日朝交渉が動き出しつつある。前原誠司外相(48)も「独自のパイプがある」などと北朝鮮訪問の意欲をもらしているという。こうした中、元自民党参院議員会長、村上正邦氏(78)が今春、訪朝を計画していることが分かった。村上氏は夕刊フジの取材に、「私は数カ月でも北朝鮮にとどまり、命をかけて交渉してくる。『ポスト菅』を見据えて、功名心にかられる前原氏は危ない」と語った。
村上氏は1997年に「北朝鮮拉致疑惑日本人救済議員連盟」(旧拉致議連)設立時の呼び掛け人。昨年秋、「炎の行者」と呼ばれ、3度の訪朝歴がある高野山真言宗の池口恵観大僧正から「ぜひ、行きましょう」と誘われ、決意した。
「日朝間には、拉致や核、ミサイルといった問題があり、これを解決するのは大変。ただ、これまで日本の政治家が本気で話し合ってきたとは思えない。小泉純一郎元首相など、弁当持参で日帰りだった。利権狙いのひどい議員もいた。これでは相手は信用しない」
「私は北朝鮮にとどまり、民間の立場でひざ詰めで話し合ってくる。当然、金正日総書記など、しかるべき人物に会いたい。拉致被害者を救い出したい。北朝鮮のためにもなりたい。日朝関係の改善につなげたい。膠着した日朝間を少しでもほぐしたい。命を差し上げる覚悟で行く」
昨年末、在日本朝鮮人総聯合会の大幹部とも会談したという。
菅直人首相の「場当たり政治」のせいか、内閣支持率は退陣水域に。すでに「ポスト菅」をめぐる駆け引きも始まっており、有力候補の前原氏には「訪朝で得点を挙げようとしている」(民主党関係者)という見方も。
こうした動きに、村上氏は「実に危険だ。偽メール事件も、前原氏の識見や思慮の浅さが大きな要因となった。自殺者まで出た。野心や功名心で交渉すると、相手は足元を見てくる」と語る。
米国や中国といった大国を手玉にとり、北朝鮮はしたたかな外交を展開している。日本はどう立ち向かうべきなのか。