政界で核保有論が浮上、北朝鮮に圧力(上)
「圧迫可能」
中国が最も嫌う北東アジアの「核ドミノ」で北朝鮮に圧力
「現実性ない」
米国の戦術核を再配置し、北朝鮮の核廃棄後に撤収するシナリオは現実性に乏しい
25日の国会本会議の代表質問では、「韓国も核を持つべきだ」とか「米軍の戦術核兵器を再び持ち込むべきだ」といった主張が相次いだ。質問に立った13人の議員のうち5人がそういう趣旨の発言を行った。国会という公論の舞台で、核保有または核兵器搬入論が本格的に議論されるのはまれだ。
■「核は自衛手段」で北への圧力用
同日示された主張は大きく分けて二つだ。まず、自衛のための核保有論だ。元裕哲(ウォン・ユチョル)国会国防委員長(ハンナラ党)は「北朝鮮の核に、韓国は独自の自衛手段を何も持っていない」と述べ、北朝鮮の核兵器に対抗し、韓国も核を保有すべきだと主張した。趙舜衡(チョ・スンヒョン)議員(自由先進党)、宋永仙(ソン・ヨンソン)議員(未来希望連帯)も「核保有・核主権論」を展開した。金容甲(キム・ヨンガプ)元議員(ハンナラ党)はこのほど「かつて朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領が進めた核開発を行うほかにない」と主張した。保守団体は来月、「大韓民国も核を保有すべきだ」とするシンポジウムを開く予定だ。韓国政府は1991年末に南北による韓半島(朝鮮半島)非核化宣言で、核兵器生産の第1段階となる核燃料の再処理能力を放棄している。
一方、ハンナラ党の鄭夢準(チョン・モンジュン)元代表、鄭玉任(チョン・オクイム)議員は、米国の戦術核兵器の再持ち込みを求めた。一時は950基の核兵器が韓国にあったが、1991年に米政府は世界的な戦術核削減決定により、韓国から核兵器をすべて撤収した。鄭元代表は「北朝鮮の核が廃棄される瞬間まで、最低でも戦術核兵器の再持ち込みを検討すべきだ」と述べた。米国の戦術核兵器を再び持ち込むのは、北朝鮮に核廃棄を迫ることが目的だ。しかし、戦略核兵器を一度配備し、北朝鮮が核を廃棄すれば、再び撤収するというのは、現実的に不可能との指摘が多い。
高麗大の柳浩烈(ユ・ホヨル)教授は「実際に核武装しようというより、『北朝鮮の核に生ぬるい対応をするならば、韓国も核を保有する』と言って、中国や米国に圧力をかける戦略と見るべきだ」と指摘した。