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【社説】

子ども手当 続けてこその支援策だ

2011年2月25日

 子ども手当法案が、衆議院で審議入りした。ねじれ国会の中で野党は反対の構えを崩さず、法案成立の見通しは立たない。四月から手当が「消滅」する事態は、避けなければならない。

 子ども手当は現在中学生までに月一万三千円を支給する。今国会に提出している手当法案では、三歳未満児は月二万円に増やす。

 だが自民、公明の野党各党は手当法案に反対の意向だ。現行手当の支給根拠となる法律は本年度限り。新たな手当法案が成立しなければ、支給できなくなり、児童手当が復活する。

 児童手当は対象が小学生まで、支給額も子ども手当より少なく、所得制限もある。すべての子育て家庭に手当が行き渡らない。逆に年少扶養控除廃止による所得増税が家計を圧迫する。

 支給事務を担う地方は、所得把握のためにシステム変更が必要になる。六月の支給に間に合わないなどの混乱が懸念されている。

 手当法案には、地方が独自に保育サービスを充実させるための交付金五百億円も盛り込まれている。うち百億円は「待機児童ゼロ特命チーム」(事務局長・村木厚子内閣府政策統括官)がまとめた待機児童対策費だ。緊急度の高い対策も滞ってしまう。

 子育ては、子供の成長に合わせて一貫した支援が要る。手当が継続して支給されないようでは支援にならない。手当法案が廃案になれば、最も大きな影響を受けるのは子育て家庭だ。法案は野党の倒閣支援策ではない。

 菅直人首相は、衆院選マニフェストで訴えた満額の月二万六千円にはこだわらず、財源を保育所整備などにも回す考えを示した。もともと支給額は、所得税の配偶者控除などを廃して捻出できる財源を子供数で割った月一万六千円だ。それが一万円上積みされた。

 「控除から手当へ」との民主党政権の考えに則すなら、満額に固執せず年度内成立に向け、与野党で妥協の道を探るべきだ。

 支給財源の一部負担に反発する地方は、全額国庫負担を求めている。手当法案では地方が保育料や給食費の徴収ができるよう配慮したが、政府への不信は消えない。

 子育ては本来、周囲に温かく迎えられるべきものだ。支援のあり方をめぐって、野党や地方と対立するようでは、子育て家庭はいたたまれない。政府は「国民生活が第一」というなら、手を尽くして手当法案を成立させるべきだ。

 

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