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【私説・論説室から】

世論との落差が情けない

2011年2月16日

 浅くかけた椅子。ひじと両手首を両ひざで支えている。まるでこうべを垂れるようにうつむく姿。目を閉じているのか表情はわからないが、どこか痛みに耐えているようにも見える。

 舞台は今月七日の衆院予算委員会。野党攻勢の矢面に立つ与謝野馨経済財政相を撮った写真だ。翌日付の産経新聞に掲載された。

 一年ほど前の自民党在籍時に民主党政権をこてんぱんにした著書がある。その人がいまや三顧の礼で菅内閣の要職に就いている。

 さぞかし古巣自民の集中砲火を浴びてつらかろうと半ば同情しつつ、現場の記者に聞いてみると、そうでもないのだという。

 答弁を求められるのはひっきりなしでも、追及を受けるというより、民主党マニフェスト批判の手厳しい持論を披歴している、といった方がいいそうだ。

 攻める野党は与謝野答弁を具に民主の閣僚にマニフェスト修正を迫る。それだけで閣内の乱れを世間に印象づけられるのだから「与謝野=トロイの木馬」説が流れても無理はない。

 菅首相の側は与謝野氏に野党を話し合いの場へ誘うリード役を期待したに違いない。たしかに二大政党の政策は接近したが、首相の思惑は外れて、合意づくりの機運は遠ざかる一方だ。

 内閣支持が五人に一人でも四人は政治を前に進めよと与野党に協議を求めている。こんなけなげな世論を尻目に国会は茶番か。落差が情けない。 (谷政幸)

 

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