【与謝野改革の虚実】(上)変節か使命か 四面楚歌で挑む難題 (1/5ページ)

2011.2.2 09:05

記者団に囲まれる与謝野経財相

記者団に囲まれる与謝野経財相【拡大】

  • 衆院予算委員会で、自民党の石原伸晃幹事長の質問に対する菅直人首相(手前)の答弁を見つめる与謝野馨経済財政担当相=1日午前、衆院第1委員室(酒巻俊介撮影)
  • 与謝野馨プロフィル

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 1日の衆院予算委員会は、菅直人第2次改造内閣で経済財政担当相となった与謝野馨へのバッシングの嵐が吹いた。朝からのどの痛みを感じた与謝野はマスク姿で閣僚席に座り、自分に罵声を浴びせるかつての同志をじっと見つめた。

 かつて自民党の経済財政政策の中枢を担ってきたのだから批判は覚悟の上だ。先の衆院選で東京1区で現経済産業相の海江田万里に競り負け、自民党の比例代表として復活当選を果たしただけに「裏切り」との感情的なもつれもある。

 「余計なことは言わずに耐えていくしかない」。そう思った与謝野はしゃがれ声でこう繰り返してきた。

 「社会保障制度と税制抜本改革はこれ以上先送りできない。十年来自分の信念として取り組んできた。税と社会保障を一体的に企画立案してくれと命が下ったので政治家の最後の仕事として引き受けたのだ」

 ただ「新しい仲間」の民主党も冷ややかだ。先の衆参本会議代表質問では「ヨソの大臣」「レンタル閣僚」とヤジが飛んだ。

 税と社会保障の一体改革への理解も乏しい。平成17年の小泉純一郎政権で党政調会長として郵政民営化法案を取りまとめた時以上の抵抗が予想される。

 与謝野もそう考えたのか。菅内閣の一員になると、昨年1月出版の著書「民主党が日本経済を破壊する」(文春新書)で容赦なかった民主党の政策の批判を封印した。

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