グーグル、ツイッターといったネット関連企業が、エジプトでのネットの遮断を受けて、声明を発表している。今のネット上での言論の自由の確保には、これらアメリカ企業の存在が欠かせない。
1. ソーシャル・メディアが、抗議行動と人々の連帯を促進
チュニジアのジャスミン革命に続いて、エジプトでもフェイスブックやツイッターといったソーシャル・メディアを通じた情報共有をきっかけに、数十万人規模のデモが起こり、他の国にも波及しそうな勢いだ。これほどまで早く、こうした活動が連鎖することを予測できた人は、多くないのではないだろうか。インターネットの普及とソーシャル・メディアの発達は、世界中の人々に、団結しやすい環境を創り出している。
そして、ジャーナリストだけでなく、ソーシャル・メディアやブログを通じて、一般の人々が抗議活動を世界に向けて発信したおかげで、世界中の人々がこのことを知ることができた。
もちろんエジプトでのデモの根本的な原因は、長年続いた独裁と貧困であり、フェイスブックやツイッターといったソーシャル・メディアは人々の団結を促進させ、起爆剤になっただけだ。
約20年前に、ベルリンの壁崩壊に結びついた民主化運動の先頭に立った女性画家で、旧東ドイツ反体制運動家の故ベアベル・ボーライ ( Barbel Bohley ) さんは、自分の行動をリアルタイムでツイートしたわけでもなければ、フェイスブックで仲間と連絡をとっていたわけでもない。ソーシャル・メディアがなくても、一般市民による大規模な反体制抗議行動は起こりうるのだ。
しかし現代において、ソーシャル・メディアがそうした抗議行動と人々の連帯を促進していることは間違いない。
2. 言論の自由を求めるネット企業のメッセージ
ところで今回の動きで興味深いのは、エジプト政府が1月28日未明にインターネットを遮断したことに対して、言論の自由を求めるネット企業の発言や行動が出てきていることだ。
例えば
ツイッターでは、共同創業者ビズ・ストーンからのメッセージ「ツイートを自由に発言できるように」(2011年1月29日)を公開した。
(以下、引用)
「私たちのゴールは、どこにいても自分にとって大切な人や情報と瞬時に繋がることができるようにすることです。これを実現するためには、表現の自由が不可欠です。抑圧された国においてはツイートがポジティブな変化を引き起こす原動力となったり、ツイートがくすっと人を笑わせてくれたり、考えせられるツイートや、あきらかに多数の人の怒りを引き起こすツイートなど、様々なツイートが存在します。ツイートする内容を厳選した上で投稿すべき、という考えには必ずしも同意する訳ではありませんが、私たちがコンテンツに対して持っている見解には関係なく、全ての情報が流通するように保っています。
「オープンな情報交換は世界にポジティブな影響を与える」、これが実務上、かつ道徳上の私たちの信念です。」
また
グーグルは、1月31日、エジプトで
インターネットに接続しないでもツイッターに投稿できるサービスを立ち上げたことを明らかにした。ユーザーが音声回線を使って音声メッセージを入れると、それが自動的にツイッターに投稿される仕組みだ。
グーグルでは公式ブログに「
Official Google Blog: Some weekend work that will (hopefully) enable more Egyptians to be heard」(1/31/2011)というメッセージをアップし、次のように述べた。
(以下、引用)
We hope that this will go some way to helping people in Egypt stay connected at this very difficult time. Our thoughts are with everyone there.
(我々は、このサービスが、ネットを使い続けることが非常に困難な時期にあるエジプトの人々の手助けとなることを期待している。我々の考えは、エジプトの人々と同じだ。)