場当たり主義が鳩山「方便」発言に
将来像も政策論も不在
公明新聞:2011年2月19日付
民主党の安保政策
民主党政権が沖縄県の米海兵隊「普天間飛行場」の県外移設を断念した理由として、鳩山由紀夫首相(当時)は昨年5月、海兵隊の「抑止力」の必要性を強調した。ところが、その本人が沖縄県の地元紙とのインタビュー(13日付で報道)の中で、当時の「抑止力」判断を「方便」だったと発言、沖縄はもとより、日米関係、国政に激震が走っている。
「抑止力は必要」と言って沖縄県民に県外移設の公約違反を謝罪してからわずか9カ月。「沖縄基地はいったい何層のウソに包まれるのだろうか」(『沖縄タイムス』14日付)―との論評に、沖縄の怒りが表されている。
沖縄県民は、米軍基地問題について「本土と差別されている」との思いが強い。鳩山前首相は、「普天間飛行場」の県外移設を言って期待感をあおりながらそれを裏切り、さらに「方便」発言で、何重にも沖縄の心を踏みにじることになった。
鳩山前首相の「方便」発言に対し、菅直人首相以下、主要閣僚が次々に批判を繰り広げ、これをあたかも、鳩山前首相の政治家としての資質論にすることで問題を矮小化しようと躍起になっている。
しかし、「方便」発言の裏には、民主党の安全保障政策の浅薄さ、さらに言えば、日米安保体制についての将来像も政策論もない事実を見逃してはならない。
鳩山内閣時の「マニフェスト2009」には、「緊密で対等な日米関係を築く」との表題の下、「日本外交の基盤として緊密で対等な日米同盟関係をつくるため、主体的な外交戦略を構築した上で、米国と役割を分担しながら日本の責任を積極的に果たす」とあった。
しかし、外交戦略という将来像に基づき、日米が役割分担をするための「普天間飛行場」移設という現実の政策論に直面したとき、民主党政権は安保政策の基盤がないため正面から対応できず、場当たり主義で突き進んだ。この責任は、鳩山内閣の主要閣僚であった菅首相にもある。人ごとではない。その反省もないまま、民主党マニフェスト2010で「日米同盟の深化」を言っても、言葉の軽さだけが浮き上がる。
「方便」発言は政権党である民主党の安保政策の根幹に関わる問題である。このため、公明党をはじめ野党各党が鳩山前首相の参考人招致を求めていることは当然である。
ここにも民主党マニフェストの破綻ぶりが厳然と現れている。
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