヒロインです本当にありがとうございました。

 それでも!それでも、俺はミニスさんがヒロインだと信じてる!
 ミニス可愛いよミニス。』

 うん、確かにたっくんは可愛いよなー」

「…………」

「ん? なんだよまた嫉妬してんのかよ、早紀」

「そんなことはありませんわ」

「顔が赤いぜ」

「……そ、そんなこと」

「早妃も可愛いなぁ。でもここで元気になったら終わらないし次だ。ゐ号くんから。

『主人公とコメットの2人のお話、とても楽しく読んでます
 頑張って下さい。』

 カサンタPは必要ないのか。つうかよくよく考えたら俺と面識ないやつのことって語れねーよな」

「語ってます帷様。メタ発言は自重してください」

「うーす。つっぎのかったはー?」

「或る物書き様ですわ

『解読完了♪ なんというカニバさん(^-^;
 いっきに作風が変わったなぁ』

 わりと考えなしに書いているので作風が変わったのは仕方がありませんわ。それにあの女は私、嫌いです」

「早妃もメタ発言してんじゃん。つうかそういやー箱子嫌いだっけ?」

「弱くて脆い人間は全般的に嫌いです」

「きびしぃねぇ。んじゃ三津屋くんから。

『大家のデレがでたらミニスとコメットの
 人気が一気に大家に流れてく気がする。
 …でもまぁ俺はどんなことがあっても主人公一筋だがな!

 ミニス可愛いよ(笑)ミニス(爆笑)』

 大家ってあのヤンキーか。俺はあのヤンキーが苦手なんだよなー」

「帷様でも苦手な女性が?」

「そりゃあ当然だぜ。誰だって苦手な人間の一人や二人いるだろ」

「それもそうですね」

「タバコ臭いのと、俺と口調が似てるのが駄目。それ以外はパーフェクトなんだけどなー」

「…………」

「睨むなって。次ー、書との契約者くんだ。

『ミニス?……可愛いよミニス

 「待っていてください」が大量にあって怖かった……。
 これが次からの伏線なのか?
 恐ろしや……。
 ミニス?……可愛いよミニス

 ……でも自分としてはコメットのほうが……。』

 あ、そういえば早妃」

「何でしょうか?」

「感想掲示板でさ、読専とそうじゃない奴の違いってわかるか?」

「は? 違い……ですか?」

「ああ」

「……いえ、存じませんが」

「感想で三点リーダ(これ→……)を使ってる奴は物書きが多いな。逆に使ってない「・・・・」みたいな奴は読専だ。まあもちろん違う奴もいるけどなー、だいたいこれで判断できるぜ」

「……確かに。でも帷様」

「ん? 何だ?」

「それをここで書いたら意味がないのでは? これを読んだ読専の皆さんはこれから三点リーダを使い始めると思うのですが……」

「まあいいんじゃねーの? よかったな小説の原稿用紙の使い方が分かってよ。次だぜー、黒茶色くんとA7くん、それとかもしかくんからだ。だるいから三人同時に

『とある淑女が病み過ぎている件について。

 大丈夫、かわいいよミニス。』

『KOEEEEEEEEEE
 何をしてここまで好かれたんだw
 ミニス生命の危機だよミニス』

『その貴方の恋人が気に入らなくなったら、いつでもわたしが刻んでたべてあげますよ?

 怖すぎ笑えない』

 確かに箱子はカニバルな性癖だからなぁ」

「ちなみにヒロイン三人(ミニス、箱子、クリス)の中で立ち位置的に一番たっくん様に近くにいる上に、一番人気が出そうな最強キャラになりそうでしたので、皆さんがどん引きする性癖を付けたらしいですわ」

「ギャルゲーでたとえるなら攻略するのが一番簡単なキャラってことだな」

「それに引き替えミニス様は……」

「最近じゃ攻略不可能キャラに思えてきたもんなー」

「ですが個人的には私、彼女を応援してますわ。では、そろそろ次にいきましょう。春雨様からですわ。

『タイトルは聖人繋がりとイベント繋がりでバレンタインで良いんじゃないでしょうか。売れ残ったケーキのメッセージプレートを溶かしてリサイクルしたチョコで。
 等身大というか裸体で型をとったチョコレートなんか汚れヒロインミニスにぴったりじゃないですか。
 コメット可愛いよコメット。』

 裸体で型を取ったチョコなどお約束過ぎてそんなの面白くないと本人は言ってましたわ。結局チョコレートは作ってないようですし」

「ちなみにチョコボール向井は俺がおいしくいただいたぜ」

「…………」

「じゃあ次だ。わりーが黒茶色とA7は飛ばすぜ」

「今回はごめんなさい。お二人とも毎回のように感想ありがとうございますわ」

「で、勇者ゾンビくんからだな。

『舞散らせ俺のWhite Christmas!
 ふぅ
                     /    |    |    |
                 |     |    |    |
                   |ー |   l ー-  l
           /⌒ヽ   |    |   l     l
           l   l    |    |  |  0   |
            |   l   | ー-  |  l⌒) - l
             |  -‐|    |    |   | 丿   |    /⌒ヽ
           |   |    |    |  |ノ     l   |    ヽ
             l    _!   |    !__,! ‐  一 |   l     ヽ、
         /⌒ヽ l ‐ \  |, ノ⌒) ()     l    〉-‐  l
         l〉   )ヽ、   ヽノ (ノO (ノ  (つ ヽ、 | ノ)  |
        /  人 ヽ、        (⌒)      ヽノ (ノ  |
          l     ヽ、\,        )丿 / ノ/ o     l
        ヽ  ノ \,/     /  (ノ       () ヽ  l
         \    /        /     (⌒ヽ    |
          ヽ、       /  /   l      しノ      |
           ヽ、  /   /     |           l
            ヽ、          l          /
             ヽ、            |          /
              ヽ          l        /
                            』」

「下品極まりないです。死んでください」

「俺はそういうのも嫌いじゃねえけどな。それにゾンビだからもう死んでるって。次はニミュエくん。

『誤字報告

 僕やコメットの寝顔を見つつぼーっとしているとか。

 これって

 僕やミニスの寝顔を見つつぼーっとしているとか。

 じゃないんですか?

 作者にまで忘れられるミニス……

 ミニス可哀相だよミニス!』

 ちゃんとこいつはQ&A見てんのか? 誤字は基本訂正しねえんだよ」

「ですがさすがにこの誤字はひどすぎるかと。それにもともと間違えた作者が悪いのですから」

「まあ報告さんきゅーな。次はA7くんだぜ。

『ミニスに意外な才能が…
 アフィリエイトで百万超えるってすごいな
 まさかエロ写メで釣って(ry』

 ちなみに作者のブログのグーグルアドセンスの収益は今んとこ150円だ」

「まあそんなもんでしょう。リンクのクリックを催促しますか?」

「したらグーグルから怒られるからしねえよ」

「そうですわね。次は猫様からです。

『月子×コメットはほのぼのですね~。
 最高です。
 まったりしてて顔が緩む。』」

「百合かー」

「いえどちらかというと姉妹か親子かと」

「まあ何にしろ愛は世界を救うんだ。それが家族だろうが恋人だろうがな」

「さすが博愛主義の帷様」

「おうよ。じゃあ次いこうぜ。ステさんくんからだ。……これくんいるか?

『ミニスどうでもいいよミニス!!
 コメットだけで良いよこのss!
 タイトルは「マジカルトナカイこめっとさん」でおk
 ミニス(笑)とかヒロイン(笑)だからいらんww
 そして作者さんは孕まサンタの中だしメリークリスマスをプレイすべきww
 黒人サングラストナカイのジョンのよさをぜひ分かって欲しいww』

 孕まサンタの中だしメリークリスマスはアマゾンで安かったから買おうと思ったんだけどな。結局買ってないわ」

「作者は貧乏なのです。日雇いバイトの不定期収入の大学生にとってエロゲーは高級品ですから。月の収入4000円くらいですよ?」

「だからこそこんなに更新が早いんだけどな」

「更新速度こそこの作品の唯一の長所でございます」

「そーゆーこと。んじゃ次。スグウツくん。

『ミニスの人気のなさに泣いたww
 稼いでいるなら生活費はいれようぜ。
 俺はこの小説のヒロインはミニスだと信じてる!
 ミニスかわいいよミニス!!』

 まあカサンタPも一応ヒロインなんだけどな。どのルートに行くかはもしかしたらアンケートで決めるかもなー。それか三人分書くってのもアリだな」

「それでも半年以上の先の話ですわね」

「確かにな。もしかしたらあと一ヶ月くらいで作者のやる気がなくなったりしてな」

「そうならないことを祈りますわ」

「次だ。黒茶色くん。

『最近ミニスが普通っぽいなぁ。

 文句という訳でもないんですが。

 これからもお身体に気をつけて頑張って下さい。』

 うん、こういう感想が一番うれしかったりするんだよな。作者はまだ元気だけどな」

「ただこの先の花粉症が心配だそうです」

「俺もだ」

「私はそうでも」

「うらやましいなー。体丈夫だもんな、早妃」

「体の健康は一番の財産ですわ。ではA7様からです。

『ミニスが哲学っぽいこと話してる…』」

「哲学は嫌いだぜ。色々考えすぎるのは性に合わないんだよな」

「帷様はおおざっぱですから」

「細かいことは全部お前に任せてるしなー」

「ええ。この身は帷様の為に存在しておりますから」

「そんな風に堅く考えなくてもいいぜ? んで次。黒茶色くん。

『コメットを百合に走らせるとか、そんな事は期待してない。

 たまらないじゃないか、これ以上我々を興奮させてどうするつもりなんだ。

 ミニス、君はやればできる子だ。
 必ず魅力的な個性を習得できるはずだ、頑張れ。』

 ……いやキャラ的にカサンタPが一番強烈じゃね?」

「ここでは性的アピールポイント、つまりは萌え要素の有無についてでは?」

「あー……それか。……まあ……それは仕方ねえな」

「さすがの帷様でもお手上げのようです。A7様からですわ。

『インスマウス面のヒロインとか嫌すぎる…』

 ちなみに作者はラブクラフトはインスマウスしか読んだことがありません」

「……全集の1、2巻はは持ってるんだけどなー」

「作者は積んでる本が多いのです。おそらく20冊以上あるかと」

「消化しねえとまずいな。じゃあ次、勇者ゾンビくんから。

『ぞくぞくと新キャラ登場!
 そして八闇田さん。
 多分この人はヤンデレだ。
 ヤンデレかわいいよヤンデレ。』

 うーん俺は箱子から嫌われてるしなー」

「NTR失敗ですわね」

「ああ、残念だぜ。ちなみに来月の新キャラは一人だけだぜ」

「……まあ一応ほんの少しは登場してるのですけどね。来月のタイトルから推測するとすぐに分かると思いますわ」

「んじゃ最後はA7くんでーす。

『なにげにカオスな世界ですね…
 ヤンデレって大家さんだと勘違いしてた
 別に居たのね
 なんか自宅襲撃されそうで怖いな
 ミニスにげてー』

 こういうのは勘違いさせる作者が悪いんだぜ?」

「叙述トリックというわけでもありませんからね。ただの作者の技量不足です。前回の感想返信なんて30分ぐらいの推敲で書き上げたらしいですわ」

「……あーそりゃあ最悪だ。んじゃあこれで俺らの感想返信はおしまいだぜ」

「これを投稿してそのまま次の感想返信を書き始める予定ですので、もしかしたら今日中にはもう一つ投稿できるかもしれませんわ」

「そゆこと。んじゃまた会おうぜー」

「すべての感想をくれた方々に親愛と感謝を」



[25213] 番外編 その8 感想返信79~102
Name: 干支瀬虎◆fd2f536b ID:a6f36a9f
Date: 2011/02/22 23:24
「くりす」

「ん? どうしたの箱子ちゃん」

「これ……」

「手紙?」

「うん」

「えー……っと、

『ふぁっきん! 我がライバルたちよ、ミニスです。てめえらヒロインだからってなめんじゃねえぞコラァ! 感想返信でもやってろコラァ!』

 ……なにこれ?」

「感想返信をやれってこと」

「いやいや……そもそも誰よミニス」

「知らないの?」

「知らない」

「ミニスカのサンタ。外国人」

「……ん? ミニスカのサンタ…で、外国人?」

「うん」

「……心当たりがあるわ。どうして日本にいるかはぜんぜん見当がつかないけど」

「やっぱり知ってる?」

「うん、まあ私の身内みたいなもんかな」

「かぞく?」

「正確には違うんだけど似たようなものね。じゃあちゃっちゃとやっちゃいましょうか」

「うん」

「じゃあまずは……蓬莱NEETさんからね。

『なるほど、たっくんは箱子さんから逃げてたのか……。
 しかし最後まで読めなかった小説ってどんなのだろう?よっぽど本人視点で見ると恐い話なんでしょうね。

 後、帷ってばけらのの玄武とMさん足して二で割ったみたいな感じだなー。』

 箱子ちゃんの小説?」

「うん。昔書いたやつ」

「怖い話ってホラー小説だったの?」

「? ただ、たーを好きな気持ちを小説にしただけ」

「…………重すぎる愛は怖いわ」

「?」

「ま、まあいいわ。次いきましょう、次! 黒茶色さんからよ!

『ミニスを男にしたらこんな感じだろうか?

そんなことより、性奴隷メイドが個人的に欲し(ry』」

「こいつ嫌い」

「いきなり嫌い宣言?! 黒茶色さん何もしてないわよ?!」

「ちがう。帷が嫌い」

「……誰?」

「たーを好きな奴」

「へー帷ちゃん……可愛い名前ね」

「うん可愛い。でも嫌い」

「怒らないでよー箱子ちゃん」

「……メタルフリーザさん。

『これが良SSだよ、パパ…
 しばらく、色々ありまして感想書けませんでしたよ。
 最近、ミニスさんはまともになってしまいましたね。しかし、変な人が増えしまいましたね。これこれでおもしろいですが。
 それではここで、主人公さんヤバいですね、主人公さん。』」

「主人公さんってたーくんのことかしら?」

「うん。たーは好き。でもミニスはあんまり好きじゃない」

「あんまり人を嫌いとか言っちゃ駄目よ。誰だって良い所と悪い所があるんだから」

「……うん」

「わかったならよし。じゃあ次ね、A7さんからよ。

『偽装デート…
 死亡フラグ…』」

「今日はたーとバカサンタのデートの日。今度はわたしもデートする」

「頑張れ箱子ちゃん!」

「うんっ」

「じゃあどんどんいきましょ! 次! 黒茶色さん!

『金持ちなヤンデレ…よく報復されなかったね、彼女をいじめた連中…((((;゚Д゚)))))))』

 ……? どういうこと?」

「わたしいじめられてたの」

「はぁ?! 誰?! あんたをいじめた相手は?! あたしがぶん殴ってやるわ!」

「……さあ? もうどうでもいい。大丈夫だから」

「どうでもいい?! そんなわけないでしょ!」

「たーもくりすもいるだから大丈夫」

「…………」

「? ……大丈夫だけど?」

「…………」

「……ど、どうしたの?」

「な、なんて良い娘なの……箱子ちゃん! 大好きー!」

「……く、くるしい」

「好き好き大好き超愛してるわ! いやむしろ寵愛してる! もうあたしが一生面倒見てあげる!」

「はなしてーはなしてーしにそうー」

「あ……ごめんごめん、なんかテンションあがっちゃったわー」

「うん。でも、ありがとくりす。わたしもくりすのこと好きだよ」

「……は、箱子ちゃん」

「だから抱きつかないで。感想返信」

「そ、そうね……じゃあ次よ、A7さん。

『リア充爆発しろ!』

 リア充?」

「リアルが充実してる人」

「リアルが……筋骨隆々ってこと? 上腕二頭筋とかが充実したり――」

「違う。くりすは筋肉好きすぎ」

「いいじゃない! 箱子ちゃんも好きでしょ!」

「……? 何で?」

「照れなくて良いって! 次いきましょ! 黒茶色さんからよ。

『押入れ開けたらストーカー…怖っ。

 それにしても主人公、青春してるなぁ…。』

 ……いいなぁ青春。あたしも恋したいわー」

「くりすモテないの?」

「あたし? ぜんっぜんモテないわ」

「モテそうなのに……。或る物書きさん。

『泣いた。ガチで泣いた。主人公が箱子さんに言った小説にたいする最後の言葉に泣いた。

 まあこんな名前を見ればわかると思いますが、わたし自身こちらでオリジナルを投稿しております。思えば感想を貰えるということは、その作品が相手に何か与えられたということ。

 作家は何かを与える存在である。そのことを思い出すことが出来ました。


 まあ説教回で感動したということでよろ』」

「正直読者の反応が一番怖かった回ね。ギャグもなかったし」

「わたしが怒られた回」

「そうそう。でもまあこんな風にあたしと箱子ちゃんが仲良くなれたのもこのおかげよ。そういう意味ならあたしはたーくんに感謝しないといけないわね」

「うん。それにくりすのおかげで仲直りできたから。今度たー紹介するね」

「楽しみねー。どんな人なんだろ……」

「……で、でもたーはあげないからっ」

「あはは分かってるわよ。じゃ次いきましょ、A7さんからね。

『チョコまみれか全裸にリボンのミニス見たかったな…』

 まあそれは二次創作に期待ってことでいいんじゃない?」

「誰か絵描いて。次、のむ。

『砂糖菓子の弾丸は数年前に読んだきりですが、未だに内容を覚えている作品です。あと、祝ゴシックアニメ化!箱子さんを見ていると件の人魚ちゃんっぽい儚いイメージが。あっさり壊れそうな。

 あと、行動そのものが目的であるというのはある意味純粋ですよね。俗人では理解できませんが。そういうキャラは大好きです。DDDの彼とか。

 思いっきりたーくんと箱子さんって相思相愛じゃないですか。ベクトルが逆なだけで。大好きだからこそ許せないってことですよね・・・他人のことを強く想うという感情(正負問わず)は多大なエネルギーが要りますからそれだけ対象のことに関心を抱いているという証ですし。

 13日分でシリアスになって思わず書き込んでしまいました。こういうのりも大好きです。ギャグ以外も期待しております。
 あとミニス自重。』

 ……相思相愛。やったっ」

「うんうんよかったわねー。それにこういう長文の感想は本当に嬉しいわ」

「うん。ありがとう」

「じゃあ次行きましょ。白雨さんから。

『あぁ、びっくりした。作品削除されたのかと思って、やふってはじめて気づきましたよ。
 うん、心臓に悪いw

 結局のところ結構主人公もててるんじゃないの?w
 みn(ry』

 ……うーん。作者って意地が悪いから仕方ないわね」

「もしかしたらオリジナル板に行くかもしれない」

「そうよ! 最初の記事見た? 八月からオリジナル板に行くかもですって! 今まで散々『チラ裏に粘着しますよー』とか言っといて、ねえ?」

「でもいかないかも」

「まあそれは後々のアンケートにアンケートでもとるから心配しないで良いわ」

「うん」

「次、次、次よー。勇者ゾンビさんから。

『ミニスカワイイヨミニスコメットハオワコンダヨー


 なぜ変身できない!!
 あとここでセントニコラスwww
 升クリスwwwなんだとwww
 最初のころのサンタの呪い思い出してしまったwww。
 あのときはネタの短編だとおもってたのにいつのまにかこんな立派になって・・・
 第一話 魔法少女は転校生?! ~魔法少女マジカル☆ヴァルト爆誕~はかなり
 続きがきになるwww。』

 ようやくあたしの出番に追いついたわね」

「でもマジカル☆ヴァルトの続きはない」

「まあチラ裏に投稿しようと思ってた短編だしね」

「次いく。A7

『>マジカルヴァルト
 これはひどい
 また新しい妖精が…
 隣の人なのかな?

 ミニスカワイイヨミニス』」

「あたしは妖精じゃないわよ! 人間です! ただクリスマスにおじいちゃんを手伝ってるだけなの! 勘違いしないでよね!」

「……ツンデレ?」

「? 何が?」

「なんでもない。umibouzu。

『やばい・・・魔法少女の続きがかなり気になる


 ミニスカワイイヨミニスコメットハオワコンダネ』

 でも続きは本当にない」

「本気でないわ。絶対ないわ」

「残念でした。次は……或る物書き。

『なにも進展がない、だと……。』」

「これは……『後一話で箱子さん編終わらせます』とか書いていたくせに、次でぜんぜん関係のない話を書いたことに対する文句ね」

「それが干支瀬虎クオリティー」

「行き当たりばったりとも言うわね。次よーA7さん。

『デート回なのにまるで番組ラジオみたいな回だった
やはりミニスに手が触れ合って赤面とか恋人メニューとか別れ際にキスとかは無理だったか…』」

「無理。バカサンタには無理」

「……まああたしからは何も言えないわね。次、ななーしさんから。

『箱子さん勝手に殺されたwww』」

「殺された。でもあの終わり方でもよかったかも」

「よくないから! 何言ってんのよあんた!」

「冗談」

「冗談に聞こえないわよ……。セロハンさんからね。

『え、うそ、シリアス展開? と考えたけど、シリアスが長いから違うなと思った。空白を見て確信した。

 たっくんかわいいよたっくん』

 うんいいんじゃないかしら。良い反応よ」

「お約束」

「そうそう。双樹さんからね。

『だ、だまされた!!

 ミニス…他にもなんか捏造しそうだw』」

「今のところは他にはねつ造はしてないわね」

「うん。ちなみに作者はミニスでツイッターをしようとしてた」

「でもさすがにそれは面倒だからやめたのよね」

「うん」

「じゃあそろそろラストスパートよ。のむさんから。

『よくもだましてくれたなぁ!!!!
 いや、まじでびびりましたよ。箱子さんのキャラが一番すきな自分としてはありえねぇ・・・とか素で独り言を言ってしまいました。
 なんだかんだでこの作品を毎日チェックするのが日課になりつつある私ですが、今回の話は心臓に悪かったです。この展開もありと言えばありなのですが、不意打ち過ぎて心臓がばくばくしております。妙になまなましい展開なのが・・・
 ミニス自重。』

 よかったじゃない! 箱子ちゃんのファンよ!」

「うんありがと。でもたーが一番好き」

「そんな箱子ちゃんが大好きー!」

「えへへ……わたしもー」

「そんなわけでA7さん!

『応援ありがとうございました!干支瀬虎先生の次回作にご期待ください!』

 ……次回作が始まるのは来年よ?」

「今はフリーゲームのシナリオも書いてる」

「うん。それは下ネタばっかの下品なやつだけどね」

「そのうちブログで情報がでるかも」

「企画倒れして出ないかも」

「どっちでもいい」

「まああたしたちには関係ないしね。じゃあ次……ミニスって聞き覚えがあるような……」

「バカサンタ」

「『華麗なミニスが100をゲットです。』って書いてある」

「馬鹿。死ねばいい」

「確かに馬鹿ね」

「さっさと次行きましょ。名無人さんね。

『何故かブログに先にコメントしたものです
 はここさん属性パネェ
 個人的にカニバは駄目なんですよねー

 ミニスかわいいy・・・なんていうと思ったかヴァカめ!

 最近影薄いけどコメットかわいいよコメット!』

 ……ブログで返信できなくてごめんなさい。あたしたちの返信で我慢してね」

「わたしの趣味は合法で、需要と供給が成り立っているなら大丈夫。ちゃんと『食べられたい人』からお金で買ってる」

「あーあーきーこーえーなーいー。ってそういえば、コメットは来月出番が多いらしいわね」

「うん。ちなみにわたしたちの出番はない」

「……まあがんばりましょ」

「うん」

「最後よ、黒茶色さん。

『カニバリズムはやべえ。』」

「美味しい」

「本気なの……?」

「さあ?」

「…………」

「…………」

「今月の感想返信はここで終わり」

「……ら、来月はあたしたち二人とも出番ないけど応援して、ね?」

「しないと食べる」

「怖いからやめなさい!」




 おめでとう!
 ラフスケッチに コメットが ついか された!
 ものすごく 適当だ!



[25213] 2月のお疲れさま会
Name: 干支瀬虎◆fd2f536b ID:a6f36a9f
Date: 2011/02/26 13:12
帷「2月編のお疲れさま会始めるぜぇ!」

早妃「お疲れさまです帷様」

主人公「……このコーナーって必要か?」

帷「いやいらねーだろ、こういう座談会的なノリは痛々しくて嫌いな奴も多いしな。かく言う作者もその一人だぜ」

主人公「じゃあやるなよ! 無駄だろこれ!」

帷「まあいいじゃねえか。今更やめれねーよ」

主人公「そうだけどさ……」

早妃「それでたっくん様、ミニス様とのデートは如何でした?」

主人公「あーうん、いつも通りだよ。いつも通り終わりから最後まで馬鹿な会話してただけだから」

早妃「結果本編で描かれることすらなく、さらに進展なしですか。残念ですね」

帷「たっくんは奥手だから仕方ねーか」

主人公「いや別に僕はミニスのこと好きなわけじゃないし」

帷「ミニスカもたっくんのこと好きじゃないんだよな。このままじゃラブコメできねーじゃん、どーすんだ?」

早妃「作者もそれに悩んでいるのです。どんなイベントでも茶化して雰囲気をぶちこわしますから、あの方」

主人公「確かにある意味攻略不可能キャラだよね」

帷「キャラが勝手に一人歩きしてんだよ。俺らと違って」

早妃「さて、そんなミニス様は来月は活躍できるのでしょうか?」

帷「さあ? 再来月のプロットはだいたい考えてるけど来月はほとんど白紙だしなー」

主人公「それでいいのかよ作者……」

帷「どうにかなるだろ。正直言って来月は俺出ないし知ったこっちゃねえよ」

早妃「来月はフィンランドのお話ですからね。出番があるのは未だ登場していない方を除くとたっくん様とミニス様、コメット様ぐらいですわ」

主人公「……僕4月から学校なんだけど。帰ってこれるかどうかもの凄く不安だ」

早妃「安心してください。再来月も舞台はフィンランドですわ」

主人公「さようなら僕の前期単位! こんにちは留年生活!」

帷「つうか時間の無駄だし、学校辞めろよ。それとも就職して兼業作家にでもなんのか?」

主人公「そういうのはまだ決めてないけどさ……」

帷「大学に行っても友達できないんだったら諦めろって、もうたっくんには友達できねーよ」

早妃「帷様それは言い過ぎですわ。本人はまだ諦めてないのですからこのまま夢を見させてあげるべきです。あ、でも就職は面接で落とされそうですね」

主人公「おまえら僕が嫌いなんだろ?! そんなにぼっちをいじめて楽しいのかよ!」

早妃「蠅の羽音が喧しいですが、今月はここまでで終わりにしましょう。では、これにて2月編『ミニスカサンタはメインヒロインの夢を見るか?』はおしまいですわ。また来月会いましょう」



後書き
この短いお疲れさま会だけ投稿するのは非常に心苦しいのですが、今月はこれ以上書けそうにないので。来月もまた楽しんでくれたら幸いです。


感想掲示板 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.930207014084