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衆院予算委での公明党の質疑(要旨)
公明新聞:2011年2月3日付
2日に行われた衆院予算委員会での、公明党の石井啓一政務調査会長、高木陽介幹事長代理の質疑(要旨)は、次の通り。
石井啓一政調会長
災害対策
石井政調会長 昨年末からの記録的な豪雪により、各地で甚大な被害が生じている。自治体への税制支援や、交通、電力などの確保に万全を期してほしい。宮崎・鹿児島県境の新燃岳の噴火では、噴火予知、万全な避難態勢の確保とともに、降灰被害への救済措置が必要だ。
高病原性鳥インフルエンザの発生も各地で確認されている。感染拡大の防止、防鳥ネットなど防疫態勢の点検・整備、風評被害の防止、野鳥の監視態勢の強化を求めたい。
菅直人首相 同様の考え方を持って対応している。
年金制度改革
具体的な数字もなくいい加減な民主党案
石井 社会保障と税制の一体改革について首相は、「野党の方が議論から逃げようという姿勢が見えている」などと挑発的な発言を繰り返している。公明党は昨年6月、社会保障に関する与野党協議会の設置を提案した。昨年末には「新しい福祉社会ビジョン」の中間取りまとめを発表し、与野党協議に応じる準備ができた。今まで逃げてきたのは民主党の方ではないか。
首相 私のいろいろな発言について指摘があった。若干の言い過ぎがあったとすれば謝りたい。公明党が「新しい福祉社会ビジョン」を出したことは承知しており、内容についても私たちの方向と軌を一にするところも多い。
石井 福田内閣の時代、民主党に社会保障国民会議への参加を呼び掛けたが拒否された。ところが与党になったら逆に与野党協議に参加しないと野党を批判している。ご都合主義で、民主党は野党時代の行動を反省して謝罪すべきだ。
首相 反省が必要なところもあった。政局的な判断に偏り過ぎた。
石井 民主党の年金改革の柱は、一つは年金の一元化、もう一つは最低保障年金を全額税(方式)で行うと理解している。1日の衆院予算委では、民主党のマニフェストをベースにしながらもさまざまな案を検討する趣旨の答弁があった。民主党のマニフェストを変更する可能性があるのか。
首相 マニフェストには09年、10年のものが存在しており、それらをベースに民主党あるいは内閣として6月までに(税との一体改革)案を作っていきたい。
石井 民主党案に具体的な数字はない。最低保障年金7万円ということだけだ。これから社会保障の費用の議論をしようというのに、なぜ民主党(案)の財源がどれぐらい掛かるか分からないのか。これでは議論できない。
首相 具体的な数字を固めていなかった。数字の面で、まだ確定した案になっていない。4月に提示するもの(社会保障改革案)に(民主党案が)そのままスライドするものではなく、幅広く検討していく。
石井 (年金の)一元化は難しい問題だ。厚生年金や共済年金は事業主が保険料を半分負担しているが、国民年金の場合は事業主に相当する方はいない。
首相 一元化の難しさは私たちも認識している。制度設計によってさまざまな選択肢があり得る。結論はまだ出していない。
石井 民主党の年金改革がいかにいい加減だったかがはっきりした。政権に入ってから1年5カ月近く何をやっていたのか。よく与野党協議をやろうと言えたものだ。
予算案・税制改正
マニフェストの破綻は明白。景気対策も不十分
石井 2011年度予算政府案には(1)景気・デフレ対策が中途半端(2)財政健全化の道筋が見えない(3)マニフェスト破綻が明白―という問題点がある。
「景気・デフレ対策」では成長戦略の目玉として「元気な日本復活特別枠」2.1兆円を計上しているが、在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)、弾道ミサイル防衛関連経費、燃料費、国選弁護人関連業務など「元気な日本復活」にふさわしくない継続事業の予算が入っている。これらが何で「元気な日本復活」に当たるのか。
野田佳彦財務相 いずれも「国民生活の安定・安全」のためだ。趣旨として逸脱していない。
石井 こんな“偽装計上”“架空計上”があるようでは成長戦略もおぼつかない。中小企業の緊急保証制度の廃止や公共事業カットによる地域経済への影響も懸念している。
「財政健全化」で政府は、プライマリーバランス(基礎的財政収支)を20年度に黒字化させるなどの目標を立てているが、達成への具体的な道筋となる歳出削減や歳入増の計画がない。だから、米格付け会社が日本の国債格付けを下げた。
財務相 確かに国債発行額に比べて税収額が少ない異常事態だが、財政健全化は着実に進んでいる。
石井 11年度予算案で、「子ども手当」「高速道路無料化」「ガソリン暫定税率廃止」など民主党マニフェストの主要政策はいずれも目標に到達できない。マニフェストの破綻を率直に認めよ。
財務相 3.6兆円の安定財源を確保し着実に実施している。マニフェストは4年間で実施するものだ。
石井 マニフェストの工程表では“11年度は12.6兆円の財源を確保し主要政策を実施する”となっているが、実現の目途はない。
首相 今年9月で衆院の任期の半ばを迎えるので、マニフェストの検証を行い、実現が難しいものがあれば国民の理解を得たい。
石井 税制改正でもマニフェストにある配偶者控除の廃止、公的年金など控除の拡大、老年者控除の復活を行わない一方で、マニフェストにない住民税の扶養控除廃止などを行うのはなぜか。
財務相 全体として民主党は「控除から手当へ」という流れの観点から議論している。
高木陽介幹事長代理
高額療養費制度
予算の優先順位見直し自己負担限度額の軽減を高木幹事長代理 高額療養費の見直しについて伺いたい。
高額療養費制度は所得に応じて自己負担が変わる【図参照】。年収200万円強から800万円弱までの(一般の)方は月額約8万円払う。しかし、ずっと負担し続けるのは現実的に厳しい。“金の切れ目が命の切れ目”となる。公明党は、例として300万円以下の方の負担限度額を半額の4万円に引き下げたらどうかと提案している。
細川律夫厚生労働相 厳しい財政状況で、2011年度予算は見送らざるを得なかったのを、理解いただきたい。
高木 全然、理解できない。社会保障制度審議会で公明党提案を試算したところ、2600億円だった。厚労相はお金がないから(できない)との話だが、子ども手当で昨年1兆2000億円かけ、今回、上積み分が2085億円(かかる)。上積み分をやめれば出てくる。
枝野幸男官房長官 ご指摘も含めて社会保障の一体改革の議論の中で努力できないか、検討したい。
高木 民主党のマニフェストに高額療養費制度(で患者負担の軽減を図る約束)がある。マニフェストで全部やりたいと思っても、財源の問題から、できるものとできないものがあり、限られたお金の中で優先を決めるのが政治だ。命を落としそうな人を守るのが政治ではないか。
首相 基本的な考え方には同感する。ぜひ今後の与野党で、そういう場ができれば、社会保障改革の中でぜひ議論させていただきたいと考えている。
高木 09年4月、自公(政権)はやろうとしたが、政権交代でできなくなった。最低限、政治でやらなければならないことだ。
介護労働者
首相は「協議」に逃げず、報酬改善へ政治決断せよ
高木 公明党は与党時代(の09年度)に介護報酬でプラス3%改定し、月額9000円の増額を実現。介護職の処遇改善交付金で月1万5000円増額させ、合計で2万4000円程度の(増額の)処遇を行った。民主党はマニフェストで4万円(の増額)にするというが。
官房長官 09年度改正で一定の前進をしたが、その期限が11年度で終了する。これに併せ、処遇を改善できる方向で検討を進めている。努力したい。
高木 努力したいとか、そのような言葉はもういい。本当にやってもらえるか。
首相 社会保障改革全体の中で、制度の維持や拡大、その財源を安定的に維持していく制度について協議したい。
高木 民主党マニフェストで言っているのだから、「協議」の話ではない。(首相は)高額療養費制度や介護問題といったものに対しては、「協議」と言って逃げる。政治決断せよ。菅内閣が弱い立場の人を守れるか、庶民を守るのか、そういう問題だ。
政治とカネ
高木 「政治とカネ」の問題で、(民主党の)小沢(一郎)元代表が強制起訴された。菅首相は、(小沢氏の)国会での説明責任は必要と言われている。けじめをつけることだ。ところが(小沢氏が衆院の)政倫審(政治倫理審査会)に出てこない。証人喚問しかない。岡田克也幹事長に任せるのではなく、決断する最高責任者は首相だ。
首相 「政治とカネ」の問題は、関わった政治家自身が、自分の責任で対処すべき問題だと思っている。
高木 民主党は、けじめのつけられない政党だ。
公共事業
高木 公共事業を削ってきたことが、雪害に大きな影響を与えている。地方の建設業界は、公共事業が削られ、(除雪のための)重機が維持・管理できない。
大畠章宏国土交通相 道路の除雪費用については追加配分を検討して、十分な予算を確保したい。
高木 お金があれば済む話ではない。除雪する業者や重機がなくなっている。民主党は現場を知らない。
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2011年2月25日付