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政局シミュレーション 打開策は退陣?解散?続投? '11/2/21

 参院で野党が過半数を占める「ねじれ国会」で2011年度予算関連法案成立にめどが立たず、苦境に立つ菅直人首相。内閣支持率低迷に、民主党内からも噴き出した退陣論が追い打ちをかける。八方ふさがりの首相はどんな挙に出るのか。シミュレーションした。

 【退陣】

 予算関連法案の成立には野党の協力が欠かせない。しかし、野党側は「菅首相には協力できない」と反対方針を堅持。小沢一郎民主党元代表に近い衆院議員16人が造反を示唆したほか、社民党は公債発行特例法案に反対する方向で、衆院再可決の道も封じられた。

 首相は国会での「数合わせ」に失敗。民主党幹部は、予算関連法案の成立と引き換えに3月末にも退陣せざるを得ないと見る。ただ衆院解散・総選挙に追い込みたい自民党は「退陣しても関連法案に『はい』というわけにはいかない」(大島理森副総裁)とハードルを上げる。首相は「首を代えたら賛成する、しないという古い政治に戻るつもりはさらさらない」と退陣拒否の構えだが、4月の統一地方選も苦戦必至で、状況は厳しい。

 【解散・総選挙】

 周辺は「首相の性格や政治手法を考えれば、総辞職よりも衆院解散・総選挙を選ぶ」と分析。首相自身も解散を否定せず、野党側や選挙基盤が脆弱ぜいじゃくな民主党内の造反予備軍をけん制する。小沢氏も21日、支持議員に「首相には、常識が通用しないから解散は早いぞ」との見方を披露した。

 民主党内では解散・総選挙をめぐり(1)3月中旬解散―4月24日の統一地方選とのダブル選(2)解散を条件に予算関連法案を成立させ、統一地方選後の5、6月に解散―などが取りざたされる。

 ただ、報道各社の世論調査で内閣支持率は20%前後に低迷。民主党内では「このまま選挙に突入すれば大惨敗」(閣僚経験者)として、菅首相による解散・総選挙を懸念する声が支配的だ。

 【続投】

 一方、首相は続投にこだわっている。6月には社会保障と税の一体改革、環太平洋連携協定(TPP)参加問題で結論を出すことになっており、歴史的な政策課題に自身の手で区切りをつけたいとの思いが強い。通常国会が閉会する6月まで持ちこたえれば、その後に国政選挙が予定されていないことから、さらに政権を維持できると踏んでいるようだ。

 首相は周囲に対し、自民党の故三木武夫元首相が党内の退陣圧力をかわし、衆院選で敗北するまで続投した事例にたびたび言及。金権政治打破を掲げて世論を味方に付けようとした手法を参考にしているという。

 しかし、3月の年度末にヤマ場を迎える予算関連法案の成立の見通しは全く立っていない。逆風の中、4月には統一地方選も待ち受ける。首相がこうした関門を越えて目指す「6月」にたどり着けるのか。首相に近い議員でさえ、悲観論が多い。




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