2月6日日曜日、愛知県知事選、名古屋市長選、同市議会解散の是非を問うトリプル住民投票が行われた。結果は、「市民税10%減税」と「市会議員報酬半減」を公約した河村たかし前名古屋市長の圧勝であった。66万票という過去最多得票でほかの候補を圧倒し、名古屋市長に返り咲いた。また同じマニフェストをかかげる盟友の前自民党議員の大村秀章氏も愛知県知事選に圧勝した。河村氏が主導した市議会解散の直接請求(リコール)に基づく住民投票も賛成票が有効投票の過半数を圧倒的に上回りリコールが成立した。議会は即日解散し、出直し市議選が行われる。リコール成立で議会が解散するのは政令市では初めてである。まさに日曜日に「名古屋革命」が起こったのである。
筆者はこの河村陣営の大勝利が示唆するものは大きいと思う。菅内閣は高額所得者層への増税、相続税の増税を早々に決定し、来るべき消費税増税に向けて邁進している。筆者も日本の財政が苦しいことはよく理解している。しかし政治家や官僚、公務員が全く身を切ることなく、我々国民はそんなにやすやすと増税を許すべきなのだろうか? 議員報酬を半分にカットすることを公約した河村陣営の大勝利はそんな安易な増税は決して許さないという民意に他ならない。一部に議員報酬のカットはポピュリズムだという意見もあるが、それは間違っている。なぜならば半分でも議員報酬は高いぐらいだからだ。
河村氏の「
この国は議員にいくら使うのか
」に次のように書いてあった。
私を含めて国会議員には衆議院も参議院も年間1561万2000円の歳費(国会議員の給料)が入る。ボーナスもあって、だいたい632万円が2回に分けて支給される。国民のみなさんはこれだけでも高給と感じるであろうが、ここからさらに様々な「議員特権」による手当がつく。全部をありがたく頂戴すれば年間の収入はだいたい3500万円、これに政党からの支部交付金が500万円ほど加わるのだから、驚きだろう。
しかもこの政治家の手当の中で大きいのが「文書通信交通滞在費」というもので、これはなんと領収書の全くいらないなんでも使える経費で、税金もかからずに毎月100万円がそっくりそのまま議員のポケットに入るのである。その上に豪華な議員宿舎、運転手付きの黒塗り公用車。なぜこんなに日本の政治家は高待遇なのかというと、それは官僚が自分たちの給料を上げるためにまず政治家の給料を上げる必要があったからだ。嫉妬深い政治家が、政治家より高い官僚の給料を認めるわけはない。だから政治家の給料をまず上げないとだめなのだ。
また相続税の増税を決定した菅内閣だが、政治家は自分の子どもに無税で莫大な財産を相続させているそうだ。上杉隆氏の「
世襲議員のからくり 
」によれば、政治家は政治資金管理団体を作りそこへの寄付金という形にして同じく政治家を目指す子息に無税で財産を相続させるのである。日本の相続税法にはそういった特権的な穴がポッカリと空いているのだ。
日本という近代的な資本主義国家にあって、このような馬鹿げた特権を温存していいのだろうか? そんなおかしな制度を残したまま、我々国民は増税を素直に受け入れなければいけないのだろうか? 民間企業なら売上が落ちれば、当然リストラしてコストを削減する。そうでないと生き残れないからだ。日本国政府は税収が落ちても、明らかに無駄になっている膨大な役人の天下り団体をひとつもつぶすことなく、国民に負担を強いようとしているようである。本当に呆れる他ない。
参考資料
鳩山ママに正しい相続税節税の方法を教えてあげるわ。ホリエモン・ブログ世襲議員のからくり、上杉隆、金融日記いろいろ考えたけどやっぱり増税には断固反対します、アゴラ