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主張日米安保の軽視で混乱

公明新聞:2011年2月25日付

党首討論で山口代表 菅首相も以前は海兵隊不要論

漂流する民主党外交

民主党による政権交代から1年半。日本の外交や安全保障が受けた損失は大きい。

23日の党首討論で、公明党の山口那津男代表は「民主党政権が外交や安全保障の視点について、しっかりした海図を持っていない。だから漂流し国益を損なっている」と厳しく指摘した。これだけ次から次へと、外交・安全保障の環境を悪化させたのでは、内閣支持率が10%台に落ち込むのも当然である。

北方領土問題では、ロシアのメドベージェフ大統領が昨年9月、「近いうちに必ずそこに行く」と表明していたにもかかわらず、11月の訪問を防ぐことができなかった。菅首相は今月、これを「歴史的な暴挙だ」と批判したが、この発言にロシア政府は猛反発、かえって日ロ関係を悪化させることになった。

北方領土問題での日本の正統性は言うまでもないが、それを叫んでいるだけでは、首相として失格だ。「不信感を和らげ、対話の道筋を付ける知恵もないのか」と、国際社会に日本の弱い外交力をさらけ出してしまった。

ロシア政府は、大統領に続いて閣僚の北方領土訪問が相次ぎ、今月にはセルジュコフ国防相が軍事施設を視察するなど、活発な動きを見せている。

日本が領土問題で、周辺国に押しまくられているのは、民主党政権になって日米関係が大きく揺らいだためである。特に、アジアの平和と安定に貢献する「公共財」である日米安保体制を弱体化させかねない言動を続けた鳩山前首相の責任は大きい。

鳩山内閣での米軍の普天間飛行場移設問題をめぐる混乱は記憶に新しいが、政権を得るまでの民主党が日米安保体制の重要性を認識していなかったことは事実である。党首討論で山口代表が指摘したように、菅首相も「米海兵隊がいなくても極東の安全は維持できる」などと繰り返し述べていた。

鳩山前首相の持論である「駐留なき安保」と相まって、米国政府は、一昨年の民主党による政権交代を反米政権とは言わないまでも、米国に冷淡な政権の誕生だと受け止めたはずだ。今になって菅首相が日米同盟の重要性を叫んでも、民主党政権特有の軽い発言だと受け止められるだけである。

党内からも首相退陣論が出始めるなど、求心力を失いつつある政権に、外交の立て直しを求めることは無理だとしても、これ以上、国益を損なうようなことだけは避けてもらいたい。

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