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政権運営さらに厳しく 自民も「分裂」で痛手 '11/2/7

 6日の名古屋市長選と愛知県知事選で民主、自民両党が有権者にノーを突きつけられた。菅直人首相は、昨夏の参院選をはじめ与野党対決型の大型選挙で連敗したまま4月の統一地方選に臨むことになる。政権運営が一段と厳しさを増すのは必至だ。知事選で党内一本化に失敗した自民党にとっても痛手で、二大政党の不振が顕著になった。

 民主党の石井一選対委員長は6日夜、党本部で記者団に「結果をしっかり分析し、統一選に向け前進する以外の選択肢はない」と表明。首相は午後、斎藤勁国対委員長代理と公邸で会談した際、「党として岡田克也幹事長を中心にさらに準備を加速させたい」と語った。

 愛知県は連合の分厚い支持を背景にして、民主党が2009年衆院選で県内15選挙区を独占した「王国」。同県選出の民主党衆院議員は「『民主党政権は期待外れ』と言われ、どうにもならなかった。このままズルズルと統一選でも大惨敗するかもしれない」とショックを隠さない。

 名古屋市長選では、再選された河村たかし氏の圧倒的優位がささやかれていたにもかかわらず、岡田氏は知事選とともに「統一選の前哨戦」と位置付けた。参院で否決された法案を衆院で再可決する場合には「貴重」(民主党幹部)となる現職議員を辞職させてまで候補者を擁立し次々と閣僚を投入、自らも再三現地入りしたが、結果を出せなかった。選挙期間中に強制起訴された小沢一郎元代表の処分問題で、党内対立が激化したこともマイナス要因になったとみられる。

 首相はねじれ国会対応に苦慮し、11年度予算関連法案を3月末までに成立させるめどは立ってない。統一選も不調に終われば、政権にとってダブルパンチとなり、政局緊迫化の導火線となる可能性は否めない。

 自民党も対岸の火事ではない。知事選では党執行部に反旗を翻して除名処分になった前衆院議員の大村秀章氏の応援に、元閣僚らが駆けつけた。県連が担ぎ出した候補への「全面支持」を打ち出しながら、党内をまとめきれなかった谷垣禎一総裁の求心力低下は避けられない。

 谷垣氏は内閣支持率低迷にあえぐ首相を早期の衆院解散に追い込もうと躍起だが、「敵失頼み」だけでは党勢拡大につなげられない現実に直面した格好。統一選に向けた戦略見直しを迫られる。

 みんなの党も、二大政党との決別を打ち出した河村氏との連携に失敗し公認候補が大敗。一方、河村氏や橋下徹大阪府知事らの「首長新党」は既成政党への不信感を募らせる有権者を引きつけており、統一選でも台風の目となりそうだ。




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