2011年2月22日、シンガポール華字紙・聯合早報は、日本とインドが経済的な“熱愛”関係にあると論じた。中国新聞網が伝えた。以下はその内容。
日本とインドの代表は2月16日、東京で経済連携協定(EPA)に署名した。今後10年以内に両国間の貿易総額の94%の品目について、関税を段階的に撤廃していくという。日本はこのEPAを経済“開国”の重要な第1歩とみなし、両国高官はこの締結を「素晴らしい」「歴史的な」といった言葉で絶賛した。今回のEPA締結が持つ意義が並大抵のものではないことがうかがえる。
【その他の写真】日印はこの1年ほど、経済的な“熱愛”状態が続いている。その背景には一体どんな要因があるのか。まず、今の日本は経済、内政、外交のいずれにおいても苦境に陥っており、すぐに好転する気配はない。経済ではついこの間、中国に追い抜かれて世界第3位に転落したばかりだし、外交でもロシアと北方領土をめぐる対立が激化。韓国とも互いに同じ米国の同盟国でありながら、歴史問題と領土問題が大きく横たわっている。
菅直人内閣は国内の政局と世論の影響を受け、「遠交近攻」(遠くの国と手を結び、近くの国を攻める)政策をとっている。日米同盟を深化させて米国の「アジア復帰」政策を利用したい考えだが、反対に米国のアジア戦略の犠牲になっている。北方領土問題の複雑化がその良い証拠だろう。インドとの“熱愛”もこの「遠交」政策の重要な一環。インドと良好な関係を保つことは日本にとって大きな価値を持つのである。
インドは中国と同じBRICsの一員で、人口が多い新興国だ。最近の日本企業は12億の巨大な市場よりも、インドの経済成長(年9%)と2億4000万人の中産階級に夢中のようである。だが、「遠くの水は喉の渇きをすぐには癒せない」と言うではないか。長く慣れ親しみ距離も近い中国市場から、事情も良く分からず距離も遠いインド市場への転換を図るとは。リスク分散のように見えて実はさらに大きな「不確かなリスク」を背負ったことに日本は気付いていない。
インドの北東アジア、特に中国に対する影響力はごくわずかだ。中国もインドとの協力関係を強化しており、インドが日本の強力な助っ人になることはあり得ない。日印の“経済愛”は急速に高まっているが、日本の「遠交近攻」政策の苦境を救うことにはならないだろう。(翻訳・編集/NN)
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