2011年2月24日5時11分
大阪地検特捜部が手がけた郵便不正事件を受けて、最高検は23日、特捜部の取り調べの一部を録音・録画(可視化)する試行方針を公表した。独自事件で逮捕した容疑者について、自白調書の内容を確認する場面に加え、否認した場合も適用可能にする。各国税局など他機関からの告発事件も対象とし、3月18日から試行を始めることにした。
ただし、「立証責任のある検察官の判断と責任で、真相解明機能を損なわない範囲で実施する」などの条件も列挙。検察官の裁量で録音・録画するか決められるとしており、実際にどれだけの事件で実施されるかが焦点となる。
録音・録画は、容疑者が自ら供述したかどうかの「任意性」のほか、供述が信用できるかどうかの「信用性」を公判で立証することが主な目的。東京、大阪、名古屋の各地検特捜部で実施する。
一方、容疑者が拒んだ場合▽取り調べの真相解明機能が害されたり、関係者のプライバシー保護などに支障が生じたりする恐れがある場合▽時間的、物理的に困難など、録音・録画の実施に障害がある場合――は対象外とした。
録音・録画のタイミングは、取り調べの最終段階に限らず、初期や途中段階でも実施する。自白した経緯や取り調べの状況、調書の作成過程のほか、調書の内容を確認して署名する場面などの録音・録画を想定している。検察官は一方的に取り調べを終了せず、最後に改めて、取り調べの状況などについて容疑者が自由に供述できる機会も設ける。録画したDVDは弁護人への証拠開示の対象とする。
各国税局、証券取引等監視委員会、公正取引委員会からの告発事件は、当初はこれら他機関もチェックしていることを理由に対象外とする方針だったが、件数を増やして試行の実績を上げるため、対象に含めることにしたという。
郵便不正事件では、多数の供述調書が「検事の誘導でつくられた」などの理由で証拠採用されなかった。また、同事件をめぐっては、大阪地検特捜部の検事による証拠改ざん・犯人隠避事件が相次いで発覚。最高検は反省を踏まえ、国民の信頼を回復するため、昨年12月末に再発防止策を発表した。中でも「特捜部の取り調べの録音・録画」は目玉で、検察がどこまで踏み込むかが注目されていた。