中国新聞オンライン
中国新聞 購読・試読のお申し込み
サイト内検索

「小沢切り」尻すぼみ 3分の2確保を優先 '11/2/14

 民主党が強制起訴された小沢一郎元代表への対応をめぐり、ようやく党員資格停止の処分方針を打ち出した。一段と厳しい離党勧告に踏み切る構えを見せていた菅直人首相の「小沢切り」路線は尻すぼみに終わった格好。2011年度予算関連法案を衆院で再可決する3分の2勢力を確保するには、小沢氏支持議員の造反を避けねばならないとの判断を優先させた結果といえる。

 だが再可決の鍵を握る社民党の協力は見通せない。10日の小沢氏との会談でも離党を迫ったはずの首相。その「有言不実行」ぶりは、内閣支持率のさらなる下げ要因となりかねない。

 14日午後の民主党役員会。「党に功績のある方なので私もつらいところはある。しかし公党としての責任を果たすために提案したい」。岡田克也幹事長は、こう語りながら党員資格停止の提案書を配った。

 小沢氏に近い参院の平田健二幹事長や羽田雄一郎国対委員長は「起訴と強制起訴は違う」と処分への反対論を展開した。

 ただ、これに同調するとみられていた輿石東参院議員会長は、個人としては反対だが決定には従うとの立場を表明。反小沢の急先鋒せんぽうである仙谷由人代表代行も「岡田氏の説明は正しい。同意する」と提案了承の流れをつくり、最後に首相が「幹事長提案の方向で了としたい」と首相がまとめた。

 処分の中では最も軽い党員資格停止を、多数決もない「あうんの呼吸」で決めた役員会。党幹部は「他の人だったらもっと重かった。小沢氏だからこそあれで済んだ」と、党内対立の激化を回避するための苦肉の策だったことを明かした。

 除籍(除名)に直結する離党勧告を恐れていた小沢氏サイドにとって党員資格停止は「受忍できるぎりぎりのライン」(周辺)。ここを落としどころとするために、ポーズとして処分反対の声を上げてきた節もある。

 14日昼すぎには、小沢氏を支持する衆院1回生議員でつくる「北辰会」メンバー約20人が国会内の幹事長室に押し寄せ、処分反対の申し入れ書を提出したが、役員会後は動きをひそめた。輿石氏は、小沢氏側に電話し「こういうことになりました」と報告した。

 当の小沢氏はマイペースそのもの。14日の講演では「聖徳太子の十七条憲法第1条は『和をもって貴しとなす』だ。最後の第17条には、独りで物事を決めてはならないと書いてある」と首相を暗に批判した。この後、女性議員約10人からバレンタインデーの贈り物を受け取り、開封に手間取ると「力も衰えている…」と軽口をたたく余裕も見せた。




HomeTopBackNextLast
安全安心