韓国の李明博(イミョンバク)大統領が25日、就任3周年を迎える。韓国の大統領は再任なしの任期5年。金大中(キムデジュン)元大統領、盧武鉉(ノムヒョン)前大統領は任期後半に支持率が急落したが、李大統領は最近の世論調査で5割近い支持率を保つ安定ぶりだ。しかし、多くの韓国メディアは北朝鮮情勢、経済問題などで政権が正念場を迎えるのは、むしろこれからとの見方も示している。【ソウル大澤文護】
韓国紙・東亜日報が21日に報じた世論調査によると、国政運営に対する評価を問う質問に対し、「良くやっている」が47・3%を占め、「失敗している」の45・4%を上回った。分野別では、外交について64・3%、経済について49・4%が「良くやっている」と答え、「失敗している」との否定的評価を上回った。一方、「国民統合」で62・5%、「政府の人材活用」で58・4%、「教育改革」で54・6%が「失敗している」と答え、「良くやっている」を上回った。
東亜日報は外交分野での高評価の理由について「前政権時に悪化した米韓関係を修復し昨年11月にソウルで開催された主要20カ国・地域(G20)首脳会議を成功させたから」と指摘した。反対に、李大統領が就任時に公約として掲げた「4大河川再開発事業」や「首都機能移転のための新都市建設計画の見直し」では、野党勢力の反対を押し切り国会で強行採決した姿勢が国民の反発を呼び「国民統合」での否定的評価につながったと分析している。
韓国メディアによると、金大中政権や盧武鉉政権は、就任から3年たったころに、政府関係者の不正発覚などで支持率が20%台に落ちた。李明博政権も就任当初、米国産牛肉の輸入規制緩和に対する国民の反発で支持率が10%台に落ちたが、その後、急速に復活し、昨年は40~50%台を維持した。「経済回復で示したリーダーシップが国民に評価された」というのが韓国メディアの分析だ。
今後の課題で、先行きが最も不透明なのは北朝鮮情勢だ。
李明博政権は発足当初から、北朝鮮が核放棄しない限り、大規模支援などのための本格的な南北対話には応じない姿勢を維持してきた。昨年3月の海軍哨戒艦沈没事件、11月の延坪島砲撃事件以降は、その姿勢をさらに強めた。
しかし、北朝鮮は今後、金正恩(キムジョンウン)氏への権力移行や、2012年の「強盛大国」実現のため、南北対話を求める可能性が高い。韓国の政権が「任期末まで北朝鮮との関係を絶ったままでいるのは難しい」(夕刊紙・文化日報)との見方があり、政権は難しい判断を迫られる可能性がある。
一方、昨年以来の生鮮食料品や住居費の高騰で今年1月の消費者物価は前年同月比で4・1%上昇した。韓国メディアは「政府目標の3%台を超過した」と警告を発した。さらに朝鮮日報は「大卒以上の失業者数が34万6000人となり、統計を取り始めた00年以降、最大を記録した」(8日付コラム)と報じた。今後、物価高に苦しむ庶民や失業に悩む若者たちの怒りが、政権批判に拡大する危険性を指摘している。
毎日新聞 2011年2月25日 東京朝刊