2011年2月2日10時40分
菅直人首相が専門分野に通じた有識者を次々と参与や特別顧問に任命し、ブレーン作りに懸命だ。雇用対策や農業再生など、自らの肝いり政策に関する「知恵袋」役を期待している。ただ、あくまで首相への提言にとどまり、政策の実現度合いははっきりしない。
首相は1日、河野栄次・生活協同組合連合会顧問を新たな内閣府参与に任命した。河野氏は、首相が金看板に掲げる「最小不幸社会」の実現に向けて、市民活動の促進策や「新しい公共」を担当する。
内閣府参与は河野氏を含めて総勢12人いる。東京・日比谷公園に開設された「年越し派遣村」の元村長、湯浅誠・反貧困ネットワーク事務局長は「雇用・貧困対策」を担当。また、鈴木勝康・住宅金融支援機構理事に「マクロ経済・成長戦略」を、清水康之・自殺対策支援センターライフリンク代表には「自殺対策」など、それぞれ担当分野を振り分けている。
この他、内閣官房参与と内閣特別顧問も置いている。望月晴文・前経済産業次官は環境分野などを中心とした新成長戦略にかかわり、小林芳雄・元農林水産次官は環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉参加に向けて、農林漁業の再生策を担う。
評論家としても知られる松本健一・麗沢大教授は以前から「第3の開国」を唱えており、首相が訴える「平成の開国」の思想的基盤となっている。また、笹森清・元連合会長は雇用対策のほか政権運営など幅広い「助言役」だ。
参与や特別顧問は、西村六善・元地球環境問題担当大使や稲盛和夫・京セラ名誉会長など、自公連立政権や鳩山政権の時代からの継続任命が11人いる。だが、昨年6月の菅内閣発足以降に新たに11人が任命されて陣容は倍増した。