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特集社説2011年02月08日(火)付 愛媛新聞

愛知トリプル投票 地方自治変化の兆しが見えた

 全国の注目を集めた「愛知トリプル投票」が終わった。
 任期満了に伴う愛知県知事選と、市長辞職による名古屋市長選、同市議会解散の賛否を問う住民投票の結果は、民主、自民の二大政党など既存政党の候補が軒並み敗れ、議会は解散となった。
 市長に再選された「減税日本」の河村たかし氏と、河村氏と連携し知事に初当選した前衆院議員大村秀章氏の圧勝だ。市民減税や議員報酬削減を訴えた河村氏への信任で、公約の実現が注目される。
 河村氏側が「3勝」した背景には、二大政党への強い不信もある。有権者は民主党に厳しい判断を下したばかりでなく、自民党など野党のあり方も良しとしなかった。既存政党は猛省を迫られよう。
 民主党にとっては菅再改造内閣発足後初の大型地方選挙で、しかも「民主党王国」と呼ばれる愛知での惨敗だ。
 稚拙な政権運営や、次々に修正を余儀なくされるマニフェスト(政権公約)など、国民はしらけきっている。批判の矢面に立っても主張を貫く河村氏の姿勢に、多くの市民が共感したのはうなずける。
 一方、自民党にも打撃だ。除名処分になった大村氏をめぐる対応はばらばら。県連が担ぎ出した候補への支持も統率できず敗れ去った。民主党の「敵失頼み」にこだわった揚げ句、野党としての存在感醸成に失敗した自民党をも、有権者は突き放した。
 論戦は始まったものの信頼を取り戻せないでいる国会のていたらくを、国民は冷めた目で見ている。両党とも今こそ、危機感を持つべきだ。
 河村氏は今回の信任で、公約実現に大きな自信を得たであろう。政令指定都市は大きな権限があるが、愛知県という枠組みの中で知事と連携が可能になったことで、より幅広い政策立案も可能になる。
 ただ圧倒的な支持を得られたとはいえ、河村氏の手法には賛同しかねる。
 市議会のリコール運動を主導した姿勢がそうだし、辞職もしかり。リコール成立で辞職の必要性はなくなったにもかかわらず、大義なき劇場型選挙を挙行したことへ、違和感を表明しておきたい。
 3月の出直し市議選で河村氏の思惑通りになれば、首長と議会という二元代表制の意義が問われかねない。議会が首長の影響下に入ることで議会での論戦が停滞すれば、市長の独善になる恐れもある。
 今選挙の結果は、橋下徹大阪府知事が率いる「ローカルパーティー大阪維新の会」などの「首長新党」が、4月の統一選で旋風を巻き起こす可能性も示唆している。
 既存の政党政治からの脱却や、首長と議会との関係見直しなど、地方自治の本質が大きく変化する兆しも見えた。節目の投票であった。

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