「政治とカネ」の問題の決着にはほど遠いが、民主党としてようやく一応の結論を出したといえるのではないか。
菅直人首相も出席したきのうの党の常任幹事会で、政治資金規正法違反の罪で強制起訴された小沢一郎元代表の処分が正式に決まった。判決確定までの間、党員資格を停止するとの内容である。
これにより役職は解任され、代表選に立候補する資格も失う。衆院選があった場合、公認されない可能性もある。小沢氏は不服申し立てする見通しだ。
「処分が軽すぎる」との声が聞かれる一方で、党内の小沢氏を支持する議員らはますます反発を強め、党内抗争が激化しそうな雲行きになっている。
いいかげん、へきえきしている国民も多かろう。予算案の審議は待ったなしだ。政策論議こそが本来の姿のはずである。
常任幹事会に先立って開かれた党の倫理委員会には小沢氏本人が出席して弁明した。しかし中身はこれまでの繰り返しで、新味はなかったといえる。
席上「前例がなく、なぜ私だけがこのような処分を受けるのか合理的な理由は見当たらない」と主張。衆院政治倫理審査会についても「出席を拒否していない。政倫審が開かれていないのは国会運営上の都合」としている。
小沢氏自ら政倫審出席の意向を示したのは昨年5月のことだ。実現していない責任を国会のせいにするのは納得できない。
小沢氏や近い議員からは、処分に突き進む首相への批判が強まっている。当選1、2回の衆院議員16人による会派離脱届の提出は、その最たるものだろう。
予算執行に不可欠な公債発行特例法案などの衆院再可決に揺さぶりをかける戦略のようだ。だが社民党が法案反対を決めたことで意味をなさなくなった。
もはや、政治とカネの問題をあいまいにしたまま、これまでのように妥協することは許されまい。首相も腹をくくるべきだ。
今月半ば共同通信が行った世論調査では「小沢氏は議員辞職すべきだ」が52%、「離党すべきだ」も24%に上っている。世論が向ける目は依然厳しい。小沢氏の問題とともに企業・団体献金の全面禁止も急がれよう。
気になるのは与党内のあつれきだけではない。20%を切った菅内閣の支持率低下につけこんで、野党は早期解散に追い込む姿勢を鮮明にしている。
このまま予算案や関連法案の審議が進まなければ、国民の暮らしに及ぼす影響は計り知れない。折しも中東情勢が緊迫の度を増している。不毛な政局にうつつを抜かす余裕はない。
「給料泥棒みたいなものだ」。こんな国会の体たらくを見かねて、日本経団連の米倉弘昌会長が与野党の議員に苦言を呈したのも当然といえよう。一日も早く政治とカネの問題に区切りをつけた上で、予算審議に全力を挙げてもらいたい。
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