経済
日豪EPA関税撤廃、コメ除外 酪農家ら思い複雑
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日本とオーストラリアの経済連携協定(EPA)締結に向けた交渉で、コメの関税撤廃を除外する方向が打ち出されたことについて、兵庫県内のコメ以外の酪農、畜産農家の受けとめは複雑だ。日豪EPAとは別に、菅政権が6月をめどに参加の是非を決断するという環太平洋連携協定(TPP)は例外なく関税を撤廃するのが原則。日豪交渉の結果はTPPの交渉に影響を与えるとされるだけに「国は(コメ以外を)切り捨てるのか」との声も上がる。
(淡路総局・後藤亮平、浜坂支局・大盛周平)
TPPをめぐっては、県が農林水産省の試算をひな型に、参加した場合の県内農業の損失額を試算した(表参照)。コメ以外で生乳、肉用牛も損失額は大きい。今回の日豪EPA交渉は、TPP交渉に日本が参加した場合の参考になるとされる。
その日豪交渉で「コメ除外」の方向性が打ち出されたことを、淡路島酪農農協(南あわじ市)の代表理事組合長を務める池田進さん(60)は「政府が酪農を守ろうとする意思がないことがはっきりした」と批判した。
同農協では約210戸が約6500頭を飼育し、1日約95トンを搾乳。うち約57〜58トンが無調整牛乳、約10トンが加工乳や乳製品、残りの約27〜28トンは大手メーカーの原乳となっている。
池田さんは「(TPP参加で)関税が撤廃されると、安い輸入品には、価格ではとても太刀打ちできない」と強い危機感を抱く。さらに「日本の食に絡む大切な問題。だが、日本の農業をどうしていくのかという基本的な話し合いもないままだ」と不安を募らせる。
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但馬牛50頭を飼育する新温泉町久斗山の中村文吾さん(35)は、日豪交渉の方向性について「但馬牛にどう影響があるかは分からない」と静観。ただ、「枝肉の価格が安くなってきており、(TPP参加などで)それに拍車がかかることにならないか」と心配する。
同じく但馬牛約180頭を飼育する中井勝さん(51)=同町飯野=は「『ブランド力がある但馬牛は大丈夫』といわれるが、その浸透はまだ、これからというところ」とし「一気に海外の安いものが入ると影響が出る。被害が出てから『やめた』とは言えないだろう」と懸念している。
【環太平洋連携協定(TPP)と影響試算】 アジア太平洋経済協力会議(APEC)の参加国を中心に原則関税を撤廃する自由貿易協定。2006年にシンガポール、ニュージーランドなど4カ国で発効し、米国なども参加を表明。内閣府は輸出増で実質国内総生産が最大3.2兆円増えると試算するが、農業分野は、農林水産省が生産減少額4.1兆円とみる。農産物の関税は税率換算で平均12%と諸外国に比べ高くはないが、主食のコメなど一部に高関税を課しているためだ。
(2011/02/22 12:19)
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