経済
日豪協定コメ除外へ 県内農家「安心はできず」
農家に広がるTPPへの不安。反対運動も起きている=1月31日午後、神戸市中央区内(撮影・神子素慎一) |
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2月10日に終了した日本とオーストラリアの経済連携協定(EPA)締結に向けた交渉で、日本の関税撤廃の対象からコメが除外される方向になった。菅政権が6月をめどに参加の是非を決断するという環太平洋連携協定(TPP)は例外なく関税を撤廃するのが原則。昨秋、急浮上した参加検討問題に、神経をとがらせてきた兵庫県内の農家では、今回の日豪交渉の方向をひとまず朗報と受けとめる人もいるが、「小手先の対応」との厳しい声も。「安心はできない」と不安は消せない。
TPPをめぐり、コメ農家が不安を募らせるのは、日本がTPPに参加しコメの関税が撤廃されれば、低価格の輸入米が日本を席巻。県内では産出額のほとんどが失われる(県試算)との見方もあるためだ=表参照。県試算のひな形となった農林水産省試算は、シェア9割が安い輸入米に奪われ、残り1割も外国産に引っ張られ価格が39%下落する‐としている。
TPP参加への「試金石」とも位置付けられた今回の日豪交渉。
計約8ヘクタールでコメや黒大豆などを作る篠山市細工所の専業農家粟野勝浩さん(49)は「朗報だが(TPPが)最終的にどうなるのか分からない。安心できない」と話した。
その上で「TPPに参加すれば、コメの値段が下がりトラクターやコンバインなど機械の維持費や燃料費だけで赤字になる。小規模農家は農業を辞めてしまう」。参加するなら「中国の富裕層向けに販路開拓するなど対策が必要」と指摘した。
日豪交渉について、さらに厳しい目を向けるのは八幡営農組合(加古川市八幡町)の芦原安男代表理事(66)。「(日豪EPAもTPPも)コメだけじゃなく、将来の日本の食生活全体を考える問題」と強調し「反発が強いコメだけを除外するのは小手先の対応でしかない」と批判した。
同組合は「安全・安心」を売りに、約120ヘクタールの農地でコメ、麦、大豆などを作る。豆腐や菓子への加工にも力を入れ、売り上げの約半分は加工品。単年度で3年連続の黒字だが、芦原さんは「関税撤廃で農産物価格が一気に3〜4割低下すれば、努力しても追いつかない。食料自給率も大幅に下がるだろう」と話した。
【環太平洋連携協定(TPP)と影響試算】 アジア太平洋経済協力会議(APEC)の参加国を中心に原則関税を撤廃する自由貿易協定。2006年にシンガポール、ニュージーランドなど4カ国で発効し、米国なども参加を表明。内閣府は輸出増で実質国内総生産が最大3・2兆円増えると試算するが、農業分野は、農林水産省が生産減少額4・1兆円とみる。農産物の関税は税率換算で平均12%と諸外国に比べ高くはないが、主食の米など一部に高関税を課しているためだ。
(2011/02/11 10:33)
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