政治

文字サイズ変更

民主党:松木農水政務官辞意 深まる亀裂、求心力低下一段と 政権内に波及恐れる声

 民主党の小沢一郎元代表に近い松木謙公農水政務官が辞意を表明したことで、瀬戸際にある菅政権はさらに追い詰められる事態となった。11年度予算案審議中の混乱で、政権の求心力が一段と低下するのは必至。元代表に近い16人が会派離脱を宣言したのに続き、党内の亀裂が深まっている。【須藤孝、中山裕司】

 小沢元代表と近い副大臣・政務官は松木氏以外にも12人に上り、政権内には波及を警戒する声が出ている。閣僚の一人は「政務官1人でも離脱組16人の重みがある」と懸念。党幹部は「内閣の内側からの離脱だから、衝撃は大きい。もうガタガタだ」ともらした。

 党執行部側は今回の辞任を小沢元代表が主導する「倒閣運動」の一環とみて、警戒を強めている。小沢元代表は会派離脱騒動と併せ、河村たかし名古屋市長の地域政党との連携を強化。河村氏と親しい松木氏は小沢グループ側の窓口役を務めており、党幹部は「小沢元代表の了承を得ない辞任はあり得ない」と懸念している。

 別の閣僚経験者は「衆院解散・総選挙や総辞職をにらんで、自由に動けるようにしておくということだ」と述べ、小沢元代表の布石との見方を示した。元代表に近い原口一博前総務相は23日夜、インターネットの中継番組で「よほど思うところがあったのでは」と語った。

 菅グループ幹部は「(松木氏の)後に続く感じはない」と語り、首相周辺も「小沢さんが追い詰められている表れではないか」と述べ、事態の沈静化を急いでいる。小沢グループの政務官の一人は毎日新聞の取材に「自分は辞めない」と述べたが、混乱が早期に収束する保証はない。

 「党内すら掌握できなくなっている。首相のリーダーシップも明らかにペケがついている」--23日の党首討論。自民党の谷垣禎一総裁は民主党内の会派離脱問題を取り上げ、首相の統治能力に疑問を投げかけた。その上で「もう一回、国民の声を聴き、体制を立て直すしかない」と述べ、早期の衆院解散・総選挙を迫った。

 谷垣氏が予算案の組み替え案を出す方針を示すと、首相は「素晴らしいと、丸のみできるものを出していただきたい」とも語った。しかし、野党は菅政権の「自壊」を冷ややかに見つめる。自民党幹部は23日夜、松木氏の辞意表明について「内閣不信任案が衆院で可決するぐらい、(反首相の)動きが広がるといい」と突き放した。

==============

 ◇民主党の小沢一郎元代表と近い副大臣、政務官は次の通り

 <副大臣>

 東祥三副内閣相▽平野達男副内閣相▽鈴木克昌副総務相▽伴野豊副外相▽筒井信隆副農相▽三井辨雄副国交相

 <政務官>

 内山晃総務政務官▽吉田泉財務政務官▽笠浩史文科政務官▽中山義活経産政務官▽小泉俊明国交政務官▽樋高剛環境政務官

毎日新聞 2011年2月24日 東京朝刊

 

おすすめ情報

注目ブランド