私の広瀬川インタビュー
トップページ >私の広瀬川インタビュー目次 >私の広瀬川インタビュー(第18回)

日時:平成22年11月12日(金)
場所:イタリアンレストラン「アルフィオーレ」
聞き手:佐藤幸輝(仙台市建設局広瀬川創生室)


第1回 2011.2.14
第2回 2011.2.15
第3回 2011.2.16
第4回 2011.2.17
第5回 2011.2.18
第6回 2011.2.19
第7回
今後の仙台市とジョジョ作品との関わりは?
2011.2.20
第8回 2011.2.21
第9回 2011.2.22
第10回 2011.2.23

7.今後の仙台市とジョジョ作品との関わりは?

聞き手

確かに欧米では、マンガやアニメは子供のもので、
大人が見るものではないという区分けが
はっきりなされているようですね。
我々ファンは、荒木先生が遂に世界に認められて
ルーヴル美術館に展示された、ということで
嬉しく思っていますが、先生にとっては、
マンガ家の立場とアーティストの立場で
葛藤があったのでしょうか。

荒木さん

葛藤というか、そうした違いをはっきりと感じましたね。

聞き手

京都の展覧会では、ヨーロッパの作家さんと
一緒に展示されていますが、その作家さんたちとの
交流はありますか?

荒木さん

その時来日されていた、ニコラ・ド・グレシーさんには
お会いしました。

聞き手

日本語訳が出版された際に推薦の帯を
書かれたそうですね。
先生の作品と相通じるところはあるのでしょうか?

荒木さん

いや、違いますね。読み味とか全然違うんですよ。

聞き手

ファンの方が運営されているサイトで
紹介されていましたが、先生のファンならば、
これはこれでひとつの完成された奇妙な世界のように
みえるそうですが。

荒木さん

そうですね。画がものすごく上手いです。

聞き手

それはマンガというよりも絵画として。

荒木さん

ええ、なんかねこう、大人がお茶とか
お酒を飲みながらゆっくり鑑賞するようなイメージで、
日本のマンガみたいに電車の中とかでバーッと読む
感じではないですね。

聞き手

アートとして鑑賞するようなイメージですか。

荒木さん

ワイン片手に鑑賞しながら、「ンー」みたいな(笑)。
あるいは週末の午後はこれを観ながら
ゆっくり過ごそうかな、みたいな感じで。

  「ジョジョ」第五部 ジャンプコミックス第48巻

<「ジョジョ」第五部 ジャンプコミックス第48巻>

聞き手

日本でもそんなマンガ文化があれば面白いですね。
先生の画集などは、おそらくそういう楽しみ方も
できると思います。

画集等

荒木さん

そうした要素も少しずつ取り入れたいとは思いますが、
でも、電車の中で読むっていうシチュエーションも
また大切なんだよね。

聞き手

家に帰るまで待ちきれない楽しみというのも
ありますから。

荒木さん

そうそう。「来週どうなるんだろなあ〜」って。
僕が子供のときは、少年ジャンプは本当は
火曜日発売なのに、仙台駅だけは月曜の夕方に
買えたんですよ!もう一刻も早く読みたくて
駅まで買いに行ってました。
そういうのは必要ですよね。

聞き手

ワクワク感といいますか、続きがどうなるんだろう、
という楽しみが生活の中にあるのは大事ですよね。
その意味でマンガの役割は、大きいと思います。

荒木さん

そうだと嬉しいですけどね。

聞き手

こうして話を伺っていると、先生のアイデンティティは
かなり仙台で生まれ育ったことに起因する部分も
かなりあるように感じますが、そのご活躍や
「ジョジョ」作品を知っている仙台市民は多くても、
実際にご出身が仙台だということは、あまり
知られていないような気がします。

荒木さん

そうかもしれないですね、僕自身あまり仙台を
アピールしていなかったかも(笑)。

聞き手

たまたまあまりその機会が無かったからでしょうか。

荒木さん

主人公が旅をするストーリーが多いので、
僕自身がどこかに定住しているイメージが
ないのかもしれない…
「ジョジョ」で日本を舞台としているのは、
第四部の杜王町シリーズだけだし。

聞き手

ですが第四部で大きくファン層が広がったと思います。

荒木さん

今度はもっとその辺をアピールしますか、
杜王町を舞台にしているのは、「ジョジョ」の作者が
仙台市出身だからだよ!って(笑)。

  荒木さん

聞き手

ぜひお願いします。

荒木さん

でもね、殺人鬼とか出てくる話ですから、
仙台市民の方が怒るのではないかという心配が
強いんです。本当に仙台の人たちに
ご迷惑をおかけしたくないから。

聞き手

今年(※注2010年)は市内でも事件があり、
仙台が全国的に注目された時期もありましたが、
裁判員制度も始まり自分の住んでいるところでも、
そうした事件が身近に感じる時代に残念ながら
なりつつあるかもしれません。

荒木さん

「こちら葛飾区亀有公園前派出所」のように
街にとって良いイメージがあるような作品であれば
良いのでしょうが、僕の作品のイメージだと、
ちょっと…(笑)。
あんまり大々的に仙台をそうした舞台とするのは
気が引けます。

聞き手

ところで、以前先生にエコバッグのデザインを
お願いしたことがありましたが、先生に描いて
いただいたものは大人気で
あっという間になくなってしまいまして。

エコバッグ

荒木さん

嬉しいですね、エコバッグで少しは仙台市に
貢献できたのかな。

聞き手

大変話題となったのですが、エコバックの制作枚数
自体がそれほど多くはなくて、あっという間に
コレクターアイテムになってしまったみたいです。

荒木さん

市民の皆さんに喜んでいただけるなら、
今後も頑張ります。

聞き手

「ジョジョ」ファンの皆さんは、仙台を
聖地巡礼として訪れる方がいらっしゃるようですし、
また仙台市での「ジョジョ立ち」も大変盛り上がったと
伺っておりますので、ぜひ、仙台で「ジョジョ」を
リアルに感じてもらえたらと思います。
ちなみに仙台市では「彫刻のあるまちづくり事業」を
行っていて、市のシンボルである定禅寺通りの
ケヤキ並木の下などにも、ファンには「ジョジョ」の
世界観を感じさせる彫刻もありますし。

  定禅寺通の彫刻の写真

<参考 定禅寺通の彫刻 エミリオ・グレコ作「夏の思い出」>

荒木さん

ああ、ありますね(笑)。

聞き手

熱心なファンの方でしたら、「ジョジョ」とは
全く関係がなくても「捻り」が入った彫刻を見て
喜ばれると思いますが、実際に「ジョジョ」を
モチーフとした作品を仙台市で鑑賞できたら、全国から
ファンの方がたくさん仙台市を訪れてくれると思います。
ちなみに、仙台市役所にも「ジョジョ」の熱心な ファンがいて、
作品に登場するエピソードや
名所などを巡るルートを設定して、仙台市としても
セールスポイントをつくろうという企画がありました。

荒木さん

いやそんな、恐れ多い(笑)。でも夢のような話としては、
なんだか、楽しそうですね。

聞き手

実際に青葉区花京院にある郵便局などをファンの方が
訪れて、「郵便局なのにやっぱり緑色だ!」という話も
あったそうです。普通の郵便局だけでなく、
街のいろんなところに「ジョジョ」ワールドを
見出す熱心なファンの方がいるようです。

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