任期満了に伴う愛知県知事選と前市長の辞職に伴う出直しの名古屋市長選、同市議会解散の賛否を問う住民投票が6日投開票された。市長選は前職の河村たかし氏(62)=減税日本公認=が過去最多得票だった前回(09年4月)の約51万票を上回り、再選された。知事選は河村氏が担ぎ出した前衆院議員の大村秀章氏(50)=公明県本部支持=が初当選。直接請求(リコール)による住民投票は、賛成票が半数を超え、市議会解散が決まった。政令指定都市でリコール成立により議会が解散されるのは初めて。市議会との対立から「トリプル投票」を仕掛けた河村氏の勢力が完勝した。
投票率は、知事選52・52%(前回52・11%)、市長選54・14%(前回50・54%)、住民投票54・17%だった。
名古屋市長選は、河村氏が自ら代表を務める地域政党・減税日本から立候補したほか、前民主党衆院議員の石田芳弘氏(65)=民主、社民、国民新、自民県連推薦▽元参院議員の八田ひろ子氏(64)=共産推薦▽前市議の杉山均氏(54)の3人が出馬した。
愛知県知事選は、地域政党「日本一愛知の会」を発足させた大村氏と、元総務省審議官の御園慎一郎氏(57)=民主、社民、国民新推薦▽元総務省課長補佐の重徳和彦氏(40)=自民県連推薦▽医師の薬師寺道代氏(46)=みんな公認▽医師の土井敏彦氏(64)=共産推薦=の新人5人による乱戦になった。
河村、大村両氏は減税や中京都構想など共通の公約を掲げて連携。両氏がそれぞれ地域政党をつくって既成政党との対決姿勢を打ち出した。
民主は知事選に御園氏、市長選に石田氏を擁立。4月の統一地方選の前哨戦で、菅再改造内閣発足後最初の大型地方選でもあり、党本部は閣僚級を相次いで投入したが「河村、大村連合」の勢いは最後まで衰えなかった。
自民党愛知県連は知事選で重徳氏を擁立。市長選では前民主党衆院議員の石田氏を支援したが、前自民県連会長の大村氏の出馬もあり、自民支持層をまとめきれなかった。
公職選挙法の規定で河村氏の任期は1期目の残任期間の13年4月まで。大村氏は15日に知事に就任する。
議会解散の賛否を問う住民投票は政令指定都市では初めて。解散に伴う出直し名古屋市議選は3月13日投票が有力視される。【加藤潔、丸山進】
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●愛知知事選確定得票数●
当 1,502,571 大村秀章 <1>無新
546,610 重徳和彦 無新
487,896 御園慎一郎 無新=[民][社][国]
324,222 薬師寺道代 み新
141,320 土井敏彦 無新=[共]
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大村秀章(おおむら・ひであき) 50 無新<1>
[元]衆院議員▽地域政党会長[歴]農水省課長補佐▽自民党県会長▽東大
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●名古屋市長選確定得票数●
当 662,251 河村たかし<2>諸前
216,764 石田芳弘 無新=[民][社][国]
46,405 八田ひろ子 無新=[共]
23,185 杉山均 無新
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河村たかし(かわむら・たかし) 62 諸前<2>
[元]市長▽地域政党代表[歴]会社役員▽衆院議員▽民主党副幹事長▽一橋大
毎日新聞 2011年2月7日 東京朝刊