指定暴力団工藤会が小倉南区上貫3丁目に昨年3月に開設した事務所の土地と建物を購入した医療法人「心愛」(小倉北区)は25日、元事務所の内部を報道陣に公開した。心愛の山崎宏理事長は「地域と高齢者のための施設づくりに努力します」としている。
公開された元事務所は敷地の広さ約2800平方メートル。本館にあたる2階建て洋館や、事務所兼車庫、室内プール、犬舎など計5棟がある。
心愛によると、工藤会が「長野会館」などの看板を掲げた門扉や敷地南側の犬舎などは取り壊し、新たに4階建て介護付有料老人ホーム(定員100人)を建設。本館はコンサートなど地域行事にも使える「地域交流センター」として、地域住民に開放する。7月に着工し、来年4月に完成、運営を始める計画。取り壊しや工事費用は約10億円。
市民、行政、警察などが力を合わせ事務所撤去運動に取り組んだ経緯を踏まえ、心愛は施設全体を「オーケストラ」と名付けるという。
公開された元事務所の内部は吹き抜け玄関のシャンデリアや、30畳の和室、豪華な装飾のソファなどがあった。荷物の大半が持ち去られ、暴力団が使用した形跡はほとんどうかがわれなかったが、室外に取り付けられた防犯カメラや照明が物々しさを感じさせた。
心愛の冨田幸治事務長は「福祉施設にすれば住民が安心して過ごせると思い購入を申し出た。暴力団に利益供与するつもりは一切ない」と話した。
=2011/02/26付 西日本新聞朝刊=