菅総理大臣と自民党の谷垣総裁らとの党首討論が行われ、谷垣総裁が、菅総理大臣は党内すら掌握できておらず、指導力がないと批判したうえで、衆議院の解散・総選挙を改めて求めたのに対し、菅総理大臣は、歴史に責任を持った行動を取ってほしいと切り返し、予算案や予算関連法案の成立に向けて協力を迫りました。
この中で自民党の谷垣総裁は、まず、ニュージーランドの地震を受けた政府の対応を取り上げ、「民主党は、きのうも党内のもめごとの解決に取り組んでいたが、きのうから地震の対応に取り組んでいれば、緊急援助隊はけさには現地に到着できたのではないか」と指摘しました。これに対し、菅総理大臣は「ニュージーランド政府から支援の要請がある前に先遣隊を出し、その後の作業をたいへん迅速にできた。被災した日本の留学生の救出はもとより、被災にあった皆さんの救出活動に全力を挙げていきたい」と述べました。また、民主党の小沢元代表の党としての処分について菅総理大臣は「きのう党として、裁判が決着するまで党員権を停止すると決定し、党としてのけじめはできた」と述べました。さらに谷垣総裁は、菅総理大臣の政権運営について「衆議院選挙のマニフェストは実行が不可能なもので、民主党内からも撤回を求める声がある。16人の衆議院議員が会派離脱届を提出するなど、菅総理大臣は、党内すら掌握できておらず、リーダーシップにもペケが付いている。きちんと政権を運営できる体制をつくるためには、もう一度、国民の声を聞くしかない」と述べ、衆議院の解散・総選挙を改めて求めました。これに対し、菅総理大臣は「谷垣氏は解散というが、予算を通さずに解散することが国民にプラスになると思っているのか。私たちは、予算関連法案の成立を年度内に実現したいと一生懸命説明している。平成10年の金融国会の際のように、過去の例を見て、歴史に責任を持った行動を取ってほしい」と切り返し、予算案や予算関連法案の成立に向け、協力を迫りました。この菅総理大臣の発言に、谷垣総裁は「われわれとしても予算案を組み替える動議を出すつもりだが、そもそも政府の提出した予算案は基本的な考え方が違う。小手先の修正や国会戦術で通すのは百害あって一利なしで、堂々と自分たちが信じていることを国民に問うてリセットするのが早道だ」と重ねて迫りました。これに対し、菅総理大臣は「ぜひ自民党が出した組み替え動議のほうがすばらしいと言って、私たちが、まるのみできるような案を出してもらいたい」と応じました。一方、公明党の山口代表は、菅総理大臣の政権運営について「社会保障の協議でも、私たちが考え方を提案しているのに、民主党は案を出していない。協議をしろしろという居丈高な姿勢は、北風をピューピュー吹かせるぐう話のようで、これでは相手は身を固くするばかりだ」と批判しました。そのうえで山口氏は、民主党の鳩山前総理大臣が、沖縄のアメリカ軍普天間基地の移設先を県内とした理由を「抑止力と説明したのは方便だった」などと発言したと報じられたことを取り上げ、「菅総理大臣も沖縄の海兵隊は不要だと、内心、思っているのではないか」と質しました。これに対し、菅総理大臣は「鳩山氏の発言は率直なところ、私も驚いた。私としては、沖縄の海兵隊を含め、在日アメリカ軍は日本の安全、アジア太平洋地域の平和と安全に重要な役割を果たしている」と述べました。菅総理大臣は23日夜、記者団に対し、「『国民の皆さんにとっては、予算の成立と執行が大変重要だ』と訴えた。はっきりした返答はなかったが、これからも理解を得られるよう頑張っていきたい。国民にとって何がよいのかで判断してほしいという思いをしっかり伝えたいと思ったので、少し語気が強くなったのかもしれない」と述べました。そのうえで、菅総理大臣は、自民党が検討している予算案の組み替え動議について「きちんと制度設計がなされた案が果たして出てくるのか。動議というのは、なかなか詳しいものが出てこないのが普通なので、出されたものを拝見したい」と述べました。自民党の谷垣総裁は、記者団に対し、「『まるのみできるぐらいよい予算案の組み替え動議を出してくれ』という発言には、開いた口が塞がらない。予算案の提出権は内閣にしかなく、野党の組み替え動議をのむことは、内閣不信任案の可決とほとんど変わらないとわれわれは理解してきた。エイリアンのような感じだ」と述べました。公明党の山口代表は、記者団に対し、「菅総理大臣は、答弁にむだが多く、質問に対して的確に答えていない。理解力も対応力も極めて乏しい。野党に責任を押しつける議論のしかたは、人間の器量として、総理の器としていかがなものか。理を尽くして説得する姿勢に欠けている」と述べました。