就活悩み？バスのハンドル奪った大学生

　広島県東広島市の山陽自動車道下り線で２５日午後１１時５５分ごろ、南国交通（鹿児島市）の大阪発鹿児島行き高速バスが横転し、乗客１０人と乗員２人の計１２人全員がけがをした。東広島署は２６日未明、運転手からハンドルを奪って事故を引き起こしたとして、殺人未遂の疑いで乗客の鹿児島市、鹿児島大３年の楫田（かじた）優希容疑者（２２）を現行犯逮捕した。

　同容疑者は当初「死のうと思ってハンドルを切った」と供述。同署では、かばんの中に会社説明のパンフレットを持っていたことなどから、就職活動の帰りだったとみて動機を調べているが、２６日午後からの取り調べには黙秘が続いた。

　また、ネットの交流サイトに同容疑者とみられる人物が今月中旬「ＥＳ終わらない」と、つらい気持ちを意味する絵文字とともに書いていたことも判明。ＥＳ（就活用エントリーシート）作成など、就活に悩んでいた可能性も浮上している。同容疑者は当時、上下スーツ姿だった。

　同署によると、同容疑者は後方の座席から立ち上がり車内を徘徊（はいかい）後、運転手に「降ろせ」と絶叫。別の乗務員の制止を振り切ってハンドルをつかみ、左に切ったため、バスは路肩に乗り上げ横転。「これで誰も降りられない。みんな死ぬんだ。殺してくれ」などと叫ぶ同容疑者を乗客が取り押さえた。

　同容疑者が通う鹿児島大は２６日、吉田浩己学長を本部長とする対策本部を設置、情報収集のため教職員３人を広島県警東広島署に派遣した。

　［2011年2月27日8時16分　紙面から］