集中検討会議 メンバー受け継ぐ 社会保障改革 自公案追認?

2011.2.5 05:00

 政府は5日、消費税を含む税と社会保障の一体改革を議論する「社会保障改革に関する集中検討会議」の初会合を開く。菅直人首相が議長を務める肝いりの会議だが、主要メンバーは仕切り役の与謝野馨経済財政担当相をはじめ自公政権時代の検討会議に名を連ねた人物が多く、当時まとめられた改革案を大筋で追認する可能性が高い。

 「(野党に配慮した)選択の余地は残すが、背骨はしっかりしておく」。与謝野氏は4日の閣議後会見でこう述べ、検討会議で改革案をほぼ一本化する意向を示し、複数案の提示を求める民主党内の声を牽制(けんせい)した。

 与謝野氏が改革案の念頭に置くのは、自身が深く関わった麻生太郎内閣の2つの会議だ。

 「社会保障国民会議」は2008年11月の報告書で、社会保障の機能強化と安定財源確保を打ち出し、現行の年金制度を維持するには15年度に3.3~3.5%の消費税増税が必要だと明記。世界的な金融危機を経た「安心社会実現会議」では09年6月、全世代を対象に、雇用や子育てなどを社会全体で支える考え方を打ち出した。

 経財相就任後、与謝野氏は両会議の報告書を土台に据える考えを表明。集中検討会議メンバーに社会保障国民会議座長の吉川洋東大大学院教授、安心社会実現会議座長の成田豊電通名誉相談役を選んだ。

 ただ“外様”の与謝野氏が自公寄りの姿勢を示すにつれ、民主党内の反発は強まりつつある。2日に開かれた党の税と社会保障の調査会で、会長代理の小沢鋭仁前環境相は「この会で議論し、決めていこう」と呼びかけた。全額税方式の最低保障年金を軸とする年金制度改革案など民主党のマニフェスト(政権公約)を自公は強く批判し、与野党の隔たりは大きい。

 検討会議は今後、会合を原則週1回開き、経済界や労働界などに加え、野党の改革案についてもヒアリングを実施。4月に社会保障制度の見直し案、6月には消費税を含めた税と社会保障の一体改革案をまとめる。ただ、民主党内で独自色にこだわる声が強まれば意見集約が難航する恐れもある。

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 ≪社会保障改革検討本部「集中検討会議」の有識者メンバー≫

 成田豊・電通名誉相談役(安)

 渡辺捷昭・トヨタ自動車副会長

 古賀伸明・連合会長(社)

 清家篤・慶応義塾長(社)

 宮本太郎・北海道大大学院教授(安)

 吉川洋・東京大大学院教授(社・安)

 堀田力・さわやか福祉財団理事長

 峰崎直樹・内閣官房参与〈元財務副大臣〉

 宮島香澄・日本テレビ解説委員(社)

 柳沢伯夫・城西国際大学長〈元厚労相〉

  ※カッコ内の「社」は社会保障国民会議、「安」は安心社会実現会議のメンバー

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