2010年の国勢調査人口の速報値が発表され、議員1人あたりの選挙区人口で計る衆院の「1票の格差」が最大で2.524倍に達することが分かった。
これを受けて衆院小選挙区の区割りを定める審議会の作業が3月から始まる。1年間かけて審議し、首相に区割りの見直し案を勧告する。
1票の格差の是正を進めるには、各都道府県に1議席ずつ配分する「1人別枠方式」という仕組みを廃止する必要がある。与野党はその法改正に早急に取り組んでほしい。
小選挙区の区割りは、10年ごとの大規模な国勢調査の結果に基づいて見直すことになっている。今回、議員1人当たりの人口が最も多かった千葉4区(60万9081人)と最も少ない高知3区(24万1343人)との格差が2.5倍強となった。
300ある小選挙区の区割りの改定は、まず47都道府県に1議席ずつ配分したうえで、残る253議席を最新の国勢調査人口に応じて各都道府県に割り振る。
現行制度のままなら各県への配分は、東京が2議席増の27議席に、神奈川、愛知が1議席ずつ増えてそれぞれ19、16議席となる。一方、大阪、徳島、高知、鹿児島は各1議席減る。新定数は大阪18、徳島2、高知2、鹿児島4議席となる計算だ。
1人別枠方式は、中選挙区制から小選挙区制に選挙制度が変わった時の激変緩和措置である。
区割り審議会設置法は小選挙区の1票の格差について、2倍未満を基本にするよう定めている。にもかかわらず、1人別枠方式の規定があるために、区割り見直し後も格差は2倍を超えているのが実情だ。小選挙区制ですでに5回の衆院選が実施され、制度は定着している。激変緩和の過渡的措置である1人別枠方式を維持する合理的な理由はない。
1票の価値の平等は憲法上の大原則だが、参院も含めて1票の格差が許容されてきたので、日本の選挙制度は都市部に比べ、地方に手厚い議席配分になっている。これが行き過ぎた農業保護政策の弊害などをもたらし、政策決定をゆがめてきた。
最高裁はこれまで国会の広い裁量権を認め、衆院については3倍以内を目安に合憲判決を出してきた。だが、最大2.30倍だった2009年8月の衆院選に関し、高裁段階では違憲判断が相次いだ。最高裁が今春にも言い渡す判決で、判断を見直すかどうかも注目されている。
国会は最高裁の判決を待たずに、自らの意思で1人別枠方式の廃止に踏み出す時である。
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