2011年2月15日
10〜12月期GDP/政府の景況無策が浮き彫りに
内閣府が14日発表した昨年10〜12月期の国内総生産(GDP)は、名目値でも実質値でも対前期比マイナスだった。まだ速報値段階で、厳格には修正値がどう出るかを待たなければならないが、対前期比マイナス成長は多数の民間エコノミストのかねての予測通りで、意外性は全くない。かつ、国内経済に限定すると、越年後に関しても、当面は明るい展望は描きにくいものと判断せざるを得ないだろう。
海外動向依存の危うさ
10〜12月期のGDPは、物価変動の影響を除去した実質値で対前期比0・3%(年率換算1・1%)の落ち込みで、これだけでも容易ならぬ数字だが、物価変動修正前の生活実感に身近な名目値では対前期比0・6%(年率換算2・5%)の減少で成績はもっと悪かったことになる。これには、前期すなわち昨年7〜9月期の対4〜6月期比成長率がよかったことの反動も確かに影響している。7〜9月期は、速報値段階(昨年11月15日発表)で年率換算対前期比3・9%成長、それが同12月9日発表の修正値では同4・5%もの増になった。予想以上の好成績を記録したと言っていい。
しかし、この数字は、日本経済の実勢を反映するものでは、もちろんなかった。世界経済史上まれにしか例のない大不況に直面して自民・公明連立の麻生太郎政権が推進した景気テコ入れ策の効果一巡の段階で、いわゆる“駆け込み需要”がこの期のGDPを一時的に押し上げたことを、多分に反映している。
GDP統計は四半期別だが、試みに、景況とかかわる個々の経済指標を概観するがいい。この期の期初7月に比べて期末の9月の数字が概してよくないことを、読み取れよう。昨年10〜12月期のGDPの大幅なマイナス成長には、そんな要因が響いているには違いない。だが、それだけではない。自公連立に取って代わった民主党主軸の鳩山由紀夫前政権とそれに続く菅直人現政権の対不況無策のはね返りが、何と言っても重い。
早い話、鳩山と菅の両政権とも、俗受け狙いのばらまき型の財政政策に傾斜し、力強い内需の追加掘り起こしに関しては何もしていないに等しい。それどころか、例えば公共投資、大不況期にもかかわらず、当平成22年度政府予算でも対前年度比削減し、国会で審議中の来23年度予算政府案でも明らかに冷遇扱いしている。昨年10〜12月期のGDP不振の一因が公共投資にあることは、疑う余地がない。
結果として、日本の景気動向は、輸出と海外に多角展開している本邦諸企業の現地での活動如何にかかる。主要項目別の変動から容易に読み取れる通り、この期の輸出は対前期比で減退した。国内需要の拡大促進に無策無為で景気は海外需要に依存したまま――政府の経済政策不在の危うさが、まぎれもなく露呈している。
有力企業は自力で復調
転じて、主要企業の収益動向に目を移すと、証券取引所上場各社には、業況の改善・好転を告げるものが少なくない。これには、非効率分野の整理縮小と新興経済勢力圏に積極展開しての活動に負うところが大きい。政府施策の成果とは言い得ぬ。