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党首討論 政治不信に答え見えぬ(2月10日)

 停滞した政治をどう立て直すのか−。

 菅直人首相になって初めての党首討論で聞きたかったのはそのことだ。

 しかし民主、自民の二大政党の党首の議論はかみ合わず具体的な道筋は見えなかった。ねじれ国会での駆け引きばかりが目立つようでは国民の失望を招く。

 一昨年の政権交代から1年半。政治の変化が実感できない中で有権者に政党不信が広がっている。

 4月の統一地方選の前哨戦となった名古屋市長選、愛知県知事選で民主、自民両党の支援候補がともに惨敗したことは象徴的である。市民税減税を掲げた河村たかし前市長の率いる地域政党がそろって勝利し、中央政党の推す候補は埋没した。

 固有の選挙事情はあるにせよ、既成政党の支持者が雪崩を打って離反した現実を政治のリーダーは重く受け止めなければならない。

 だがきのうの党首討論で菅首相、自民党の谷垣禎一総裁がわずか3日前の「名古屋ショック」に直接触れる場面はなかった。

 大政党の党首にとって不都合な選挙結果には違いないが、有権者のいらだちを直視しなければ国政を預かる責任を果たすことはできない。

 討論で焦点となったのは社会保障と税の一体改革である。

 菅首相があらためて与野党協議を求めたのに対し、谷垣氏は「国民の声を聴くことが必要だ」と拒否し、重ねて衆院解散を迫った。

 政府は6月に一体改革の成案をまとめる。与野党協議が先か、解散が先かと、党首同士が堂々巡りの議論を続けるのはいかにも不毛である。

 少子高齢化の進展で社会保障と税の将来像を描き直すことは急務だ。首相が「どの内閣でも避けて通れない」と述べたのはその通りである。谷垣氏が政府案も固まらないうちに解散を言うのは性急に過ぎる。

 野党第1党として高齢者の医療・介護・年金はもとより若者対策や非正規雇用の増大を踏まえた総合的なビジョンを示し、堂々と政府案と競い合ってもらいたい。

 首相の大きな課題は国民の支持をいかに得るかだろう。社会保障に対する危機感は理解できるとしても、財政再建のための消費税増税がセットというのでは真意が疑われる。

 国民の不信はどこからきているのか。無駄の削減を徹底すると言いながら、いつの間にか増税論が先行する。政治主導の掛け声も薄れ、目玉の子ども手当は財源不足で制度の維持すら困難になりつつある。

 選挙の約束に反した政治は国民から見放される。マニフェストの理念を再構築して出直す。その先頭に立つことが首相の責務である。

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