2011年1月30日11時29分
支持率低下や政権運営に苦しむ菅直人首相は、低空飛行を続けた森喜朗元首相の姿と重なる面がある。予算成立などを花道に1年で退陣した森氏とは異なり、菅首相は長期政権の道筋を描けるか。
通常国会を前に発足した菅第2次改造内閣。与謝野馨経済財政相や江田五月法相らベテランの顔ぶれが目立つ一方、女性閣僚は再任の蓮舫行政刷新相だけだった。改造内閣も含めて発足時に女性閣僚1人は2000年4月に組閣した森内閣以来。高支持率の小泉純一郎元首相は政権発足時に女性5人を入閣させた。
振り返れば今年の元日。菅首相は首相公邸で新年会を開き、「今年は自分らしさを出したい」と決意を述べた。自民党政権時代には「公邸開き」と言われた恒例行事で、01年に森氏が催して以来だ。当時、森氏は「(これから)大きな役割を担って働きたい」と語ったものだ。
国政補欠選挙への対応も似通う。菅首相は昨年10月の衆院北海道5区補選で、選挙区に足を運ばなかった。現職首相が単発の補選応援に入らなかったのも森氏以来だ。
春に統一地方選を控え、民主党内から「このままでは行き倒れ」との声が上がり、菅首相は逆風にさらされる。夏の参院選を前に「選挙の顔にならない」と批判された森氏は公邸開きから3カ月後、01年度予算成立や緊急経済対策の決定を理由に退陣している。(岩尾真宏)