東京都立川市の知的障害者施設「LaLaLa若葉」で、入所者の生活口座を管理していた施設長、山崎則良容疑者(53)が無断で現金を引き出していたとして16日、警視庁立川署に窃盗容疑で逮捕された。昨年5月に「入所者のキャッシュカードが紛失している」との通報が立川市や都に関係者から寄せられていたが放置されていた。引き出された現金は計100万円以上に上っており、行政のずさんな対応が問題となりそうだ。
逮捕容疑によると、山崎容疑者は昨年5月21日と6月1日、管理していた入所女性のキャッシュカードを使い、口座から計6万円を無断で引き出したとしている。山崎容疑者は「生活費やパチンコに使った」と話しているという。
女性のカードが無くなっていることに気付いた施設関係者が、昨年5月下旬に立川市に、さらに同秋には都にも通報していた。しかし、「調査権限がない」(市障害福祉課)、「施設に確認したが施設長に何かと理由をつけられ回答をもらえなかった」(都福祉保健局居住支援課)などと、踏み込んだ対応が取られることはなかった。
昨年6月以降も、被害女性の口座からは現金が引き出され続けており、施設関係者は「行政側がもっと踏み込めば被害は拡大しなかったのではないか」と訴えている。
LaLaLa若葉は、NPO法人「スポーツアクト」(秋山卓司理事長、立川市)が運営。市営グラウンドの管理のほか、市内に同様の施設を5カ所展開している。市からグラウンド管理費、国から施設運営費などを助成されていた。同法人では、入所者の生活口座を職員が管理することを認めており、通帳と印鑑は施設が預かり、キャッシュカードは本人が持っている。月11万円の入所料を徴収する際に職員がカードを預かって金をおろし、生活費などを手渡していた。ただし、複数の職員で管理するよう内部規則で取り決めていたが、山崎容疑者は被害女性らの生活口座を1人で管理していた。
同法人の松井勇治副理事長(54)は「入所者や関係者にご迷惑をおかけして申し訳ない」と話している。【浅野翔太郎】
毎日新聞 2011年2月19日 15時01分(最終更新 2月19日 15時17分)