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政務官辞任 首相はまず党内固めを(2月25日)

 農林水産省の松木謙公政務官(衆院道12区)が辞任した。

 菅直人首相が主導した小沢一郎元代表の党員資格停止処分への抗議だという。

 衆院議員16人の会派離脱騒動に続く閣内からの造反である。

 追随する動きも取りざたされている。そうなれば、政権運営は一層厳しくなる。首相は早急に足元を固め直さねばならない。

 松木氏は記者会見で小沢氏の処分について「資格停止は最長6カ月がルールなのに小沢氏は判決が確定するまでになった。納得できない」と不満を語った。

 松木氏は小沢氏の側近の一人であり、昨年の代表選では支持集めに中心的な役割を果たした。それだけに処分への反発は小沢氏の胸中を代弁したものなのだろう。

 週明けには2011年度予算案の衆院採決を控える。政府・与党にとって大切な時期に党内の駆け引きに目を奪われた行動は残念だ。国民の理解は到底得られまい。

 政務三役は内閣の一員として政権を支え、政策を推進していくのが責務である。松木氏は小沢氏に「忠誠」を示したのかもしれないが、国民的な立場から与党議員として重責を果たしてもらいたかった。

 問題は首相の党内掌握力の欠如である。閣内には松木氏の一件を「他に波及しない」とことさら軽く見る向きもあるが、もっと危機感を持って対処すべきだ。

 松木氏は辞任の理由に首相が積極姿勢を見せる環太平洋連携協定(TPP)参加問題や消費税率の引き上げへの反対も挙げた。いずれも政権の命運がかかる政策である。

 TPPも消費税増税も国民の中にさまざまな意見があり、党内に賛否の声があるのは当然だろう。

 大事なのは異なる考えを集約し政策に練り上げていくことだ。今回の造反は重要政策をめぐる党内論議の欠落を露呈したともいえる。

 首相は野党に協議を求める前に党内で徹底的に意見を交わし、合意を図っていく必要がある。

 民主党内にはTPPに反対するグループに続いて、原口一博前総務相が小沢氏に近い議員ら50人と政策勉強会を立ち上げた。

 政策をめぐって大いに議論することは有益だが、その場を倒閣運動につなげようとの思惑があるとすれば、筋違いも甚だしい。

 新年度予算案の衆院通過や、その後の予算関連法案の採決で造反が出れば政権は瀬戸際に追い込まれる。

 この先、4月の統一地方選と社会保障改革案のとりまとめなど正念場が続く。首相がまず取り組まねばならないのは党内を束ね直すことだ。

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