市民を危険にさらす揚花大橋(下)
コさんは昨年6月27日午前4時ごろ、タクシー1台が完全につぶれ、乗客2人が死亡した事件を目撃した。橋の中央部が「凹字」に曲がっていることを知らずに進入してきたドライバー(BMWのSUV〈スポーツタイプ多目的車〉)が、中央分離帯を越えてしまい、タクシーを下敷きにしてしまった事故だった。先月7日午後11時30分には、同じく「凹字」を知らない広域バス1台が直進してしまい、中央分離帯に衝突。横滑りしたことで数百台の車両が2時間にわたって橋の上で立ち往生した。コさんは「市と市議会の対立が、市民を危険に追いやっている」と怒りをあらわにした。
大峙洞に住むイ・デホンさん(31)は「以前に揚花大橋を渡った時、道が突然曲がるため、危うく中央分離帯に衝突してしまうところだった。市と市議会は、ささいな争いで市民が犠牲になっているということを肝に銘じるべきだ」と厳しい表情を見せた。
最終的にソウル市は「予備費を使ってでも工事を終える」と一方的に宣言し、17日に工事を再開した。2回目の中断に突入してから実に47日目のことだった。どんなに急いだところで、完工は当初の予定よりも6カ月遅れの来年6月になる見込みだ。
市議会の民主党側は「遊覧船を運航するために揚花大橋の工事を始めたこと自体が誤りだ。大型遊覧船が漢江を通り、西江大橋や麻浦大橋のような場所で衝突すれば、大型事故につながりかねない」と主張する。市議会は市民の不安を考慮し、ひとまず「凹字に曲がった橋を一直線に戻すための予算(85億ウォン=約6億3000万円)を執行する」ことにした。しかしソウル市は「この場合、橋の片方にしかアーチを作ることができないため、変な格好になってしまう。予備費を使ってでも工事を完全に終わらせるべきだ」と、予算の上乗せを要求している。
現在揚花大橋は「凹字」区間の安全確保のために制限速度を以前の時速60キロから30キロにまで下げている。しかし、こうした事情を知らないドライバーが運転するため、深夜の事故は今も絶えない。
李衛栽(イ・ウィジェ)記者
チョン・セヨン記者