1月14日、菅政権で再び内閣改造が行われ、その人事が発表になった。エネルギー政策を管轄する経済産業大臣には、昨年9月から経済財政担当大臣を務められていた海江田万里氏が就任した。新成長戦略の中で掲げているグリーンイノベーションの実現と、大転換期に突入しているエネルギー産業の発展のために、尽力いただけることを願っている。
くしくも前任の大畠章宏・現国土交通大臣とは、ある雑誌の新春巻頭企画において昨年末に対談し、エネルギー政策に関して議論する機会があった。その内容は、エネルギー需給構造の変革やそれに伴う制度改革、また必要となる技術革新や国際競争力の強化策にまで及んだ。
実のところ、総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会・電気事業分科会買取制度小委員会の委員長であるとともに、学識経験者としてRPS法(電気事業者 による新エネルギー等の利用に関する特別措置法)に関する国会参考人として召致された経験もある私としては、いま非常に複雑な心境にある。大畠前経産大臣には、そうした思いを率直に述べさせていただいた。
というのも、2012年度からの開始を予定している、再生可能エネルギーの全量固定価格買取制度を構築するための法案が、1月24日に召集された通常国会に提出され、いよいよ審議が始められようとしているからである。委員会などの活動を通して、政府にはさまざまな意見や報告書を上げさせていただいたが、最終的には経産大臣の判断を見守るしかない。
私が懸念するのは、再生可能エネルギーの全量買取制度の導入によって、発生する社会コストをどのように最小化し、この国民負担の公平性をどのように確保すべきかということ。その上で、国益を最大化する最適解を導けるか否かということである。